満足度★★★★
繰り返し再演されて欲しい上質の社会派喜劇
死刑について、犯罪者・被害者について、そしてそのどれとも無縁ではない私たちについて。批判精神を前面に出しつつ“茶番劇”に仕立てた、笑いの絶えないコメディーでした。繰り返し再演され、できれば色んな地域でツアーが行われて欲しいと思いました。
盛り込まれたたくさんのテーマはどれも重いものばかり。密室の取調、裁判、死刑、冤罪、犯罪者の更生、犯罪被害者の苦労、貧富・社会的地位の差、顔の美醜、家族内の確執、世代交代、巷の噂、マスコミの暴力・・・。ここまで詰め込んだことに感心するばかりです。それでいて爆笑できる場面もいっぱいあるんですから、作・演出の楢原拓さんの手腕にうなります。
しっかり作りこまれたそば屋の具象美術は、役者さんの確かな演技のおかげもあって、気持ちのいい臨場感。暗転中の音楽も効果音もいいな~と思ったら、オリジナル(音楽:YODA Kenichi)なんですね。
終演後のトーク(ゲスト:保坂展人さん)では貴重なお話を伺うことができ、観客からも賛否両方の意見が飛び出しました。劇場で実施されたことが喜ばしい、非常に有意義な双方向の企画だったと思います。