満足度★★★
魅力的だけど像を結ばない断片
タイトルの通り、断片的なシーンが積み重なった抽象的な物語を身体表現や美術、映像を使って複合的に表現した作品でした。
静と動の対比が鮮やかで、特にスティーブ・ライヒの曲が流れ、奥の壁面にアンリ・マティスの絵が投影されるなかダイナミックで暴力的なシーンが繰り広げられる冒頭のシーンが良かったです。実際のところ大声で叫んでいるところでは良く聞き取れない箇所もあり、その声量に必然性が感じられたのであまりストレスを感じませんでしたが、やはり言葉として伝わるようにして欲しいです。
神話を引用したり、言葉遊びを使ったりと脚本も凝った作りになっていたような気がしますが、全体としてのまとまりがないように感じられて、残念でした。60分と短めの尺だったので、もう少し長くしてもでも物語が見えて来るような構成にした方が良いと思いました。
当日パンフに載っているプロフィールによると、役者たちはNODA・MAPの作品に出演した繋がりの人たちらしく、それぞれ個性豊かでした。特に唯一の女性、近藤彩香さんは普段はダンサーとして活動されている方らしく、終盤でのソロダンスはもちろん、他の場面でも立ち振る舞いが美しかったです。
ペットボトルを筒状の布に入れて何本もぶら下げた美術が現代アート作品のような趣きで素敵でした。