雨模様の観てきた!クチコミ一覧

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国民の生活

国民の生活

ミナモザ

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2012/08/01 (水) ~ 2012/08/06 (月)公演終了

満足度★★★★★

徒然なるままに
等身大の人間の話、良かったです。

ネタバレBOX

FX取引を怖がっていた男が、ゲームとはいえFXのシミュレーションゲームに熱くなってしまう人間の愚かさ…、売春してお金を受け取らない女性とその不自然さが理解できない男…、働くことが嫌いな自称詩人のヒモ男と、ダメ男と理解しながらも離れられない女…、その女が原発反対デモに参加してみようと考えて首相官邸まで来たものの決心がつかないでいると、崖を飛び降りるとその後に羽が生えてくるとの言葉を聞いて勇気をもらう話…。

羽が生える前に地面に叩き付けられた人間は、気の利いたコメントは一生できないもんね。

客からお金を取らなくても、事務所にはお金を入れないといけないし、そこまでボランティアやるのかしら。

キコの小栗剛さんが書いたという詩は素晴らしかったですね。舞台が四角だったこともあり、まるでリング上で詩の戦いをしているような感じでした。
ファミリー・ウォーズ

ファミリー・ウォーズ

天才劇団バカバッカ

ザ・ポケット(東京都)

2012/08/01 (水) ~ 2012/08/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

話も、
役者さんもてんこ盛り!

ネタバレBOX

10分の休憩を入れて2時間40分ぐらいだったでしょうか。すごく長かったんですね。

白石家と黒川家の家同士の争いに、本当は元々惹かれ合っていた両家の二人、子供の頃に二人の恋路を邪魔した赤城家の娘、阿佐ヶ谷でASG4というアイドルグループが誕生した謎、時空を飛び越えてきた犯罪者と彼の目的、時空犯罪者の逮捕ともう一つの目的を遂行しようとする捜査官、こんな話がてんこ盛り、俳優さんたちも人形を入れて40人とてんこ盛り。

誰が時空犯罪者か推理して、思わぬどんでん返しがあったりしてサスペンス的面白さもありました。絶対領域を禁止する法律が将来できるのは嫌ですね。

赤城美香役の長谷川瑠美さんが騒動が起きる前の大桃さんみたいに可愛くて、空気が読めずに説明会の最中に一人で喋り出すところなどは大好きなシーンでした。
少女仮面

少女仮面

劇団俳小

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2012/08/01 (水) ~ 2012/08/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

綺麗!
豪華絢爛、美しい。

ネタバレBOX

加納幸和さんの演出のためか、春日野八千代はド派手で歌舞伎風な着物姿でした。黄色い足袋など素敵でした。

奇妙な地下空間、男を女が演じ、女を男が演じるなど面白い作品ではありますが、SMめいたという部分が感じられなかったため、当初抱いていたこんなの観てもいいかしら感は全くありませんでした。

満州で活躍していた頃から24年、甘粕大尉との思い出から24年、戦後24年として昭和44年頃の設定でしょうか。愛と肉体にこだわり続ける春日野ですが、満州時代のファンの少女からは肉体は届けられず、現在の醜悪な顔を突きつけられました。

しかし、現在なら50過ぎで活躍されている宝塚出身の女優さんも多いわけで失礼な話ですね。

春日野に突きつけた顔は写真を拡大して切り抜いただけのお面というか平板な紙で、再現ドラマでも見ているようで何とも陳腐でした。春日野は歌舞伎風な化粧をしていたのですから、立体感のあるお面に白粉を塗ったりして作った方がインパクト、アングラ感があったのではないかと思いました。

ボーイ主任の宝塚風容貌と演技や、腹話術師と人形の関係など素晴らしかったです。人形がドスの利いた男言葉に変貌したりするところは秀逸でした。
カンガルー

カンガルー

世の中と演劇するオフィスプロジェクトM

Space早稲田(東京都)

2012/08/01 (水) ~ 2012/08/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

カンガルー然り、ゴキブリ然り、
分からないけど、分からないなりに面白かったです。

ネタバレBOX

牛のような動物は気ままに動くので危険が伴います。二本足で立った者はリスクに気付くようになります。そんな知恵を付け始めたら殺さなくてはなりません。

港で刺し、家に押し掛けては刺し、とにかく攻撃は最大の防御なのです。知恵が付くと弔いみたいなことも始めます。人類の存続のためには、知恵を付け始めたカンガルーは邪魔なのです。

芸能界然り、出た芽は摘んでしまうか、自分が出ずっぱりになって他人の入り込む余地が無いようにしておかなければなりません。

突如舞台に登場したゴキブリも然りです。役者よりも注目を浴びるなどといったことがあってはなりません。男はロンドンオリンピック柔道女子57キロ級松本薫選手金メダルの新聞でパシっと殺しました。娼婦がビックリしてキャッと声を上げていましたが、男の臨機応変な対応、そしてその後の進行はお見事でした。

保険のパンフレットは色画用紙を使って抽象的な表現をしていましたが、新聞は具体的過ぎました。新聞紙も抽象的な表現にしてほしいと思いました。
クリンドルクラックス!

クリンドルクラックス!

石井光三オフィス

世田谷パブリックシアター(東京都)

2012/07/28 (土) ~ 2012/08/05 (日)公演終了

満足度★★★

子供向けでしょう
子供向けとしては面白いと思いますが、大人が楽しめるというキャッチフレーズにはどうしても生ぬるさを感じてしまいました。

ネタバレBOX

いじめっ子、 いじめられっ子、いじめっ子にくっついている傍観者に、家族、地域の人々が絡んだ話。

小学生を表現しようとするせいなのか、稚拙なのか、初っ端から主役のラスキンの棒読みにはがっかりしました。

いじめっ子というよりはワルガキでした。いじめは町中のみんなが知っているので最悪の事態には至らないという安心感がありました。

謎の怪物は本当にいました。お父さんが動物園に勤めていたときに持ち出したワニの赤ちゃんが大きくなって、下水道を棲家にしながら夜な夜な徘徊していたというのが真相でした。ラスキンはワニと戦いましたが、退治するのではなく徘徊しないように言い聞かせたところが優しくて、その経験が勇者のお芝居にもアドリブとして活かすことができて良かったね。
浮遊するfitしない者達

浮遊するfitしない者達

劇団TEAM-ODAC

紀伊國屋ホール(東京都)

2012/07/26 (木) ~ 2012/07/30 (月)公演終了

満足度★★★

どっちがどっち
たくさんの浮遊する者たちが出てきました。

ネタバレBOX

引きこもりの大学生が自殺未遂をし、生還する話。

幸せになるためにはこんな世界からおさらばした方がましだと考える天使、生地獄を味あわせるために生かしておいた方がよいと考える悪魔、発想が面白いですね。

がれきが積み上がったような無味乾燥な現実と具体的なイメージで彩られた脳内景色の無人島…、周りの人の言葉を受けて専制君主でいられる無人島から現実に戻りましたが、恐喝男なども意識不明の自殺未遂者を前にしてまた恐喝するぞと言うはずもなく、そりゃ謝りたいとか友だちになりたいとか言うわなとは思いました。

死神のフライングじゃ死神に失礼です。結果はどちらでもいいと思いました。それにしても、普段着でベッドに横たわっていたのは如何なものでしょうか。

もう一人の翼の目が素敵でした。
さんさんロード

さんさんロード

劇団C2

萬劇場(東京都)

2012/07/25 (水) ~ 2012/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★

ラストが残念!
ドタバタ、ドタバタの繰り返しがテンポ良く面白かったですが、ラストは古臭い感じになってしまいました。

ネタバレBOX

地方の旅館を巡るテレビ取材のドタバタ、地元有力者の浮気騒動、料理長家族の修復劇が一緒になったコメディ。

ラストの15分、特に最後の10分ぐらいが残念でした。

キター!の声で離れから戻ってくる有力者のおじさん、キター!の度にヒーヒー言いながら走ってきて、その度に少しずつ浴衣がはだけていくのが面白くて笑ってしまいますが、笑いの余韻に浸りながら次のキター!で大笑いしようと待っているのに、料理長の話が一区切りつくまでキター!が無いのでクスクスが収まってしまいます。あそこは間髪いれずに、料理長のしんみりした話をぶち切るようにキター!を持ってくれば大爆笑になっていたと思いました。

それでもテンポ良く進んでいたコメディでしたが、最後の料理長家族のシーンは冗長で、何かありふれた古臭い人情喜劇になっていました。ドッカーンドッカーンと行って、どさくさの中で料理長家族がまとまっていく、そんなスピード感がほしかったです。
小鳥遊さん、29歳、レズビアン

小鳥遊さん、29歳、レズビアン

Island

遊空間がざびぃ(東京都)

2012/07/26 (木) ~ 2012/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

結構重たい
真摯に、レズやゲイの恋愛を描いていました。

ネタバレBOX

前説の低い声を聞いて、その時点で結構重たいなあと感じました。

レズ、ゲイ、バイセクシャルの恋愛の日常を描いた話。カミングアウトしている人、できない人がいて、色々事情があって、なぜ男と女がいるのかを考え、個々の恋愛を真面目に描いていました。

上手くいかないことばかり、ゲイだから?、レズだから?、いえ人間だから。基本そうですね。

何気ない世間話の中で、笑いながらも傷ついている表現が素敵でした。
IST-イスト-

IST-イスト-

nitrock

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2012/07/27 (金) ~ 2012/07/29 (日)公演終了

満足度★★★

永遠の美少女
久保亜沙香さん健在!

ネタバレBOX

表紙を飾る権利を得るために、グリム童話のキャラと日本人一人が組んでチームを作り、チーム同士が戦闘能力が無くなるまで戦うというのは表向きで、何かの陰謀が隠されていた…、のですが、陰謀の内容が良く理解できませんでした。

白いグリムの子孫と黒いその秘書、どちらが正義か判然としないところが良かったです。青年に、恋人と母親のどちらを助けるかの究極の選択を迫る…、恋人は久保亜沙香さん、母親はシンデレラ、まるで心理テストのようでしたが、青年の成長のためにはこれがやりたかったんだろうなと思いました。

どちらも救うー!と叫んでいましたが、これが現実に戻っても告白できず、シンデレラにまだまだねーってな感じで言われる所以なんですね。

インターネットが流行り初めの頃、写真集の写真がよくアップされていた久保亜沙香さん、ロビーには永遠の美少女と書かれたスタンド花もありましたが、本当にちっとも変わっていませんでした。目の前に立たれて、素敵でした!

現在は歌の活動もされているというのに、路上ライブの様子がバックの音楽に合わせてギターを爪弾く真似だけでは物足りませんでした。
組曲『回廊』

組曲『回廊』

空想組曲

OFF OFFシアター(東京都)

2012/07/19 (木) ~ 2012/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★

少しだけ切ない
回廊とはそういうことかと。

ネタバレBOX

時空の流れが逆になっている男女の出会いを中心としたSF変則短編集。

それぞれは生から死に向かう普通の人生です。ミズキとユウジは生涯に5回遭遇しますが、一方が幼子の頃の初遭遇は、他方にとっては中年になってのラスト遭遇に相当しますので切なさはひとしおです。

ユウジは5人の役者が演じ分け、幼子も吊りバンドを使ってそれらしく見せていたので分かり易かったのですが、ミズキは武藤晃子さんだけで、白い毛糸で編んだショールとかバッグを身に着けて区別を図っていましたが、年齢の演じ分けは不十分に感じました。

幼子からおばちゃんまで何でも演じられる武藤さんなのに、白を基調にしたせいか衣装を変えなかったこともあり、顔や髪型が同じじゃ分かりません。しかも話し方や態度ももっと幼子や娘さんになればいいのにと残念に思いました。

小玉久仁子さんはいつにも増して強烈キャラでした。斜めから見ると目が光っていて、不気味に手足をクネクネさせる様子は、まるで八犬伝に出てくる玉梓のようでもあり、『江波戸さんちのにぎやかなひなまつり』を思い出させました。

SFとは少し不思議の略。少し不思議な短編集…、ファミレスに行っても色々想像逞しくしているんですね。そして自分の記憶も大切にしているんですね。

それにしても、メールの中の「○○ですね。」の「ね」に愛情がこもっているとして、こういうのを足し合わせて求婚されたと勘違いする女性にも困ってしまいますね。

途中、作家さんが小説が書けて書けてしょうがないと言っていました。それくらいの才能の持ち主は、日替わりゲストを呼んでそれぞれにアテ書きをするといった離れ業まで成し遂げていますが、せっかくの日替わりゲストは最後の舞台挨拶では隅っこでした。真ん中に呼んであげるぐらいの配慮が必要だと思いました。もし、毎日のカンパニーが重要で、和を乱したくないというのであれば、むしろ日替わり自体やめればいいのにと思ってしまいました。
Gothic&Lolita Fantasia

Gothic&Lolita Fantasia

黒薔薇少女地獄

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2012/07/27 (金) ~ 2012/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★

川添さん萌!
全体を貫いている黒ロリや絶対領域は素敵でしたが、それほど深みは感じられませんでした。

ネタバレBOX

四つの短編の一つ、 「Gothic&Lolita Fantasia」は総合司会のような内容で、ラストそれらしきお話になるのかなと期待しましたが、終演後の挨拶になってしまい拍子抜けでした。初舞台の女優さんと言っても司会のアシスタントに過ぎなかったのは可哀想でした。

全体が黒ロリの中、猫が黒ロリと白ロリの二毛というのはグッドアイデアでした。その二毛猫がニャアニャア騒いでも人に伝わらないもどかしさは面白かったです。

川添美和さん演じる人形が胸や腹にグイッグイッとナイフを突き刺す度に椅子が微妙に後ろに下がるのはさすがだと思いました。人形は愛されるもので、人形が愛しだすとちょっと怖いですね。
人生(みち)に迷いました。

人生(みち)に迷いました。

遊々団★ヴェール

シアターブラッツ(東京都)

2012/07/25 (水) ~ 2012/07/29 (日)公演終了

満足度★★★

迷い悩んだときには
仲間が大切ですね。

ネタバレBOX

何でも抱え込んでしまうリーダーが次回公演で悩み、劇団スマイルの解散を考えるに至ったものの、芝居の神様のサポートによって危機を脱却する話。

南国風イデタチの主宰を見て全てを理解しましたが、神棚に毎日拝んでいたご利益みたいな描き方は好きではありませんでした。占いにハマった劇団員がいたのも嫌でした。

劇団の方向性で悩み、劇団員、客演みんなで考え、結束し、アイデアを出し合い、この一連の過程をお芝居にしようということでまとまりました。

客演さんたちと飲みに行こうがエチュードだったとは意表を突かれました。確かに空のコップと皿、店員が劇団員というのも納得です。
【公演終了】薄倖の女はスクリーンに夢を見る。【ありがとうございました】

【公演終了】薄倖の女はスクリーンに夢を見る。【ありがとうございました】

映像・舞台企画集団ハルベリー

シアター711(東京都)

2012/07/25 (水) ~ 2012/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★

フィナーレが…
後半からどんどん面白くなりました。

ネタバレBOX

いきなりお姉さんの声が半音高く、しかも口調が姉御風で何これと思い、胃拡張にでもなったのかと思うくらい胃の辺りが下腹部よりも突き出ていましたが、お姉さんは妊娠しているのでした。

もう少し位置を考えないといけませんし、最後まで観てもそもそも妊娠している設定が必要だったのか疑問でした。

それにしても主人公である妹は腹立たしいくらいのドジでした。そして、それなら配達から帰ったら伝票を店長に渡すくらいのルールを作れよと、責任者の管理能力にも腹が立ちました。

前半はイライラしながら観ていましたが、映画「野良太」のイケメン俳優が飛び出してきてから面白くなりました。妹は同一人物の二人から求婚されるなどモテ期を迎えましたが、最後はまた薄幸に戻ったのか、そうじゃないのか…。

そこで、ラストの「Fin」ですが、なぜ「野良太」の「終」を使わなかったのでしょうか。舞台に誰もいない状態での「Fin」では、お芝居の終了としか解釈できませんが、もし「終」だと、彼女が「野良太」の世界、イケメン俳優の許に行ったのかもしれないという余韻が残り、物語全体がより深くなったのではないかと思いました。
僕の中にある静けさに降る、騒がしくて眩しくて赤くて紅い雪

僕の中にある静けさに降る、騒がしくて眩しくて赤くて紅い雪

天幕旅団

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2012/07/19 (木) ~ 2012/07/22 (日)公演終了

満足度★★★★

さもありなん
説得力のあるストーリーでした。

ネタバレBOX

白雪姫の話。

七人の小人は、医者、道化、怒りん坊、引っ込み思案等々の性格を持つ多重人格の少年でした。少年は王女に殺されそうになった白雪姫を助け、森の奥でひっそりと暮らしていましたが、迷い込んできた隣国の王子に生活を乱され、王子に嫉妬したことが白雪姫殺害の動機でした。

解離性同一性障害そのものの存在に懐疑的な私ですが、お伽噺の真相はそうだったのかもしれないと思ってしまうほどの説得力がありました。

しかし、白雪姫は白雪姫、基本的にはお伽噺に忠実すぎる嫌いがあり、その部分を演じているときは退屈でした。

能舞台あるいは小劇場楽園のような客席配置でしたが、役者の位置を入れ替えるなどの配慮があり好感が持てました。
しみじみ日本・乃木大将

しみじみ日本・乃木大将

こまつ座

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2012/07/12 (木) ~ 2012/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

ラストはしみじみ
よくこんなことを思いつくものですね。

ネタバレBOX

みんなから無能呼ばわりされていた乃木大将、天皇に心酔していた乃木大将、そんな彼がこれから殉死するであろう理由を馬の前足と後ろ足が探っていくお話。

馬にも上品な馬もいれば下町職人風な馬もいて楽しく、また前足が偉いとか後ろ足が大事だとか、こっちの方も笑ってしまいました。

乃木大将がはけて、前足から風間杜夫さんが出てきたときはあっと驚きました。うっかりさんでした。その風間さんですが、途中から噛みまくりで吉田剛太郎さんからも突っ込まれ、そんな日もあるとはおっしゃっていましたが、私も非常に不満足でした。ラストシーンで馬を被るときももたもたしていて正直今一でした。

西南戦争植木坂の戦いで乃木希典が軍旗を奪われたことによって、それまで重要視されていなかった、というよりむしろ邪魔者扱いされていた軍旗が天皇の分身の地位にまで高められたこと、そして死にたがっていた乃木を思いやり、不始末の代償として彼の命を天皇が預かったこと、これが殉死の要因でした。

大臣がコメントするときなど日本国旗に頭を下げないと批判される風潮はこのときに作られたのだと思いました。それ以前は、お芝居ではお茶がこぼれたときに軍旗で拭くくらいの扱いでした。それもどうかとは思いますが、旗が偉いわけじゃない、それくらいのおおらかさを取り戻してほしいですね。

乃木は大逆事件の管野スガが乗せられた馬車とすれ違った際に鼻で笑ったそうで、これに怒った赤虻が乃木の愛馬を刺して乃木は落馬したそうな。様々なエピソードを混じえて話は進みます。

宝塚ネタを宝塚出身者お二人でやられると、ホント笑ってしまいます。

大喪の礼の大砲の音が聞こえる中、乃木夫妻が殉死したであろう様子が窺い知れるとき、しみじみしました。

ところで、セリフの中で早急をそうきゅうと発音していました。そうきゅうと言う人も多いのが現実ですが、日本語を大切にしていたと思われる井上ひさしさんのことですから、ここはさっきゅうだろうと思いました。
千に砕け散る空の星

千に砕け散る空の星

ゴーチ・ブラザーズ

シアタートラム(東京都)

2012/07/19 (木) ~ 2012/07/30 (月)公演終了

満足度★★★

どこが
千に砕け散るだよって思いました。

ネタバレBOX

地球に隕石がぶつかるといった程度のものではなく、宇宙の進化の過程で空間に断層のようなものが生じ、強力な空間の歪みが地球に到達して地球が粉々になるというイメージでした。

そんな中で取り上げられたのがイギリスのとある家族…、母親と5人の息子およびその家族等はバラバラで、連絡が取れない息子もいる状態です。次男は17歳で父親になり、その娘も16歳で母親になっていて、イギリスでは少子化の心配がありませんねと言いたくなるような特殊な人たちでした。

案の定、地球が崩壊するというSF的な要素は全く無く、バラバラになった兄弟を母親の許に集める口実に過ぎませんでした。日本なら、父親の法事を前提にして作るお芝居のようなものです。

そして、家族がバラバラになったきっかけや、性癖、性格などを探り合うお話でした。ゲイを取り上げなければ普遍的なドラマにならないという強迫観念でもあるのでしょうか。

そんなことより、地球が粉々になるんならもっとおののけよ、そんな平然としていられるわけがないでしょう。

末期癌で死を目前にしている長男の髪と身体を実際に洗ってあげるシーンは、イギリスでは舞台上で裸を見せなければ客が入らない事情でもあるのかと思わせてくれるようなシーンでした。イギリスではガウンを羽織ったままで立たせて髪を洗うんだと、それはそれで新鮮な驚きでした。丁寧な介護シーンとも言えますが、時間の無駄、こんなシーンはカットして2時間くらいに収めればと思いました。

かつて次男を殺そうとした長男の交通事故の真相が、次男が16歳で妊娠させただらしなさ故ではなく、長男のゲイ的性癖を次男に見られたことによるものだったということだけが、唯一面白かった点でした。
マニマニ

マニマニ

ドリームダン

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2012/07/17 (火) ~ 2012/07/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

緻密な笑いの構成と
ムチャクチャな展開が素晴らしい!

ネタバレBOX

一人二役ならぬ二人一役、それも若いOLの二人一役、面白かったです!

化粧前と化粧後。後半、舘智子さんの方が出番が多くなってしまったので、お口直しにと珠乃さんの水着姿を披露させるサービス振りには、作・演のお心遣いに正直感激しました。ありがとうございました。

そして何よりも、妄想癖娘役の菊池美里さんのボソボソ演技が素敵でした。時々お見掛けしていましたがようやく名前を覚えました。

頭を叩かれたりする金持ちに見えない青年社長、軽ーい45歳、偉そうなアルバイトなどに笑い、完璧な床運動をする犬には驚かされました。

歌やアメリカンジョークの声が消され、こちらの会話に転換されるシーンは心地良かったです。

女の恨みは殺し合いへと発展しもうハチャメチャ、最後は妄想の中のブラピが現実に登場するなんて、それこそ涙で妄想が見えたのかもね。

ところで一つ気になったのは、若い社長がラブホを建てようとしていたことです。いくら個人で自己資金を使って建てるにしても、いずれ会社が本業で銀行借入をする場合に、風営法に該当する職業を営んでいる人と実質同一債務者と判断され、借入できない事態に陥ることもあり得ます。頭のいい社長ですから風俗営業には手を出さないはずだと思いました。
少女教育

少女教育

シンクロ少女

王子小劇場(東京都)

2012/07/19 (木) ~ 2012/07/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

糞切りついた
人は、それぞれの環境、人間関係の影響を受けながら育っていくものですね。

ネタバレBOX

二人のタオ、一人は高校の先生、一人は小説家志望。同一人物だとすると、先生を辞めて自宅にこもるのが順番か、でも先生の方が年配のようにも見えるし…。

クソ男に逃げられた女子高生アヤが双子を妊娠したことが分かったので、二人は別人、そして同い年ということが判明しました。

人間は弱いもの…、その通りですが、それを堂々と宣言して浮気を正当化されても困っちゃいますね。

トラウマがあるのか、強い立場の人間から束縛されていた男が、今度は恋人を束縛する立場に豹変するのも怖いと思いました。

様々な人間関係が、下手、上手、奥の三ヶ所を中心に展開されました。舞台配置は前作と同じ、下手と上手で別々に行われる会話に同じ言葉が出てきたりして交互にしゃべる手法も前作と同じでした。いつも同じだったてことですかね。

タオたちのシーンと女子高生たちのシーンが同時に登場することは無かったと思います。現在と過去が混同することが無かったので整理し易く助かりました。

虚弱体質男も死ぬことがなく、ほっとしました。ソノヤの男気とフォロー良かったです。みんな糞切りがつけられたようで、ハッピーで良かったです。

追伸:クソ男は今でもクソ男してるんだろうな。
墓場にて、竹。

墓場にて、竹。

7%竹

小劇場 楽園(東京都)

2012/07/19 (木) ~ 2012/07/22 (日)公演終了

満足度★★★★

恐るべしNケラバロメーター!
初見が活動休止前の舞台とは…、残念というか、間に合ったというか。

脱力感溢れる小ネタは楽しく、それを演じる個性的な面々でした。

ネタバレBOX

こう見えて初舞台だとおっしゃった女優さん、輪になった瞬間にそんな感じを受けました。視線や雰囲気で分かるもんですね。

皆さん個性的でしたが、特にナポリタン倉島さんが印象に残りました。

そんなに面白いかーと思うくらい、客席にいた女優のNさんが途中までケラケラと大笑いしていましたが、その後は聞こえてこなくなりました。このことが物語っているように、一つ一つの小ネタは脱力感いっぱいでそこそこ面白いのですが、平板なため後半ドッカーンと来るものが無く、身体が慣れちゃったみたいでむしろ疲れました。

Nケラバロメーターは正直です!
神様のいないシフト

神様のいないシフト

芝居流通センターデス電所

駅前劇場(東京都)

2012/07/19 (木) ~ 2012/07/23 (月)公演終了

満足度★★★★

最初の歌が肝心!
当パンで、「神様のいないシフト」という楽曲の歌詞を見ておくのもいいかも。

ネタバレBOX

恋人に悪魔が取り憑いたというところから始まり、その真偽、あるいは誰に憑依したのかなどどんどん展開し、途中あれっ何かいい話などと思ってしまったところもありつつ、最終的にはいつもより軽目ではありましたが、やはり暴力シーンに行き着きました。

今回もミュージカル…、最初の歌で、N県と聞こえたので本質が捉え切れず、コンビニのバイトのシフトぐらいに考えていたのですが、実はF県でした。

ヘルメットが部屋にあるのは除染作業のバイトのことかぁ、部屋の外に積まれている袋は世代を越えて引き継いでいくべき除染作業で出たゴミかぁ、一気に真相が見えてきました。

そして、そもそも都合の良いことを期待するための方便が神様ならば、神様はこの地を去ったわけで、そこに悪魔が付け込んだというのはホラー的には辻褄が合うわけですね。

背景が背景だけに、何となく無気力な、やるせない雰囲気が漂っていました。

ところで、個性的な顔の女優さんは、剛力彩芽さんじゃないですが、ショートヘアーが似合いますね。國武綾さん素敵でした。

いずれにしても、最初の歌のF県のところはハッキリ発音することが重要だと思った次第です!!

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