満足度★★★★★
素晴らしかったです!
本歌取りとはいえ奇想天外な展開、ツボを心得た笑い、凝った手法、そして楽しそうな役者さんたち、素敵でした。
ネタバレBOX
月人の念力光線を手鏡で反射させる技を持ちながら、ついかぐやのスカートの中を覗く誘惑に負けて光線を受けてしまうおバカさ…、団結を謳いながら全員が抜け駆けしている…、そして一人はかぐやのタカピーな要求に応じなかったのかと思っていると、いきなり母親が冷蔵庫を持って現れる…、本当に笑いのツボを心得ていると感心しました。
地球人にとっては何の影響もありませんが、月人は月人に対して顔や容姿を変えたように見せられるという催眠術的変身能力を持っています。ブサイクな母親がかぐやに変身したときは我々は地球人の立場から見ているので容易に理解でき、月人ってバカだねーと笑い飛ばすことができましたが、本来ゴリラのような体育教師が普段イケメンに変身しているという現象は、彼がイケメンに見えるだけにどうも我々も月人の立場から見ているようで、頭が気持良くこんがらがってしまいました。
月の姫だった母親の息子だけがイケメンと言っていて、他の生徒が否定していたことが理解できましたが、この自分の立ち位置を困惑させる凝った手法はさすがだなあと、作・演さんの才能に驚かされました。
姫が生存していたことが分かり、自由恋愛故に逃走したことも明らかになり、留学制度も一週間という短いものではなく、もっと自由に行き来できるようになることも想像できます。月と地球の未来が明るくなってとっても嬉しいです!
そして何より、生徒5人の楽しそうな雰囲気が素敵でした!
満足度★★★★
今泉 舞さんの回
二人芝居で1時間、長く感じさせなかったのはさすが別役作品だと思いました。
ネタバレBOX
男が家の模型を白い服を着た人と、恐らくお医者さんのことでしょう、その人と一緒に作ったと言ったとき、えっ福田温子さんと一緒に作っていたじゃないと思ってしまいました。トシコとヨッちゃんでしたっけ、雪の降る家の軒先での親子の姿、彼の精神状態を知るための原点、思い出のシーンを思い起こさせる重要なアイテムだけに、ブログで公開するのは良し悪しですね。
家は箱庭療法的な趣旨で工作したものでしょう。家の灯りが点灯するようなところまで作り込むはずは無いだろうと思いながらも、家庭の暖かさが感じられる家は綺麗でした。
おまいさん、お前(まい)さん、男は年配ですね。髪を掻き揚げたときの髪の多さに驚き、勉強会とはいえ、おまいさんという言葉と俳優の若さのギャップに違和感を覚えました。
トレードマークとも言える今泉さんの血色の良い頬は印象的でした! でも本当は女も疲れているのかな。
男がビスケットを舐めるとき、舌の白さが目に入りました。他人のことは言えませんが、舌を見せるならそれなりの配慮も必要かなと思いました。
満足度★★★★★
とっても今日的
理不尽だとは思いながら、どちらの立場も分かるだけに辛いです。
ネタバレBOX
砂浜、太陽、ナイフのキラっとした光…、ピストルを発射した理由が分かるような気がします。でも確かに、一発目と二発目の間に間がありました。色々言い訳をすれば理屈が通るだろうにとは思いましたが、歯向かって来たわけでもなく客観的にあのシーンを見れば悪質と取られても仕方ないでしょうね。
母親の死に際して泣かないことが、顔を見ないことが、埋葬の前にタバコを吸ったことが、コーヒーを飲んだことが、非情な人間と決めつけられることに、少し分かるだけに辛いものがあります。
悪い方に、悪い方に進む理不尽とも言える裁判、裁判員制度を取り入れた日本においてとても今日的な話でした。
ところで、バックに音楽が無いならともかく、それに合わせるような、時として効果音を出すためだけのようなギターの生演奏は不要でした。特に、意外な発言でずっこけたときに音を合わせたりするのは、演奏舞台の舞台の一番嫌いな部分を見ているようで、あーあーやっちまったなーと思いました。
満足度★★★★★
ジーンと来たぜ
良く練られた脚本が素敵でした。
ネタバレBOX
教室には座席が13席、誰がどこに座っていたか今でも記憶に残っているくらい個人個人がきっちり描かれていました。
授業中の男子間の遊びが女子に誤解を与えたように、一つの大きな思い出自体が重要な伏線だったという風に構成がしっかりしていました。
地元組と上京組との融合も図られ、また気まずい思い出も水に流され、最後は、この卒業から十余年後にクラスメートを招集する葉書を出したのが誰かという謎解きも解明されました。
そしてこのような秘密めいた素敵な伝統がこれからも続くのか微妙な感じの終わり方も面白く拝見しました。
ただ一つ、町長候補が窓の外に出て、何かを確認しようとした行為は何だったのでしょうか、全く拾われていなかったように思いました。
満足度★★★★
あっちやこっちの方向へ
てんこ盛りでした。
ネタバレBOX
小説の登場人物が作家を悩ませるようなスタートで、何かの二番煎じかと思いましたが、そうではありませんでした。女流漫画家先生に大人の恋を描かせようとする話かというとこれまたそうでもなく、幼馴染がたくさん出てきてどんどん違った方向に進んで行きました。
大人の恋を巡る話かどうかは良く分かりませんでしたが、とにかく酒屋の息子のアドリブ的パフォーマンスが面白くて目が点になって見ていました。一人群を抜いていました。
アカシアの雨にうたれて…♪とは、幼くして亡くなった子供とはいえ彼らの年代からすると古過ぎる嫌いがありました。幽霊と分かったときはちょっと驚きましたが、何がストーリーの目的地か全く分からない展開で何でもありのようになってはいましたが、最後の最後まで幽霊で引っ張る必要性があるのかなとは思いました。
満足度★★★★★
壮大な無駄遣い
今日性のあるテーマを取り上げ、元気一杯の、小ネタも混じった2時間15分にも及ぶ超(長)大作でした。
ネタバレBOX
トーシバの名前がしょっちゅう出てくる…。マイクロビルディングという会社が世界中にビルを建て、そのビルが崩れ出して問題になっている…。世界の終わりまで絶対に崩れないと言われていたビル、逆に言うと、ビルが崩れることによって世界が終焉を迎えるということか…。
崩れたビルの産業廃棄物が捨てられる地下にあるゴミ山、そこで赤ちゃんのときから暮らす少女は内臓がボロボロ…、スラムドッグ・ミリオネアと原発問題を一緒にしたような話でした。
崩れたビルの処理、あるいはビルの積極的処分でこれからも仕事が約束されているマイクロビルディング社、先見の明と豪語されると腹立たしくもありますが、壮大な無駄遣いに引っ掛かってしまった我々の責任でもあり、已むを得ない皮肉な現実ですね。
今回はダンスの一部として走ることはありましたが、ただ単純に走り回ることが無く良かったです。相撲をとったり、走り回るだけだった人が、五歳児の改造人間として活躍されていたのも嬉しく思いました。
満足度★★★★★
膨らんで、真面目で
エネルギーを使い真面目に考えた結果なら応援します。
ネタバレBOX
初っ端から数分間の、署名捺印してよと迫り、なんやかんやと引き延ばす行為の繰り返しは…、離婚は勢いで決めてはいけない、きちんと向き合わなければいけないという終盤の女性向け雑誌の副編集長の話に繋げるための大切な前振りだったと理解はしましたが、何と長く感じたことでしょうか。ベタな繰り返しコントのようでイライラしました。
話は、色んな人が訪ねてきて、どんどん話が膨らみ、まさかの盗聴騒動まであり、作家さんの頑張りが伝わってきました。
そして本筋の方は、二人は時間を掛けてじっくり話し合い、正式に方向を決めたのでした。離婚騒動のそもそもの原因が今一つ分かりませんでしたが、真面目に考えた結果なら、二人の前向きなスタートを応援したいと思います。
副編集長役の江口ヒロミさんは目がキラキラしていて綺麗でした。
満足度★★★★★
面白かった!!
谷仲恵輔さんファンはどんな思いで見ているのかと思うと可笑しくて最高でした。
ネタバレBOX
東京大森在の探偵さんがずっとすだれ越しというのが何とも贅沢というか、それだけで演出の素晴らしさ、遊び心に感嘆しました。
その代わりと言う訳でもないでしょうが、朗々と語る谷仲さんの声には張りがあり、動きも大きくて、逆立ちのサービスまでありました。
探偵さんは事件を解明したのか…、おじいさんの持っていた遺書と点字で書かれた文章を読んだだけ、そして前方の劇中劇というか本編というか、こちらの方で勝手に真相を独白してくれたという感じがしないでもありませんが、姫隠村の消滅した理由が明らかになりました。
一つの村が消えるというので20軒ほどの村人を全員殺したのかと思っていましたが、そこまで酷くはなく、貧しい村の悲しい現実が引き起こした悲しい事件でした。
家督相続の妙味さもあり、全体としてとても面白かったです!
満足度★★★★
やはり重鎮
鈴木瑞穂さんと他の方々の差が非常に大きい印象です。
ネタバレBOX
戦争中の731部隊の陰を引きずりながら医学界の頂点を目指す老医師の話。
浅見光彦シリーズは結論が先にあるのではなく、浅見光彦の出会いに任せて話が進んでいくので、登場人物がやたら多く、頭を整理するのが大変です。
2時間に良くまとめ切りました。
満足度★★★★★
【はたたがみ編】観劇
最近、イライラさせられる芝居がマイブームなのか、イライラしながら、色々ツッコみながら観ていました。
ネタバレBOX
甘ちゃん刑事の歪な公私の話。
ホストに車を買ってやりたいと言う妻に、いくら別れたくないといっても離婚協議中ですよ、150万円も出してやるかぁ。夫は、出世のために妻帯者になることが目的だったということだし、妻は妻で、いくら夫の愛情が歪なものであるとはいえ、収入もないのに、働くのが好きでもないのに自分から離婚を言い出しながらお金は当てにするなんて夫婦ともにへんてこりん。ホストはホストで、車にオプションが付いていないと逆切れしたりして、もうこうした関係の不条理さにイライラしながら喜んで観ていました。
ラストの殺人未遂で捕まったときの叫びは、理不尽さも若干は伝わって来ましたが、やっぱり甘ちゃんの遠吠えでした。
このラストシーンについては、ドキュメント映像で、なぜ夫婦なのに思いっ切り接触しないのかといった意見があったように記憶していますが、完全な夫婦にはなり切れていなかった訳で、ぎこちなさがあって当然だと、これで良かったんだと思いました。
ところで、シーンがテンポ良く展開するので已むを得ない面があるのは理解しますが、部屋の中で座っているのに靴を履いているというのが嫌で嫌でしょうがありませんでした。
また、警視庁捜査二課から四課に異動があったとのことですが、二課と四課の違いについての説明はほしかったと思います。
満足度★★★★★
必要な儀式
七人七様、藪の中のような。
ネタバレBOX
きょうだいが集まり、また散っていく、虚しいけれど必要な儀式。
登場人物は7人、丸椅子が思いっ切り横に九つ並んでいる。客席は丸椅子に近いから端だと見づらいだろうなと真ん中辺りに座りました。中央に長男が座り、向かって左隣にハマカワフミエさん、絶好の位置でした。
父親が母親を殺し家族は崩壊、きょうだい7人はそれぞれ別々のところに貰われて行きました。父親が倒れ、延命処置の有無を確認するために長男がそれこそ20年振りぐらいに招集し、全員が集まったのでした。
殺人の真相が語られます。何となく感づいていたきょうだいもいましたが、虐待から子供たちを守るためでした。幼い頃の曖昧な記憶や養父母からの刷り込みがあると目から鱗、藪の中の一筋の光です。
この時点ではきょうだいには誰も子供がいません。三番目の長女が猫を虐待してしまった程に、多くのきょうだいには過去の虐待の記憶がトラウマとなって残っているようです。そして六番目の次女だけが腹違いであったことが明らかにされました。
父親の実像が明らかになったとは言っても今更感があり、現在の家を大切に考えたり、経済的負担に耐えられなかったり、はっきり言って無関心であったりして協力は得られませんでした。でも必要な儀式でした。
みんなが帰り、長男と二人きりになってから次女は妊娠していることを明かします。産むべきか悩んでいて、父親に会うことで何かが得られるような気持ちになっていて、長男と次女で出来るだけのことをしようとします。
長女が殺された母親の虐待癖を引きずっているのに比べ、次女には私には遺伝的に問題がないという自信のようなものが感じられました。一番下の三女はあまりにも小さかったため母親の影響を全く受けておらず、野島の人間、野島の人間と、何かと現在の姓を強調しているのが面白かったです。
長男にはそれなりの責任感があり、次男は分かったような顔をして、三男はヘラヘラとイジケ、四男はあの当時はやはり小さかったので全くの無関心でした。
そして、その後何らかの結論を得た次女は子供を産み、作家さんが生まれたということのようでした。
満足度★★★★★
良い出来
怒涛の1時間45分。
ネタバレBOX
数ヶ月前に観た同じ原作のお芝居よりも出来が良かったと思います。
数ヶ月前は入院患者のおじいさんビルが浮いた存在のように思えたのですが、今回は18年振りに訪ねてきたテートなどとの掛け合いにも上手く絡んでいたように感じられました。
婦長を車椅子に逆さに乗せるなんて、凄いこともやってのけていました。
ところで、デーヴィッドのグレイのスーツやヒューバートのベストは背中部分が汗でぐっしょりしていました。グレイは汗が目立ちます。ラスト近くでデーヴィッドは上着を脱いでいましたが、あくまでも講演のことを考えている彼ですから上着を着ているべきで、紺系など汗の目立たない色のスーツできっちりやってほしかったとは思いました。
満足度★★★★★
原作がいい
記憶編集アプリが登場するとそうなるだろうなと、原作に説得力がありました。
ネタバレBOX
無料版記憶編集アプリMOBは記憶を保存するだけですが、有料版になると記憶を消去することも可能で、他人や社会との関係で不都合が生じるようになります。認知症の人を相手にするような感じです。
楽しかった思い出だけを再生し続ける行為は引きこもりとも言えます。
恋人の死をきっかけに、主役の彼女は死を知ってからの記憶を消去して、死を知るまでの記憶を再生し続けるようになり、引きこもりで認知症的な、完全に社会性を失ってしまいました。
記憶を消去したという記録が残されているのがこのアプリの救いでしたが、時の経過が苦しみを和らげるという効果が効かないので、復活させる度に強いショックを受けまた消去してしまいます。
記憶の欠如に対する違和感を認識し、事実を受け入れる決心がついたとき、彼女は記憶を復活させ、つらい思いに耐えながら社会に戻りました。
MOBの社会に与える影響は計り知れないものがあったはずです。アプリ制作の是非についての議論や規制の動きが全くなく、メーカーの研究チームに勤務する友人が何の表明もしなかったことに対して少し物足りなさも感じました。
舞台は喫茶店、正面の椅子席の背後になぜ仕切りが置かれているのだろうとずーっと思っていましたが、そこに彼の姿が映し出されたのを見て納得しました。他にも、奥、左右、天井にもプロジェクトによる映像が映されました。誰も座ってはいませんでしたが、最前列の数席だと映像に包まれたような味わいになっていたかもしれません。
初っ端に前面のスクリーンが一部残ってしまった際に彼女が即座に外さなかったことや、舞台の照明が落ちてしまったことなどちょっと詰めの甘さはありました。
満足度★★★★
紗綾さん見たさ
物おじしない普通の18歳でした。というか、18歳になっていたんですね。
ネタバレBOX
天草近辺で活動していた若い海賊たちと、四郎萌の雑誌記者や海賊たちの末裔の元気いっぱいのお話。キリシタン禁止令によって一部は天草の乱に加わり、一部は南の島へ行って海賊を続行、末裔たちも恋に仕事に芸術に頑張っていました。
紗綾さんの本日はご来店ありがとうございましたには大笑い、須藤温子さんの独り言が楽しかったです。
満足度★★★★
そうだったんだ
あのときのあれは何だったんだろう。
ネタバレBOX
『口紅を初めてさした夏』のラストで、ドアがカランコロンと鳴ったのは蓮ちゃんが走って戻って来たことを暗示しているのではないかと思っていたのですが、そうではありませんでした。
7年前の夏はあのまま実母と伴にロンドンに行き、5年前に祖父母の一人が亡くなったため介護も兼ねて長野に戻り、最近もう一人も亡くなり、現在は一人暮らしをしながら高校に通っている清水蓮、17歳ということでした。
あのカランコロンは何だったんでしょう。
一方、スナック響子のママ真知子は新しい恋人との結婚が決まっていて、店を8月中に手放そうとしています。蓮が訪ねてきたのは丁度婚約者とヨーロッパへ婚前旅行に行っているときでした。
店の誰も、あのとき真知子が目黒区役所に蓮の小学校編入手続きに行っていたことを話さず、戻ってきた真知子もまたその話をしなかったので、蓮は全く真知子の思いを知らないままで終わってしまいました。むしろ子供嫌いの真知子という印象を持ったままのようでした。切ないです。
蓮と真知子の小さな幸せを想像していたので、この後日談は観なかった方が良かったのではないかとも思いました。ただし、光籐依里さんの涙は素敵でした。
蓮がいたら真知子の再婚話も無かったかもしれませんし、彼女たちの人生をどうこうできる立場でもないし、『口紅…』初演から二年間彼女たちのことを忘れていたのですから、素直に受け入れます。
ところで、狭いスナックです。ああいう配置ならソファーは壁にピッタリくっつけてフロアを少しでも確保するはずです。ソファーの後ろに人が回ったときに違和感を覚えました。
満足度★★★★
とってもいいのに
なんでそうくるかな。
ネタバレBOX
毛利衛さんともあろう人がなんで幽霊を出してくるかなあ。何かが意思を伝えるにはエネルギーが必要です。幻想であれば見える人の側のエネルギーで済みます。私は貴方の心の中にいると言って去って行きましたが、初めから心の中で処理してほしかったです。あくまでも科学的であってほしかったです。
毛利衛さんともあろう人がなんでオカルトなんて言葉をアダ名とはいえ使うかなあ。途中で女子にモテるかもしれないと思って信じてもいないのに占いができるような振る舞いをしていたとは言っていましたが、それにしても軽率な言葉遣いですね。
憧れが宇宙を目指す原動力とか、地球が自分の顔や姿を見たいために人類を宇宙に飛び出させたとか、とても素晴らしいロマン溢れる発想が根底にあり、宇宙開発には危険が伴うことも示すなどとてもいい話だっただけに悔やまれます。
上手と下手の上部に固定された半楕円球のミラーボールのようなものに反射した光が四方八方に散る様子はとても綺麗でした。
満足度★★★★
究極的な選択
これで良かったと思いますが、切ない話です。
ネタバレBOX
30年前の自分を説得し切れず、凶暴なままの自分に対して俺らしいなと言って二人の一人はピストルを撃ち合いました。
説得できて刑に服するのが理想だったとは思うのですが、無差別大量殺人を悔い改めて死ぬのがいいのか、無差別大量殺人は阻止されるものの凶暴なままで死ぬのがいいのか悩ましい問題です。
彼はあと30年の余命を投げ捨て、自分の心が穏やかになることよりも多くの他人の命を尊重したのでした。
ところで、全体にもう少し垢抜けた感じがほしかったです。神父に30年の歳の経過が全く感じられなかったことへの違和感もありました。また、一般人が短期間に日本国内で何百万ドルものドル紙幣を用意することには無理があると思いました。
満足度★★★★
冥王星人・達
ああそうなのね。
ネタバレBOX
小学生のときに大好きな姉を亡くし、妄想癖に陥った男の話。
冥王星人という不思議な存在はSFかと期待していましたが、男の妄想という形で一刀両断に切り捨てられ処理されました。
それなりに自己完結した世界に入り込んでしまう妄想癖を持つ男が、治療を受けて現実を自覚したという話だと思ったのですが、ラストのハローハロー…の後に再び猫が出てきたのは、現実を自覚して外部との接触を図ったもののやはり孤独で、結局は妄想の猫に安らぎを見出してしまう、即ち再び妄想の世界に戻ってしまったということなのでしょうね。治療法が間違っていたのか、アフターケアーが不十分だったようです。
ハローハロー…は、スタート時もラストもあまりにもしつこくて辟易しました。
女医さんも良かったですが、少年少女が少年少女らしく可愛かったです。ちびまる子ちゃん風黄色と赤は、大人になるとあんな風になるのかと興味深く見比べていました。
満足度★★★★★
【トラックメロウ】観劇
カッカッカッ、やられました。
ネタバレBOX
何がトラック女郎だ! どこが速いんだ! 「どもっ」って感じの冴えない女性トラック運転手。
速いという伝聞だけで、トラックに乗っている人と乗っていない人との間に一般相対性理論が働き、タイムマシーンになるとの発想が素敵。トラックががたがたバックして過去に戻るなんて益々素敵。
孤独な青年の立場からすると、他のツアー関係者が未来のパラレルワールドから現在に来たように思えるのも理解できます。彼らから聞かされる未来の自分はもう一人の自分で、未来の自分が現在の自分を応援していると言っていたよと言われると、何かそうかーって思えてきます。今を生きていて感じる孤独感がスーッと消えて行き、ほのぼのと温かい気持ちになりました。素晴らしい癒し効果です!
しかし、エンジンは掛からない…、青年にはあまり教えたくない事実ですが、現実は何も変わってはいません。青年には将来、あの時はあーだったんだよと伝えてあげたいですね。
前半のツアーコンダクターと運転手との噛み合わない話もイライラさせられ面白く、不手際を極力報告しないようにしようとする体質は日本人的で、最近多発する長距離バス事故の原因もこんなところにあるんだろうなと連想しました。
満足度★★★
破廉恥
まあ、あり得ない先生方でした。
ネタバレBOX
この学校の女子中学生三人と付き合っている学年主任、女性は12歳の誕生日を迎えるまでと公言するロリコン先生、かつての教え子か、女子大生と付き合っている先生、まっこれはいいか、等々、まあふざけた先生方の属性に、おちゃらけ方針だとは思いながらも驚かされました。学年主任なんか完全に犯罪じゃん。
スタートからレッドカード。ですから、どんなに立派な名言を吐いても下半身が丸出しだったら意味は正しく伝わって来ませんよという印象でした。
黒いスーツで統一しているのはマリーシアブラザーズということでしょうか、黒い壁に、舞台全体の照明が暗いこともあって、夏休みのイメージとは程遠いものがありました。
誰も立ったまま微動だにせず新人先生が熱く長く語るシーンは、ありきたりな古臭さを感じました。