おもいのまま 公演情報 トライアングルCプロジェクト「おもいのまま」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    繰り返しと選択
    実験的な作品で新鮮な感動を与えてくれる飴屋法水さんの演出で、ベテランの佐野史郎さんや石田えりさんが演じるという興味深い組み合わせは、ちょっと実験的な要素を含みつつも、普通にストーリーのある分かりやすい作品に仕上がっていました。

    ある裕福な中年夫婦の家に、夜遅く記者を名乗る横暴な若い2人組が押し入って来るところから始まる物語で、サスペンスとバイオレンス色の強い、痛々しくシリアスな雰囲気でした。
    2幕は1幕冒頭が繰り返されて始まるのですが、1幕のときとは違う選択をすることによって、シリアスな状況なのに一変して笑える所がたくさんあって、雰囲気の変わりっぷりが見事でした。そして最後は仄かな希望を感じさせつつしんみりと終わりました。

    1幕で物語が終結してしまったように見せ、休憩後の2幕はどう話が続いていくのか期待させる構成が良かったです。1幕が2幕への大きな前フリになっていて、演劇の虚構性を強調する構成になっていて面白かったです。

    佐野史郎さんは肉体的にハードな演技をしながら、まるで一人芝居のように多くの台詞を言って、気弱な中年男性の色々な感情を表していて良かったです。石田えりさんはあまり台詞はありませんでしたが、たたずまいがチャーミングで、2幕での要所要所でのツッコミ的台詞が決まっていました。咳が止まらなくなったり、縛られた状態で転んで立ち上がれなくなったりとおそらく演出ではないハプニングがありましたが、佐野さんのフォローもあって流れを止めなかったのは流石でした。

    飴屋さん直々の音響オペが普通の演劇と異なる文法で効果音を入れていて、異物感を持たせつつも他のシーンを暗示させていて、とても良かったです。使われた音楽(クレジットされていませんがテニスコーツが演奏したもの)もいたずらに盛り上げる曲調でなく、独特な雰囲気を醸し出していました。

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    2011/07/09 22:19

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