満足度★★★★★
名トリオが清々しい!
私が、TSファンになったのは、「砂の戦士」以降ですから、この作品が、何度も上演されていたことは知らず、今回が初見でした。
まあ、知っていても、食指が動かないキャストだったのかもしれませんが…。
今回観ることにしたのは、何と言っても、中川君の歌に禁断症状が出ていたからで、正直、他の部分にはあまり期待していませんでした。
ここ数年のTSにはがっかりする場合が多かったし…。
ところが、これ、すごく良かった!!
もちろん、ストーリーだけを追えば、甘い部分はたくさんあります。
でも、中川・藤岡・小西の主演トリオが、歌も演技も過不足なく、取り合わせが絶妙で、観ている内に、どんどん観客としてのアドレナリンが放出されて来るのが実感できるのです。
中川君の歌声には、魔法があり、「モーツアルト!」でも「SHIROH」でも、その声が客席に届いた時のえも言われぬ快感は、たぶん他のミュージカル役者さんではなかなか得られない感覚でした。
その彼の4年ぶりのミュージカルは、更なる役者としての進化により、益々魅惑的になっていました。
そして、驚いたのが、藤原さんのコメデイセンスの良さ。彼に、こういう役がこれ程はまるとは、想像していなかったので、新鮮な観客としての喜びを感じました。今回、藤原さんが演じた役は以前、畠中さんが演じられたようで、これは、その舞台も見逃したことが悔やまれました。
他の役者さんも、それぞれ、敵役で、とても良く、カンパニーの統一感が素晴らしく思えました。
菊地美香さん、照井さん、俵さん、加藤さん、小原さん、皆さん、素敵でした。
山崎さんの捨吉は、歌に不安があるのは確かなれど、何とも言い難い不思議な魅力を感じる歌唱で、その語り口と共に、懐かしいつか芝居時代を思い出しました。
この役が、山崎さんであったお陰で、この芝居に、陰影が生まれ、素敵なコントラストができました。
カーテンコールは、心からの温かい拍手に包まれ、久しぶりに、単純に、舞台に酔うことのできた観劇時間となりました。