S高原から
南河内万歳一座
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/09/02 (水) ~ 2009/09/08 (火)公演終了
満足度★★★★
笑いもあるが正統的な読み
戯曲の素晴らしさを改めて認識する。戯曲をしっかり読み込み、骨格となる部分はきっちりと提示する誠実な演出だと思った。
要所要所で役者の個性を生かした笑いが入る。青年団の役者とは相当雰囲気が異なる南河内万歳一座の役者の雰囲気が面白い。
グロテスク
国分寺大人倶楽部
王子小劇場(東京都)
2009/09/02 (水) ~ 2009/09/06 (日)公演終了
満足度★★★
小声と空調
小声しゃべりで台詞がかなり聞き取りずらい。空調の音もけっこう大きいし。最前列に座ったほうがよいかも。
国分寺大人俱楽部を見るのはこれが二作品目。
前作「ハローワーク」はものすごく好きな作品なのだけれど、今作は前作に比べるとスケールダウン、脚本、演出ともかなり雑になってしまったような。
小規模学習塾の夏合宿で起った出来事。
四色の色鉛筆があれば
toi
シアタートラム(東京都)
2009/01/27 (火) ~ 2009/01/28 (水)公演終了
満足度★★★★★
ノスタルジーの甘さに酔う
回想をめぐる4つの小編のアンソロジー.
平凡で普遍的な体験が斬新で独創的な手法で提示される.
その優れた演劇的表現が作り出すノスタルジーの甘美さに取り込まれてしまった.
ala Collectionシリーズ『 向日葵の柩 』
(公財)可児市文化芸術振興財団
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2008/12/12 (金) ~ 2008/12/16 (火)公演終了
満足度★★★★
美しいことばが奏でる濃厚な叙情
美しいことばが散りばめられたモノローグの重なりが描き出す濃厚な叙情性に魅せられた。
いつもどおりの金守珍節満載で、説明過剰で圧迫でべたな演出である。しかしときに観念的すぎるようにも思われる柳のこの作品の舞台化にあたっては、金演出のようなベタさは案外相性がよいのかもしれない。舞台美術がとても美しい。とりわけ最後の場面が鮮烈だ。
あゆみ
toi
こまばアゴラ劇場(東京都)
2008/06/18 (水) ~ 2008/06/24 (火)公演終了
満足度★★★★★
素朴で斬新でじわっとくる
「人生を歩む」、という格言にもならないようなありふれた言い回しが舞台化されている。
われわれが歩んでいること、歩んできたことを、そして歩んでいくことを思い起こさせてくれる舞台、そしてそれがどういう意味を持ちうるのか気づかせてくれる、素敵な舞台だった。
鳥瞰図-ちょうかんず-
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2008/06/11 (水) ~ 2008/06/22 (日)公演終了
満足度★★★★
じんわり充実
ごく日常的な題材を、タイトルにあるような俯瞰的視線を感じさせる大きな広がりのなかで、丁寧に描いた秀作。
ひとりひとりがかかえる「愛」に関わるささやかな疚しさを伴う物語が、交錯しあい、じんわりとした余韻を伴う感動を生み出した。
渡辺美佐子と浅野和之「親子」のやりとりは絶品。とりわけ渡辺美佐子の可愛らしさといったら!!!
proof
ハイリンド
小劇場 楽園(東京都)
2008/05/27 (火) ~ 2008/06/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
丁寧に仕上げられた楷書体の作品
とても丁寧に作品を解釈し、演出されていたように思いました。
キャサリン役の女優の存在感がとても印象的だった。
類型に陥ることなく、ニュアンスと陰影に富んだ人物造形がされているように思いました。
「卒塔婆小町」「葵上」
三条会
三条会アトリエ(千葉県)
2008/05/24 (土) ~ 2008/05/30 (金)公演終了
満足度★★★★★
異端的かつ正統的な三島由紀夫
今、これを見ないでどの芝居を見に行くっていうんじゃぁ!!と叫びたい。
きわめて独創的、異端的でありながら、今見ることのできるもっともまっとうな『近代能楽集』であるような舞台。
千葉までの道のりを後悔することはないはず。
とにかく見るべし!
田中さんの青空
演劇集団円
ステージ円(東京都)
2008/05/15 (木) ~ 2008/05/25 (日)公演終了
満足度★★★★
コントラストの醍醐味
日常生活のスケッチのような、エキセントリックな女性が出てくる一人芝居で、五人の女優の芸力を堪能したあと、また別の世界が展開していく。前半と後半のコントラストの鮮やかさ、展開の意外性、そしてシンプルだが濃密で力強い物語、技巧と内容の両面で楽しむことのできる作品だった。
「邯鄲」「綾の鼓」
三条会
三条会アトリエ(千葉県)
2008/04/19 (土) ~ 2008/04/25 (金)公演終了
満足度★★★★★
狂的で誠実なデフォルメ
とにかくしびれるほどおかしくて、かっこいい『近代能楽集』です。
演劇のもっとも強烈な部分の喜びを味わいたい人は必見の舞台。千葉まで行ってみる価値はありますよ。
ハリジャン
innocentsphere
シアタートラム(東京都)
2008/04/19 (土) ~ 2008/04/27 (日)公演終了
満足度★★
テーマは面白いが
あからさまに説明くさいモノローグが多くて興ざめしてしまった。
松緑の演技は大劇場商業演劇風のあくの強いものだった。大仰な台詞回しは他の役者にも影響していたように思う。
追奏曲、砲撃
桃園会
ザ・スズナリ(東京都)
2008/03/28 (金) ~ 2008/03/31 (月)公演終了
満足度★★★★★
豊かな詩的イマージュの中に酔う
不可解な論理によって連鎖する物語の断片に混乱してしまう.
観客は手探りでそのピースを組み立てて行かなければならない.
その作業がそれほど苦にならないのは,舞台上で響く言葉が作り出すイメージが恐ろしく美しいものであるからだ.
近いものが遠くにあり,遠いものが近くにある,心理的・地理的なこうした距離感覚の混乱を自覚し,自己存在に不安を感じることがある人は少なくないはずだ.そうしたときの惑いの曖昧さが詩的に演劇的に再現された美しい作品だった.
ムネモパーク
NPO法人アートネットワーク・ジャパン(ANJ)
にしすがも創造舎 【閉館】(東京都)
2008/03/14 (金) ~ 2008/03/17 (月)公演終了
満足度★★★★★
ガリバー旅行記の気分を現代で
きわめてユニークで独創的な趣向のスペクタクルです.
1/87の鉄道模型ジオラマで現代のガリバーの気分を味わうことができます.
おすすめします.
春琴(しゅんきん)
世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアター(東京都)
2008/02/21 (木) ~ 2008/03/05 (水)公演終了
満足度★★★★
舞台空間の変容を楽しむ
『陰翳礼賛』の世界を演劇的に再現するのだから、当然舞台は暗く、全体が照明で照らされることはない。薄明かりのなかでぼおっと幻想的に浮かび上がる陰翳の世界が、繊細な照明とともに、自在に変容して行くさまはとてもかっこいい。
しかもそこで映し出されるのは『春琴抄』のあの耽美的で自閉的な世界なのだ。
キラリ☆ふじみで創る芝居『大恋愛』
富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ
富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ(埼玉県)
2008/02/07 (木) ~ 2008/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
斬新、エロい、可愛い、過激
気になる人は見に行かないと後悔すると思います。
こんな「ロミジュリ」を誰が思い浮べることができるでしょうか。
二幕三幕での松田弘子さんの超怪演は凄いです。
そして各幕で展開される演劇的創案の多彩さと自由さも実に面白いものでした。
破壊的で、そしてその破壊性ゆえに極めて創造的な舞台でもありました。
革命日記
青年団
アトリエ春風舎(東京都)
2008/01/30 (水) ~ 2008/02/12 (火)公演終了
満足度★★★★
携帯電話時代の革命運動
弛緩した日常のなかで、革命実現のための緊張感をどうやって維持していくのか。
遠景と近景しかない世界で生きる人々の組織を、外から眺めるとこんなかんじなる。
傑作。
チェーホフ短編集
華のん企画
あうるすぽっと(東京都)
2008/01/26 (土) ~ 2008/02/03 (日)公演終了
満足度★★★
ボードビルの喜び
チェーホフの一幕ものの作品のオムニバス作品。
オムニバスの枠組みはおそらくフレインの創意によるものだと思う。
明るく楽しくナンセンスなチェーホフ。
シンプルで洗練された美的感覚がとてもおしゃれな舞台だったけれど、ちょっと抑制が強すぎる感じも。
メディア モノガタリ
三条会
ザ・スズナリ(東京都)
2008/01/17 (木) ~ 2008/01/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
驚異的な暑苦しさ
笑いと感動と迫力と。
ギュウギュウに詰まった高密度の芝居でした。
メディアの得体の知れない不気味さをリアルに感じ取ることのできた舞台でした。
新年工場見学会08
五反田団
アトリエヘリコプター(東京都)
2008/01/02 (水) ~ 2008/01/04 (金)公演終了
満足度★★★★
福袋的満足感
笑う門には福来たる。
アングラ芝居もどき二本、いずれも爆笑ものでした。
ザ・ノーバディーズのライブも脱力系でよかったです。
だんだんゆっくりはまります。
野鴨
メジャーリーグ
THEATRE1010(東京都)
2007/11/01 (木) ~ 2007/11/30 (金)公演終了
満足度★★★★★
イプセン劇のサスペンスを満喫
正統的なイプセン劇だが、その象徴性の高さを強調した解釈は、観客の想像力に強く訴えかける。
今、これを見ないでどうする!!!っというぐらい、一押しの公演。
この作品を読んでいない人は、是非事前に【作品を読まないまま】劇場に出かけ、イプセン劇の極上のサスペンスを味わってほしい。
とにかく見てくれ!!!