満足度★★★★
【Bチーム】観劇
ドロドロしたストーリー作りは流石でした。
ネタバレBOX
とあるマンションに出入りする人や住人が殺される事件があり、父母を自殺に追いやった取り立て屋と付き合っていた女に連れ去られた妹を取り戻そうとした兄の犯行だと明らかになっていく話。
暗転し、その後明るくなると何人かが倒れていて、友人の大学生がスパナを持って立っているシーンが出現する手際の良さは素晴らしかったです。
ただ、そのシーンは友人がうなされながら見る夢を表現したもので、一種の予知夢のようなものでしたが、結局は犯人を分かりづらくするためのものとしか思えず、そのミスリードさせるような演出は少し不満でした。
満足度★★★★
畢竟
東京物語の良さを改めて認識しました。
ネタバレBOX
牢屋の中で出会い、愛し合ったオカマと革命家が、退屈まぎれに脱獄後のことをシミュレートしたり、オカマが東京物語をリーディング風に語り聞かせたりする受刑中の日々を描いた話。
真夜中の弥次さん喜多さんのようでした。
開演前に流れた笠智衆や原節子の声、本番中の読み聞かせで、田舎から出てきた両親を熱海に追いやる子供たち、亡くなった息子の嫁の将来を考える義父、老妻を亡くした夫の心境など、時代を超えた人間の普遍性に涙しました。
東京物語以外では、革命家の熱情による抱擁が相手を絞殺するということが印象的でした。
満足度★★★★★
よく
喧嘩するねー。
ネタバレBOX
日本国籍を取得した者、韓国籍、北朝鮮へ帰還した者など、炭鉱に振り回された在日コリアン一族のそれでも生きていく話。
パーマ屋スミレとは、熊本の鉱山会社の敷地内で父と散髪屋をしている次女の須美が将来開けたらいいなと思っているパーマ屋のもう決めているお店の名前。炭鉱事故で夫を始め身内に一酸化中毒患者が出、さらには炭鉱の閉山もあって父親や姉妹とも別れ別れになって、恐らくパーマ屋は開けなかったことでしょう。悲しい題名です。
三女と新婚の夫とのイチャイチャぶりは、炭鉱事故が起こるとあらすじを知らされている身には極端な前振りにしか思えず笑えませんでした。ただ、自殺ほう助的殺人事件にまで生きつくとは思ってもみず、三女が呆然と現れるシーンには息を呑みました。
CO患者救済の法律に限ったことではありませんが、そこに国の意思が入り込んだりすると対象者の線引きは厄介ですね。
初老になった長女の息子が過去を振り返る形で物語は進行していきました。案内人方式による進行は好みではありません。
満足度★★★★★
名作の2016年版
本家のゴジラ、一見の価値ありでした。
ネタバレBOX
1984年のゴジラ映画でゴジラが伊豆大島三原山の火口に突き落とされたラストシーンの記憶が残っている1986年に、その三原山が噴火したのを見て当劇団の大橋泰彦さんが着想し、1987年8月に初演された作品の2016年版。
まさか、円谷監督やウルトラマンまで登場していたとは思いもよりませんでした。
最近の時事ネタは入っていましたが、大声の警官が登場するなど何となく当時の小劇場はこんな雰囲気だったのかなと思わせる一方で、古臭さも少し感じました。
「初キスは放射能の味」なんて台詞は、原発事故は絶対起きないという前提に立っての洒落だったのでしょうが、最近阿曽山大噴火さんがTBSラジオに登場するときなど阿曽ちゃんと名乗っているように、今や笑えないジョークになりました。
ラスト、巡視船かとりに乗り込む前に一之瀬やよいがおばあさんに「ゴジラは?」と聞いたときに、おばあさんが言った「何バカなこと言ってるの」は全く以って必要のない台詞だと思いました。この一言で、それまで見ていたゴジラの存在が否定され、モスラとピグモン夫婦も単に似た夫婦がそこらにいただけのことにされ、全ては夢見る少女の妄想、結局は夢オチで処理されることになってしまいました。ゴジラは本当にいたで良かったじゃないですか。せめて、おばあさんにはやよいの言葉が聞こえなかったくらいにして、どちらでも解釈できるようにしておいてほしかったと思いました。
余談ですが、2012年に雀組ホエールズが『ゴジラ』を上演した時のやよい役の棚橋幸代さんがものすごく可憐だったのを今でも覚えています。と言うか、そのことしか覚えていませんでした。
満足度★★★★
結局はだけど
特徴あるリズムは慣れると心地良かったです。
ネタバレBOX
友人の失踪からかアンディーというドラッグにはまった男がリキッドという目薬状の治療薬で治療を受ける際の様子、そして男の妄想を描いた話。
アンディーやリキッドを巡って売人が脱獄したり会社に侵入したり不思議なストーリーが展開され、長い擬音と短い擬音、ズッ、パッなどリズム感のある音や切れのある動作を取り入れていました。慣れると心地良かったです。
しかし、それらは妄想で、要するに夢オチ前の振りに過ぎませんでした。不思議な話を夢オチで終わらせるのはつまらないです。
満足度★★★★★
☆バッドエンドver☆観劇
凄まじい女の執念でした。
ネタバレBOX
バッドエンドバージョンを観ましたが、バッドエンドバージョンは隣家から上下の関係に変わったものの2014年7月に観た内容と同じような印象でした。
本当に自分が蒔いた種の報いに苦しめられる話でした。作家の男が現在の妻に対して子供を希望しないと言っていたのは、今も共同執筆者であり、現在の妻とも親しい元妻が自分の親友と再婚しようとする男に対して許しがたくいたたまれない気持ちを抑え込み、再婚を許すぎりぎりの条件として子供を作らないことという呪いのような束縛を男に突き付けたことに起因してのことでした。表面の付き合い振りと心の奥底の違いに、女の執念の凄まじさに驚愕し、その描き方の素晴らしさに感服しました。
KAATで本年1月に、趣向『THE GAME OF POLYAMORY LIFE』を観ました。それぞれが複数の相手と性的関係を持つポリアモリーと呼ばれる人たちの話でしたが、そのとき子供ができたときにそれぞれが子供を愛し育てることができるのだろうかと考え、そこを描いてほしかったなと思ったことを思い出し、『許されざる者』の結末が一つの正直な気持ちではないかとポリアモリーでない私は思いました。
満足度★★★★
【B組】観劇
アラサーらしい感じの話でした。
ネタバレBOX
主人公は小学校時代の仲良し五人組の一人が失踪したことにより過去のことを思い出し、そして一人の死により残る仲間が再会する話。
子供のときも大人になっても理不尽なことを強いる先輩はいるもので、そこまでいかなくてもそんなに上手く行くわけでもない人生、しみじみ味わいました。
満足度★★★★★
演劇
ところどころで演劇を意識しました。
ネタバレBOX
6年生の少女が転落した事故を巡って、自殺を試みたのか、いじめがあったのか、学校側は気が付かなかったのか、昏睡状態からわずかに回復基調にある少女を卒業式に出席させようとする父親の意向は受け入れられるのか等々の父兄と学校側との面談の様子を描くことを通じて、世の中は演劇の如く動いていることを示す話。
先生たちが対応シナリオを練り上げるところは正に演劇、学校のシナリオ通りに動く先生がまっすぐな気持ちを持っていた子供の頃を描けるのも演劇、おじいちゃんが一度しか出ないと言ったのはメタフィクション、そのおじいちゃんが別の役で登場するのも演劇、これら全てを書き上げて仕切るのも作演のお仕事、そして開演時刻ぴったりに始めるも始めないも演劇あるあるでした。
父親の暴力が原因だったかもしれないという攻守逆転がしれっと分かるところは素敵でした。
中田顕史郎さん良かったですね。耳の聞こえない作曲家役をやってほしいですね。
満足度★★★★
開演前
どっちらけ
ネタバレBOX
茨城の循環器系病院の中庭を往来する人々、カップルの話。
開演前の小芝居が、喫茶店のアルバイトのぎこちなさがわざとらしくてつまらなく、その後の前説が、多分本当にたどたどしかったのだろうとは思いますが、白けてしまってそのたどたどしさに逆に苛立ちを覚えてしまいました。
心臓が悪くても子供を産もうとした女性のエピソードを基に膨らませた印象でしたが、成長する子供のためにビデオを残そうとする話自体に新鮮味はありませんでした。ただし、病室だと訪れることはできないが、中庭だといつでも行けるからと言ってビデオの場所に中庭を選んだのは良かったと思いました。4,5年後の答え合わせは必要ないと思いました。
満足度★★★★★
サスペンス風
最初は少しだるい感じでしたが、男が現れからのサスペンス風な展開は素敵でした。
ネタバレBOX
東京で偶然再開して最近結婚した同級生でアラフォーの、夫は退職金はもらえたものの失業中、妻は流産後の身体でパートをしているという先が見えない感じの夫婦の許に、これまた偶然にNHKの勧誘員をしている同級生の男が現れて、過去の関係、事故のことなどが明かされていく話。
高校時代の夏休み中に、川や山での妻と男の関係を目撃したことや男の転落事故に関わったことで、夫は男にあまり会いたくないという気持ちがあり、男が再びしつこく現れたのかと思わせるラストシーンにはドキドキさせられました。
ただ、妻は美人だしスタイルはいいし、外見から人の人生が決まるわけではないとはいえ彼女ならこんな感じのアラフォーにはなっていないのではないかと思いました。男も、サラリーマンをしていたときのことを思い出して愚痴をこぼしてのことなのでしょうが、NHKの勧誘員からゴルフの付き合いが大切だと言われても何か唐突な印象を受けました。
新しいエクササイズのDVDが届いたのにそれを使わなかったのは、間が開いてしまうとか様々な理由があるのかもしれませんが不思議でした。
満足度★★★★★
強烈!!
もし同時刻でやっている政治資金に関する舛添都知事の弁明記者会見の方が面白かったらどうしようと思いましたが、こちらのぎょろっとした方も面白く杞憂に終わって良かったです。
ネタバレBOX
人の血を吸わないと生きていけない人間、蚊賊の存続をかけて、娘たちのために開いた婚活パーティーの話。
婚活パーティーに訪れた男たちに少し役不足感はありましたが、強烈な個性の父母と娘たち、それに的確なツッコミがあり満足でした。
満足度★★★★★
強烈な個性
ドロドロを楽しみました。
ネタバレBOX
夫はアル中、妻は薬びたりで夫婦関係が壊れている中、夫が家事を新たに雇用した家政婦に託して失踪したことで一族、家族が集結。そして、これでもか、これでもかと様々な秘密が露見していく話。
母親の手前いい夫婦を演じているものの長女は夫が学生と浮気継続中であることから離婚したことを、長女の娘はマリファナをやっていることを、それぞれが隠していたことが明らかになり、また三女の婚約者が長女の娘にまで手を出す女好きであることが明らかになるなどドロドロな展開が進み、次女がいとことの婚約をぎりぎりまで明かさなかったのは少し近親だったからなのか、別にいいのにと思っていたら、父親が妻の妹に手を出した結果の異母姉弟だったという究極のドロドロ劇が展開されました。
傍目気のいいおばちゃんの意外な秘密の露見で泥沼劇を最骨頂に持っていくために演出上次女は婚約を秘匿していたわけで、即ち作者の罠に引っ掛かったわけですが、存分に泥沼劇を楽しむことができました。
麻実れい、秋山菜津子は強烈、常盤貴子は美しく、犬山イヌコ演じるおばちゃんが家で犬を何匹も飼っているという設定には少し笑いました。
満足度★★★★
心の変遷
難解でした。
ネタバレBOX
カプグラ症候群に罹った彼女と婚約者を始めとする周囲の人々の話。
目の前の相手が瓜二つの別人にすり替わっていると認識するカプグラ症候群、初めて知りました。親しい関係であればあるほど症状の出方が強いということから、周囲の人に対する本来の好感度が知れるところが興味深い点です。
男の方が映画監督への道をあきらめたことが遠因になっているのかもしれませんが分かりません。彼女は最後は自らの症状を認識し、理屈で納得して結婚に向けて婚約状態の継続を決めましたが、この間の心理状態の変化は難解でした。
男よりも才能のない後輩が映画監督としてデビューしたのは皮肉で、熱意としつこさとタイミングの有無なのでしょうか、この差は何だろうと考えてしまいます。
満足度★★★★
長丁場
お疲れ様でした。
ネタバレBOX
生まれつき背骨や足が曲がっていて卑屈に生きてきたリチャードが、兄弟を蹴落とし王位に就いて、最後殺害されるまでを描いたシェークスピア作品。
髪の毛を虎刈りにしたりして醜さに拍車がかかっていました。
満足度★★★
袖すり合うも多生の縁
ワクワクせず、盛り上がりが感じられませんでした。
ネタバレBOX
現役なのか元なのか良く分からない落語家迷探亭小南が経営する喫茶店が舞台。近所の女性がハワイから来た女性の実の子供ではないかと期待が持たれたものの違っていて、それでも知り合った縁は今後も大切にしましょうとする内容。
小南はサラッとしたキャラ設定なのでしょうが、平坦なしゃべり方は何か盛り上がらず、話も、生年月日をキチンと確認していなかったなんてあり得ないことだし、一歳違いの落語好きの落研の女子こそ落語家との間に生まれた子じゃないんかいなんて思ってしまいました。
落語家が落語家らしくない割には、落語家らしいしゃべり方をする落語家が他の役で登場するなどちぐはぐ感は否めませんでした。
満足度★★★★★
常に今日的
問題提起の仕方がストレートで青臭いのですが、ものすごいエンタメ演劇に仕上げている点が素晴らしいと思います。
ネタバレBOX
宇宙人と日本人の恋愛を通じて、宇宙人エピクラル人が地球に大量難民として押し寄せたことによって起きた排斥運動の盛り上がりとマスコミの対応、そしてエピクラル人の将来設計を描く話。
日本では在日韓国朝鮮人に対するヘイトスピーチ問題があり、ヨーロッパではシリア難民問題があり、あまりにも今日的な問題を取り上げて作ったストーリーかと思ってしまいますが、実は2012年初演以来の再演です。
次の再演はいつでしょう。その時、日本はどのような問題と対峙しているのでしょうか。
王位継承順位の件など、修正すべきところは再演時には修正してほしいと思います。
満足度★★★★
不思議感覚
からのなるほど
ネタバレBOX
束縛されることを受け入れマゾ的生活を送っている夫が、殺害した妻をベッドの下に隠しながら暮らしている中に、妻の妹が就活のため居候するというサイコ話。
かと思っていたら、へその緒が絡んで暴れたりする胎児がそれでもそのへその緒から栄養を受け取り、束縛されつつも母親に守られている様を表象する内容の話でした。
不条理劇風不思議感覚を味わいました。種明かしでスッキリしましたが、種明かしが無かったらもっと不思議感覚のままでいられたかもしれません。その代わり、蹴とばしたりして暴れていたかもしれませんが。
ポマードで固めたような頭、真っ赤なハイヒールはとても印象的でした。
満足度★★★★
悲哀
新しい不正が発覚したからなあ
ネタバレBOX
家庭や仕事や浮気に、それまで順風満帆に過ごしてきた中高年男性に様々な災難が突如訪れる笑えないけど笑っちゃうような話。
あっちの方が上手くいかなくなり、浮気も夫婦関係もおかしくなり、そもそも会社ではバレていて、その勤め先のドイツ系ディーラーは排ガス規制違反でおかしくなり、妻は浮気をするわ、父親好きの息子だと喜んでいたら実はゲイだったとか、転落していく様が山内健司さんの飄々とした演技によって描かれ悲哀が感じられました。
三菱自動車の燃費データ不正問題が発覚する前に公演されていたら良かったと思いました。フォルクスワーゲンの排ガス不正問題とシールズの国会デモは昨年後半の話で、中途半端に古臭く感じられました。一番悲しいケースです。
舞台上で血は見られませんでしたが、階下で流血シーンがあったようです。流血を取り入れるところは山内ケンジさんらしいと思いました。
満足度★★★★★
伏線が素晴らしい!!
歌とダンスがピッタリはまってました。
ネタバレBOX
バイト先のお金をつい盗み刑務所に入ることになった小説家志望の世の中を舐め切った甘ちゃんの金欠女子が経験した刑務所内の出来事とシャバに出てからの浦島太郎のような衝撃的現実に直面した様を描いた話。
大人数の女子による途中途中の歌とダンスはストーリー展開に上手く絡んでいました。藤吉さんが集団の中からちょこちょこと出てきてしゃべる絵も様になっていました。
アル中で酒を飲んで交通事故を起こした受刑者とその事故で娘を亡くした長官の関係で考えさせられ、分かっていたのにも拘わらず出所後の現実に耐え切れなかった受刑者の話に世の無常を感じさせられましたが、それだけではありませんでした。刑務所内で文章を書くきっかけになったノートやボールペンの誤発注がラストに繋がる伏線が素晴らしかったです。
ちょっとしたことが病気のシグナルだったとは、後悔先きに立たずです。心を入れ替えた甘ちゃん、頑張ってほしいと思います。
満足度★★★★
始まる前が
古臭い
ネタバレBOX
自分の死、親しい人の死を受け入れる何組かの話。
犯人捜し自体は速やかに終わりました。死んだ後にSNSが更新されると、誰かが更新したと思っても精神的に弱っている人にとっては確かに混乱の要因になりますね。全く逆ですが、「いつまで待っても来ぬ人と、死んだ人とは同じこと」も思い浮かびました。
芝居にはダンスを取り入れるものと取り入れないものがあり、意味付けさえすればどちらもありだと思います。また、芝居には開演前に役者のウォーミングアップを見せるものと見せないものがあり、たまーに見かけますが、そして何周か先を走っているのか、何周か後を走っているのか、半周違いなのかは分かりませんが、こちらの方はもう古臭く古臭く感じられて仕方ありません。役者同士が自然そうに会話する様子が不自然で鼻につきます。