満足度★★★★
正解のない復讐の最大公約数
シンプルな舞台だが空間をすきまなく生かした見事な芝居。
あみだくじのような人生の過程で殺人者となった者と殺人者に
関わった者の相容れない憎しみと悲しさの最大公約数の先にあるものを魅せる芝居。
ネタバレBOX
内容は死刑囚を扱う芝居とその題名からラストは推測出来る芝居。
ただそれを越えて余りある見応えはどこからくるのかと考えた時、
人間が原始から産み出した復讐法に未だに答えが出せないためかも知れない。
内容について気になったのは看守たちの基本的な分隊動作の不備(敬礼や右向け右など)
フランシスコ・デ・ゴヤ作『1808年5月3日、プリンシペ・ピオの丘での銃殺』のような
処刑される側と処刑する側の明確なコンストラクトが浮かび上がってこないのは
三人の機械的な分隊動作が揃っていないためではないかと。
北朝鮮の軍隊に恐怖を伴う違和感があるのは人間の生理的行動を排除し揃いすぎた行進動作に心を失った機械と同じものを感じるためであり
だからこそ死刑執行の命令を受けた三人の看守には心を無くした表現として
精密機械と見紛うような分隊動作の演技をしてもらいたかった。
不満な点はそのくらい。数多くの人に観ていただきたい芝居。