コジ・ファン・トゥッテ 公演情報 新国立劇場「コジ・ファン・トゥッテ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    キャンプ場での一夜の戯れ
    18世紀のナポリの人々の恋愛ゲームの物語を現代のキャンプ場に置き換え、若々しい雰囲気の演出になっていました。設定を現代に変えていますが、読み替え演出にありがちな奇を衒ったものではなく、自然な流れで親しみやすいものとなっていました。

    老哲学者にそそのかされて、2人の男が恋人の貞節を確認するために変装してお互いの恋人を口説き落とそうとし、紆余曲折を経ながら元の鞘に戻って大団円という元々のあらすじからは逸れずに、現代人には馴染みのない部分を今日的なアイテムに置き換えていました。老哲学者がキャンプ場のオーナーという設定だったり、占いをファッション雑誌でチェックしたり、男2人の変装後の姿が革ジャケにサングラスのバイカー風だったり、飲んだ毒を治療するための磁気療法が電気ショックの機械だったり、所々に小ネタがあって楽しかったです。
    最後はハッピーエンドにならず、バラバラに帰って行くというビターテイストなエンディングになっていて、歌詞とは反対の行動が舞台上で起きていることによって皮肉な雰囲気になっているのは面白かったのですが、終結感が弱まっていて、ちょっと肩透かしを食らった気分になりました。

    メインキャストの6人は歌が素晴らしいのはもちろん、水着で池に入りながら歌ったり、足を持たれて引きずられたり、背丈以上の高さの斜面を転げ落ちたりと、体を張った演技も良かったです。合唱の人たちの演技は硬い感じがしました。メインキャストが傍白的な歌詞を歌うときに合唱の人たちがずっと同じポーズで固まっているのは演劇ではよく見る手法ですが、オペラの公演ではあまりないので新鮮でした。

    舞台が直径15m以上ある大きな回転舞台で、キャンプ小屋・キャンピングカーの置かれた平地・池のある小山の3つが切目なく繋がっていて、場面転換がスムーズに切り変わっていたのが素晴らしかったです。とてもリアルに作り込んでいるセットと自然光のような照明と相まって、本当の屋外のようでした。特に第2幕の夜のシーンで暗闇に沢山のランプや焚き火が煌めくシーンが美しかったです。

    様々な組み合わせの重唱は素晴らしく音楽的には満足でしたが、演劇としてはもう少し深みや意外性を感じさせて欲しく思いました。

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    2011/06/03 00:21

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