再/生 公演情報 東京デスロック「再/生」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    演劇だからこそ表現できること
    全国ツアーの内、横浜公演のみで上演された、多田淳之介+フランケンズver.を鑑賞しました。
    集団自殺するために集まった若い人たちが興じる最後のパーティーの様子を3回繰り返して描くことによって、演劇というフォーマットでしか表現しえないような生き生きとした質感を強烈に感じさせる作品でした。

    ある畳敷きの部屋に集まった男女8人が薬を飲み、酒を飲み、音楽に合わせて踊り狂い、倒れるという30分に満たない流れを繰り返す構造なのですが、単純に繰り返すのではなく、1回目では薬を飲んだ後の場面から始まり、集団自殺の集まりとは分からさせず、ただ馬鹿騒ぎをしているだけに見せかけて2回目で真相を分からせ、馬鹿騒ぎの中に秘められた必死さを感じさせる構成が見事でした。

    3回目の最後にみんな倒れた後にまた冒頭の曲、『DON'T WORRY BABY』(BAY CITY ROLLERS)が流れ、4回目が繰り返されるのかと思いきや、薬を飲まずに舞台を退場していき、生きることに対しての仄かな希望を感じさせ、後味の良い終わり方でした。

    役者たちは同じことが繰り返されるとは知らないかのように最初から全力で踊り、繰り返される度にどんどん疲労して行き、3回目では台詞を言うだけでも一苦労という状態なのですが、消耗して行くに連れて逆に役者たちの演技ではない素の個性が輝いて見えてくるのが印象深かったです。

    台詞があまりなく、踊りもちゃんと訓練されたものではないものを3回繰り返すという演劇としては異例の作品ですが、物語の展開ではなく、人間が目の前にいるという存在感で観客の心を動かすという点では小説や映像では表現で出来ないことをしていて、まさしく「演劇的」な作品だと思いました。

    疲れて行く役者とは反対に、繰り返される度に明るくなる照明と大きくなる音量(3回目は普通の演劇公演ではあり得ない程の大音量でした)の効果が素晴らしかったです。

    『TSUNAMI』(サザンオールスターズ)、『Shangri-La』(電気グルーブ)などのヒット曲が雰囲気作りのBGMとしてではなく、劇中で実際流れる音楽として最初から最後までカットせずに流されるのが、音楽に対するリスペクトを感じられて気持良かったです。

    デスロックver.を観れなかったのが残念です。来年キラリ☆ふじみで上演があるので、そちらを観に行くつもりです。

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    2011/07/24 22:42

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