島式振動器官 公演情報 重力/Note「島式振動器官 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    静謐な時間
    松田正隆さんの主宰するマレビトの旗揚げ作品を、あまり動きはないもののインパクトのあるビジュアルと不自然な分節や強調を多用した発話法で演出し、緊張感のある舞台となっていました。

    マレビトの会による初演を観ていなくて、戯曲も読んだことがないので、今回の上演に当たってどの程度の改変や脚色があったのかは分かりませんが、断片的で全体の物語の流れが掴みにくい作品でした。人の出入りが禁止されているらしい島に密航した男を中心にした物語で、鳥や男の妹の恥丘、子供などのエピソードの積み重ねからうっすらとロマンティックな雰囲気が感じられました。

    舞台中央にはモニターが組み込まれた高さ1m程の細長いステージがあり奥には階段と大きな布(紙?)、下手壁面には窓とカーテンというシンプルなセットの中で、役者は1つのシーンではほとんど動かず、台詞も対話はなくモノローグばかりという抽象的な作りでした。各シーンでの役者の配置が絵画の構図の様で美しかったです。

    単語と単語の間に微妙な間を入れたり、急に声の高さを変えたりするギクシャクとした特異な台詞回しは安易に情緒的・文学的な雰囲気に流れずに言葉そのものの強度に注目させる意図があったのだと思いますが、それが上手く行っていなくて目的の為の手段というより手段が目的になってしまっているように感じられる箇所があり残念でした。時折挟まれる長崎弁の響きに暖かみがあって良かったです。

    台詞の中では何度も出て来るのに舞台上には一度も登場しない鳥たちを鳥除け用の多きな目を模した物体によってイメージを喚起しているのが面白かったです。終盤、役者たちがだんだん加速して何度もステージから飛び降りるシーンが印象に残りました。
    ツヤ感がある素材をシワ加工したもので統一した衣装が素敵でした。

    目指している方向性は分かりますし、個人的にも関心のある方向性なのですが、全体を貫く強度を持った芯のようなものがあまり感じられませんでした。

    ポストトークは作者の松田正隆さんがゲストで、作風からイメージしていたのと異なるほんわかとした雰囲気の方で興味深い内容の話が聴けました。

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    2011/07/03 22:25

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