【公演終了】『完璧な世界』【ありがとうございました!!】 公演情報 タカハ劇団「【公演終了】『完璧な世界』【ありがとうございました!!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    くっきりとした妄想のリアリティ
    心を去来するものがくっきりと表れて
    幾重にも組みあがっていく。

    記憶と妄想のボーダーの明確さと曖昧さの
    組みあがり方が実にしたたかで・・・。

    妄想のエッジをクリアに意識しながら
    その一方で妄想の「実存」にどっぷりと浸されてしまう。

    終わってみれば、
    その世界の抜けられない深さに
    しっかりと捕まえられておりました。

    ネタバレBOX

    個々の役者たちが作り上げる
    心に去来するものの品質が非常にくっきりとしていて、
    単純な妄想譚という枠をすっと外してしまう。

    いろんなデフォルメと現実の端境が
    シームレスにつながりループしていきます。
    妄想自体はどこかシンプルで
    観る側をも圧倒するような色と下世話さがあるのですが、
    そこには妄想する側とされる側の秀逸な演技から
    キャラクターの心の揺らぎもしたたかに織り込まれていく。

    幾重にも重なり、
    深さを作り繰り返されていく時間が
    妄想の質感にとどまらず
    その一つ外側の妄想に捉えられる男の
    ぞくっとくるような実存感を観る側に流し込んでくれるのです。

    二人の女優の醸し出す
    男にとっての全くベクトルの異なる慰安感に息を呑み
    そこへ取り込まれる男の姿の自然な感触と
    一方で垣間見える現実との距離感の認識の描き方に
    この作り手だからこそ現わし得るであろう感覚が生まれ、
    さらに引き込まれる。

    薄っぺらくない、
    逃げられないような下世話さが
    さらに赤裸々でナチュラルな
    出口を失った思いの巡りを浮かび上がらせて・・・

    それほど尺の長い作品ではないにも関わらず
    厚みをもった見応えに
    しっかりと閉じ込められてしまいました。

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    2011/07/07 07:25

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