裸の女を持つ男 公演情報 クロムモリブデン「裸の女を持つ男」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    加速、爆走する妄想世界
     独創的な抽象美術に足元からズシンと響くハイテンポな音楽。派手な衣装の登場人物は誰もが油断ならない空気を漂わせ、日常から完全に逸脱した世界が広がります。劇場がつくりだす架空の旅に飛び込む準備は、冒頭から万全に整いました。

     薬物を大量使用した女性が倒れた、とあるモーテルの一室。同室していた小説家は事件をもみ消そうとしますが、闇の世界の何でも屋の詰めの甘さのせいで危険な部外者が侵入。薬物事件を起こした女優が同じモーテルに隠れていたせいで、事態は混乱を極めて行きます。

     ぶっ飛んだ物語とはいえ日本で実際にあった事件をもとにしているので、パロディーとしての親しみやすさがあり、社会風刺にもつながっています。思い切ったブラックユーモア尽くしの展開に、ニヤリとすることしばしば。

     登場人物全員が濃いキャラクターで、達者な役者さんが揃いも揃って百花繚乱の贅沢さ。ただ、画一的な動作やセリフまわしがずっと続くことには少々単調さも感じました。
     役者さんの中では、死体処理をまかせられた不気味な男を演じた森下亮さんがもっとも強烈。動かずじっと立っているだけで狂気を匂い立たせるオーラがありました。

    ネタバレBOX

     シートベルトをしめてレバーを引いてという車内ならではの動作をすることで、ハンドルと紐しかない小道具で車を堂々と表現。かっこいい!てかすっごい悪者ばかりなのに、全員がシートベルトを真顔で締めるのが可笑しい!(笑)

     どうにもこうにも逃げ場がなくなった人々は、最後に無実の弱者にすべての罪を負わせて責任をなすりつけ、逃亡を図ります。ストーリー的には問題を起こすだけ起こして棚上げし、解決も収束もさせずに放り出したと言えますが、車に乗って暴走するエンディングに興奮。

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    2011/05/20 11:51

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