雨模様の観てきた!クチコミ一覧

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30才になった少年A

30才になった少年A

Sun-mallstudio produce

サンモールスタジオ(東京都)

2014/01/09 (木) ~ 2014/01/14 (火)公演終了

満足度★★★★★

演出の面白さ
舞台が大きくなるとああなるのかということは、逆に言うと、舞台が小さくなるとああなるのかということでもあります。

ネタバレBOX

初演は2階の個室だけ、今回は商店街に面した1階事務所・作業場と2階個室。人の出入りがあります。

元保護司が元中学校の先生に変わっていて、それ故に事件を目撃していた当事者として関わることになった点が一番大きな変更箇所かなと思います。

先生も、口喧嘩していた二人を見掛けていたのに止めなかったことで自分を責めていました。そして、30歳になった少年Aを見掛けると、どうしても声をかけてしまい、それが元で少年Aの正体がバレてしまうという悪循環に陥ります。

初演では登場人物の誰かが正体をバラしたのかと思ったりもしましたが、今回登場人物が増えたことで、出入り業者とか商店街の人達とか噂が広まる要因に幅ができて良かったのですが、要らない人も増えました。通信制高校の先生の場は少しダレました。

新聞販売店の店長も、中学の先輩として頼りにされれば断り切れません。弁護士と接見中に逃走した男をスクーターに乗せた知り合いだって、いきなり出会って頼まれたら、ヤバい奴だしそうしてしまったのは仕方のないことのように思えます。災難です。

店長と少年Aのそもそもの関係については初演の理由は省かれていました。少年Aは別に凶暴な少年でもなかったわけですし、これでいいと思いました。

違う土地で過去を隠して生きるのが正解か、地元に戻って、バレても仕事を探し続けるのが正解か良く分かりませんが、店長は根性が座っています。少年Aはカミングアウトして、徐々に地域に馴染んでいくことになるのでしょう。

そもそも、先生も目撃していたのなら、あれは殺人ではなく傷害致死、もしくは事故ということを当時から証言しなくてはいけません。どついたぐらいで欄干を越えて落ちてしまうような欄干の高さにも問題があります。

ではありますが、元先生役の吉水恭子さんが殊の他熱く、熱演でした。
摩訶不思議でふざけたコメディーミュージカル『豚デレラ』

摩訶不思議でふざけたコメディーミュージカル『豚デレラ』

『劇団 もより駅は轟です』

OFF OFFシアター(東京都)

2014/01/06 (月) ~ 2014/01/08 (水)公演終了

満足度★★★★★

客いじりも楽し
初笑いにふさわしいお芝居でした。

ネタバレBOX

客いじられも楽し。昨年末から結構いじられています。イケメンにハートを射抜かれたり、巨乳の次女に頬をなでられるという軽いものでしたが、それもまた楽しでした。

いじられたくなかったら最前列は避けるべきです。何もこのお芝居に限ったことではありません。いつ何時災難というものが訪れて来るのか誰にも分かりません。そして、本当にいじられたくなかったら徹底的にうつむいて最大限の意思表示をするとかしなくっちゃ、そうでなければ一緒にノラなくっちゃ、せめて流れを止めることだけは避けなくっちゃ、と思います。

宝塚のパロディは本当に楽しいです。遠近法的階段も良かったです。天は二物を与えて、あんなに身長が高くてすらっとして、アフターイベントの男女逆転大塚歌劇団を見ても足が長くて素敵なのに、歯茎も伸びちゃってね。

スタートの暗転のときに、豚デレラがもさもさと上半身を動かしていたのは完全な暗闇では無かっただけに少し気になりました。それにしても、豚デレラの生着替えは迫力がありました。
呼吸

呼吸

白米少女

小劇場 楽園(東京都)

2013/12/26 (木) ~ 2013/12/30 (月)公演終了

満足度★★★

フツーの半生記物
フツーに幸せ

ネタバレBOX

ちょっと不幸な少女の、その後色々あったものの普通に結婚して普通に幸せっぽい生活を描いた半生記物。

この頃は八百屋を継いでいましたが、ロリコン先生と噂されていたと後から聞いた元中学の担任と結婚。単に噂だけだったのか、夫は別に犯罪を犯すわけでもなく、子供は成長して看護師になって医者と婚約するなど何も問題は起こりませんでした。

夜勤が多いお母さんとの会話が少なかったことや、その働き詰めだったお母さんが記憶障害になったこと、お姉さんとの関係が希薄だったことが少女時代を不幸にしていましたが、おかえりって言ってもらえる家庭を築くことができたのは幸せそのもので、自らが築いた家庭には恵まれていましたというフツーの半生記物でした。

ウサギがしゃべるのではなく、自分の気持ちが言わせているみたいなことをズバッと言う少女の感性は素敵でした。
空飛ぶ☆コメディキャラバン

空飛ぶ☆コメディキャラバン

to R mansion

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/12/25 (水) ~ 2013/12/29 (日)公演終了

満足度★★★

『My Exploding Family』の回
小さいお子さんたちもたくさん見に来ていて、前に座らせてあげる配慮もあり和やかでした。

ネタバレBOX

to R mansionの二人と小心ズによる女性三人のパフォーマンス。

言葉が出ない少女が出るようになるまでのお話で、そこそこの客いじりもあって、そこそこでした。
新釈・南総里見八犬伝

新釈・南総里見八犬伝

THE★落花生

北品川フリースペース楽間(東京都)

2013/12/28 (土) ~ 2013/12/29 (日)公演終了

満足度★★★

どこまでも
千葉県愛に溢れていました。

ネタバレBOX

妖刀村雨丸をギターに加工していたとは驚きでした。武力ではなく音楽の力で玉梓を倒すなんて、平和主義のやり方で良かったです。ただ、玉梓が消えたことで千葉国独立が消えてしまったのは残念でした。八犬士の玉が殻付きピーナッツというところも千葉県愛を感じさせました。

雨が降らないことを玉梓のたたりなどと信じず、偶然が重なったことと言い放つところなどに高偏差値集団の良識を感じました。

しかし、全体として華がなく、大声、滑舌の悪さが気になりました。
銀色の蛸は五番目の手で握手する

銀色の蛸は五番目の手で握手する

ポップンマッシュルームチキン野郎

シアターサンモール(東京都)

2013/12/27 (金) ~ 2013/12/30 (月)公演終了

満足度★★★★

毒はあるけどフツー
本編では、箸が転がってもゲラゲラ笑うような人がいなかったことが幸いでした。

ネタバレBOX

前説で、ただももいろクローバーZのしおりんと称して踊り続けるのを見てゲラゲラ笑う輩がいて、やはりいつも通りかと思っていましたが、本編では箸が転がっても笑うような人はいませんでした。

下ネタも少なく、幼稚な20代男性が笑うような話では無かったことにホッとしましたが、かと言ってじわっと笑いがこみ上げてくるというわけでもなく、DVありの、殺人ありの、結構重たいストーリーでした。銀ダコが超能力で殺された人を生き返らせましたが、せっかく殺人を免れたというのに、この特殊事情と銀ダコの思いが通じなかったばかりにまた殺人を犯すという何とも愚かしい事もありました。

幸福の王子のような銀ダコは、人々の命を救う度に手が失われていき、最後は人間で言うところの足だけになってしまいました。そんなこともあってか、毒ガエル星人の毒でサッカー選手が大量に死んだときには超能力は使いませんでした。仕方ないか、副作用があるのだから、大好きな人だけにしか使えませんね。
プラトニック・ギャグ

プラトニック・ギャグ

INUTOKUSHI

駅前劇場(東京都)

2013/12/25 (水) ~ 2013/12/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

切ない!
置いてきぼり感が感じさせられる物語でした。

ネタバレBOX

ちょっと発達障害気味の青年トウジが現実の友人関係の中で、昔バカをやっていた仲間のカナちゃんとシュウちゃんが付き合い出したり、ハルマが目標を見つけたりする姿を見るにつけ、置いてきぼり感が募るとともに、彼の見ているメルヘンチックな妄想の中でもカップルが誕生しそうになっていて、告白しそうになる都度、妄想者の特権として邪魔をするのですがそれも限界に来て、とうとう妄想の中で彼氏の方を刺し殺してしまい、現実世界で好きだったカナちゃんの代わりとも言うべき彼女の方とねんごろになりたいと願う、現実とメルヘンが交錯したモテない男の内向き志向の心情がこもった話に、ギャグが混じったようなストーリー。

現実とメルヘンが同時進行し、関連性が判明してハッとするところなど空想組曲っぽいなと思いました。現実とメルヘンの交錯は誰の専売特許でもありませんし、気にすることはありませんが、空想組曲の作風に男の全裸をたくさん加えたような構成でした。これは誰にも真似できません。

鈴木アメリさんは今回特に表情が豊かで素晴らしかったです。ブスブスと言われていたカナ、ハルマが鼻のお肉を裏返しにして特徴を表現しようとしたときには笑ってしまいました。その通りなんですがそこが可愛いんですね。

竹田有希子さんも歌ありで良かったです。竹田さんからミニミニおにぎり頂きました。ありがとうございました。
輪舞 ラ・ロンド

輪舞 ラ・ロンド

シアターオルト Theatre Ort

スタジオ空洞(東京都)

2013/12/26 (木) ~ 2013/12/30 (月)公演終了

満足度★★★★

女優力
清水寺もびっくり、そういうことで「輪」でしたか。

ネタバレBOX

娼婦と兵士、兵士とメイド、メイドと坊っちゃん、…、女優と伯爵、伯爵と娼婦というように、5人の男と5人の女が正に2013年を象徴する漢字「輪」のようになって繋がることから輪舞と名付けられたのでした。納得です。

男も女も登場人物に年齢幅があるので、二人芝居としては役者の力量が問われる面白いお芝居だと思います。平佐喜子さんは、メイドさんや話し言葉にチョーの付く10代から人妻や大物女優まで、その都度雰囲気が変わり素敵でした。そして最後、後ろ姿ではありましたが、体を張って頑張っておられました。

ところで、古いヨーロッパのお芝居であることを強調するためなのか、人間社会の滑稽さを表現するためなのか、二人の役者にクラウンの赤い鼻を付けさせる演出がなされていました。

赤い鼻が付いていると、これからお見せするのはどうせ三文芝居ですよ、三文役者にも及ばない私たち道化師が演じてしんぜましょうと言っているようで、お芝居全体がちゃちっぽく思えてしまいます。赤い鼻は必要ないと思いました。

最近、よく客いじられに遭遇するのですが、楽しかったです。
空飛ぶ☆コメディキャラバン

空飛ぶ☆コメディキャラバン

to R mansion

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/12/25 (水) ~ 2013/12/29 (日)公演終了

満足度★★★★

『ケセランパサラン』『The Show』の回
いじられました。

ネタバレBOX

小心ズ:『ケセランパサラン』  ヤノミさんの印象が『ミスしゃっくりの幸せな一日』のときとは随分違っていました。まん丸顔かと思っていましたがそうでもありませんでした。分かんないもんです。

お客さんの靴を釣るというのはグッドアイデアでした。恐らくみんな履いているだろうし、長いブーツが釣れたときは大物が釣れたと全員一瞬息を呑み大笑いしました。海外だともっと色んな物が釣れるのでしょうね。そして、今回もしっかり客いじられされました。

to R mansion:『The Show』  ずば抜けて綺麗とか可愛いというわけではありませんが、チヤホヤされる役とぞんざいに扱われる役に分かれていて面白かったです。ただ、体罰を連想させるところは再考の余地ありかなと思いました。

空想旅行の部分は『Magical Mystery TouR』とかぶっていました。赤いゴム紐での表現の一つ、今回は星だと分かりました。上手くいかないこともたまにはあるんですね。
ミュージカル「オペラ座の怪人~ケン・ヒル版~」

ミュージカル「オペラ座の怪人~ケン・ヒル版~」

キョードー東京

東京国際フォーラム ホールC(東京都)

2013/12/19 (木) ~ 2013/12/29 (日)公演終了

満足度★★★★

あっちよりは土臭い感じ
正に狂ったストーカー男の走りでした。

ネタバレBOX

とにかく、見てみないことには比べられません。

印象として、あっちの怪人は老教授がゼミ生に相思相愛だと思い込んでしまう勘違い男のような描き方だったのに対して、こちらの方は元々が凶暴な男で、オペラ座では幽霊を演じ続けるためにちょっとでも見られたら誰彼なく殺してしまう残忍さを持ち、そして一方的にクリスティーナを好きになり、想いが叶わないと知るや無理心中を図るなど、完全にイカれたストーカーといった感じの作りでした。

怪人に刺されて死んだと思われた劇場関係者が生きていて、石の心臓だったそうですが、彼の機転でラウルなどの追跡者は怪人の仕掛けた毒ガス攻撃から免れ、追い詰めることができました。最後は怪人が自分一人で死に、クリスティーナは救われました。

そして、みんなで怪人は孤独ではないみたいな歌を歌って大団円風に終わりました。

全体に年配者揃い、ラウルはモテそうな青年には見えませんでした。クリスティーナが怪人に浴びせた「顔がひねくれていたから心もひねくれたのね」的な言葉は強烈でした。
空飛ぶ☆コメディキャラバン

空飛ぶ☆コメディキャラバン

to R mansion

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/12/25 (水) ~ 2013/12/29 (日)公演終了

満足度★★★★

『ミスしゃっくり…』『Magical…』の回
オリンピックのプレゼンテーションのように、世界仕様がそのまま日本人に通じるというものでもありませんが、「世界は既に知っている、あなたはまだ知らない。」を知ることができました。

ネタバレBOX

今回の公演は、to R mansion4人による演目が二つと、一人ユニット小心ズによる演目が二つ、それにto R mansionの女性二人と小心ズのヤノミさんの三人ユニットおさらスープによる演目が一つの五つの演目からなる構成です。

当日は、小心ズ:『ミスしゃっくりの幸せな一日』と、to R mansion:『Magical Mystery TouR』のミックス公演。

こういうのは積極的に参加しなくちゃということで、客いじられに参加させて頂きました。

小心ズ:『ミスしゃっくりの幸せな一日』  ヤノミさんの一人パフォーマンス。結構リアルというか日本ではあまりしないだろうと思われるようなシーンもありました。

to R mansion:『Magical Mystery TouR』  三人のおじさんの話が面白かったです。賢いおじさんと力のあるおじさん、それに素早いおじさんの三段オチは万国共通受けするだろうと思いました。
或る夜の出来事

或る夜の出来事

或る夜の出来事

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/12/25 (水) ~ 2013/12/29 (日)公演終了

満足度★★★

60分なら
続きもやってほしいような。

ネタバレBOX

婚活パーティーで撃沈したアラフォー男子4人組の反省会的男子会の話。

つまらない会話で女性からピストルを撃たれズキュン、中には面と向かっただけで機関銃の嵐、撃沈の効果音が良かったです。

彼らは会社の同期生、会社は為替の影響で儲かっているようです。時期はクリスマス、正に今現在の話だと思います。であったら、円高で儲かっているなんて会話が出て来るでしょうか。当日は1ドル104円です。違和感を覚えました。

ある男の元妻が早期癌が発見された別の男と付き合っていたり、既婚者の男が婚活パーティーに参加したことが妻にバレたり、カフェの店員が男に一目惚れしたりと色々ありました。

女性と付き合うのが苦手な主人公にも社内に好きな人がいて、最後はその女性が女子会をしているお台場へ行くことになりなりました。ごっついゴリラのような女性でゴリエというアダ名でしたが、映像に現れた女性は清楚な人でした。

そして、続きはウェブでということで60分ほどで終了。

妻にバレたのは、妻もこの女子会に参加していたからのようですが、随分都合のいい狭い人間関係でした。それに、地方に営業所がある普通の会社、こう書くのでしょうか、菱光産業株式会社ですよ、そこの社員があんなおしゃれな髭を生やしていますかってんです。思いつきや継ぎ足しがあって、チグハグな感じになったのだろうと思いました。
Touch~孤独から愛へ

Touch~孤独から愛へ

東京演劇集団風

レパートリーシアターKAZE(東京都)

2013/12/23 (月) ~ 2013/12/25 (水)公演終了

満足度★★★★★

野良猫と飼い猫
飄々とした不思議な男でした。ふんわり温かくなりました。

ネタバレBOX

子供の頃は本当にアレルギーがあったのかもしれませんが、弟の面倒をみようとするあまり、兄は弟を家の中に閉じ込めておくのが一番と考えていたようでした。この時点までは兄も無知なら弟も無知でした。

そんな生活はハロルドが来て一変します。

ハロルドは詐欺師か、はたまたギャングで仲間から金目の物を盗んだか、シカゴにいられなくなって逃げて来ていました。兄弟をだまくらかして利用して、鉄砲玉のように使い捨てにするのかと、いつ本性を表すのか心配していましたが、最後まで兄弟にとって悪い奴ではありませんでした。

拍子抜けという面もありましたが、境遇が同じだったこともあり、兄弟の生活を立ち直らせたいという気持ちがあったのは事実です。じゃあなぜ兄には犯罪の片棒を担がせるようなことをしてそれもあまりうまく行かず、弟には世間勉強のようなことをさせたのでしょう。

兄は野良猫、弟は素直な飼い猫のようでした。人がナデナデするのを受け入れられない野良猫と受け入れられる飼い猫の違いが、最終的にハロルドが仲間に殺されることまで含めてこういう結果を招いたようです。

野良猫根性の染み付いた野良猫はいつまで経っても野良猫のままです。成長した弟によって兄も世間慣れができるようになれば良いのですが、弟がどこかに行ってしまえば、ハロルドの残した資産はあるものの、兄はまた裏街道に逆戻りしそうで心配です。
かわいい味

かわいい味

ppoi-っぽい-

atelier SENTIO(東京都)

2013/12/21 (土) ~ 2013/12/23 (月)公演終了

満足度★★★

厨二っぽい
願望、妄想、メルヘン。

ネタバレBOX

小名浜第二中学校のような話でした。全員が同じ白い衣裳で、そのように思いました。

打ち止めの玉でしょうか、あの緑色のスーパーボールは。

女性が赤い布の中で赤い衣裳に変身し、チラシのような光景になりました。ただ、何を意味しているのかは分かりませんでした。
いなづま

いなづま

梅パン

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2013/12/20 (金) ~ 2013/12/23 (月)公演終了

満足度★★★★

鬱々、不気味
雰囲気を味わいました。

ネタバレBOX

普通だけれどそこそこモテる男がいて、生霊が存在しているかのような妄想が見えたり、座り芝居が多く、淡々と、暗っぽく、場所は田舎で、松田正隆風雰囲気を感じました。

そこに、DVをしている気が狂った隣人が加わって、怖さと不気味さ、陰鬱さがたっぷりでした。隣人のことを通報することの難しさが良く分かりました。

回り舞台のための紐はちょっとちゃちっぽかったです。
MOTHER II

MOTHER II

青年団若手自主企画 大池企画

アトリエ春風舎(東京都)

2013/12/19 (木) ~ 2013/12/29 (日)公演終了

満足度★★★

延ばして延ばして
60分。

ネタバレBOX

母親が27歳に戻ったという点が原作の特徴でしょうか、平田オリザ風非日常さを取り入れてちょっとびっくりさせてはいましたが、主に母と娘の会話に娘の伯父さんが脳天気に入ってくる話。

娘が言うように、分かんないときはつまらないってはっきり言っていいのなら、つまらなかったです。

一つ一つのシーンがゆっくりゆっくり、暗転も長い、それでいてトータル60分って何でしょう。凝縮したらあっという間に終わってしまいそうです。

お互いの芸術の才能が理解できなくて、むしろ嫌いとまで言っていて、それで同棲している不思議さや、結婚したら安心してしまって小説が書けない、同棲程度なら書けるって、自己満足のためのこじつけには笑ってしまいます。

若くなっても才能のない奴はやっぱり無いのか、それとも、最後まで書き切るだけの根性の有無が小説家になれるかなれないかの境目なのかもしれません。
ツレがウヨになりまして

ツレがウヨになりまして

笑の内閣

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/12/19 (木) ~ 2013/12/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

あおいと蒼甫
嫌韓だけが右翼でもなかろうにとも思いますが面白かったです。

ネタバレBOX

「女の代わりはたくさんいるが、日本の代わりはない」から、「国の代わりはあるが、彼女の代わりは一人もいない」へと、考え方が変わった蒼甫はウヨをやめました。

そもそも宮﨑あおいさんんが出演していた映画と、当時の彼女の夫が嫌韓発言で騒がれていたことから、彼女の連れは鬱でなくウヨじゃんと思ったことがこの話の発端だったのようです。題名からのもじりだけかと思っていましたが、そのような背景もあったのかと面白く思いました。

フジテレビがフジマーケット、随所にカラオケを挿入し、昭和45年の三島の割腹事件から最近の南アフリカのインチキ手話通訳までの色々なネタを取り入れた笑い満載のストーリーでした。

フジマーケットのパートの子が個性的で可愛くて素敵でした。

次回は原発問題を笑いにするとか、期待します。
諸事情

諸事情

パンチドランカー

OFF OFFシアター(東京都)

2013/12/19 (木) ~ 2013/12/22 (日)公演終了

満足度★★★

ピントが合わない
群像劇といえばそうなのかもしれませんが、一応主役がいるようでぼやけていました。

ネタバレBOX

若い看板女優の成長物語かと思ったらそうでもなく、作家と演出家の作品を巡る戦いかと思うと笑いを取る程度のことで、結局はベテラン女優が突然死んで悲しかったね、死んでから一年経ったねというだけの話を元座付作家の視点から見た作品。

ピンボケの印象でした。

ラストの劇団員たちが記念写真を撮るシーンで、ベテラン女優を表す花束がライトに照らされ、白い包み紙がふわっと浮いているように見えたのは少し素敵でした。
仮名手本忠臣蔵

仮名手本忠臣蔵

遊戯空間

浅草木馬亭(東京都)

2013/12/20 (金) ~ 2013/12/21 (土)公演終了

満足度★★★★★

花は桜木、人は武士
少なくとも台詞を忠実にやってくれたお陰で、十段目を知ることができたのが一番嬉しかったです。

ネタバレBOX

黒い洋服姿の役者さんたちが、各段毎に立ち位置を決めてのリーディング。身体は動かすことはあっても本を持っている手は基本動かしません。立ち位置の移動もさほどありません。

ですから、切りつけたり鉄砲で撃ったりの動作や、切った人と切られた人、それを止めた人の位置関係が分かりづらいという面はありました。しかし、そんなことを言い出すと10分の休憩を入れて2時間20分では収まりませんから仕方ないですね。

十段目、天河屋の段、武器を調達しただろうと責めた役人たちは実は大星の仲間で、信用できる男か試したのでした。子供を殺されそうになっても耐えた天河屋義平は男でござるということで、討入の合言葉が天と河になりました。

十一段目は、黒い服に首に白い布を掛けて登場。それだけで如何にも討入の装束のように見えました。そして高師直だけは白い洋服でした。

ああ、十段目だけ歌舞伎で観ていないのが悔やまれます。一度観てみたいと改めて思いました。
アカイキ

アカイキ

劇団PATHOS PACK (パトス パック)

シアター711(東京都)

2013/12/19 (木) ~ 2013/12/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

人は木
衝撃的。いい天気だったのに。

ネタバレBOX

サエの記憶の中に子供の頃読んだことのあるはだしのゲンや、出身地である広島の原爆で死んだ同世代の女性タエの記憶が入り込んでしまって記憶が混濁したものの、幻覚の中で彼女たちの淡い恋心や辛い記憶を含む昭和20年の夏の日々を一通り体験したことによって意識障害が解消され、病気が遠因で別れたかつての恋人との関係も元に戻るのではないかと思われるような話。

意識の中で再現された現実には日常があり、普通の恋心があり、戦時下ならではの悲惨な日常もありました。

戦争で手足を奪われ傷痍軍人となったことを本人も家族も周囲も受け入れるまでの過程は衝撃的でした。戦争を仕掛けた人間の一族は前線にはいないということも強調されていました。そんな戦時下の苦痛を受け入れ、恋もしている広島の庶民でしたが、原爆で一瞬にして崩壊しました。赤い木とは燃えながら歩いている人々でした。

数代前の先祖を介してサエとタエに遺伝子的共通点はあるかもしれませんが、少なくともサエはタエの子孫ではないのでサエの遺伝子の中にタエの記憶があるというのは無理があるように思えました。変な理屈付けをしないで、かつて読んだ本や見学した記念館の記憶が生み出した妄想で十分だと思いました。

ゲンは一目でゲンと分かりました。回し蹴りを繰り出すサエとは凝った性格付けをしたものです。タエは丸くて純朴でした。

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