YUBOの観てきた!クチコミ一覧

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彼らの敵

彼らの敵

ミナモザ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/07/24 (水) ~ 2013/08/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

圧倒っっ!!
物語の内容も演出もキレキレで、観劇後に我が身を振り返ってゾクゾクする様な観劇体験でした。ラストシーンも含め、何度もゾッとするような緊張感のあるシーンがあり、この体感は演劇だからこその、一回性の感動・興奮だなと思いました。出演者も、他の劇団公演でもっとこの人の芝居を見たいと思った人達ばかりで、本当に贅沢な時間でした。

Still on a roll

Still on a roll

FUKAIPRODUCE羽衣

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/07/11 (木) ~ 2013/07/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

幸せ過ぎる劇空間
とにかくすごく良かった。生で観るのは2回目だけど(「サロメvsヨカナーン」を
Ustream放送してくれたので、3回も見てしまった。生で見れなかったのが残念すぎるっっ)、目の前で繰り広げられる風景が全身全力のパフォーマンスなのに妙すぎて、内容が全然頭に入って来ない。でも、観劇後も、ずっと残り続ける余韻と、頭から離れないメロディーで、あぁ僕は完全にこの公演にやられてるなと多幸感に包まれます。

マリオン

マリオン

青☆組

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/06/15 (土) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

すごく良かった
せつなくも壮大な世界に引きずりこまれる物語で、観劇後思い返しても気持ちがうまく言葉に出来ないです。愚直に言えば、すごく良かった。壮大に広がる世界を、丁寧に、ユーモラスに、優しく、易しく、でも深く表現されていて、これをきちんと言葉にしたいけどうまくいかないです。でも、アフタートーク含めて、堪能しました。

ネタバレBOX

アフタートークで、「日本人が絶滅する可能性」とか、「卵を盗むことや、腹違いの子供たちをまとめて愛することへの、血のつながりを超えた人間の懐の深さ」について言及されていて、すごく刺激になりました。
65歳からの風営法

65歳からの風営法

笑の内閣

星陵会館 ホール(東京都)

2013/06/12 (水) ~ 2013/06/12 (水)公演終了

満足度★★★★★

目撃の喜び
「現在進行形で議題にあがっている法律の可否を巡った芝居を、会期中に永田町で上演するのは、日本に議会が出来て130年の憲政上初のようです。」というDMの言葉で、見る前からワクワクしてました。超絶おおげさだけど、歴史的瞬間に立ち会ってるような、妙な興奮がありました。想像以上に馬鹿馬鹿しく、でもしっかりメッセージ性のある物語は完成度が高く、そのグダグダさ(ゆるさ)も含めて、見ていて本当に心地よかったです。社会問題を扱う演劇には賛否があると思いますが、強い立場や権力に立ち向かうために、演劇が機能するならば、個人的にはこんなに嬉しいことはないなと思います。

いま、憲法のはなし -戦争を放棄する意志- (東京公演)

いま、憲法のはなし -戦争を放棄する意志- (東京公演)

非戦を選ぶ演劇人の会

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2013/06/11 (火) ~ 2013/06/12 (水)公演終了

満足度★★★★★

言葉の力
毎回、物語内の一つ一つの言葉が全て実際に誰かが発した言葉であることの重みや、こんなにたくさんの演劇人が集まって思いを発する事の力強さに、とても勇気付けられます。文言の意味を噛み締めながら聞く、日本国憲法は、確かに国民の権利を守るものだし、国家権力を抑制するためのものだなと再確認しました。今回、親しい友人を誘って観劇しましたが、普段あまり演劇を見ない友人にも喜んでもらえて良かったです。

ネタバレBOX

物語のラストに、今まで周囲にいたたくさんの人達が日常に追われてどこかへ消えてしまい「日本国憲法」と「新しい憲法のはなし」が取り残されて2人きりになるシーンを見て、あぁこれがリアルな日本の現実かと思うと、改めて政治に無関心ではいられないなと思いました。寂しいというより怖い。日本はどうなっちゃうのかなぁ、と思います。
うさぎストライプも演劇展『おやすみなさい』

うさぎストライプも演劇展『おやすみなさい』

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/06/07 (金) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

魅力満載
毎回、開演前からテンションがあがるからなるべく早めに会場に着くようにしている。今回も、3公演3様で、開演前の風景から楽しい。いままで見た中で、一番シンプルかもしれない。でも、魅力がギュッと詰まっている。今回の演劇展を見ていて、3作品とも根幹の演出は同じでも、アプローチが違って、色々な魅力が体感できるのも楽しさの一つだなと思います。だからこそ、創り手の皆さんは、心底大変なんだと思いますが、その熱量の高さがしっかり伝わる作品でした。

ネタバレBOX

はじめて、出演者がほとんど動かないのを見れた。でも考えてみると、唯一のフル出演の亀山さんが体力切れないようにする配慮もあるのかなと思うし、全然違和感なく新鮮な気持ちで楽しめました。役者への負荷もオーソドックスなシンプルなものでしたが、腹筋は見た目が地味だけど相当しんどいだろうなと思いました。語らえる内容も夢の話なのでフワフワしていてつかみ所がない分、演出の映える物語構造だなと思いました。所々に出てくる家族の話が伏線となりながら、救いどころのないラストシーンにガツンとやられました。
うさぎストライプも演劇展『おかえりなさい』

うさぎストライプも演劇展『おかえりなさい』

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/06/07 (金) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

身体で語る
今回の公演パンフを見ると、スタッフ欄に「ダンストゥルグ」の文字。ドラマトゥルグだって最近知った単語なのに、また新しい単語だ!確かに、過去の上演作品より今回の3作品はどれもダンス的な動きがついてるように思う。それが、役者に負荷を掛けて魅力を増すことにも一役買ってるし、そもそも動きが面白い。3作品の中では、個人的に1番ダンスに近い作品だなと思いました。

ネタバレBOX

開場から上演している間も、始終マイムをしながら進行していくのもダンスっぽい。生活をイメージした、掃除・アイロン掛け・洗濯物を畳む・皿洗い・料理などの動きは繊細で、すごくわかりやすい。スクワットしたり、周囲の人と動きを合わせながら発声するシーンでも随所にダンス要素が入っていて、見ていて楽しい。でもその印象とは反対に、物語はなんだか穏やかなのに逃げ場がない感じ。絵画教室でいなくなった先生を待ち続けて家族のように共同生活をする女性3人。先生の死を告げる弟が現れるも、先生の代替の存在として弟を共同生活に招き入れる。この先、どこへも行けないような閉塞感を覚えながらも、先生との思い出などキラキラした日々が語られるのでそのギャップにクラクラしました。

当然動きっぱなしで身体的に相当キツイと思いますが、負荷が掛かる身体と踊る身体と、その両方で言葉以上の想いが伝わってきました。
うさぎストライプも演劇展 『おやすみおかえり』

うさぎストライプも演劇展 『おやすみおかえり』

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/06/05 (水) ~ 2013/06/11 (火)公演終了

満足度★★★★★

進化してる新作
会場に入ると、舞台美術にやられる。シンプルで機能的だけど、すごく雰囲気出ている。エアコンの冷房強め設定が、上演中の熱量の高さを感じさせてテンションあがる。実際ものすごい濃い60分でした。始まったらあっという間。

ネタバレBOX

天井に吊られたビニール傘に照明があたってカラフルになるシーン、すごくきれいでした。

放射背物質が舞う地域の話。子供を亡くした夫婦が出てきたり、これから子供が生まれる夫婦がドイツに移住しようとしていたり、その地にあったディスカバリーセンター(?)がなくなったり。今はもう無くなってしまった時間や場所や人間関係に思いを馳せる登場人物たちはとても哀しい。みんな、「当たり前」だった頃のまま時間を止めようとするけれど、それは叶わないからだ。そんな中、劇中に認知症のお父さんが出てきて、彼は娘が小学生だった頃の思い出で記憶が止まっているシーンは見ていて苦しくなった。彼だけは良かった時のまま、生きていけるからだ。それが幸せかはわからないけれど。

今回の演劇展でも、3作品とも壁を押しながら発声するシーンがあるが、この作品に一番グッときた。小さい頃、ロボットを作って「空き地を取り戻す」「みんなを助ける」と言っていた自分を振り返るシーン。泣きました。泣いても「3・11」は無かったことにはならないんだけれど。

公演を重ねる度に、どんどん役者への負荷が増している気がして、それも凄いなと思います。負荷が掛かって極限まで追い込まれている役者の声や身体は本当に美しいなと思います。そしてその負荷のバリエーションの豊かさも幅広いなと思います。小さいころの遊びがモチーフになってるのかな、というものも多いですね。また、お馴染みの曲が来ると、あの動きが来たなとわかるのも嬉しいです。
キャンベラに哭く

キャンベラに哭く

桃尻犬

王子小劇場(東京都)

2013/06/05 (水) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★

消費する人生
タブーを犯さないと存在が出来ない様な閉塞感。チラシの公演説明と写真に惹かれて見に行きましたが、予想以上にはちゃめちゃで、途中、何度も見たことも無いような変で突き抜けてるシーンがあって、それは見れて満足でした。物語に共感というより、こういう作品を創る人の想いに共感、というか興味があるなと思いました。

ネタバレBOX

とにかく全般通して、ネタフリに全力で突っ込む感じが爽快でした。安心して笑えます。半裸で走り回ったり、最後に産卵するのも、意味なんかなくても、下世話な気持ちで楽しめました。全般通してサービス精神満載なので、それだけで十分満足。でも、観劇して感じるのは強い「諦め」の感情で。こんなに突き抜けて、バカバカしいことしてるのに、腹の底から登場人物たちは生きている事を楽しんでないように感じる。それは、創り手の野田さんの感じる現実への視点なのかなと邪推してしまう。そうした現実社会への強い諦めの感情と、それでも演劇をしないといけない衝動の一致点が今回の作品だとすると、共感しつつも、寂しく思える。明るくて正しくて前向きな物語なんか見たくないけど、諦めてしまう物語は個人的にはあまり好きじゃないです。
のぞき見公演♯4

のぞき見公演♯4

ガレキの太鼓

都内某所。劇場ではない空間。(東京都)

2013/05/30 (木) ~ 2013/06/04 (火)公演終了

満足度★★★★★

風営法違反編、観劇
ただのマンションの一室に入室すると、もう息がかかる位近くで役者が普通に演技をしているぜいたくな空間。部屋全体が作りこまれてて、部屋の構造を生かした演出も冴えてました。一時間なんてあっという間。猥雑なものを下世話な気持ちでしっかり覗いてやろうと意気込んで行ったら想像以上に楽しくて大満足でした。秘密という背徳感がスパイスになって、集合して解散するまでの一連の行為がエンタメだと思いました。「のぞき見公演」を成立させる努力を考えると、本当に大変だなと思いますが、体感出来て楽しかったです。

ネタバレBOX

なんて魅力的な風俗なんだろうと思いました。そこにあるのは、非日常的な裏の世界という名のファンタジーなんだろうなと思いました。貧困で苦しんだり、後ろめたくて早く足を洗いたかったり、人間関係で悩んだりみたいな負の感情は一切排して、とにかく楽しい所だけ見せる物語はサービス精神に満ちてる。通ってるお客さんの葬式にまで参列したり、こんなにスタッフ総出で1人の客を接客するなんて、夢のようだなぁ。女優さんが、あけすけにエッチな単語を口にしてる事に好感が持てました。こんなに露骨な作品でも、出演者のみなさんのなんと清潔感のあることか。下品でなく、しっかり観客を楽しませる、を両立しているなと思いました。脚本の独特な視点と、至近距離で観劇される公演に耐えうる演技で魅了してくれる役者と演出があって成立する特別な公演だなと思いました。
プルーフ/証明(元田 演出ver.)

プルーフ/証明(元田 演出ver.)

DULL-COLORED POP

シアター風姿花伝(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

中村さんバージョン観劇
とても丁寧に繊細な演出で初見でも楽しめる傑作に仕上がってました。そしてDULL-COLORED POPは本当に魅力的な役者さんばかりだなと見とれました。そして原作の魅力を最大限に引き出す翻訳がこの作品を支えてるなと思います。清潔感のある明るい人間ドラマが元田演出だとすると、谷演出のあの鋭い切れ味と狂気にも見える感情揺さぶる演出の方が好きだなと個人的には思いました。同じ脚本を扱ってるのに、演出と役者でこんなにも印象が変わるなんてすごいなと、この企画に感謝です。

三浦直之初監督作品『ダンスナンバー 時をかける少女』

三浦直之初監督作品『ダンスナンバー 時をかける少女』

ロロ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/05/27 (月) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

魅力凝縮っっ
ロロのマテリアルが詰まった楽しくてハッピーな60分でした。映像でもポップではちゃめちゃで「好き」がいっぱいで。倉内太さんの曲との親和性も抜群に良くて、身を委ねるだけで心地良かったです。アフターイベントのライブも聞けて感激!!

ミーツ

ミーツ

ロロ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/05/23 (木) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★

やっぱり良い
ポップで愛しくて力強い。人間の想いの無限の可能性を信じさせてくれる、胸をギュッとつかんで離さないシーンがいくつもあって、それに出会うために毎回ロロの公演を観に行くんだなと思います。コミカルなシーンだった場面が次第に意味を変えてジーンと感動させる所が多くてグッときます。

プルーフ/証明(谷 演出ver.)

プルーフ/証明(谷 演出ver.)

DULL-COLORED POP

シアター風姿花伝(東京都)

2013/05/24 (金) ~ 2013/05/27 (月)公演終了

満足度★★★★★

ぜいたくな時間
心象風景を写し出すような舞台美術、爆音と洗練された動きで興奮しっぱなしの二時間半。身も心も委ねて楽しめるぜいたくな時間でした、なんて幸せなんだ。キャサリン役の百花さんの魂を削るような熱演は見ていてほれぼれする。もともとこのキャストのために書かれた作品かと感じるくらい4役ともばっちりはまりきっていて圧巻。別演出、別キャストでもう1回見れるなんて、なんて幸せな企画なんだろう。

ネタバレBOX

数学者という生き方の何て孤独な事か。誰も証明していない世界の一部を、明らかに出来る人は一握りの天才で生涯自分の生活の大部分を捧げても年齢に反比例して能力は落ちていく。そして、天才が明らかにした世界はトップランナーであるほど、周囲には誰も味方も理解者もいないのだ。

物語は初見だったしあらすじも知らなかったので、一幕最後の「私が書いたの」には息を飲んだし、二幕終盤の父親がノートを読み上げる瞬間は、父親もキャサリンもどちらが狂人でどちらが天才かはわからずドキドキしながらも、泣きながら読み上げられた意味を成さない文字の悲しさは、ぐっと胸に染み入りました。ただ認めて欲しかったキャサリンが、ラストで椅子一つしかない閑散とした舞台で救われる瞬間はすごく静かで簡素に見えるけれど、すごい美しいなぁと思いました。人間て良いなぁ。そう思ってPLAYNOTEの「当パンごあいさつに代えて」読むと感じるものも大きい。本当にダルカラの人達は日々闘ってるなぁ。
未確認の詩-ウタ-

未確認の詩-ウタ-

ライオン・パーマ

王子小劇場(東京都)

2013/05/16 (木) ~ 2013/05/20 (月)公演終了

満足度★★★

サービス満載
独自ワールド全開で、強引すぎるんだけれどその力技に何だか納得させられました。個人的には若干長く感じましたが、この世界観を大事にするならアリかなぁと思いました。観客サービスにあふれる思いが、詰まった2時間でした。

ネタバレBOX

ETをパロった月面に自転車の風景とか、壁から鳩時計が出てくるとか、巨人の指とか、本当に一瞬しか出てこない飛び道具への情熱が凄いなと思いました。笑いを取るなら労力は惜しまない感じが好感触です。何だか見入ってしまうシーンの数々も独創的だなぁと思い、よく思いつくなと感心しました。

なので、ここからは笑いの好みのレベルの話になってしまうのですが。全般的に説明台詞が多いなと思いました。ハードボイルドな世界を作っておいて自ら壊すのが笑いの定型なのかなと感じましたが、作る過程で飽きてしまいます。また、かなり丁寧に笑いの構成を作っているので「ボケ」「突っ込み」まで説明過多で、笑うタイミングも推し測って作っているんだろうなと思いうまく乗っかれませんでした。全体がそんな感じでたくさんのシーンが断続的に続く構成なので、ノレないと長く感じるんだろうなと思いました。

物語の後半で、宇宙人が耳を隠している赤ずきんを別の人が取り払うシーンで、僕の見た回は取り払う役の人が最初うまく取れませんでした。で、焦った出演者達の感じで会場が爆笑になりました。その偶然の笑いがすごく印象的でした。20回公演を迎えられて、チームワークもばっちりなので、多少のミスやアドリブは余裕でこなせるんだと思うので、今その時の観客の反応に合わせて緩急をつけるともっと面白い(自分好み)だなと思いました。

蛇足ですが。多分随分昔に1度ライオンパーマの公演を見てるのかなと思いました。複数の男性達が2組に分かれて、同時に別々の曲を歌うと、いつの間にかどちらかのチームがつられて最後は皆で同じ歌を歌うシーンを覚えてます。今回の公演の刑事達が裏カジノに突入するシーンも近い気がしますが、物語の進行に遊びがあって観客のテンションに合わせてアレンジが変わると楽しいなと思います。記憶違いで過去公演にそんなシーンが無かったら勘違いです、ごめんなさい。
シュナイダー

シュナイダー

青年団若手自主企画 マキタ企画

アトリエ春風舎(東京都)

2013/05/15 (水) ~ 2013/05/19 (日)公演終了

満足度★★★★

衝撃の連続
露悪的で、心の中に土足でズカズカ踏み込まれる感じがする。でも、嫌じゃないのが不思議。この過激で不愉快な物語を、どこかで自分が望んでいるのかと思うと混乱する。それは、ホラー映画を見てる感じに近いのかなと思いました。冒頭から「明らかに何か起こるような感じ」が劇空間に漂っていて。ドキドキする緊張感と、実際に何かが起こった時の興奮。これが醍醐味なのかなと思いました。物語の筋は割とどうでも良くて、そうした観客を引き付けて離さない構成力が面白いなと思いました。

雨の街

雨の街

青年団リンク 二騎の会

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/05/10 (金) ~ 2013/05/19 (日)公演終了

満足度★★★

違う世界へ
静かに機微を積み重ねていくような話でした。物語の構造を楽しめると楽しいと思いますが、独特な世界についウトウトしてしまいました。ハマる人はものすごく好きなのかなぁと思いました。

ネタバレBOX

会場に入ると、舞台を四方から囲むような構造の客席でテンションあがりました。上演中役者さん達の声は要所でエコーがかかっていて、終始ザンザンと雨の降る音がして、そして生命力を感じさせない登場人物達に非日常を感じました。

欲望を刺激し続けて消費を迫る現代社会との対比だったり、人が死んで初めて泣くのは遅いのではないかと人間の生理の矛盾をついたりしますが、全編通して「雨の街」である日行き倒れていた男と、助けて家を提供している女との問答が延々と続いていきます。この延々と続く対話自体が、普遍的な人間の生きる意味のようなものに昇華していく構造なのかなと理解しましたが、個人的には退屈に感じました。

「あなたの苦しみや悩みはあなた自身が解決しなければならない、そしてあなたを支えるあなたと全く接点のない彼女の優しさに感謝をしなければならない。」というような内容の台詞が出てきて、当事者と利他的な行為の関係性について思いをはせましたが、ウトウトしてしまい未消化です。
focus. 神話

focus. 神話

ミームの心臓

王子小劇場(東京都)

2013/05/02 (木) ~ 2013/05/08 (水)公演終了

満足度★★★

熱量すさまじい
学生演劇と括って、未熟だと侮ってしまうのは勿体無いくらい、上手いし、アイディアも面白い。3団体とも初見なので、一気に見れて良かったです。こういう試みが、もっとたくさん生まれて、若い才能にチャンスが与えられると良いなと思います。

オーラルメソッド3

オーラルメソッド3

シンクロ少女

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2013/05/01 (水) ~ 2013/05/06 (月)公演終了

満足度★★★★

極私的エロス/性的人間(B)
2作品合わせて70分と短編ながら、中身がギュッと詰まって濃密な観劇時間。劇団名にある「シンクロ」はこういうことなのかなと思わせる物語構造も楽しいし、見られる事、楽しませる事に対する意識の高い内容でした。

ネタバレBOX

「極私的エロス」こんな斬新なリーディング公演初めてです。体に書いた文字を読んだり、芝居をしながらその場で書いた文字を読み上げたり、でもそれが作品に見事に合っていたように思います。作中に「つまらない物語より、面白い私生活」とありましたが内容が内容だけに身を削って創作してるなと思いました。ドキュメンタリーと謳っているけれど嘘か本当かはどうでもよくて物語として楽しいし考えさせらます。でも、明らかに観客は作者の名嘉さんの赤裸々な私生活を覗き見たいと思って観劇するし、それを現実のものとして勝手に妄想してしまうだろうなと思います。

作中、何度も2つのシーンが同時に行われながら、セリフとセリフが相関する作りになっていて、これがシンクロの所以なのかなと思いました。その構造はすごく面白いし、単に言葉遊びではなくて、しっかり物語を深化させるために使われているからすごいと思いました。

「性的人間」は、とにかくコミカル。突然、音響に流れる音に合わせて(シンクロして?)3人で歌うシーンは爆笑でした。他の劇団でも拝見したことのある後藤さんのいつまでも見ていたくなる独特な雰囲気にクラクラします。官能的な言葉も、コミカルなシーンも、その一つ一つが積み重なって最後には「愛とは」という男女の深淵のような境地にまで飛躍する力強さのある作品だと思いました。

これが大きな会場で、長編作品だとどうなるんだろうと、今から10月の三鷹が楽しみになりました。
筋肉少女【残すは7月in→dependent theatre 1st!】】

筋肉少女【残すは7月in→dependent theatre 1st!】】

石原正一ショー

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/05/01 (水) ~ 2013/05/03 (金)公演終了

満足度★★★★

チラシに偽りなし!!
とにかく「おもしろいのん」しかない110分。元ネタわからない部分もありましたが、もうこの雰囲気にずっと包まれていたいくらい、全力でバカバカしくて気持ちの良い公演でした。女性ばかりで、自虐に走らず、これだけ笑いを取れる公演って観たことないので、本当に爽快でした。

ネタバレBOX

少年ジャンプの表紙やポスターが張り詰めれた舞台美術がこの舞台の世界を表わしているなと思いました。ベタで単純でとにかくぶっとんでてご都合主義な、「努力・友情・勝利」な少年マンガな世界だなぁと思います。タオルを巻いただけに見える衣装で女優さんが登場する、藤子F的お色気なシーンも、エッチというより、コミカルで、もう本当暗転の度に思わず拍手したくなるくらい徹底しておバカ世界を作り出しているなと思います。女優さんが本当に体を張って、時にずっこけて、時に変顔して、極端なキャラになりきって、全力で表現するからこそこんなに腹かかえて笑えるんだろうなと思います。関西では珍しくないのかもですが、東京でこういう演劇、なかなか見れないので貴重な体験だなと思いました。

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