愛情爆心地はボクのココ 公演情報 ぬいぐるみハンター「愛情爆心地はボクのココ 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    ポップでキィッチュで、ちょっとイイ話
    カ〜ワイイ〜(は〜と)って、思わず言ってしまいそう笑)。
    しかし、エネルギーの方向はそれでいいのかな? と思ってしまった。

    ネタバレBOX

    なんてったって台詞が面白い。
    よくよく聞いていると、あちこちにそんな台詞が散りばめられている。

    舞台をキャットウォークまで使い、立体的に見せるのは、ストリートチルドレンたち若いエネルギーを見せるにはうまい演出だと思った。

    ストーリーと端々の設定(頭中華包丁とか手のアフリカ象とか)は、一見ハチャメチャ風だけど、実はイイ話が中心であり、そこを中心にまとまっていって、人情コメディ風味に。
    ストリートチルドレンたちと、オトナたちとの戦い。ストリートチルドレンたちの町への思い入れが、町のオトナたちの利権となる、町のテーマパーク化を阻止する。
    なんとなく、昔から芝居として意外とありそうなテーマ(軸)となっていく。

    イイ話風味にしては、なぜストリートチルドレンたちは、ストリートチルドレンとしてい続けることを選択しているのかが、判然としない。
    だって、彼らのリーダー的存在のスミカは町長の秘書として働いているし、彼女は自分の妹を守りたいと思っているのだから。
    いつまでもストリートチルドレンを続けられるはずもなく、自立を考えるのが当然ではないか。見ていてそう思ってしまうのだから、この「なぜ」は解決されないままだと辛い。てっきりラストでそれが(特にスミカ姉妹に関することで)明らかになっていくのかと思いきや…。

    また、そのスミカと妹アイコは両親が見つかったからと、あっさりと町と仲間を捨てて両親の元へ向かおうとする。
    あんなに連帯感が強かったわりには(そのあたりも描き切れてはないのだが)、あっさりと仲間を捨ててしまう。これはなぜなんだろう。つまり、ストリートチルドレンを続けることの必然性が物語の中で語られていないから、この展開がすっきりしない。
    ラストで「え?」っと思った。

    ストリートチルドレンたちとオトナたちの対立軸に、ストリートチルドレンたちを保護しようとするイイ人の恋ヶ窪が加わるのだが、その設定が活きてこない。こういう設定は、物語に深みを増すか、人の関係を複雑にして、立体的になるはずが、単に軸が増えただけで、何かが見えてくるわけでもない。

    イイ話風味にしては、そんなところが中途半端に感じてしまう。

    楽しいのだが、着地がきれいにまとまりすぎているような気がしてしまう。
    きれいにまとめようとしている割には「?」が浮かんでしまうし。

    それが、このはち切れんばかりの明るさと破壊的になるのではないかという(観客の)期待値に比べて、やや観客の心をトーンダウンさせてしまうようだ。
    (だって、オープニングの、頭に中華包丁&両親のデタラメさを見ていたら、そういうトーンの展開になると思うでしょ)
    観客としては、明るさとポップさのエントロピーを、もっともっと増大させて、トンデモで爆発して欲しいと思ってしまう。エネルギーを噴出させる方向が違っているふうに見えてしまう。
    何も毒を入れろ、というわけではなく、明るく楽しくポップでキッチュであったとしても、なんか若さというか、そんな青臭さの発露の方向を見せて欲しいと思ったのだ。
    つまり、そんなにうまくまとめんなよっ! という感じだ。

    全体から溢れるパワーはとってもいいのに、普通の人情喜劇風味にしてしまい、しかもそうするにしては、足腰が弱いのが少々辛い。

    個人的には、テーマパークを破壊して、火事になったあたりの大騒動があまりにも面白かったので、なんか残念。台詞も面白いのにね。
    (町を今のままテーマパークにする、というコンセプトのはずなのに、何かを建設するという設定もなんだかなーだし…)

    町長等を演じた神戸アキコさんの怪演が素晴らしい。ただし、どの役も同じキャラにしか見えないのが玉にキズ。スミカを演じた片桐はずきさんは、スキッとしててカッコいい。ピノコを演じた八幡みゆきさんも印象に残る。サンタナを演じたナカイデソントンさんのとぼけた雰囲気もよかった。

    あと音楽いいのに使い方がもったいない。せっかく歌詞がある曲を使うならば、せめて1コーラスぐらいをきちん流して、物語に深みを増すのに活用してほしい。歌詞があるに、BGMというより、ぶつ切りすぎて、展開時のジングル的な扱いのように感じてしまうので。

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    2011/07/13 07:28

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