満足度★★★★
ポアロらしいポアロ
三波豊和さんのハマリ役になる予感がします。
ネタバレBOX
イメージどおりのポアロでした。口調などがテレビシリーズに似ているからとも思えるのですが、三波豊和さんの身長や体型がちょうど良いということで、好意的に解釈しました。
ポアロが死ぬわけは無く、ドア越しのグラスの交換は何となく想像が付き、ドキドキ感はありませんでした。
それにしても、木は森の中に隠せのとおり、化学式の書かれた紙を暖炉火付け用のこよりの中に紛れ込ませたって、そんなこよりがあること知らんがなー!!
満足度★★★★
きったない家ときったない男たち!
劇場に到着すると、字幕がありませんのであらすじを読んでおいてくださいと言われ、パンフレットを手渡されましたが、パンフレットにはほんの簡単なあらすじと韓国の新聞による劇評記事が記載されているだけで、少し残念な気がしました。
それでも満員、立ち見客が10人ぐらい出るほどの盛況でした。
ネタバレBOX
木の根元に建てられた家は、時の経過と木の成長のためかぼろぼろで傾いています。その家に住みついた4人の男の話で、舞台挨拶で演出家が明らかにしたところによると、ただし通訳がへたくそで何言ってるのか分かりませんでしたが、男たちは撤去者と呼ばれる人たちのようでした。
撤去者とは公共事業で追い出される人々のことで、抵抗すると時として警察などの国家権力から殴られたり催涙ガスを投げ込まれたりするようです。
そのような背景を持ち、追い出され、逃げて、ぼろ家に住みついたニートたちが、寝て、起きて、新聞紙で体を拭いたり、序列に従って少ないごはんを食べたり、不平を言ったり、弱い者をいじめたり、頭の大きさで序列を決め直したりします。
きったない体ときったない服、きったないパンツですが、序列に従ってパンツをはきかえたりするところが面白いというか不思議な光景でした。私なら他人がはいていたパンツをそのまま洗濯もせずにはくことはできません。
そして韓国だと思ったのはよく泣くことです。いじめられて泣き、序列が下がってはわんわん泣きました。
出前で届いたジャージャー麺を4人で奪い合うように食べたときは、顔といい、体中といい、床といいべとべとでした。ここが一つの見せ場なんでしょうね。
お金が無かったので出前のあんちゃんに壁を壊され、突然出現した家の神様からも見放され、家が崩壊してしまい、4人は世間へ出て行きます。
仕方なく出て行くのですが、それでもニート生活からの旅立ちというところで終了しました。
字幕が無く、どんなことでいじめるのか、どんな不満を言っているのか、全く分かりませんでした。
役者は、竹中直人さんに似た禿げた丸坊主のおっさんと、髪の毛ぼさぼさのイケメン3人、その他でした。
で、演出家によると、このお芝居は三部作で、次は路上生活者になって殺人事件を起こしてしまう話、その次が刑務所の中の4人ということになるそうです。何もそこまで話さなくともという気はしましたが、またタイニイアリスでやりたいとのことでした。
満足度★★★★★
熱い演技と華のある女優陣!!
原子爆弾を研究していた教授と学生のそれぞれの思い、それぞれの行動に感動しました。
ネタバレBOX
原子がぶつかるようなパフォーマンスでスタート。粒がだんだん大きくなっていったので核分裂というよりは核融合かとも、失礼!
最初、教授は戦時下の日本で原子爆弾の開発に没頭するだけの科学者かと思っていましたが、日本でも原子爆弾が今すぐにも作れるぞというメッセージを新聞記事や演劇を通して派手にアピールすることで、アメリカに対する抑止力にしようとしていたことが明らかになりました。
そして、初めから実際には原子爆弾を作れないことが分かっていて、戦争終結を進言していたことに感動しました。
一方、日本の勝利のために研究していた学生の、原爆を積んだB29を撃墜するために特攻機に乗り込もうとする心意気に、特攻隊の無意味さを理解している私も、もしそれが実現していたら数十万人の命が救われたのではないかと思うと心が痛みました。
教授と学生は全く異なる行動を取りましたが、どちらも日本を救おうとする気持ちに変わりはありません。
広島にいた人々は、劇団員も含めて死亡し、飛んだものの目的が果たせなかった学生は生き残り、実家の長崎に向かうという東京から戻ったばかりの教授の言葉に、さらに悲しい結末を予感しました。
演劇を通してのアピールということで、その一環で行われた劇中劇も効果的でした。その劇団には前田亜季さんやもう少し若いころの田中美里さんのような女優さんもいて可愛かったです!!
満足度★★★
暗殺の話はきっかけにすぎず、
男女平等などの思想を持った赤松小三郎を慕っていた植村先生という人の話へ移っていきました。
ネタバレBOX
太平洋戦争、安保、三島の自決、国民皆中流意識などについて話が進みました。
漢語(音読み)は強い立場から物を言う言葉、日本古来の言葉(訓読み)は心を表現するものという考え方には納得しましたが、言霊という言い方には反対です。言葉には真実でも偽りでも気持ちは込められますが、呪術ではないんですから、インチキ宗教家のような言い回しは大嫌いです。
文月一花さんの歌が上手いのには驚きました。もっと聞きたいとも思いましたが、それがメインでもないだろうにという気持ちもありました。
全員が舞台上にいて、隅で誰かが誰かをいじって遊ぶとか、寒い冗談を言ってみんながこけたり無視したりする手法はこの劇団の特徴ですが、やっぱり好きにはなれませんでした。
何となく明るくないイメージがありますが、きゃぴきゃぴの女優さんがいてホッとしました。
満足度★★★★
勧悪懲善とは言いませんが、
少し哲学的な話でもありますが、過激な固有名詞は小さな子供には少し刺激が強すぎるかも…。
ネタバレBOX
地下の牢獄から脱出し、エンジェルウイルスを広げて人間を綺麗な心の持ち主に改善しようとするエンジェルに対して、ワクチンを使って阻止し、再びエンジェルを幽閉しようとするデビルの話。
エンジェルウイルスに罹ると全く嘘をつかない心の綺麗な人間になるものの、ブスにブスと言ったり、デブにデブと言ったり、善を推し進めるために過激な行動に出たりして、逆にぎくしゃくしてしまいます。
デビルのチビルと小説が書けなくなってしまった作家の活躍で、ワクチンを使って人間を闇の心を持つ存在に戻します。
こう書くと少し変にも聞こえますが、人間には少しくらいいかがわしいところがあって当然だということです。作家には童話の主人公をモチーフにしたポルノ小説を書いていた時期があって、それが心の重荷になって小説が書けなくなっていたのですが、恥ずかしい過去を認めることで心が安寧になったのでした。
で、それにしても、アマゾネス桃太郎、臭いフェチのかぐや姫、アニマルセックス金太郎の登場には笑いました。小さな子供さんも観劇していたので、お父さんたちは家に帰ってから質問攻めに遭うのではないかと同情します。
勧悪懲善というと言い過ぎですが、『勧「小悪」懲「原理主義的善」』、そんな感じでした。
小ネタが面白く、バク転などのアクションシーンもたくさんありました。チビル役の小倉さんのデビルっぽい髪型も素敵でした。
NHK「出社が楽しい経済学」の面々も活躍されていました。
満足度★★★★★
前向きであったかい!
あと一週間で取り壊しとなるお化け屋敷ですが、従業員、アルバイトとも前向きで素敵でした。
ラストはジーンときて、とても素晴らしいコメディでした!
ネタバレBOX
乗り物酔いする電車の運転手、あがり症のお笑い芸人、エレクトリカルパレードに憧れた女性など落ちこぼれっぽい人たちも、一週間を通して次のステップへ向けての新しい生き方を見つけることができました。
父母の来園を待っていた自縛霊も、最後に来園したその妹から話を聞き、お互いに誤解していたところが分かり、二人とも嫉妬心を捨てて穏やかになれました。妹の子に生まれ変わる、複雑な人間関係で悩ましいと言い切るところが面白かったです。
電車でGO!のシーン、一線が越えられないカップル、指差し確認する教官などちょっとしたシーンも良くできていました。
全体に楽しく、前向きなところが良かったです!
満足度★★★
どこまで妄想?!どこまでも妄想?!
上演時間は1時間程度、それほど濃密な内容でもなく、わざわざ出掛けた身としては少し物足りない気もしました。
ネタバレBOX
バスジャック事件に巻き込まれたことがあるという妄想に苦しむ孤独な男の話。
同僚と会話していても、バスジャック犯と運転手のやり取りを妄想してしまいますが、男と同僚が犯人役と運転手役を入れ替わったりするのが面白いところです。
女友達かと思われた女性がフィギュアだったので、同僚も実は存在していないのかもしれません。
男はどうもバスの運転手のようで、モンスターのようなお客さんに悩まされていたのが原因ではないかと思われます。田舎の母親と密になることは重要ですが、無縁社会が原因のように描かれていたのには違和感を覚えました。
それにしても、途中から入ってきた人も入れてお客さんは13人程で、少し寂しかったです。
満足度★★★
生物の進化と
個人の話が混在して…、
ネタバレBOX
開始前から、単細胞生物がDNAを交換する接合を表現したようなパフォーマンスが行われていました。
話は、ダーウィンに初めての子供が生まれる直前の落ち着かない様子を中心に、進化論肯定派とそれに反対する教会側の争い、爬虫類と哺乳類の覇権争いなどを織り交ぜて描いたものでした。
壮大なテーマですが、大きな声、大振りな動作で同じようなさほど深くない内容を繰り返していたという印象でした。
地上でさんざん争ったあげく、その後爬虫類は空へ向かい、哺乳類は海に向かったという解釈は面白いですが、それじゃあ地上の生物は何なのと思います。
ダーウィンが一瞬台詞を忘れかけたときは、舞台の怖さを改めて認識しました。
満足度★★★★
どんどん盛り上がって、
喜劇20%悲劇20%未定60%という白組を観ました。面白かったです!!
ネタバレBOX
コメディで入り、途中からサイコっぽくなりました。
交通事故でそれぞれ妹を亡くした女性二人、一人は同乗しなかったことを後悔し、一人は運転したことを後悔し、二人は憎しみ合い、二人とも心を病んでいました。そして事件が起こります。
不気味な行動…、目的が分からないだけに怖かったです。なぜ睡眠薬を飲ませて監禁するのだろう?、なぜ血を抜くのだろう?、ヴァンパイアかしらと思いました。
どんどん盛り上がった割にはラストは意外とあっさり終り、少し拍子抜けでした。
高橋と望月の女性が苦手の二人、面白いコンビでした。M1とかキングオブコントに出場すれば!
満足度★★★
心が優しくなるラブコメ
サマセット・モームの話のような、シラノ・ド・ベルジュラックのような優しさがありました。
ネタバレBOX
かなり広いスペースの東京バーグ。奥のテーブルの方をメインにしながら、出入口から客席スペースまで全体を有効に使っていました。
美人の彼女と自信の無い男。二人で良く話し合っても昔からお互いに相思相愛だったことがまだ信じられず、悪魔に自分の記憶を売ってでも死んだイケメンハーフを生き返らせて彼女を幸せにしようとする自己犠牲と優しさ。
生き返ったイケメンハーフの対応は予想通りでしたが、プラスαで、みんなの幸せをと言ったために男のカップルが誕生して、クスッ。
結婚式の二次会にイケメンハーフが来たところはジーンと来ました。
客いじりも少しありましたが、バイキンマンと答えた彼女可愛かったですね!
満足度★★★★★
ジャズ喫茶を舞台に、
成り上ろうとした男の挫折がいい感じに描かれていました。
ネタバレBOX
デザイナーを志望して成り上ろうとするが、実力がない男。実力を過信してアピールしますが、実際に仕事が来ると自信を喪失してしまいます。
目糞鼻糞、売り言葉に買い言葉、友人でもある有名デザイナーからデザインのパクリを指摘され、大麻をやってるやつに言われたくねえと爆発し、その後友人は逮捕されます。
できもしない仕事を受けて、結局逃げて、依頼者に恥をかかせ、転職を考えるダメダメな男ですが、全く実力がないかというとそうでもないと思えるところが救いです。手袋のコンテストで佳作に入選したこともあるし、蝉柄のTシャツはロック歌手に人気があります。
ロック歌手がメジャーになってTシャツが話題を呼び、デザイン画の才能を開花させるかもしれないという含みも感じました。
自分の発言が元で有名デザイナーが逮捕されたのではないかとずっと悩み続けますが、別に告白者がいたことが判明します。で、悩みに悩み、そしてホッとしたことはもう十分に伝わっていましたから、最後のマスターと男の会話は余計でした。
最初のやくざに殴られる暴力シーン…、歌舞伎町あたりの場末のバーでやくざに絡まれたのかと思いました。インパクトはありましたが、殴られたのは主役の男ではありません。直接関係ありません、余計でした!
映像を流したとき、コンピュータの処理の文言みたいな四角い枠が真中にあって良く見えませんでした。有名デザイナーがいつ逮捕されたか良く分かりませんでした!しかも、次に映像が流れた時もまた表示されていました。音響さん、いったいどうなってるのかと思いました!
なんか気になるところは多いのですが、全体の筋書き、雰囲気は良かったと思います。主役のあのおどおどした表情などはとても素晴らしかったです!
満足度★★★
グロ不思議
オムニバス形式で繋がっていて、淑女冥利とは女性が主役ってことですか。
ネタバレBOX
体の一部や感情、言葉や家族、貯蓄などをゲームで削っていく怖さとグロテスクさ。
真っ先に要らないものは夫ですか。ただ、ゲームの前提である列がはっきりしていませんでした。勝負に関係なく削られてしまうのも恐ろしや。
ゼロサムゲームでもあるとのこと、あの奥さんの鼻がマーラーにくっついていたというオチにはちょっと笑いました。
他人の印象による自分と自分が考えている自分は当然違うもの、本音ばかり口にする人はいません。積極的だけど遠慮深いとか、上手く言えませんが、インチキ占い師の言い回しと同じですね。
満足度★★★★★
凄まじい男の世界!!!
やくざなんて、現実の世界でも話の中でも好きではありませんが、迫力ある強烈なシーンの連続で非日常を満喫しました!
ネタバレBOX
やくざ、暴力、抗争、異様、狂気、警察の腐敗、殺人、殺人マニア?、殺人マシーン?、過去の事件、追跡者、そんな中に咲いた一輪の純愛…、良かったです!!
二丁目の狂騒、闇医者の存在なども相まって、裏の世界が強烈な音楽に乗って描かれていました。
ちょっといい加減なチンピラ伊藤、あの軽い感じがいいですね。
加藤組の加藤、異常で怖かったですねぇ!
その他大勢は余計でした。
満足度★★★★
個性豊か!テンポ良く進展!
素晴らしい内装のレストラン。そして、まあいい加減な経営者やスタッフたち!
ネタバレBOX
はい、はい、どうぞどうぞ、
やったぁ、やったぁ、
がくっ、がくっ、…、がくっ、
テンポ良く進み、心地良かったです。
異常なもて男がいたり、浮気相手がバイトで来たり、奥さんもバイトになったり、男からももてたり、いつまでもトイレに行けなかったり、伝説の人がいたり、伝説にも温度差があったり、頭は薄いのに髭ぼうぼうになったり、どんどんスタッフが増殖したり…、にたにたしながら観ていました。
それぞれの役者さんは本当に才能が秀でています。7月、8月、9月と観ましたが、その快進撃には驚かされます。
安心して観ていられますは褒め言葉にならないと思います。磯川家の次のステップはどうしたらいいのでしょうか!?
満足度★★★
こういうことなのね!
長野バージョンと東京バージョンが違うって、そりゃあ当たり前でしょうって思いました。
ネタバレBOX
人に歴史あり。現在80歳のおばあさんの、13歳、25歳、54歳などその時々の思い出を綴ったもの。
十人十色、百人百様、千差万別。別の人の思い出をピックアップするわけだから、違うのは当然ですね。
全く新しいお芝居だと思います。題名も変えたらいいと思いました。
「東京」が表現されているとも感じられませんでした。
それぞれのエピソードは面白いのですが、何と言っても1930年生まれのおばあさんです…。13歳といえば太平洋戦争が始まる前なのに、あんなジャージがあるはずもなく、部活もあるはずないし…、25歳は1955年、あんな電話機ないしって思いました。
おばさんと甥つながりはありますが、一人の女性の話というより、色々な女性を描いたオムニバス作品ですね。
それにしても、あの孫の目にはこのエピソードは伝わらず、単なる認知症のおばあさんとしか映らないのでしょうね。逆に言えば、認知症の人も頭の中では様々な思い出に浸っているのかもしれません。そうありたいものですね。
満足度★★★★
家族集団の崩壊
舞台には不思議な家具が置いてあり、焼け焦げた黒い柱のようなものがぶら下がっていて、どこの国の話だろうと思いました。
ネタバレBOX
児童相談所の職員が家族それぞれからヒヤリングする形式をとりながら、この家族集団の成り立ちから崩壊までを描いています。
子供の誕生を期待されていた妻、可愛いと思って女の赤ちゃんをさらってきてしまった夫、熱を出している赤ちゃんを看病し始めることが全てのスタートでした。
夫が年頃になった娘に二人の子供を産ませる異常さ…、妻も自分の子として育て、取り繕っていきます。
なぜ、夫がひきこもりになったのか、なぜ妻が姉にだけ暴力を振るったりいじめたりするのかなど、彼らの心情には分からないことも多々あります。
そんな家族集団も、就学期になった子供に独立心が芽生え、弟が家出、姉が児童相談所へ救いを求め事件が発覚して集団は崩壊しました。
先日観た『笹の音の小夜曲~セレナータ~』では、さらわれた子供に家族としての認識があり、偽りでも家族は家族、なぜそっとしておいてくれないのという気持ちがあったのとは対象的な結末でした。
きんぴらごぼうは、夫との思い出ででもあり、娘に対する嫉妬からあまり作らなくなってしまったというエピソードを持つアイテムですが、無国籍感の強い舞台では違和感を覚えました。
母親役の女優さんは大竹しのぶさんのような存在感があり、娘には隔離されていた感が漂い、子供たちも子供らしくて好感が持てました。
赤ちゃんを表現し、その後も折に触れ利用された物体、小麦粉を練ったようなもの、あれは何だったのでしょう。最初に突然かじり出したときはインパクトがありました!
周りの壁に反響してか、初めの頃の夫婦の会話が良く聴き取れなかったのは残念でした。
満足度★★★★
ほー、そういうことですか!?
開演前から女子6人が「オブザービングルーム」でおしゃべりしているので、早めに行かれた方がいいかも。
ネタバレBOX
客席は女子がいる部屋をコの字型に囲むように配置され、開演前から女子6人が中央でおしゃべりしていました。
指示を与える主催者が仲間割れを起こさせようと意地悪な質問をしたり、色々仕掛けてくることを理解した上でゲームに参加したはずなのに、始まってすぐに古河さんに対して他の全員が疑心暗鬼になりました。
参加したのがばらばらに集まった女性ではなく、女子仲良しグループ6人だったということが逆に、裏切られた気分や仲間はずれ感を強く感じるのかもしれませんが、如何にも早すぎるように感じました。
指示通りでなく、可愛くない子はいないなどと回答しようと言う落合さんには、何かそういうひねくれた奴っているなあと思い、その後もあまりにもしつこいので、すぐ目の前にいることもあって、分かって参加しているんだろ!いい加減にしろと本当に文句を付けたくなってしまいました、フーッ。
最後にピストルが出てきたときには、相武紗季さんが出演したPiper 『THE LEFT STUFF』(2010年4月、本多劇場)を思い出しました。
ゲームで試されているのは部屋の中にいる6人ではなく、客席の我々ではないか?、「撃つのはやめろーっ」って言わなければいけないのかなと思いましたが、あのときは誓約書書いたけど今回は書いてないし…と思い、思い止まりました。
最後の展開にも驚きました。引っ張るなぁー。ま、私は一度も指示が与えられていなかった大出さんかなということで…。
ところで、舞台の一番端にあたる部屋の外枠に足を引っ掛けて観ていたお客さんがいました。客席と舞台が近いので少しは理解しますが、舞台に足を載せるのはホント失礼だろ!!と思いました。コの字型のため他の方向からは良く見えます。見たくなくても見えてしまうので、こちらの気分も悪くなってしまいました。劇団係員の人もそんな失敬なやつにはぜひ注意してください!
満足度★★★★
エエーッ、まさか!
ムフフな突拍子もないオチがあって。そして何よりも、あらすじがありました!!
ネタバレBOX
湖のほとり、貸しボート屋でロープに繋がれたパンツ姿の女性、上も軽装。何でって、ぬいぐるみハンターだから。人間なのか、何かを擬人化したものなのか分かりません。
一方、湖には自らを保安官と名乗るホームレスが最近出現、カンガルーも出没するらしい。
女性は誘拐されて8年間、実行犯グループにとらわれていたのでした。実行犯グループは身代金も取らず黒幕からの振込金によって生活していて、ひたすら逃走用の穴を掘り続けていました。
黒幕である女は、この間アルバイトを三つも掛け持ちしてお金を工面していたのが実情で、すっかり疲れ果ててしまい、もう身代金を諦めて人質を解放して、この件を終らせようと考え一芝居打つ…。
最終的に、実行犯グループは保安官と一緒に抜け穴を通って逃走。保安官は本当に保安官だったんだ!カンガルーも本当にそこらへんにいたんだ!カンガルーのいる国まで逃げるんだー!スゲーッ!!
ところで、真の黒幕はこのとらわれていた女性で、身寄りのない少女時代に食べ物を得るため、金持ちの子供と偽って誘拐されるように仕向けたということでした。こうして食いつないできたけど、少女も大人になったのでそろそろ潮時かと。
そして、一芝居に関わった男は女性の兄で、久方振りの御対面で大団円。
ところで女性のパンツですが、芝居が進むにつれ、上に上がるというか、食い込むというか、おしりのぷりんぷりんが目立ってきましたが、これもぬいぐるみハンターゆえでしょうか!?
満足度★★★★★
展開の妙、3作品とも素晴らしい!
3作品とも最後の展開、特に立場が逆転するところなどが素晴らしかったと思います。
さあ、どの作品が最初に再演されることになるのでしょうか!?
ところで、始まってすぐにお客さんの一人が体調を崩して退出されたため一時中断しました。俳優さんはそのまま動かずに待機していましたが、結局冒頭から再開することになりました。退出された人には申し訳ないのですが、主催者側の丁寧な配慮に感謝するとともに、珍しい体験をすることができました。
ネタバレBOX
『スプリー』(ミナモザ)
骨折で入院した患者の肋骨を折ろうとする女医の話。胸の圧迫感で気付いた患者と女医の攻防があり、担当医の登場で徐々に真相が明らかになっていきます。
医師不足の昨今、激務によるストレスが原因かと思えばそうではなく、担当医に振られたのが原因で、意識のない患者が病院に運ばれたときに女医の手を振り払ったというのが対象者に選ばれた要因と分かり、あまりに理不尽で下世話な話に笑ってしまいます。
しかし、最後に、バイク事故で女子高生を死なせてしまったことを患者が告白すると話は一変します。肋骨を折られることにも意味があり、罪滅ぼしの一つとして受け入れると話すと、女医の気持ちは急に萎えてしまいます。
さらに、患者が自分の痛みはあなたの痛み、あなたの痛みは自分の痛みなどとカッコいいことを言うと、それじゃあ私の痛みだと言って女医は患者の肋骨を折るところで終了。
物事には全て道理があり、理不尽なことは何もないという哲学的で滑稽なオチに満足しました。
『クィアK』(鵺的)
男が客の男に、部屋にいる女性を奴隷として扱えと傲慢な態度を示します。女性は男たちからの命令に従順に従います。
しかしその後、20年来ゲイとして生きていた男がこの女性を好きになっていたこと、男のアイデンティティも揺らいでいることが明らかになると、立場が一変し、客と思われた実は男娼から見放されてしまいます。最後は女性からも自分に傾いた心を見透かされ、いいように扱われるという話。
没落貴族のような、落語の「らくだ」のような逆転劇でした。
奴隷、実は結構男をたぶらかした女性を演じた鵺的の看板女優宮嶋美子さんの熱演が光っていました。
『無い光』(MU)
雑誌のライターが交通事故で臨死体験した同級生のイラストレーターに取材をしています。イラストレーターの女性は光が見えたことなどを話して帰りましたが、その後にライターは彼女の遺書を発見します。利き腕が使えなくなった彼女は自殺を考えているようで、戻ってきた彼女を説得しますが、光の中に進んで行くので怖くないと言い、隙をみて飛び降り自殺を図ります。
そこでライターは、中学生のときに錠剤を飲み過ぎて同じく臨死体験をしていたのですが、それが単なる事故ではなく、同級生だった彼女に振られたと思い腹いせに自殺を図ったのが真相だと告白し、自殺のときには光が見えないことを話し、次回、最終回の記事にそのことを載せるので自殺はせめて記事を読んでからにしてくれと頼み、女性も涙ながらに思い止まるという話。
総括しますと、最初の2本は普遍的に通用する話で、最後の1本は少し前提を置いた話でした。
コンペティションに参加するとすれば、私的には、ある人間の立場が根底から覆ってしまう『クィアK』(鵺的)に一票を投じます。
満足度★★★★
新鮮、
社会制度としての奥深いゲームです。このゲームの外側の人たちにも興味が湧きました。
ネタバレBOX
大雑把に言うと、社会の支配者が人を拉致的に集めてきてゲームをさせて、負けチームの人を都合良く命令に従う『ノルマ』にさせていく二極分化増殖プログラムとも言うべき制度の話で、このお芝居はそのゲームの部分を扱っているということでしょうか。
引き分けではだめで、ゲームに勝たないことには命令を管理する『ジェナー』になれないようです。『ジェナー』になれるのは勝ったチームの『ノルマ』くらいのもので、ゲームをやる度に『ノルマ』の人たちが増えていきます。そして、『ジェナー』といったところで中間管理職程度のものです。
ゲーム自体は厳格なルールがあってメンバーにはそれぞれ出来ること出来ないことがあるのですが、簡単に言うと指示された命令をジェスチャー、連想ゲームを使って『ノルマ』にやらせるようなことです。
例えば、「さす」という命令をクリアするには、『ノルマ』が指を指しても、ナイフで刺しても、醤油を注しても良いわけです。
『ジェナー』の的確な指示が重要で、自分のチームの『ノルマ』に行動させるだけでなく、相手チームの行動を邪魔することも必要となり、その能力によって勝敗が決まります。しかし、ゲームの進行や結果については関心があるのですが、慣れてくると一つ一つの「動詞による命令」の実行を見続けるのに少し飽きてきます。台本通りの連想ゲームなんてという気もしてしまいます。
それぞれのチームには相手チームのスパイがいて、気付かれないように行動するのですが、それを探すのが楽しみでした。
途中にあったサラリーマンの日常シーンは最高でした。天からの命令に従って行動しているサラリーマンは、時に意味不明な命令が出てもそれに従う従順な生き物でした。
百面相のような渡辺美弥子さん、体型を活かしたなしお成さん、良かったです。前園あかりさんはこれが素顔なんですねという気がしました。