満足度★★★★
【Team葉】観劇
ネタバレBOX
交通事故による過失傷害を犯した女性と、その事故で歩けなくなり、婚約者から捨てられた女性の話。
過失致死等の加害者の日々の心持ちが気になっているので興味深く観ました。罪を償い、補償をすればそれでおしまいとは言いませんが、あれだけねちっこく電話によるストーカー行為をされたら尻まくって結構だと思わざるを得ず、被害者が可哀そうと言う気持ちが失せてしまいます。つくづくケースバイケースだと思いました。
被害者を捨てた男が加害者と結婚するとは、まさかの、驚きの人間関係でした。かつては親の言いなりで婚約者を捨てた男でしたが、今度は捨てないとの決意表明は、男が一回り成長した証であり、藤吉みわさんらしい作品だと思いました。
会社側の残業時間管理問題や病院の屋上の解放のあり方など、詰めが甘い点もあったと思いました。
満足度★★★★★
ほんの少し前だと思いますが、この作品を執筆した時点で今を予想していたようなところが素晴らしかったです。
ネタバレBOX
女性漫才師コンビの愛と友情の物語。
身体障害者芸人の活躍、仲良し芸人コンビの話題、LGBTのこと、アイドルに付きまとうストーカーと凶悪事件化問題など、現代社会の事象を取り込んだ素晴らしい作品でした。
男性と軽薄過ぎるくらいに能天気で付き合える理由が、女性が好きだからというのがとても深く、勝間和代さんのカミングアウトを予想していたかのような先取り感がありました。
満足度★★★★
掴みも大切です。
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コンテンポラリー・ダンス風のダンスパフォーマンス。
東京 ELECTROCK STAIRSでやるストリート系のダンスの方が好みです。
一人で1時間持たせるのは大変ということは理解し尊敬しますが、キレッキレで、スピード感がないと楽しくありません。最初の5分間など時間稼ぎとしか思えませんでした。
ぬいぐるみのような椅子から衣装を出すシーンなどどこが面白いのか、笑ってくれる優しいお客さんがいました。
満足度★★★★★
愛おしく、とても切ない話でした。
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おばあちゃんたちが先輩おばあちゃんと品川駅から熱海旅行に行ったり、その7、8年後に先輩おばあちゃんを見送ったり、一人のおばあちゃんは中年から初老にかけての頃に一緒に熱海に行った娘を亡くしたことをいつまでも悔やんでいたりして、そして、おばあちゃんたちも更に年を取り、そろそろお別れの時期が近付いていることを自覚しながら生きていくという話。
おばあちゃんと若い人とでは話が通じないことがあり、そこが面白いところではありましたが、一括りで老人と言うべからず、人それぞれに人生があり、でした。もう会えることもないだろうとの、今生の別れのシーンでは涙がこぼれました。
死んだ娘については、自殺したのかなと思うと悲しくなりました。
因みに、品川駅が改装され、改札口が2階になったのは1998年11月のようです。
満足度★★★★★
元気があってとても良かったです。
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かつて死んだ魚の目をしていた自分たちにやる気を与えてくれた軍曹と呼ばれた演劇部部員が、急に部活に参加しなくなり、そして退学することを聞くに及び、走れメロスを課題に研究授業が行われるのを機に、軍曹を待ち続ける脚本を作って演劇授業を遂行する部員たちの話。
リズム感が良く、元気が溢れていてとても良かったです。
再演ということで理解はしますが、オリエンタルラジオの武勇伝はあまりにも古過ぎ、新しいネタに切り替える必要があったのではないかと思いました。
満足度★★★★
『梨の礫の梨』観劇
ネタバレBOX
自殺を考えている女性が一人バーで飲んでいると、7歳のときに自殺した母親が現れ、雑談、途中からは母親に不満をぶちまけ、すっきりした風で、自殺を思いとどまるかもしれないと思わせる話。
おばあちゃんのことを知っているとなると幽霊だし、バーであんなに大騒ぎしたら追い出されるので、大声、大騒ぎは妄想の世界のようだし、幽霊なのか、妄想なのか、私は幽霊物が嫌いなので、極力妄想と意識しながら観ていました。
吠えすぎでした。感情の吐露とは言え、大声出せば観客にアピールできるとでも思っているかのようでした。
満足度★★★
CANプロにこんな年配の女優さんがいたっけと思えるほど役柄に合った化粧は見事でした。
ネタバレBOX
一見、振られたことに納得がいかない青年がつきまとい、用意した果物ナイフで女性を刺したと思われた事件の裁判で、突発的な事件だったのではないかなどその背景が少し明らかになる話。
法廷内の女性全員が犯罪を犯した青年の母親、あるいは関係者であるはずはないと思ってはいましたが、学校に通っている子供がいるとか、ワンちゃんのお母さんですよとか、題名にこだわり過ぎていてバカバカしくなりました。
満足度★★★★
『人の気も知らないで』観劇
ネタバレBOX
交通事故で腕を切断した同僚の見舞いの帰りに、別の同僚の結婚式の余興の打ち合わせで集まった女性三人の女子トーク。
身体が不自由になった人への配慮などの話題から、三人のうち一人が乳癌で片方の乳房を切除していたことが明らかになったりして、若干病気自慢的なオチの作品になりました。
腕を失くした女性に対する取引先の社長の言葉や態度は、口は悪いが親身だということは分かりましたが、これは少し以前の作品なのでしょうか、セクハラ発言はもう今となっては許される範囲を超えていました。親身さを上回るアウト発言でした。
時の流れとは恐ろしいものです。
障害や老いについては、動物に倣うようにしています。動物は、過去の体調と比べて悲観することなく、今を基準に一番最適な生活を送ることを考えているようです。
満足度★★★★
男性の深層心理を表したもののようでした。
ネタバレBOX
市ヶ尾の拡幅工事が予定されている道路に面した家に住む男三兄弟と知り合いになった女性との話。
年の差のある三兄弟の女性に対する親愛の情には微妙な差がありましたが、結局彼らが求めていたのは亡くなった母親の面影でした。三兄弟の間でどろどろとした感情が渦巻くのかと思っていましたが、男性は母親を求めるものというステレオタイプなオチに少々盛り下がりました。
女性の夫が登場する意味は全くありませんでした。出たがり作演のために作品の質が落ちることを認識すべきだと思いました。
満足度★★★★
『粛々と運針』観劇
ネタバレBOX
死に行く準備をしつつある命と生まれ出る準備をしつつある命が存在し、それぞれの関係者が気持ちをぶつけ合うことで、一方は親の死を親の生き様として受け入れ、もう一方は子供を産み育てることの意義を考え、方向性を定めていく話。
運針とは、針を動かすと縫物が少しずつ完成形に向かうということであり、議論しようがしまいが確実に時間が進むということでした。
二人の女性が癌を患った母親と胎児と分かった時点で、何かよくある精子を擬人化する若者のお芝居を観ているようで少し興醒めしました。
夫婦はどこかに紛れ込んでいるかもしれないノラの子猫のこと、息子二人は家の掃除のことと、忘れかけていた話題を持ち出しての終わり方はおしゃれでした。
満足度★★★★★
『あたしら葉桜』・『葉桜』観劇
ネタバレBOX
見合いした娘のその後を心配する母親が娘と会話して様子を探るも、結局はやることはやってるじゃんと杞憂に終わる岸田國士の『葉桜』を動きのある朗読劇として上演した上で、女性と一緒に暮らすことになった娘と、許しながらも心配する母親の会話を描いた話を上演する二本立て。
原作と並べることで、本歌取りの面白さが強調され良かったです。
二作品とも母親と娘は同じ女優さんでしたが、大正時代と現代で母親像が大きく異なっていて、現代の方は同じ女優さんかと思うくらいぶっ飛んでいました。
男と女が結婚しても本当はその後が心配なはずですが、誰もそんな風に思わないのに対して、『あたしら葉桜』の方は、相手が女性と分かった瞬間から、一緒に暮らし始めたとしてもその後が心配だと思ってしまう自分がいて、まだまだ偏見があるのかなとも思いつつ、母親もやはり将来を心配しているようで、クスッと笑って観終わるということはできませんでした。
満足度★★★★★
さすがは東京AZAЯASHI団、鉄板でした。
ネタバレBOX
小道具一式が見つからなかったり、役者同士のトラブルがあったりして、本番が無茶苦茶になった推理劇を、作家、演出家、役者、スポンサー関係者らが協力して何とか切り抜けるドタバタコメディ。
バックステージのドタバタだけでも十分に面白く、バックステージだけで終始するのかと思っていたのですが、後半本編シーンに場面転換しました。バックステージのあの出来事がここに繋がっているのかと、とても面白く大笑いしたのですが、次第に先が読めてしまって急に笑えなくなってしまいました。
2時間半はやはり長いのと、前半のトラブルが後半に影響を与えながら進行することを考えると、前半の一部だけ、後半の一部だけをカットするのは難しく、前半後半共に何かのエピソードをカットすることが必要だと思いました。せっかくTシャツ作ったのになんなんですが、バナナのシーンをカットしてもよいのではないかと思いました。
満足度★★★★
戦国時代、これほど時代に翻弄された武士がいたとは。
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本能寺の変の裏側を描くとともに、その時々で時代に翻弄された武士安田国継の生き様を描いた話。
この話では、石山本願寺がイエズス会と組んで信長を倒したというのが真相とのことでした。知らなかったですが、安田国継の波乱万丈な人生は面白かったです。
満足度★★★★★
<女優バージョン>観劇
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アイドルグループ「マカロニガールズ」解散後、偶然踏切自殺をしようとしていた元芸人純を助けたことからお笑いコンビ「開かずの踏切」を組むことになった好子が、周囲の人に助けられながら新たな道で頑張り、晴れの舞台でとんでもない挫折を味わうも、立ち直ろうとする物語。
夢は叶わない人が多い、その代わり、ばちも当たらない。夢は叶わないことが多いが、叶った人は叶った人で、それが重荷になったり、方向性が決められてしまったりすることもあり、必ずしも単純に幸福とも言えない。そして、夢が叶った人も叶わなかった人も、人生を生き抜くことが大切だと、いつもながら藤吉さんの実体験を踏まえたような、甘っちょろくなく、もの凄く現実的で奥深いメッセージは共感が持てました。
山高ければ谷深し、漫才コンクールという最高の舞台で真っ白になるという大失敗から立ち直ることは大変だと思いますが、もう一度チャレンジしてほしいと心の底から思いました。
elfin’の美声ズッキュン!ライブも、カッコよくて素敵でした!!
満足度★★★★
【二次審査】
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花まる学習会王子小劇場で行われる『真夏の夜の夢』を観ようか観まいか、一番嫌いな演目なのでどうしようか悩んでいるところで、二次審査のテキストが『お気に召すまま』。正直、つまらない演目でした。
やはり、一番最初はどのようなシーンか分からないうちから見させられ、しかも奇抜な演出だと状況が把握し切れないまま終わることもあるので不利ですね。
二次審査に進出した三名の内から選ぶという条件下では観客賞として、良くも悪くも観客に拍手を求め、応じざるを得ない雰囲気を作り出した策士額田大志さんに投票しました。
コンクールでは勝つことが大事というのも一理でした。貪欲さがいざという時に力となることも事実なのでしょう。
満足度★★★★
【一次審査】
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『ヘッダ・カブラー』と『かもめ』の一部をテキストにして行われた演劇家コンクール。
どちらの演目も有名ですが、筋とか状況とかいきなり見せつけられるので、最初の演出家は不利だなと思いました。
奇抜なものから抑え気味のものまでありました。講評でもありましたが、奇抜な演出はもし全編やるとしたら本当にやり通せるのかとの話もあり、受け狙いとか、目立つとか、コンクールでは必要なのでしょうが、考えるべき点だと思いました。
因みに私は、観客賞の投票でオーソドックスで分かり易かった小原花さんに投票しました。
満足度★★★★
さあ、食べましょう。
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自殺サイトで集まった集団と、過去に都会から逃げてきた経験を持つ山奥の夫婦の話。
集団のリーダーは、数ある掲示板の中で、何千もあるスレッドの一つで偉そうにしているクソ野郎のような男でした。長期間務めるリーダーがいること自体がおかしな話ではあるのですが。
程よい満腹感、特に肉などのたんぱく質を摂ることが自殺防止に効果的なことが分かりました。
満足度★★★
やはり幽霊物
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亡くなった家族を偲ぶ幽霊物。
幽霊物は嫌いですが、初めから幽霊物と覚悟して行ったので落胆幅は小さくて済みました。とは言え、初めの頃に幽霊は頭の中に存在するとの台詞があり、少なくとも誰かは生きているのだろうと思わせてくれ、妄想なら理屈は成立すると喜んでいたのですが、結局は全員が幽霊だったような感じで、やっぱり幽霊物だったかと落胆しました。
一人の女性と異父きょうだいの関係なんてどうでもよく、全く関心がありませんでした。
満足度★★★★★
歴史の闇の話であり、サスペンスドラマでもありました。
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昭和23年春頃、731部隊の生き残り幹部たちが互いを牽制するために集い、会話を繰り返すうちに、中国で行われていた実態や彼らの今の生き様、悩みが伝わって来るとともに、最近起きた帝銀事件の毒薬、犯人像、その背景が明らかになり、さらには、国内でも南京事件等の被害者の頭部を使った手術技術の研鑽が行われていたことまでもが明らかになる話。
薄暗い中での会話劇、素晴らしかったです。
帝銀事件の被害者は聖母病院に収容されたとのことでした。シアター風姿花伝のすぐそばでもあり、身近に感じられました。
満足度★★★★★
陰々滅々、素晴らしかったです。
ネタバレBOX
祖母の介護に疲れて50代の母親が失踪し、何もしない父親に代わり息子の妻が介護を引き継がざるを得なくなったことがきっかけで、子供のできない息子夫婦と妊娠中の娘夫婦の間で対立が生じ、単に家族が崩壊するという表現では物足りないぐらいの出来事が起き、完璧に崩壊していく様を描いた話。
不満、怒りが高まり、息子の妻は義理の妹の足を引っ掛けて転ばせ、流産させてしまいました。これでも十分家族崩壊決定ですが、そもそも母親が失踪した場所である神社の娘が、何年も前から神社に参る長男を見ていて、数年前から来始めたその妻に嫉妬して家庭崩壊を願っていたことが分かり長男に殺されるという、負の連鎖がこれでもかとばかりに続き、陰々滅々たる気分にさせられました。
こんな雰囲気、余韻の下では当然と言えば当然ですが、終演後に役者が登場する舞台挨拶もなく静かに終わり良かったです。