満足度★★★
『さようなら』鑑賞
平田オリザさんと石黒浩さんのコラボレーションによるロボット演劇は既に何作か発表されていますが、今回やっと観ることが出来ました。20分弱の静かな会話のやりとりの中に、人/ロボット、生/死の境界を意識させられる要素が散りばめられていて、考えさせられる内容でした。
ある外国人の女性のために親が購入したアンドロイドは人の心を読む機能を持っていて、自分の死期が近いと感じている女性が自分の心情に合った詩を読んでもらう話で、2人ともほとんど動かずに淡々と会話が続き、ジェミノイドFとブライアリー・ロングさんの表情に惹きつけられました。
最前列で観たのですが、アンドロイドを演じた(というべきなのでしょうか?)ジェミノイドFの口の動きと録音された台詞がずれているように見え、違和感を持ちました。また、スピーカーがジェミノイドの後方に置かれていて、ジェミノイド自身が発声しているようには聞こえなかったのですが、これはもっと離れた席なら気にならないのかもしれません。
現段階では顔と上半身の角度のみコントロールしていて、手は自律的には動かないのですが、役者がジェミノイドの手を取って持ち上げたときが一番ジェミノイドに命を感じました。
有限な人間の命と破壊されない限り続くジェミノイドの命の対比を感じさせる静かな終わり方が美しかったです。