雨模様の観てきた!クチコミ一覧

3001-3020件 / 3372件中
グロリア

グロリア

ハイリンド×サスペンデッズ

「劇」小劇場(東京都)

2010/10/14 (木) ~ 2010/10/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

後世に残る作品!
風船爆弾という特殊な武器を通して、現在と過去を知ろうという話でした。

ネタバレBOX

祖母が危篤状態のため病院に来ている男と元妻。男の経営する会社は借金取りに追われています。一方の元妻はMPO法人で働いていて、内戦で困窮している国へ子供を連れて調査に行こうとしています。自分の子供が危険にさらされるのを嫌がる男と心配ないと言う元妻の会話は全く噛み合いません。そんなとき、男は祖母の手記を読むことになり…、

手記には、祖母は戦争中に風船爆弾を作る軍需工場で働いていたこと、最近になって当時アメリカでピクニック中の民間人6人が爆弾に触って爆死していたことを知り、戦争中のこととはいえ、さらに空襲や原爆の被害を考えれば比較にならないものの、自分も殺人に関わっていたことで心を痛めていること、次の世代にどう伝えたら良いのだろうかといったことが書かれていました。

さあ、戦争中の日本のことを見つめ直そう。アメリカで爆死した彼らのことを想像してみよう。具体的に知ることで、戦時下の暮らしが見えてきます。具体的に想像することで、どのような人たちだったのか、なぜピクニックに行くことになったのか、彼らの人生が見えてきます。そして、我々にも戦争に伴う悲しさ、人に対する信頼や不信感、戦時下における町の危険性について少しは分かってくるかもしれません。

役者さんが一人何役もこなす手法、何か後世に残るものを作りたいという思い、戦争を取り上げたことなどから、井上ひさしさんへのオマージュだと感じました。

娘時代の祖母の役を男がそのままやる発想には敬服しました。とさかをかぶったチャボを真面目にやった佐野陽一さんや、看護師や祖母のお母さんを演じた枝元萌さんの演技には目を見張るものがありました。

ところで、男の会社は人材派遣業でした。確信犯的詐欺に遭ったと言っていましたが、ちょっとイメージが湧いてきません。確信犯的詐欺といえば、実態の無い会社が相手を信用させて商品を納入させ、その商品をだまし取るという取り込み詐欺を思い浮かべますが、これはメーカーや商社が引っかかるものです。人を派遣しても実態の無い会社なら仕事が無いわけで、ただ帰ってくるだけです。

単なる取立て屋への言い訳とすれば、あのしたたかな取立て屋なら看破ってほしいところです。あえて言えば、資金繰りが厳しいだけでも十分です。

後世に残る良い作品だけに、この部分はきっちりつじつまを合わせておいてほしいと思いました。
月が水面に忍び来るがごとく

月が水面に忍び来るがごとく

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2010/10/15 (金) ~ 2010/10/21 (木)公演終了

満足度★★★★

サスペンス!
少しずつ変化する心の機微が面白い作品でした。

ネタバレBOX

50過ぎの男と結婚した若い女は名代の悪女でした!

壮大な計画のもとに綿密に実行された殺人事件と裁判風景。男が次第にあれっと思いだし、それでも信じていたのに、とうとう発言を覆すに至る過程が面白い逆転裁判劇でした。

相手の心を知るにはどうしたらよいかと、見えるものとか、見えないものとか、さんざん言っていましたが、少ししつこく、一寸の虫にも五分の魂も持たぬ名代の悪女相手には空虚なことでした。

韓国の原作だけに尊属殺人的刑罰があるようで、女には死刑判決が下りました。

やっぱり、50過ぎの男が持てるというのには何か裏があるのですね。心します。
「ファイナルファンタジー」「やがて僕は拒絶する」

「ファイナルファンタジー」「やがて僕は拒絶する」

劇団エリザベス

タイニイアリス(東京都)

2010/10/14 (木) ~ 2010/10/18 (月)公演終了

満足度★★★

『ファイナルファンタジー』の回を観ました。
社会性の無い追いつめられたような青年の、さらに追いつめられていく鬱々たる話。

ネタバレBOX

始まる前からひたすらゲームをしている「僕」がいて、人との接触を拒否したような霞のかかった舞台にいきなりカーペンターズの歌声が流れ出して、それがあまりにも合わなくて、それにしてもカレンは澄んだ声をしていたなあと聴き入ってしまいました。

日本の上空をミサイルが飛ぼうが、大学を卒業もせずにゲームをしている「僕」。しかし、単なる引きこもりではなくレベルアップのアルバイトということで少し安心しました。

ただ良く聞いてみると、レベルを上げるだけが目的で、本人じゃないから話し掛けられても話してはダメ、ボスキャラと戦ってもダメ、そもそもボスキャラに遭遇してもダメと、他人との関係を持たないことが条件という全く社会性の無い仕事でした。自給750円ということだけが社会との接点というやっぱりほとんど引きこもりでした。

レベルアップの音に違和感を覚えこのアルバイトすら止めようとする「僕」、この社会性の無い人間が社会との唯一の接点すら無くそうとして彼女に振られ、私はホッとしました。ニートに彼女は要らない!!

父親が死に仕送りも無くなろうとする現状、どうするんだろう。実家に帰って本格的にニートかな。しかし、経済的背景を持っていないとニートすらできないのが今の社会です。鬱々たる気持ちのときにまたカレンの歌声…、本当に合わないけど素敵でした!

もしそうだったらですが、手塚のペニス役が初舞台ってどんな気持ちかなと思いました。性に関連した言葉を連発していましたが、テレビと違って舞台は何でもできるんだとばかりに放送禁止用語を多用するのって初演出にありがちなパターンですね。
三十女

三十女

ペテカン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/10/13 (水) ~ 2010/10/21 (木)公演終了

満足度★★★★

安心して観ていられるは…。
劇団員全員で作り上げることが良いことなのか、疑問に感じました。

ネタバレBOX

15周年ということで、ベテラン俳優さんたちの演技は安心して観ることができました。

35、36の三十女、男のふんどし姿にも動揺することのない訳あり女性たち。

あんな真面目な田舎の男たちが可哀相で、10月16日に観たジャイアント・キリング「国家婚活支援法」に従って3組のカップルを結婚させてしまいたいと思いました!!

ツアコン男の不倫する心境、女性から別れを切り出されたときのあさましさ、身勝手さには吐き気がするほどでした。本当に嫌な気分になりました。

そして、「国家婚活支援法」の附則に、不倫禁止条項を付け加えるべきだと思いました。ジャイアント・キリングの人見てるかな。

みんなの意見を取り入れると、突き抜けることができないのではないかと思いました。誰かの主張が通り易いということもあるでしょうが、そうなると全員参加ではなくなるし、くせのある人も少し抑え気味になったりするでしょう。どこか突き抜けたような、びっくりするような作品はできないような気がします。そういうことなら、アテ書き+αで、なにこれ、変なの、嫌だーとか言いながらやるくらいがちょうどいいのではと思いました。

アロマテラピスト、実は小説家の特技アピールシーンで、ミュージカルの歌に入り込んだ様子には笑いました!!
坂口安吾 白痴

坂口安吾 白痴

726

OFF OFFシアター(東京都)

2010/10/14 (木) ~ 2010/10/19 (火)公演終了

満足度★★★★

戦時下の
町の片隅を描いた文学作品らしい雰囲気が漂っていました。

ネタバレBOX

白痴の女性というか、白肌の女性でした。薄緑と白の衣装がこの世のものとは思えない感じを与えていました。

かまってもらえない、触れてもらえないことで女性が閉じこもるシーンは、原作を読んだ時は重要な箇所だと思っていました。そして、本作品にも出てきましたが、無理やり入れたという感じで、さらに言うと、この作品においてはあまり意味のないことのように思えました。

それよりも、戦時下においても物欲、色欲は凄まじく、そうした欲望のまま動く者たちを表現することの方に重きがあったように感じました。

そんな彼らを豚に例えていましたが、ブーブーのハミングで君が代を歌うことによって、太平洋戦争が愚かしく誰かの欲望によって遂行されたことがよく分かりました。

豚になりたくない男も、生活のためには社会の流れに妥協せざるを得ないのが実情です。卑屈にもなりますが、一方で心に素直に生きるのも人間で、豚と人間の差なんて実は無かったのですね。

空襲時に恐怖の気持ちとともに湧き起こる一種の高揚感が、空襲が終り命が助かったことが分かった後の脱力感に変わる様を、OFFOFFシアターの鉄窓を開けて外の光と喧騒を取り込むことで表現していました。

ところで、白痴の女性が話すときにエコーがかかっていましたが、どのようにしていたのか不思議でした。
国家婚活支援法

国家婚活支援法

ジャイアント・キリング

しもきた空間リバティ(東京都)

2010/10/15 (金) ~ 2010/10/17 (日)公演終了

満足度★★★★

とにかく、アイデアと題名がいい!!
盛況でした。結婚にはきっかけも必要ですね。

ネタバレBOX

今日成立して施行された法律に従って自衛官が屋形船に乗り込んで、ピストルで威嚇しながら、そして時々威嚇発射しながらカップルの成立を迫るので、結構迫力がありました。

ともすれば単調になりがちなシチュエーションですが、ネタ作りも兼ねて逃走して逮捕されたお笑い芸人がいたり、カップルが成立したりしなかったり、主夫志望の男と性格のきついキャリアウーマンの組み合わせができたりと、工夫の跡が見受けられました。

お見合い企画会社の二人もいい感じでしたね。

ただ、成立した全てのカップルがいちいち書類にサインして印鑑を押していたのは長ったらしく飽きが来ました。せめてサインだけでも良いのではと思いました。
OTOなOTO  おとなおと

OTOなOTO  おとなおと

大川興業

ザ・スズナリ(東京都)

2010/10/15 (金) ~ 2010/10/18 (月)公演終了

満足度★★★

暗闇演劇…、
最初から最後まで暗闇の中で…、

ネタバレBOX

行われるのかと思っていましたが、そうではなく、時々明るい中で行われました。

明るいときには阿曽山さんのイエスの反対、ノー・キリストの姿が見られましたが、どうせなら全編暗闇の中でやってほしいという気もしました。

ブラックキリスト教と黒密教の哲学的戦いも良かったですが、光る局所による肉体的戦いもくだらなくて良かったです。

大川総裁、久しぶりに拝見いたしました。
カズコと、天使

カズコと、天使

さるしげろっく

テアトルBONBON(東京都)

2010/10/14 (木) ~ 2010/10/17 (日)公演終了

満足度★★★

あるがままを、
一つの絵画を通して描く現在、過去、未来の話。こう宣言していることの功罪が少し感じられました。

ネタバレBOX

過去は現在へのきっかけであるビッグバンか、昨日の様子のような感じなのか…、「飾られた…」とあることから、絵画が持ち込まれた経緯、どんなきっかけがあったのかと楽しみになります。

未来の話があるということは、現在の様子が続くということです。現在の話は建物を取り壊すことについての会議のシーンで始まりましたが、建物を残すことに決まっています。結果は分かり切っています。

過去の話は女流作家と売れない絵描きの夫の話。女流作家の気持ちを考えると、いつまでもこの風景が続くような気がしました。というか、未来は過去からの続きですが、さらに未来に続いてほしいなと思いました。

未来の話は、盗賊かテロリストか、そんな組織の人間が逃げ込んでたてこもる話でした。未来には続かない一日、最後の日を表現するにはこうしないとだめだったんでしょうか、強引な内容でした。絵画を破り、建物を爆破させました。

女流作家の気持ちを考えると残念ですが、未来永劫まであると思っていた大木も落雷で枯れてしまうこともあります。大風で倒れた古木もあります。

物には始まりがあり、終わりがあります。悲しいけれど、あるがままを受け入れました。
口笛を吹けば嵐

口笛を吹けば嵐

ピーチャム・カンパニー

イワト劇場(東京都)

2010/10/14 (木) ~ 2010/10/20 (水)公演終了

満足度★★★★★

お芝居大好き感一杯!最高!!
社会の裏側の方にいる大人と若者たちの物語、新境地!!

新鮮な驚きを目の当たりにするためにも、これから観る人はネタバレBOXを見ないでください。

ネタバレBOX

客席に入ったときからいつもと違って、いつもと言ってもシアターイワトは2回目ですが、舞台の位置が逆じゃないかと感じました。パンフレットには「三文オペラ」を参考にしていると書いてあって、オリジナル本公演というイメージがあったので少しがっかりしましたが、始まると、道路側のシャッターが開いて役者の登場とあいなりまして、もういきなり楽しくワクワクしました!

誰にでも楽しめるお芝居、それにとんがったワルと金持ちの娘の恋物語というのが「三文オペラ」のコンセプトですが、金持ちの娘の方は俳優養成所を装う人材派遣業の社長の娘でした。この会社は、役作りの実践と称して若者を騙して飯場や事務所などで働かせるあくどい会社ですが、実に頭いいですね。

商売も兼ねて、幻の弟を探す旅に出ようとする旧来型のワルのケンさん、とんがった若者金山、社長の娘が揃って始まり始まりーでした。

金山役八重柏泰士さんの尖ったナイフのような演技は秀逸でした。

途中も、シャッター開けたままガンガン音楽流したり、人や物を出し入れしたりするので、道を歩く人がこちらをチラ見したりしてめちゃ楽しかったです!

スナックの場面、刑事の離婚式で歌ったワダ姦(ワダタワーさんと藤尾姦太郎さん)のカラオケ「乾杯」は最高でしたが、フルコーラス歌ったりするので、上演時間は休憩10分を入れて3時間でした。

誰も死なないのかなと思っていましたが、裏の世界は決してそんなこともなく、緊迫感が溢れていました。

初日のためか、台詞が入っていないように感じた箇所もありましたが、社長の娘が会社を劇団に約款変更して、いきなりブラジル公演すると言い出すなど、ラストは演劇大好きをアピールして大団円。
ブリテリ・マイルーラ GOLD

ブリテリ・マイルーラ GOLD

はちみつシアター

劇場MOMO(東京都)

2010/10/13 (水) ~ 2010/10/17 (日)公演終了

満足度★★★

楽しいショータイム!
個人的追っかけもいるみたいで、掛け声も掛かっていました!!

ネタバレBOX

お芝居のラストを飾るダンス・歌謡ショーはこの作品から始まったとのこと、スナックでのショータイムですから流れとしてもすんなりと納得。

スナックの客寄せのためにダンスショーを計画し、そこに集まった傷ついた者たち。薬中毒の女性カップル、ガングロ娘、売れない女優、親のDVをトラウマに持つ女性、夫をオカマに盗られた妻、当のオカマ、オカマのマネージャー的女性たちに、ママさんとバーテンダー、ダンサーが加わって練習し、悩みを打ち明けたり、事件もあったりして、ラストのショーへなだれ込んでいきました。
窮する鼠

窮する鼠

JACROW

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/10/12 (火) ~ 2010/10/17 (日)公演終了

満足度★★★★

三本目の『リグラー』が強烈!
短編が3作品、全員が2~3作品に出演し、様々な表情をみせてくれました。

ネタバレBOX

敗者復活というテーマにあまりこだわる必要もなく、3本の短編を十分堪能させて頂きました。

澤井裕太さんのいんぎんなホテルマンとシャイな好青年や、菊地未来さんの文学好きの派遣社員とやつれた奥さんも本当に同じ人かと疑いたくなるほどの好演技でした。

福原冠さんの助けを求めるような目の動き、谷仲恵輔さんの成績が悪くて追いつめられていく社員の様子は秀逸でした。今里真さん演じる課長の、真に迫った追いつめ方も強烈で、ああ嫌だ、こんな会社には行きたくないと思ってしまいます。

私がいびられたようなあまりにも強烈な印象を受けた反動でしょうか、帰りに中年のサラリーマンに傘の持ち方がなってないと注意して、正しい傘の持ち方を懇切丁寧にご教授申し上げました。

『きぼうのわだち(改訂版)』 同じ劇団にいたことがあって、今や売れっ子になっている男と女の結婚式に呼ばれた昔の仲間たち。みんな彼や彼女と付き合ったことがあり、セフレとして付き合っていた助監督を除き他の者は振られたことが判明。しかも、案内には、招待状でなく挑戦状と書かれていたために披露宴で何をやらかそうかと相談していると、新婦の兄が来て、自分が案内状を作成したというのを聞いて少し拍子抜けして、ちゃんちゃん。

『LoveLetter from …』 シラノ・ド・ベルジュラックの日本版って感じの作品。愛のささやきは今やメールです。矢作似の友人のためにシャイな小説家志望の青年が文案を作っていましたが、複数で会ったときに女性と青年はそれぞれが好印象を持ちました。最終の告白メールの返事に、女性は正直に書きましたが、友人がけがで入院してしまいまだ読んではいません。でもいずれ二人は上手くいくのでしょう。

『リグラー』朝会の席で営業成績の悪い男を責める課長。いびり方は強烈で、床を這わせたり、反省文を書かせたりして、それを見ている別の部下二人はまたかという表情をしています。男にコーヒーを持って来させますが、コーヒーは手元に無く、別の部下が持ってきてあげたり、本社から来た社員は別の二人とは名刺交換するのに男とはしません。ふむふむ、何か変だぞと思っていると、病院から抜け出してきた男の妻が来て、夫とお腹の赤ちゃんを返せと課長に迫ります。男は自殺していました。朝会での男の姿は課長の妄想でした。そして毎朝同じことを繰り返していたのでした。何とも怖くて素晴らしい!!
友達が全員死んだ

友達が全員死んだ

チェリーブロッサムハイスクール

ザ・ポケット(東京都)

2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

急展開に感嘆!!
感動の終盤のシーンには目を見張るものがありました。

ネタバレBOX

舞台上で小道具が何も動かないで、いきなり役者があっ揺れている、地震だと言われても、何のこと?と思ってしまいます。揺れに弱いといって倒れこむシマモリにも、ラストに繋がることは理解しますが、唐突な感じを受けました。

友人代行サービス業のシマモリが今回派遣した人たちは皆素人ばかり、これはまあ偶然ありうるでしょうが、なぜ一流商社マンがパンチパーマなんだろう、これはどうもおかしいぞって思います。

トイレに近い男の動きや、見ず知らずのはずの男女の会話が次第にかみ合い始め、椅子の配置が変わってきて、遠足の風景になってきたり、掃除のおばちゃんがバスガイドさんになったりして、その急激な展開に驚かされました!

小学生の遠足のときにバス事故で同乗者を全員亡くしたと思ったシマモリはその時の記憶を失くしたまま大人になっていたのですが、生き残っていた同級生たちが事故は彼のせいだけでは無かったこと、亡くなったのは新婦の姉一人だけだったことなどを説明してトラウマを取り去ってあげて、みんなで新郎新婦の結婚を祝おうと仕組んだものでした。

幽霊物ではなく、現実の世界でこの不思議な光景を表現できたことに感じ入りました!!
ラストシャフル

ラストシャフル

東京ストーリーテラー

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2010/10/07 (木) ~ 2010/10/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

ジーンときました!
とても良くできたストーリーで、感動しました!!

ネタバレBOX

途中から野球チームの人たちが全く出て来なくなったなあ、鍵屋さんが鍵を取り替えてもお金を受け取らないのは何か変だなあ、そもそもいくら付き合いが少ない家だからといっても、長男の顔ぐらい知っているよなって思っていました。

最近来ないねと言ったときに後ろの窓にぼーっと顔を出したのもおかしな表現だなあと思い、あのスナックが見当たらない、商店街で見掛けないで、あれって気付きました。

「笠地蔵」のような話でした。

交通事故で亡くなった彼らが、彼らの慰霊碑建立に三千万円を寄付した金持ちの重吉さんの家で、長男が重吉さんをベッドと壁の隙間に閉じ込めて衰弱死を仕組んでいることを知って、心の荒んだ恭平を派遣して重吉さんの窮地を救い、最終的には二人を、いや長男も含めて三人の人生を救おうとしたものでした。

自分の意志で盗みに入ったと思っていた恭平ですが、実はそうではなかったというところが素晴らしいところです。感動しました!!
僕の彼女はスナイパー

僕の彼女はスナイパー

演劇部隊Chatter Gang

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★

やっぱり撃たれたのは警察庁長官でした!
女性刑事の元気ハツラツさが良かったです!

ネタバレBOX

そこそこの年齢の男優さんたちは少し抑えた演技でゆったりと、一方、二人の女性刑事は元気ハツラツで可愛くて、いい具合にバランスがとれていました。

女性公安刑事の妄想シーンも楽しむことができました。

事件のシナリオを作り、犯人を仕立て上げる公安の手法は、最近の検察のお仕事と全く同じです。

闇の組織から交換殺人のノルマを押し付けられて警察庁長官を狙撃した女性、真に狙っていたKRS(カラス)という団体の男、犯人になろうと努力してなり切れず警察を去っていく巡査、彼らの悲しみを織り込んだ切ないケーサツドラマでした。
Project BUNGAKU 太宰治

Project BUNGAKU 太宰治

Project BUNGAKU

ワーサルシアター(東京都)

2010/09/30 (木) ~ 2010/10/10 (日)公演終了

満足度★★★★

緊張感があって濃密で
競演、競技でもあるため、緊張感のある濃密な20分×4本+トークの20分でした。

ネタバレBOX

20分という制約の中で太宰を語ろうとすると、太宰を象徴する行為を表現するので少し重なったところはありますが、ここ1、2年の太宰をモチーフにした舞台に描かれていたことも思い出したりして、あまり太宰を読まない私にも、太宰が薬物に溺れていたこと、精神病院に入ったこと、盗作騒動を起こしたこと、心中未遂をしたこと、人間皆そうですが内面に明るい面、暗い面を持っていたことなどを知ることができました。

金魚鉢からビニール袋という狭い精神病院に入れられて、またそこから金魚鉢に戻されても、金魚鉢という世間自体が舞台全体からみると何て狭い空間なんでしょう。女性が演じていましたが、金魚鉢の中でひょうきんな男や慎重な男たちが、太宰の心の中でああでもないこうでもないとガラスにぶつかっていたんですね。

総天然色的オールスター総動員、少し緊張していましたか。小説にはモデルがあるのは当然ですが、人の振り見て書けってんですよね。人の日記は文章表現ですから、許可も取らずにそれをまとめるってのは、そりゃあ誰もが素晴らしい作品に仕上げる能力があるとは言いませんけど、やはり太宰の行為はルール違反って言われても仕方ないですね。福寿奈央さんのキリッとした演技が光っていました。

金にルーズで家に帰らず女と遊び呆ける夫、子供に八つ当たりしそうだった妻でしたが、ひょんなことから小料理屋で働き始めるようになって明るくなって、なんかこちらも楽しくなりましたが、元々夫と知り合う前から明るかったのでしょうね。自分を大切にしたいものです。

田舎から出てきた金持ちのぼんぼんが、利用されて、薬物やって、心中未遂して、悪びれて、そして冷静に見ているもう一人の自分がいて、薬物は止められないものなんですねというのは、この間、田代まさしさんのトークショーに行ったばかりだったのに、その後逮捕されちゃったりして、私は煙草を4年前に止めましたけど、煙草を止められないような人が薬物を止めろなんて言っているのが可笑しくて、言うなら煙草を止めてからにしろって、それくらい止めるのは大変なんだから、人間失格にならないためにも薬物には手を出すなってことで、時代は変わって煙草もかっこいいものじゃないから吸ってない人は今更手を出す必要はないですよと。

トークショーの小夏さん、茶系素敵、ブーツ素敵でした。原きよさんの朗読は空気を一変させましたね。江戸弁っぽい迫力がありました。原さんから原きよ賞を言い渡されたときの、谷賢一さんの予想外で驚いた顔が印象的でした。
ルンバDE東西線

ルンバDE東西線

ポリタン煉瓦亭

劇場HOPE(東京都)

2010/10/07 (木) ~ 2010/10/10 (日)公演終了

満足度★★★

ゆるーい会社
ブルーの横線の入った白いワンピース、東西線だー!!

ネタバレBOX

薬師方向とか、どこどこ方向とか、地名を入れることで中野を強調していました。

大柄なというだけがそれらしいアンドロイドは必要だったのでしょうか。お姉さんの記憶が一部引き継がれているといっても、彼女を追いかけなさいとアドバイスしただけです。当然、横領犯として追いかけなければならないのだし、結果も、彼が彼女を見つけたわけでもありませんでした。

業務上横領を犯した彼女を採用し続けとうとする社長さん…、毎月少しずつ返済させるのでしょうが、そのまま経理を続けさせるのですか。小さな会社ではそもそも事件が起きたときから資金繰りがおかしくなっているのではありませんか。田舎に帰って農業をしようとする同級生にお金を貸そうとした社長さん…、そんなにお金持ちなのですか。

ゆるーい体質です。

そもそも、ベトナム土産の半開きの箱がずーっと置かれっぱなしだったことに納得がいきませんでした。横領を調査するために帳簿を突き合わせようとするときには片付けるでしょう。せめて箱を閉めてテーブルの隅に置くでしょう。緊張感が失せてしまいました。

何もかもがゆるーい会社でした。
ペーパーカンパニーゴーストカンパニー

ペーパーカンパニーゴーストカンパニー

劇団6番シード

萬劇場(東京都)

2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★

新聞社の緊迫感が伝わる中、
締切までの短い間に、色々なことが同時並行的に起こりました。

ネタバレBOX

編集長のハワイ旅行断念で始まり、またハワイ旅行断念で終わるのが面白く、ちょっとした芸能ネタが以前追っかけていた経済ネタに結びついていく過程にはドキドキしました。

記名記事を書く記者の真剣さも伝わりました。

髪がふさふさしていると自称する高校生には笑いました。実写版コナン役にピッタリの逸材です!!

ただ、基本的には私のあまり好きでない幽霊物です。妻への思いという程度なら良いのですが、ヒントを提示することすら通り越して、憑依して事件について直接話をするというのは安直すぎるように思えました。

霊感があるような、幽霊が存在するようなアフタートークにもがっかりしました。何かを起こすには必ずエネルギーが必要です。

カップラーメンに野菜を入れるって、もやしに熱が通るのでしょうか!?こんな投稿記事が載る程度の不思議さがちょうどいいんですね。
神様に一番近い場所

神様に一番近い場所

LIVES(ライヴズ)

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/10/06 (水) ~ 2010/10/10 (日)公演終了

満足度★★★

ヒーローになりたい
真面目な祭りの儀式は面白くて良かったです!

ネタバレBOX

ヒーローとはピンチのときに救ってくれる人のこと…、みんなヒーローになりたい気持ちがあって、そんなチャンスが突然訪れてきたら少々汚い手を使ってでもヒーローになりたいと思ってしまう人間の性が引き起こすコメディ。

尻穴祭という名前のお祭りでバナナ神輿が練り歩くといえば、ディレクターでなくても色々想像します。期待して、何かを言わせたい放送局側と、神聖な祭りと考えている地元の人々の、噛み合わないテンションの温度差が面白かったです。

祭りの前夜祭の儀式は最高でした。バナナを食べたり、皮を投げたり、皮の上を渡ったり、おごそかにすればするほど笑いました!

一応の説によると、アメリカ人が発音したバナナをベンアーナと聞いて、便穴では如何なものかということで尻穴となったということでした。神輿に関しては、かつて貴重品だったバナナを奉ったもので、純粋な気持ちの表れでした。そして、バナナ神輿の上に乗る猿形と呼ばれる人が祭りのヒーローになるわけです。

猿形の代役を選ぶ選挙運動で、町内会長さんの娘婿を韓国人と勘違いして韓国語で挨拶したりしたのは楽しいのですが、ヒーローになりたい気持ちは分かるものの賄賂を使う人が二人もいたのでは明るさは半減してしまいます。

医者を継がずに東京へ出て、ラッパーになっている会長さんの長男がもう少し鍵を握っているのかなと思っていました。町の子供の方がラップが上手いのにも笑いました。

部分部分は良かったのですが、全体としての感動があまり伝わってこなかったように思えました。
気付かない奴は最強

気付かない奴は最強

箱庭円舞曲

駅前劇場(東京都)

2010/10/06 (水) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★

緊迫感のある進行で、
どこにでもいるチンケな男たちを巡る出来事や事件がシニカルに展開されました。

ネタバレBOX

30分間劇団の歴史を説明していた役者さんは、始まってすぐ女性に振られて自殺して退場とシュールな出だしでした。

場所は出会いの場を企画するサークルの事務所。緊迫感のある進行なのですが、幹事の一人でルールに厳しいようで会員と肉体関係を持つ男がいたり、別の幹事でモテないと言っては会員を襲う堀之内という男がいたり、気が付けばチンケな男たちでしかないことが分かります。

コンサルタントを装った男がしでかした事件も、凄い経済事件かと思いきや何ともチンケな名簿泥棒に過ぎず、その男に手を貸し、堀之内臭いと言われて捨てられて、消臭スプレーを体中に振りまく女性も憐れなガス人間第1号でした。

今どき名簿を鍵のかからない戸棚にしまっていたり、パソコンのパスワードも使っていないような、そんな管理体制が悪いんだし、自業自得だし、元々パッとしない男たちだから、被害額が大きくても開き直りの精神で頑張っていきましょうって、それしかないということでした。
『三姉妹の罠』

『三姉妹の罠』

8割世界【19日20日、愛媛公演!!】

テアトルBONBON(東京都)

2010/10/06 (水) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★

長女がとても良く、
最初からくすくすとさせられ、楽しいコメディでした!!

ネタバレBOX

茶の間を舞台にしたドタバタコメディ、長女の動き、顔の表情が活きていて、全体を牽引していました。

劇中漫才も良かったです!!奥さんのテンションの高低差は最高です!

次女が漫画家をやめたい理由は何となく。今回のドタバタ騒動の原因ですから、他人には何となくと言っても、その裏には理由があるのだろうと思います。もう少し本人の心情が伝わったらなあと思いました。

三女のキャラが薄いのが気になりました。だからこそ、何かに手を出して中途半端に終わるのかもしれませんが…。次は何を目指すのかなと期待を持たせる設定はいずれ続編の予感もします。その時はまた、父親はどこかに行っているんでしょうね。

人違いによる誤解はその都度決着がついていたようで、誤解が誤解を呼びハチャメチャにというまでには至らなかったように思えました。

長女と次女との会話で、次女の社会的責任を意識したような表情は素敵でした。

コメディが中心とはいえ三姉妹の物語ですから、テーブルを挟んで三人がしっとりと話すシーンが欲しかったと思いました。

三姉妹の関係の背景となる家業の鰻屋の雰囲気、匂いが全く届いていませんでした。長女は単に結婚できずに実家にいるのではなく、家業を手伝い家をまとめているという役があるのですから。

このページのQRコードです。

拡大