実演鑑賞
満足度★★★★
素舞台にちょっとしたセットだけで語られる4つの短編オム二バス。それぞれが緩く繋がっていたり、語りすぎないところで、ズレや間がこみ上げる笑いを誘う。75分。
ネタバレBOX
どの話も突拍子もない一点の設定から話が展開する。転がる方向性の意外性とトリッキーな役者陣が可笑しさや怖さが、観てるありえない話に現実味を生んでいる。深入りしないところで次の話に移り、なんとなく全貌が見えてくる匙加減も楽しめて◎。
会場は普通の少し横長のホールに3方囲みの3列ずつの客席。上手下手の袖があるわけではないが、綺麗なホールだし、駅からのアクセスも良いし、もっと利用されたら良いのに、と思ってしまう。
客席にはかなり通な観劇人の姿や屋台骨を支えてる的な演劇人の方々もそこここに。たった2回だけの公演がどれだけ注目されているかということが十二分に窺い知れた。
実演鑑賞
満足度★★★★★
80年代学生演劇と前世紀の小劇場演劇の熱量を令和のこの時代に全身で浴びれる芝居。動ける役者陣が圧倒的な台詞量を以て全力でふざけ、演じきっている。122分。
ネタバレBOX
芝居の緩急と、原作と今を描いた書き直しのバランスが絶妙。
新しい部分で笑い、記憶に訴えるシーンや台詞で見入ってしまう。
第三舞台でなくとも、「朝日」という作品は成立するんだということを見せつけられた感じ。
客席は20代、もしくはそれ以下と思われる観客の姿もあり、幅広い層に受け入れらけているんだと改めて実感。
当日券も出ているようだし、14日の時点では通路席も出ていなかったので、気になる人は是非とも足を運んでみることをお勧めしたい。
実演鑑賞
満足度★★★
順を追って見ていけば比較的わかりやすい伏線回収もの。98分。
ネタバレBOX
大事なストーリーの導入(10分)+召喚と退散のルールの植付け(40分)+アップデート&一部修正(40分)+ストーリーの回収(8分)みたいな感じ。昔の作品のように見てる世界が全く変わってしまうというタイプではなく、前半の苦痛ともいうべき話の展開は今作でも変わらないが、後半がそれを凌駕するほどでもない。
満足度★★
人と人は話してもちゃんと解りあえなかったり。ましてや話さずに察してもらうなんて。そんな人達の会話が散文的に繰り広げられる。97分。
ネタバレBOX
会場は逆L字型のスペース。壁際に4か所の演技スペースと若干の椅子席。中央にクッション席エリア。
お話。大学生ミュージシャンと彼氏、そして先輩女性ミュージシャン。もうひとつ絵画修復師と甥と学芸員。女子大生と甥っ子が公園のベンチで偶然出会って歌とギターで繋がって…。
会場内のあちこちにスポットが当たり、そこでシーンが。気になったのはスポットが当たっていない場所での役者の動き。次のシーンのための準備ならまだしも、観客が見ないような状態で関係性を継続する演技は不要では。それどころか交わるはずのない役者が捌けてから合流してヘンに関係を作るならオフでいる方がよいと思う。
一番気になったのはライブの打ち上げのシーン。スポット外で盛り上がってるのは女子大生の彼氏と美術グループの人達。2つの別のシーンの人達が一緒にライブした設定ならまだしも繋がりがないなら無駄な演技なく音だけで表現した方がわかりやすい(繋がってたとしたらこのシーン以外での交わりが疎でありすぎ)。
台詞は女性の言葉や視点がリアリティあってよい感じなのだが、結局2~3人の関係が7パターンぐらいあり、これが大きく繋がるでもなく、難しい設定も手伝って自分には表現したかった事が分かりにくかったのが残念。
音楽はひとつのキーとなっていて。スピッツの曲を混ぜてみたりとか使い方が面白い。最後もオリジナル?(じゃなかったんですね。ならなぜいきなりこの曲?:追記)な楽曲を全員で演奏するのだが、スペースのあちこちで楽器を奏でるのでソロボーカルの歌声が負けちゃってる。曲がよかっただけに全部みんなで歌った方が効果的に感じた。
本公演は飲食自由で会場でも提供ありのスタイル。。たしかに演技中も飲食のシーンは多く、それなら劇中で飲食されるものと同じものを販売して、それを開演前から宣伝してたら、観客も別の楽しみを持って観れた気がする。
会場は地下にあり、結構わかりにくいです。PUB貴婦人の看板が見えたら臆することなくその階段を降りると、右手にあります。
満足度★★★★
あまりにも観客に委ねられるところが大きすぎる芝居。背負いきれなかった場合は終演後の唯一の物販を購入して補完すべき、な103分。
ネタバレBOX
構造が変化するわけでもなく、合わさって別のものが見えるわけでもない。大きく見ているものが変わるタイプを期待すると違うものである。あえて言えば今回はたし算とひき算の物語というところか。
ひき算部分はともかく、たし算部分の量と質は見ていて飽和しかねない。全ての情報が舞台上では拾いきれないのはちっとズルい。
ともあれバカバカしさで楽しめたのは間違いないのでこれはこれでよいのだと思う。
満足度★★★★★
福島の農村の一軒家を舞台に、出所した面々と周りの人達が地元民と共栄を図って新たな一歩をふみだそうとするかなり重厚なホームドラマ。満腹になるが長さを感じない群衆劇。85分+10分休+67分の162分。
ネタバレBOX
KAKUTAはいつの時代も自分達の等身大の物語を見せてくれる。今回の舞台も彼らがよい感じに年齢を重ねた今が作品に表れている。
真人間は一人も出てこない。設定からもライトにはなりきらないハズが小気味よい会話のテンポとズレで笑いをも誘ってる。登場人物が16人もいるのにちゃんと書き分けて個々の物語を提示している。
おおきなセット転換もなく、ライティングだけでシーンを変えて見せる前半はなかなか見事。コッペのシーンをところどころに挿入して時間軸を前後させる演出も効果的。
当日精算の列が3日ソワレもかなり長くなっていたので、実券を持っていない人は早めに劇場に足を運んだ方が◎。
満足度★★★★
演出家毎にこんなにも違いが
5時間×2のワークショップの発表会+トークセッション。見せるものも見せ方も皆違うので個性を素直に楽しめる。かなりのお勧め企画。145分。
ネタバレBOX
発表順に各演出家の感想を。
柴幸男(ままごと)
テンポに乗って役者の表現法をさらに引き出す演出を見せる。セリフの割り振りもある訳でもなく、動きにも自由度を持たせてる分役者に対する負荷はかなり大きいと思うのだが、WSだからか役者毎に要求レベルを変えているのが見て取れる。柴氏は劇になっていないと言うが、繰り返しのさわりからだけでも通した作品を見てみたいと思わせる。
藤田貴大(マームとジプシー)
役者個々の春風舎への道のりの聞き取りから短編作品を作り上げる。WSだろうとこの点が作家としてのこだわらしい。共通項を与えることにより、繋がりを導いていくが、激しい動きへの変化の唐突な感じが最初の二次元表現を捨ててしまっているようで惜しい気が。
でもトークセッションでは谷氏から選択し、まとめ上げる速さは評価されていたので、作る過程はすごいのかもしれない。そこが見たかった気も。
船岩祐太(演劇集団 砂地)
三島由紀夫の「班女」をテキストに花子に会わせまいとする実子と吉雄が対峙するシーンを男女ペアで円形に並べたイスの中で1分半演じさせる。言葉を浴びせる以外に相手にぶつけるものとして使える小道具はピンポン玉だけ。ペア毎に好きにやらせて、あとでダメを出すやり方。演出家は軽いノリから入り、グラマラスな演出助手を侍らせて好き勝手やっているように見えるのだが、実は相手を見る、発する言葉の意味を知る、行動原理を把握する等人が物事や相手に向き合う姿勢を理解した上で表現させようという、非常に真摯に取り組む姿勢が見た目とは裏腹に芯が通っていてしっかりしている。彼の劇団は個人的に未見なだけにこのWS見て足を運びたくなった。
中屋敷法仁(柿喰う客)
見せる形を構築した上で、その中でゲーム実施。ゲームのリアルな部分も見せるフィクションとして成立するように展開。さすがに面白く見せる工夫はしっかり。普段劇団ではやらないことをWSではやるようで、これも作品の完成度というより役者の成長に重きを置いたつくり。
奥山雄太(ろりえ)
WS経験はないそうで、昨年公演の一部を切り取り、修正して普段通りの稽古をして上演。役と役者の数が合わないから、途中で入れ替えての上演。男女バランスが崩れた勢い勝負の作品だっただけにもう少し役者に合ったことをやってもよかったのではと感じた。
満足度★★★★
青☆組テイストを感じつつ時間堂色に。
変わっていく時代の中で、受け継がれる変わらない血が、変わらずに在り続けようとする様を丁寧に描いた作品。121分。
ネタバレBOX
ストーリーテラーは大店の女中さん。彼女の血縁、職人の親子、そして奉公先の家族の話がそれぞれ時代の流れの中で語られる。
時間軸が行き来するんだけど、その変化はすこし不親切な点があるかも。
細かいプロットを追うような芝居の作りではないと思います。人々の関係性や時代時代で立場が違った血筋の色の出方とかに興味を持った方が楽しめる気がします。
23日ソワレのアフタートークは新しく時間堂に入った窪田優、直江里美、ヒザイミズキの女優達と主宰黒澤世莉とのゲストなしでのトーク。これはこれで変化してきた時間堂の今を知るのにとても興味深い内容になったと思います。
満足度★★★★
がっつり演劇を見た満腹感。
身体能力の高い役者が技術力を求められる肉体表現をしてみたり遊んでみたり。極端な緩急が芝居を引き締めてる。97分。
ネタバレBOX
基本の話の印象は変わらない。ただ後から考えると必死で逃げる・飲み込まれるの構図は震災の後では演じる方もなにか変わったのではと思ったり。
今回は芝居の緩急の緩の方、「黒衣装の女」や「脚」で女性の曲線美の美しさを強調しているのがとても印象的だったし惹かれる点だった。
役者陣が変わったりもしているのだが、それでも同じレベルとテイストを提供できる、そんなところに劇団の底力が伺える。でもやっぱりキャスリーヌの突出したキャラだけは代わりがきかないことを再確認^^;;
アサヒ・アートスクエアの舞台は狭い上に入口は下手前方だけ。山の手のスタッフは開演5分前になると容赦なく席を詰めていくのでチケットを持っている人は早めのご入場を。
満足度★★
何か噛み合いの悪さを感じる。
男女の描き方なのか、キャラクターの個性の出し方なのか、話の構成なのかわからないけど最後まで冷静さと違和感が消えず。115分。
ネタバレBOX
男が匂いを嗅ぐのと女性が匂いを嗅ぐのは意味合いが違うと思うわけで。本能的に受け入れる女性とダメ~な男達との間で整合が取れていない気がして。
失ってからわかる大切なことと”愛”を描くのであればもっと平凡の大切さを丁寧に提示しなければ、深みや重みが出てこないと思う。
そういう意味では登場人物が極端なキャラクターが多く、その普通さからほど遠い色づけに物語を背負わせるので、感情移入も難しく。
見せ方では同時進行で見せるシーンでセリフをシンクロさせて意味を変えてみたり、合わせてみたり状況を変えてみたりという工夫が。ただ、この趣向か多すぎるのとあまりにセリフを合わせすぎたりするのでもう少し匙加減を調節した方が効果的だったかも。本来ならネタバレしてからがこの効果を最大限に引き出して勝負すべきなのに肝心のところで決めきれていない感も。
客席は普段の舞台側に階段席。でも観終わると余計にその意図も疑問。二日目の時点で通路席も埋まるような盛況っぷりなだけに週末に向けてどう客席数を増やすのか、開演後に遅れてきた観客をどう誘導するのかも含め大変そうな予感。あの舞台だったら今からでも客席の場所を変えた方がよさそう。
その舞台セットはとてもシンプル。でも架空のお話を観に来ているのに箱馬や平台がそのまま見えてるつくりには幻滅。たとえ後半にそのままである必要性があるというにしても稽古じゃないのだから観客に見せるという姿勢を見せてほしかった。
開演前の客席誘導にも疑問符。トイレから観客が戻ってくる前に通路を埋めて席を作って客が戻りにくくなったりと誘導が誘導の意味をなしていない。週末に向けて要工夫。
満足度★★★
良くも悪くも'80年代テイスト。
この劇団に対する記憶があればあるほど細かい部分で懐かしめると思うのだけど、それ以上でもそれ以下でもなく。118分。
ネタバレBOX
前世紀に体力の限り疾走するようなスタイルで人気を呼んだ同劇団も、さすがに歳を重ねた分同じようなことを貫き通そうとしても身体のキレもセリフ回しもスピード感は感じず。
話の基本はSFです。でも今しか描けない作家が未来のことを描くのではそこにリアリティも説得力もなく。'80年代はそれで通用してたのかも知れませんが、今は2011年なんですよねぇ。
今日現在の”今”と蓄積された”過去”を話題にした小ネタが多すぎるキライがあります。
そんな小手先な部分より、本筋に重きを置いてほしかった気も。
暗転がかなり多いです。かといってその暗転で時間軸を操作させるわけでもなく、場転のみで。客席の年齢層も高くなったので、明治座や新橋演舞場での芝居のように客席の集中力が続かないのを見とおして入れてるのかと思うくらい。
本当の笑いは小須田康人さんがときよりボソッと言って笑わせてくれるくらいで、初日は記憶の多い観客が先走った笑いの比率の方が多かった気がします。
結局解散公演ということでこの劇団でこういうことやってましたよという披露と回顧が主眼かも。チケットの取りにくさと価格とその内容から、万人に勧められるお芝居ではないように思えます。
満足度★★★★★
色々な"間"の取り方が素晴らしい。
劇団員派生的、でもこれぞthe五反田団テイストな作品。当日キャンセル待ちにもめげずに是非とも最後1ステに足を運ぶべし。81分。
ネタバレBOX
作品として世の中にチクリと刺すような視点を持ちつつも、不意を突いたり、はにかんだり、そして直球にと様々な笑いが全編にちりばめられている。
タイトルにも書いた計算したわけでもない"間"の見せ方もすごいのだが、言葉のチョイスも絶妙で、かっちりとした脚本がなくとも劇団員が集まるとここまで意志疎通され、完成された作品をチームとしてくれるのだと改めて敬服する。
この作品が2000円というお求めやすいお値段にもかかわらず、5ステで700人程度の人しか観られないのは観劇界(←そんなのあるのか?)としてあまりに大きな損失と言わざるを得ない(^_^;)。制作さんには舞台を極限まで狭くさせるぐらい桟敷を出してもらうくらいの覚悟の受入れ体制で観たいと思って来てくれた観客に作品を提供してもらいたい。
それにしても山田の急病による降板は残念至極。彼のファンとしては肉祭りのブースの片隅にでも佇んでいてほしかった^^;;
他役者としては女優陣のポジショニングがさすが。宮部純子さんの美人度と、西田麻耶さんの超おばちゃん具合、後藤飛鳥さんのしれっとした態度に中川幸子さんの巻込まれ加減の噛み合わない噛み合い方は見事です。男優陣の怪演はいうまでもないですが。
会場に向かうときに、新宿駅南口構内の成城石井でジャムを買うつもりだったのに時間がなくて寄れなかったのだが、さすがにこの芝居を観た後の帰り道では寄る気が起きなかった・・・
満足度★★★★★
作品のポテンシャルが素晴らしい。
期待を裏切らない出来。当日券は激戦でまず立見だろうが、それでも観れる可能性がある観劇人にはぜひお勧めしたい。86分。
ネタバレBOX
衣装とか自転車とか振りとか客席数とかが微妙にスケールアップされている。このわずかな変化が実は完成度高い作品をさらに昇華させている気がする。
役者は絶対の子供力を求められ、それをいかんなく発揮する端田新菜嬢以外は役者個々を観るというよりはこの作品を演じるために集められた力ある役者が作り出したものを観るという感じだろうか。
常にラップというわけではないけど、時報の音やベースが刻むリズムがかっつり乗ったりうっすらリードされたりする台詞をより活かし、届けてる。
マクロに描く作品の中のミクロに描く集合住宅での生活を父と母が日常をラップするシーンでわけもなく涙してしまったのは自分が親というものになってしまってるからだろうか。
開演前に既に初演のDVDを買ってしまう。これはちゃんと観た上で繰り返し観たいと思わせるものだから。2500円は安いでしょう。25回見たら1回あたり100円だし(^_^;)
満足度★★★★
心の色まで桃色に染めた夜。
読み手の在り方にも意味合いを持たせ、リーディングという表現方法が話により膨らみを持たせる仕上がりになってて◎。10分押し、122分。
ネタバレBOX
「いま何時?」 はいささか演出過多な印象。設定とか話っぷりとか若干違和感を感じたのはお聖さんの昔の小説だったからだろう。
「わか葉の恋」 は西田薫×高山奈央子が凸凹四十路コンビを見事に演りきっている。舞台の何処かに存在する読み手もさりげなく黒子の役割も果たし、自然な演技の中での絶妙なアクセントになっている。同世代としては思わず笑ってしまったりする部分がそこここにちりばめられてて、この雰囲気に思わず引き込まれてしまう。。
「春太の毎日」 は読み手と演じ手が二人合わせて相乗効果でひとつのキャラクターをより引き立てるような趣向になっているのがとても面白い。リーディングの新しい形を感じさせる。終始コミカルな展開なのだが、その中でさりげない一言が心に響いたりする。
オリジナルの「グラデーションの夜」は三話目ありきの作りだそうだが、あまり出てこない男の言葉がかなり効いてたり。歌も含め挿入部分を話の区切りだけに留まらせていないのも作品全体としての流れを作っているように思える。やっぱり心地よい生音は効果絶大である。
満足度★★★★
軽い、浅い、掴みばかりが褒め言葉
別にカタルシスなんかなくても観ていて面白ければよいじゃん、な雰囲気で仕上がってる。実際楽しかったので◎。95分。PPT25分程。
ネタバレBOX
てんこ盛りの小ネタや極端なキャラで引いてしまうことなく、失笑、クスリ、爆笑含め笑っててしまうのだからそれなりにつくり込まれてたんだと思う。
余談だが冒頭の走るシーンはかつての惑星ピスタチオの「破壊ランナー」が脳裏をよぎる。フォームもカメラワークを意識した動きも15年以上前の彼らの方が完成度が高かっただけにそこが惜しいかなぁ。あ゛、くだらないギャグ満載も実はピスタチオに似てるのか。そーかぁ(一人納得)。
満足度★★
ワンルームに暮らす女性達の三様。
緩く4話に分けて繋げて、互いも知らぬアパートの隣同士の女性の東京での孤独な生態を描く。本編100分。出演者前説4分。
ネタバレBOX
お互いが接点のない女性の人間模様を縦糸として描くのに、横糸として絡めていく男性陣の存在が薄かったり曖昧だったりするので物語の全容がはっきりしない。最後の最後に無理矢理まとめ上げて大団円にするのなら、もう少し前半から関係性をちゃんと丁寧に提示してほしかった気がする。
セットは間取り図を描いた八百屋舞台の3つのワンルーム。それぞれの部屋が同時進行するわけでなく、同じような部屋だというのなら1つの部屋を変化させるとかもう少し見せ方に工夫があってもよかったような。
受付は今日は開場の15分前でした。受付場所は地下のロビー内。整理番号代わりのトランプは面白い趣向だが、開場時に階段に並ばせることもなければ、関係者が上まで出てきて開場を知らせるわけでもなく、ロビーで言ってるだけ。一人だけならともかく制作担当が複数いるのなら明日以降工夫すべき。
震災の後だからか、開演前の諸注意でやたら地震や避難に関する説明が多かったのは納得なのだけど、タバコの煙に関する注意は何一つなかった。本作品は舞台のかなり手前の下手と上手で喫煙のシーンがあるので、嫌煙者は後席を選択したほうがよいとか、タバコ自体が害のないものを使ってるので問題ないとか実情に応じたなんらかの情報は提供すべきだと思う。
ボクは多摩地区とはいえ東京生まれで東京育ちのため、ここまで東京に対して孤独を強調されても全くと言っていいほど響かないなぁ。まぁ今時の若者ではないからかも知れんが。
満足度★★★★★
シンプルだけど、奥深い…感じ。
複雑な家族模様のいくつもを見せられてるのだが、それでも最後には平凡の素敵さを噛みしめ思い知る、そんな心に染みて残るような作品。73分。
ネタバレBOX
話としての芝居のウソ加減も、想像力を使わせる見せ方の匙加減もちょうどよい感じの心地よさ。だからこそよい芝居を観たという満足感が残るんだと思う。
この座組の役者さん達は安心して観られる。きっと主宰との関係性もかなり密になっているんだろう。みんなの方向性が一緒でブレてないからこそ作品の力として大きく作用している気がする。
2/3は青☆組10周年のイベントとして『100万回生きたねこ』のミニリーディングが。主宰が読んで、本編より少しコミカルな寸劇を役者陣がして。なんとも楽しくも絵本の世界と舞台の世界を結びつけるような粋な企画でした。こういうお楽しみも公演毎にあるとよいですね^^;;
満足度★★★
テイストの違う三様のオムニバス。
狭いギャラリー公演で、衣装も含め具現化したいのか抽象的で匂わすのかがハッキリしてなかったかな?テーマはあまり関係なし。100分。
ネタバレBOX
一本ずつ簡単に感想なぞ。
「きぼうのわだち(改訂版)」
役者陣の演技が大きすぎる。ホテルマンとの衣装の差別化も出来ていないし、そのホテルマンの仕草も不自然で違和感あり。強引な展開や花嫁の兄がペーパーアイテムを作って間違える等全体として芝居のウソが受け入れ難い。
「LoveLetter from …」
中心人物の極端にテンションの高い演技を巧く活かし、間の使い方で作品全体の強弱を上手につけている。最後まで語らない終わらせ方も◎。
「リグラー」
ステロタイプのパワハラ芝居の緊張感を前面に出して、中盤まで本当の構図を隠しながら進めていく展開は見事。ただ大々的にネタバレしてからの展開が長すぎる。全部語らなくてもよいから、もっとスマートに落としてほしかったかも。
満足度★★★
変わりつつある街を再見。
知ってるハズの地元の街の新しさ、古さ、知ってる部分、知らない部分を見ることで違った部分が見えてくる。76分。
ネタバレBOX
高架になり、南と北の境界がなくなった武蔵小金井。その南側から北に向かう。新しい部分と古さを残す部分を意図もなりゆきも含め交互に目にする。語り手が語らない分記憶も含め感慨がより様々な思いを膨らませる。
シャトー小金井内のアスレチッククラブをルートに組み入れたのは吃驚。
観劇日は生憎の雨だったけど、これは晴れていたらまた違ったものが見えたと思うと少し残念。予想以上の雨足の強さは想像以上に体力を奪ってしまってたみたい。
満足度★★
世界観に違和感がありすぎて…
アカデミーという組織の外枠がはっきりしないのでこれにまつわる学問やら研究やら人間関係やらの描写も曖昧に感じる。103分。
ネタバレBOX
近未来という設定なら小ネタを考える以前にその時代と必要なウソはを筋を通して描いてほしかった。本作品ではその設定下でいったい何を描きたかったのか見えないし伝わらなかった。