バッコスの花ざかり 公演情報 劇団バッコスの祭「バッコスの花ざかり」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    楽しめる入門編ライブ
    池袋演劇祭に3年連続で入賞を果たした実力派で、昨年は優秀賞を受賞した劇団バッコスの祭。
    劇団としては初のライブである。最近、各劇団、小空間を生かしたこういう番外公演も増えてきたようで、ファン感謝祭も兼ね、「観劇前のお試し」には良い機会だと思う。
    アクション、芝居、歌、映画、コントなど盛りだくさんの2時間があっというまに過ぎ、個人的にいい気分転換となり、楽しめた。
    キレのある殺陣、密度の濃い演技、ムダのない独創的な演出、テンポとチームワークの良さなど、この劇団の長所と特色がよく出ていると思うので、「バッコスの祭って、観たことないけどどんな感じの劇団なの?」と興味を持っている人にはお薦め。温かさが感じられる良い企画だった。

    ネタバレBOX

    全員で劇団お得意の殺陣と疑闘を披露してくれるが、瞬きを忘れるほど鮮やかで、日頃の鍛錬を感じさせる。
    イプセンの名作『人形の家』(脚色・演出 森山智仁)がわかりやすくて見ごたえがあった。金子優子、雨宮真梨の2人がノラを演じるのも見どころ。
    ノラとヘルメル(丹羽隆博)が火花を散らすクライマックスがいい。森山のクログスタッドが出色で、劇に弾みが出てくる。彼のこういう役どころは初めて観たので、新鮮だった。
    リンネの稲垣佳奈美がウクレレを取り出してBGMを奏でたのもよかった。
    ラストの森山作・演出のオリジナル短編戯曲『Hello,my girl!』。電話の発明に成功したグレイ(丹羽)が耳の不自由な娘メイベル(雨宮)を愛するが故、婚約者のグラハム・ベルに発明特許権を譲る。
    ベル役は観てのお楽しみにしておこう。加筆してベルを森山が演じたら、また面白い芝居になったかもしれない。
    金子がノラとは打って変わりメイベルの打算的な母親を演じ、コミカルな面も見せる。
    丹羽は歌舞伎俳優を思わせ、芝居するために生まれてきたような人。彼のような個性的な俳優が小劇場界にいることは喜ばしい限り。
    芝居2作とも辻明佳が脇に回り、芝居を引き締めた。
    全員による歌唱はハーモニーが美しく心が洗われた。
    コントは2作で色合いが違うのがよく、『動物園』は雨宮の器用さと丹羽の怪演が光る。
    最後に中盤の短編映画『楽しい時間』(林優貴/監督)について触れよう。俳優たちの演劇とは違った表情を見せるのが狙いなのかもしれないが、ストーリーはともかく、演出が間延びしていて、いささか退屈だ。サイクリングの場面など映像が平凡なのに長すぎるし、全員を撮ろうとして中途半端な作品になっている。流星群を見に行くにしては外が明るすぎて説得力がないのも気になった。
    あえて映画をやるなら締まった短編か斬新な映像でないと観ていて辛いものがある。
    劇団に馴染みのある人が観ればそれなりに面白いのかもしれないが、作品としては良い出来とはいえず、あえて入れる必要を感じなかった。

    最初にゲームが入るのは、初見の客には戸惑いがあると思うので、あとのほうに入れたほうがよかったのかなとも思う。

    また、こういうイベントなら冒頭に劇団員の簡単な自己紹介があってもよかったのでは?

    0

    2011/05/18 21:02

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大