満足度★★★★★
様々な事情が絡み合った面白い話でした。
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イギリスから婚約者と婚約者の母親を連れて一時帰国した娘が実家の実情を知るとともに、婚約者側も親子の会話から疎遠だった関係が明らかになり、さらにはイギリスに滞在し続けたかったから婚約したという裏事情も見えてくる話。
字幕を見ながらでは細部がよく分からなかったのですが、婚約自体が解消されるとは、そこまでの展開は予想もしていませんでした。
最後のピンポンも、警察官が来たのか、兄が帰って来たのか、色々含みがあって良かったと思います。
満足度★★★★★
【第一部 菅原伝授手習鑑 】観劇
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吉田社頭車曳の段
佐太村茶筅酒の段
同 喧嘩の段
同 訴訟の段
同 桜丸切腹の段
菅丞相が流された後、三つ子の三兄弟が出くわして揉める段から、責任を感じた桜丸が実家で切腹するまで。
前方だったので人形がカチカチする音も聞こえました。
満足度★★★★
フェルメールは凄いと思いますが。
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ヨーロッパが戦争中のため大量の美術品が避難してきて展示されている日本のとある美術館の休憩スペースを舞台に、様々な国の人たちの往来を定点観測することによって彼らの諸事情を窺い知ることになる話。
フェルメールの絵画が日本に来ること自体がどれほど大変なことなのかという初演当時に比べ、2018年のフェルメール展を含め多くの作品が来るようになった今日では、非日常さ示す驚きの度合い、即ち『東京ノート』の衝撃度は大幅に低下したのではないかと思われます。
バイリンガルが当たり前になると、思わぬ人に思わぬことが聞かれてしまうということが多発しそうですね。
満足度★★★★
『あなたの目下には水が広がるとして』観劇
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スマホ、タブレットを使用して普通に動くリーディング劇。あるいは、スマホ、タブレットを見ながら演技するお芝居。内容は、異常気象が常態化した社会における日常と非日常を描いた話。そして、青年団の中にも豊岡市に移転することに気乗りがしない団員がいるということを表現した話。
お師匠さんの教え通りの日常と非日常には辟易します。しかも、その非日常がオカルト的だと吐き気がします。
青年団にとって移転することが良いことなのか甚だ疑問です。
満足度★★★★
そりゃ朝は来ます。
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日雇いバイトで妹を大学に進学させようとする青年や援交少女を始めとした若者たちと、大衆受けするように彼らを面白おかしく取材するルポライターや彼らに寄り添って取材するが故に売れないルポライターなどを通して出口の見えない現代社会の一面を描いた話。
女に捨てられなくて元気になる男って何だろうかと思います。
経済的自立が必要です。朝は毎日来ますが、彼らの朝は遠そうです。
満足度★★★★
『この生は受け入れがたし』観劇
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地方の寄生虫研究所に転勤した研究員の妻が地方の生活に馴染めないという内容の『この生は受け入れがたし』をテキストに、リーディングで始まり、徐々に普通の演劇に移行していくというもの。
如何にも読んでいるという口調から口語演劇に移行しました。
満足度★★★★★
【令和キャスト】観劇
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ボディラインを整えることに主眼を置いたワコールの塚本幸一社長と考えを異にして、女性を生き生き明るくさせるための下着を作り続けた鴨居羊子の肝っ玉で時に孤独な生涯を描いた話。
生涯を時系列に描くと説明的でつまらなくなりますが、本作品はワンシーンワンシーンが生き生きと描かれ、ワクワクし全く飽きることがありませんでした。
そして何より、地味めな新聞記者から豪放磊落な鴨居羊子を演じ分けた高畑こと美さんの演技が光っていました。素晴らしかったです。
弟よりも才能があったのに、男尊女卑的、封建的家族制度の犠牲になって、弟を立てるために絵画の道を諦めたと鴨居を描いていましたが、高畑さんは弟のことなど気にせず、以前からのように頑張ってほしいと思います。
満足度★★★★
匂いは届いてきませんでした。
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団長がシナリオが書けないために公演をしくじりっぱなしの劇団ため息座の旅回りの様子と、津波で家族を失った劇団員の思いに基づく劇中劇を見せながら、詰まるところロロの主宰が好みが極端に分かれそうなホヤやパクチーを出演者に食べさせるお仕置きパワハラ演劇。かもしれない。
ホヤはガソリン臭いという印象がありますが、新鮮なものは臭みがないそうです。パクチーは嫌です。
満足度★★★★
ある意味幸せですね。
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妹は天才子役として、姉は成人してから大物女優として芸能界で大いに稼いだ姉妹が、サイコパス的雰囲気を醸し出しながら、豪邸で老後の今に至るまでずっと往時の自分たちの世界に浸り続けているという話。
こういう風に生きたいと思ったら、中途半端な金持ちではなく大金持ちになることが大事です。ただし、殺人はいけませんが。
『サンセット大通り』と見比べる必要性があると思います。
満足度★★★★★
楽しかったです。
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かつてアニメのマイメロディが好きだったことがキーポイントとなって、とある高校の文化祭に向けて生徒や先生を巻き込んで展開するドタバタコメディ群像劇。
生徒も先生もワンステップ成長しました。三角関係も一段階泥沼化しました。
みんなが主役で楽しくほっこりしました。素晴らしかったです。
満足度★★★★
いくらでも想像が膨らみました。
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妻を寝取られ離婚に至った男が相手の男が一人でいるところを訪れ、初対面の何気ない会話からじわりじわりと追い詰めていき、次第に恐怖に陥れる話。
男は通り魔なのか。もしそうなら殺されたのは元妻なのか。犬を殺したのにナイフに血が付いていないのは演劇だからなのか。どちらかが刺されたようなのに血が出ていないのも、犬に咬ませた服が傷んでいないのも演劇だからなのか、想像が膨らみます。
しかし結局は、男は単に脅しに来ただけのようでした。
二人の関係性が分かるまでがメインです。素性が明らかになってからは冗長でした。
満足度★★★★★
どん。『だけど涙が出ちゃう』より良かったです。
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『だけど涙が出ちゃう』から何年か経った後の話。『だけど涙が出ちゃう』の被害者の一人の娘青木しのが、死刑員制度に基づく死刑の執行に立ち会ったことにより人が死ぬところを見るのが好きになったようで、『だけど涙が出ちゃう』で使用した家に住み、死刑囚と獄中結婚してその自宅を死刑場に提供するという話。
過去に二人の死刑に立ち会ったと話していましたから、獄中結婚は二度目のようでした。舌なめずりしながらその時を待つという感じの姿は凄味がありました。
そして、題名にもある”どん”とは、刑務所内で死刑が行われていた頃の、板が外れて死刑囚が落ちるときの音のことでした。最後のドンにはドキッとしました。
満足度★★★★
【『銀河旋律』『僕のポケットは星でいっぱい』の回】観劇
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『銀河旋律』歴史改ざんで恋路を邪魔された柿本が、タイムトラベルで過去に遡りはるかと何とか接触することができて結婚に至り、『広くてすてきな宇宙じゃないか』その愛妻はるかが39歳の若さで死に、落ちこんだ柿本家をアンドロイドのおばあちゃんが癒し、『僕のポケットは星でいっぱい』はるかが死ぬ直前、柿本の12歳の息子カシオがタイムトラベルの機器を奪って母の生死や医療の進歩を確認するために16年後に行くも、結果を知り絶望。時間管理局員と元の世界に戻る際、28歳となったカシオもちゃっかりついていき生きているうちのはるかに会うことができ、若いカシオに男のたしなみを教え、16年後の備えを示唆するという成井三部作中二作品を観劇。
タイムトラベルができる時代、ニュース番組で映像と音声がずれていたのが残念でした。
満足度★★★★
涙は出ませんでした。
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死刑員制度がある社会で、終末期患者に薬物を投与して4人を殺害した罪で死刑が確定した元医者が、被害者家族の意向により、被害者家族の家で、被害者家族の手によって死刑が執行される話。
とても面白い設定です。
死刑囚の宗教感については事前に聴き取りがなされているはずです。なぜいきなり讃美歌なのか不自然でした。また、娘の父親が誰かみたいな話など、裁判の過程でさんざん議論されたであろう話題を持ち出さざるを得ないところがお芝居故の難点でした。
満足度★★★★
初演の内容はすっかり忘れていたのですが、やはり二度目は感激が薄いものなのですね。
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妹が長兄のパスワードを使って中東に派遣された自衛官で帰国後自殺した次兄の中東における行動等を新聞記者に知らせたことによって売れないお笑い芸人の長兄が逮捕された顛末を描いた話。
私にとって久し振りの鈴木アメリさんと谷仲恵輔さんを見ることができたのは嬉しかったです。
初演を観たときほどの感動、怖さは感じられませんでした。法律に潜んでいる恐ろしさに慣れてしまったのであればそれはそれで怖いことですが、一応二度目だからだろうと思います。
説明台詞による進行も今回は気になりました。
初演のレビューによると、中東で米軍の船が襲われ、日本が集団的自衛権のもとに参戦するであろうことでO-1グランプリは中止されたらしいのですが、今回はそんなテロップが流れても誰も気にせずO-1グランプリは予定通り開催されそうな気配でした。それもそれで怖い話です。
満足度★★★
全体として予定調和の範囲内でした。
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LGBTや帰国子女等、様々な住人のいる女性専用シェアハウスの話。
人間の多様性を認め合うことの大切さと、根深い偏見に対する一人ひとりの努力と社会全体の努力が大切だということでした。
シェアハウスのオーナーがパンティ泥棒の犯人だったという意外性はありました。ただし、示談への持って行き方が強迫的でストーリー全体の爽やかさを損ねました。
男尊女卑男は社会の偏見の象徴として一刀両断に切り捨てられましたが、オカルトを許容するかのような最近の風潮に警鐘を鳴らしていた点については傾聴する必要性があると思いました。
満足度★★★★★
久し振りの宝塚、楽しかったです。
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遣欧使節団の一員としてスペインに長期滞在した男が、愛と武士道精神の下、悪徳農場主から日本人奴隷や宿屋の女主人を救い、そのままかの地に残ったというストーリーで、スペインにハポンという姓の人たちがいることから想起されて作られたミュージカル劇。
支倉常長はスペインとの貿易交渉がうまくいかず苦労し、ローマ法王に会うためローマに出掛けるなど繁忙の日々を送っていたのですが、大事なこととは言えこうした使節団員もいたのでした。
満足度★★★★
【E ver】観劇
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引きこもり後自殺した娘のために、これがあったら自殺しなかったであろうと考えられる最高のおもちゃを開発しようと日夜努力する社長および社員のエピソードにゴドーを織り交ぜたような話。
とにかく大声を発する役者さんたちの熱量が物凄かったです。
神がいないのなら作らなければならないと言っていましたが、神こそが究極のおもちゃだとしても、そもそも神は人間が人間の都合で作ったものですから今更改めて作るものではありません。
役者がはけようとするときに、それを止める手段として、ゴドーを待っているのだからと言って制止する手法は応用が利くと思いました。
満足度★★★★★
目頭が熱くなりました。
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ひょんなことから赤穂の浪士を騙った魚売りの八が、血気盛んな大石の娘すずの脅迫的言動や武士道の理想を求める元禄時代の庶民感情の大きなうねりの影響を受け、流れに逆らえず討入り決断に至るとともに、友人としての浅野内匠頭を想う当初討入りに消極的だった大石をも巻き込み、赤穂浪士と寄せ集め集団が一致団結して本懐を果たすという話。
身分階級制度が存続するには、上位階級の人たちは高潔であって尊敬される存在でなければなりません。本事件によって怖いだけの武士階級が一目置かれたわけですが、町人のノリのおかげでした。
落ちぶれた女郎が浅野内匠頭の人間性を語るシーンや、花魁との駆け落ちで討入りに参加しなかった貞四郎が自害するシーンなど、殊の外感動しました。
凛とした大石すず役の伊藤純奈さんが素敵でした。大石内蔵助役の小倉久寛さんも良かったです。
満足度★★★★★
ほとんどが女子。場違いなところに来てしまったかなと思いましたが、それでも30分過ぎ頃から面白くなっていきました。
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原告側二人、被告側二人、裁判官側二人に道化役一人による構成。「ハーメルンの笛吹き男」の真相を暴く裁判劇。
所謂イケメン俳優たちによる女子向けの顔見世興行なのですが、30分が過ぎた頃から真相解明に向けて本格的に動き出すと次第に引き込まれていきました。
おとぎ話の中で一人残った足の悪い少年の美しい歌声が、動物たちや子供たちを引き寄せていたのでした。障害児として大事にされていなかった少年が子供たちを道ずれに集団自殺しようとしたところを笛吹き男が止め、子供たちを子供たちの意志のもと時空の異なる世界へ送ったとのことでした。
裁判官アケチは縞々の服を着た囚人で、検事や弁護人も含めて彼らは何者なのかという謎が残り、このシリーズはいい具合に続いていきそうです。