Dressing/日曜日よりの使者(5月4日のみ) 公演情報 feblaboプロデュース「Dressing/日曜日よりの使者(5月4日のみ)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    バリエーション豊かな女性たちが互いに引き出す個性の秀逸
    説明のとおりエビス駅前バーがガールスバーになっていました。

    で、女優8人という華やかさもあるのですが
    それよりも、なによりも、
    それぞれの役者が作り上げるキャラクターの色が
    相互に他のキャラクターの色を溢れさせていく感じに
    強く惹かれる。

    秀逸な脚本・演出と個性をしっかり作りこめる役者たちの組み合わせに
    時間を忘れて見入ってしまいました。

    がっつりと面白かったです。

    ネタバレBOX

    舞台を取るといっても、それほど広くないエビス駅前バーのこと、
    8人もの女優たちがどのようにお芝居をするのだろうかと、
    要らぬ心配までしたのですが、
    それはまったくの杞憂でした。

    バーカウンターの内と外、
    開店1時間前のガールズバーの風景を切り取る形で
    物語が進んでいきます。
    入れ替わり立ち替わり出勤してくる女性たち、
    キャラクター一人ひとりの色が
    まずは観る側に提示されていく。
    そこには、女性達の気取らない、
    毎日を感じさせるナチュラルな雰囲気があって。

    やがて、会話などから、
    キャラクターたちの関係や個性が
    少しずつ滲み出てくる。
    舞台には、単純にそれぞれの色や
    距離感が積み上がっていくのではなく
    いくつもの関係性が顕れて
    それらが絡まるようにして
    全員を巻き込んでいく感じがあって、
    しかも、気が付けば
    あたかもその店のお客のごとく外側から観ていた彼女たちを
    まるで、店のスタッフとして観るように
    観客の視座が置き換えられている。
    そこには、女性たちが外には見せない
    バックヤードの風景がうかんでくるのです。

    作り手は
    女性たちの関係性を
    ステレオタイプにつみあげるのではなく、
    それぞれが他の個性のベールを剥ぐ爪をひっかけ合って
    繋がっていくような感覚を
    舞台に描き出していきます。
    ガールスバーの開店前の時間という箍がきっちりと効いて
    全体がある種のタイトさ保っているので
    爪もルーズなかかり方をせず
    しっかりと他の個性を引き出していくのです。

    まだ、自分をコントロールすることのできない女性から
    戸惑い揺れる女性、
    自らの価値観を手に入れ、
    あるいは自分を律することを覚えた女性、
    さらには、それらの感覚たちを俯瞰することができる
    いわゆる大人の女性の姿までが、
    戯曲の仕掛けによって
    バーカウンター周りに
    したたかに照らし出されていく。
    ひとつのシーンからいくつもの関係性が俯瞰され
    それらがさらに女性たちの隠された色を
    浮かび上がらせていく。

    様々なものがさらけ出されて
    開店時間がやってくる。
    観客もスタッフから店のお客の視座に戻されて、
    初めて全員が舞台にそろい
    美しく来店のお客様に頭を下げる
    そのグルーブ感にまずは圧倒されて、
    次の刹那には
    形式的につくられたお辞儀の美しさに束ねられた
    様々なバリエーションをもった女性たちがそれぞれに醸すものの
    ボリューム感のようなものに捉えられる。

    場末とまでは言わないけれど、
    どこの繁華街にもあるようなお店に内包された
    ありふれた日常の質量のようなものまでが
    心に残ったことでした。

    初日ということで、
    ほんの少しだけ舞台の密度がバラけるような部分もありましたが
    それは、回を重ねる中で
    逆にリアリティを創り出していく武器になるような気もして。

    役者たちから伝わってくるものはもちろんのこと、
    それらをしたたかに組み上げていく
    作り手の才能に改めて目を見張ったことでした。

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    2011/05/07 08:44

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