滝沢家の内乱 公演情報 加藤健一事務所「滝沢家の内乱」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    珠玉の二人芝居の誕生に歓喜しました
    ワタクシ、不勉強で、この作品の作家である吉永仁郎さんを存じ上げませんでしたが、どうやら、評伝モノを得意とされている方のようですね。

    で、いつものように、加藤さんは、また実にたくさんの戯曲の中から、この傑作戯曲を掘り出していらしたようです。

    ワタクシの半世紀以上の観劇経験では、二人芝居には意外とハズレがないのですが、この作品、その数々の名二人芝居にも引けを取らない、名作中の名作芝居でした。

    さすが、加藤さん、目利きがスゴイ!!

    W加藤さんと、声だけでご出演の、風間さん、高畑さんの名演技のハーモニーが素晴らしく、これは、全国津々浦々の真の演劇愛好家の皆様には、是非とも、ご観劇頂きたい佳作舞台でした。

    ネタバレBOX

    脚本、構成、演出、演者、舞台美術、音楽、照明、観客の資質…、どれを取っても、非の打ち所のない芝居、久しぶりに、心酔して観劇致しました。

    滝沢馬琴の書斎と、それに続く調剤部屋だけの舞台セット。この2部屋のみで、芝居が進行するかと思いきや、一番素敵なシーンは、屋根の上の馬琴と嫁の語らい場面でした。
    昔、「時間ですよ」のドラマで、最後に屋根の上の物干し台で、ハートウオーミングな場面が展開され、そのシーンの登場をワクワクして待ち構えた記憶がありますが、これに匹敵するくらい、とても魅力的な場面でした。

    姿を見せない、馬琴の息子役の風間さんと、妻役の高畑さんの台詞は、もちろん、事前に録音されたものと頭では理解していても、まるで、奥にいるような二人の存在感!
    声のみの出演のこのお二人の名演に援護射撃されて、W加藤さんも、生き生きと表の演技が光ります。

    嫁に来たばかりの20歳そこそこの頃から、36歳までのお路の女の成長を、見事に演じ切った忍さんと、武家の誇りを捨てきれないまま、家族のために、読み本作家として大成したものの、結局は、妻や息子を不幸にして、夫亡き後の若い嫁までも、自分の犠牲にしたと、逡巡する馬琴の苦悩を笑いに包みつつ、自然体で、演じられた健一さん。
    本当に、このお二人の加藤さんあっての素晴らしい二人芝居で、全編微笑ましく、最後は、涙腺も緩み、こんな素敵な劇作をされる作家を知らずにいた自分の無知を恥じ入りました。

    息子の唯一の友人であった、渡辺崋山が、投獄されたことを知って以降の、この芝居の展開が、また素晴らしく、特に、2幕のこの芝居の素晴らしさは、私の稚拙な表現力ではお伝えすることが叶いません。

    是非にも、演劇を愛する方には、見逃して頂きたくないと、再度声を大にして叫びたい心境です。

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    2011/07/23 03:09

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