満足度★★★★★
【チームA】何、
何、何ー!?
拍手しながらニヤニヤしていました。
ネタバレBOX
可笑しい、この終わり方…。
男子二人が森さんに言い訳したり、あるいは置いてけぼりを食らった森さんがぼやいたり、そして何より参加者が激減してしまって困った顔をする瓜生のシーンがあって然るべきなのに、そんなの一切無視してあれれー、俳優陣がぞろぞろと小走りで登場して並んで頭を下げてしまいました。
あまりの中途半端さに、可笑しくてニヤニヤしてしまい、軽い笑いが止まりませんでした。こんなことでもツボにハマるときがあるんだーと思いました。
スタート時の瓜生と山本の男二人だけのシーンですが、瓜生の半音高いような話し方に少し心配しました。四方の客に顔を見せるためでしょうが、二人が頻繁に席を換えたのはあまりにも不自然でした。そして長過ぎました。高井戸さんの出社シーンをもっと早くしてもいいくらいで、変化と女性が必要だと思いました。
各人の性格付けや関係性などは良く出来ていました。みんなの話を聞いてから瓜生を見ると、確かに目つきなども本当にいやらしく見えてきました。
レジのセンターを張っている前田さんの、顔の真ん中に集中しているという件も、確かにそうだなと気づくとじわじわと笑いがこみ上げてきました。
ところで、瓜生の本当の狙いがネズミ講の勧誘だということがすぐに分かってしまったのは残念でした。絆を強調するのはいいとして、みんなで発展していく的な台詞は微妙でした。もう少し後まで引っ張ってほしかったです。
色々ツッコミどころはあるのですが、、終わり方の可笑しさはエレベーターに乗っても続き、これは凄いことだと思いました。
満足度★★★
【昼の部】観劇
国性爺合戦は初見、中国ネタはご時世か。
ネタバレBOX
『国性爺合戦(こくせんやかっせん)』 韃靼王に滅ぼされた国に縁のある老一官が妻と子和藤内と伴に中国に渡り、国の再興に尽力する話。
三人が獅子ヶ城に辿り着き、城の主甘輝を味方につけ韃靼王を倒す決意を表明するまでが今回の演目。
老一官の中国時代に生まれた娘錦祥女が甘輝の妻になっていて、それが理由で韃靼王打倒に与したと言われるのが嫌で錦祥女を殺そうとする甘輝の発想が凄く、とは言っても殺し切れず、結局は錦祥女が夫の意を汲んで自殺し、老一官の妻も追随。ド派手な衣装に着替えた和藤内と甘輝は韃靼王打倒に向けて立ち上がるのでした。
和藤内の刀が重いので中国兵が一人では持ち切れず、大勢の兵隊が大騒ぎするシーンで、「挙げちゃうぜえ、ワイルドだろう」とスギちゃんネタがありました。スギちゃん健在!
『勧進帳』 團十郎の弁慶、幸四郎の富樫。夜の部は、團十郎と幸四郎が入れ替わります。
満足度★★★
=1/10^24
変に生々しかったです。
ネタバレBOX
新しい将軍様の妹の脱北劇。そこまで具体的に設定するとは、観ていて変に生々しかったです。
1/10^24(10の24乗分の1)の確率の男女の出会いは素敵ですが、相手は将軍様の妹で日本が受け入れずに韓国に亡命することになったのですから、さてどうなるのでしょうか。
植本潤さんの北朝鮮工作員は結構強そうで、どじっぽさからの豹変振りは良かったです。
終了後のスタッフの、お見送りの準備ができましたので、前列の方から順番にこちらのドアから出て行ってくださいには笑いました。
満足度★★★★★
心地良い頭の痺れ
大いなるマンネリの面白さと、面白いことが面白くなくなる辛さ。
ネタバレBOX
ドジだけど笑いに溢れた昭和30年台の生活を送っている家族ですが、常に同じような形で失恋しているケン太郎や毎日の生活に違和感を覚えたきな子は一定の生活パターンに意図的に縛られていることに気付きます。
実は、彼らの生活は月に作られたスタジオセットの中の出来事で、それを放送で見て元気をもらう元気の無い現代人がいて、その現代人は地球と月の間のコロニーで暮らしています。きな子の夫のめめ男が不要な者や邪魔者を排除してスタジオ内を管理していたのでした。
そして、全ての番組に終わりがあるようにこの放送も最終回を迎えることになりました。きな子たちは生身の人間かと思いましたが、恐らく人型ロボットあるいは三次元の砂人形のようなものでしたから、この家族も恐らくは廃棄されるのでしょう。
ところで、最初サザエさんかと思っていた話が途中から渡る世間は鬼ばかりのように思えてきて、それならば最終回の後にも特番があるよ、廃棄されることはない、安心しなと言いたくなりました。
さて、そんなことは知らない彼らですから置いときましょう。このまま廃棄されるのを受け入れようとしていたきな子でした。きな子を地球再生の旗頭にしようとして奪いに来たコロニーの若者をいったんは排除しましたが、やはり一緒に脱出しようかというところで終了。
地球は放射能汚染か何かで住めなくなっています。彼女の元気な姿でみんなが地球再生に向かおうとする意欲が湧くならコロニーに行ってほしいと切に思いました。くいだおれ人形が今も活躍しているようにね。
今回は人形は前説だけかと思っていましたが、いきなり手の長ーい猫が。少なくとももう一人の猫は必要だったのでしょうか、疑問でした。
満足度★★★★★
最高の出来!
全員が個性的でスピード感があり、計算し尽くされた笑いの素には感心させられました。
ネタバレBOX
父親が死に、あとを継いだ園長の成長物語。テレビクルーの取材を受けた園長は、自分が動物園の本を出版した後に死んだ父親と勘違いされていることに気付いたものの、情熱大陸的な番組の誘惑に負けて辻褄を合わせながら取材を続けさせます。その過程で色々な事件が発生し、ドタバタが進行していくストーリー。
自分の名前をごまかそうとして、ヨシオーは外国人の挨拶だと吹聴したため、テレビクルーも、変な外人の呼びかけにヨシオーと返す辺りの小ネタは最高でした。
ベテラン職員の「いい加減に大人になりなさい」の本音も全体を引き締める効果があって良かったです。でも、結局は園長はテレビクルーに対してごまかし切ってしまいました。
一つ宿題が残されましたが、これもこのお芝居の特徴のような気がします。動物盗難事件や動物の出産に立ち会ったことから、テレビキャスターは園長個人の取材から動物園全体の取材に変わったと言いました。さあ、編集が終了する前に、成長した園長さんは早く真実を伝えてください、そしてきっと伝えるだろうと思いました。
ラストのクマと飼育員が入れ替わっていたというのもバカバカしい話ですが、そういえばバケツのリンゴを食っていたなから始まって、ゾウが押さえていたドアを開けるなど、緻密に配置された伏線とその回収の妙に感心させられた次第でした。
満足度★★★
原因はある。
とは言え、女の嫉妬から生じた悲しい物語でした。
ネタバレBOX
青い国と赤い国の対立で白い国の原爆が使われた山村の物語。山村振興のような形で白い国の人が世話をしてくれていますが、結局は放射能の影響を長期に亘って調べているというのが真相で、原爆の影響で流産し、子どもが産めなくなった女の狂気じみた嫉妬が悲劇を生んでいくストーリーでした。
青い国と赤い国の対立ということでバンドも青側と赤側のニ倍構成になっていましたが、原爆投下以降の話ですからそんな対立の場面は全く無く、ドラムスのうるささだけが際立ってしまいました。
原発事故以後何かを訴えたい気持ちは分かりますが、原爆を巡る部分はミエミエで、ありきたりに感じました。女としての悲しみ、嫉妬から生じた悲劇の部分は良かったと思いました。
満足度★★★★★
【シークレット上演】観劇
最初に劇団ING進行形を観たとき何かおおぎょうだと思いましたが、このおおぎょうな喋り方と振る舞いこそ現代狂言とも言えるちょっとした裏が隠された今回の二つの短編にはピッタリで、ハマると最高に楽しいものでした。
ネタバレBOX
『熊野』(三島由紀夫作:約50分) 母親の病気を理由に北海道に帰省したいと訴える愛人に、花見に行こうと譲らない実業家。実業家の調査で、愛人が北海道の自衛隊に務める結婚を約束している元々の恋人に会いたいがための策略ということが分かり、バレた愛人は帰省を諦め、貯蓄のためでしょうか、再び愛人生活を続けるという話。
そういう裏があったのかというストーリーの面白さや、バレてからの愛人の堂々とした態度とそれに応える実業家の態度に対等性が見えるところなども素晴らしく、最初はおうぎょうな喋り方で変なところで息継ぎをしたりするなと思いましたが、現代狂言だと気づくと、なるほど太郎冠者だと納得でき、ハマって行きました。
『愛憎渦中』(ラディー作:30分強) 確かに理不尽に娼婦が虐められるのですが、実は夫が浮気をする度に一人の娼婦を殺害するという狂気じみた妻の話でした。
妻の手を広げる大げさな動作や開脚の凄さ、従えた男たちのコミカルなパフォーマンスが面白く、サイコ的な裏があったことにストーリーの良さを感じました。
これらの様式美は短編向きだと思いました。
満足度★★★★
貧困
悲惨
ネタバレBOX
不倫して妊娠した女性のアパートに姉妹の妊婦が居候。とある盆踊りの夜の三人の妊婦を巡る90分間に亘るお話。妊娠したもののDVの夫から逃げている姉に金が無いのは仕方ないとして、行きずりの男としまくって妊娠した妹もバイト生活で金が無く、アパートの主も休職中で金が無い、隣の部屋の男も金が無い、お先真っ暗な話です。
広場で焼き鳥を焼いているおじさんを浮気騒動で脅して焼き鳥をせしめるなど理不尽なところもあり、妹が隣の部屋の男性に家族になろうと持ち掛け、それに乗れば不条理的な展開にもなったのでしょうが、現実はそんなに甘いこともなく、時は過ぎていきます。
どうするんでしょうね。金が無くてもお腹は大きくなる、ああ悲惨。
前の日に観た『マンハッタンの女たち』とは大違い。週末、三人の女性がお洒落して集まって酒飲んで男の話をして、そんな時代はどこへ行ってしまったのでしょう。こちらは三人の妊婦が集まって食事の心配をしている、ああ貧困。
ところで、料金不払いの場合に電気とかガスに比べて生命維持に直結する水道は一番最後に止められると聞いたことがあります。もちろん現金で支払っていてたまたまそうなったのかもしれませんが、違和感を覚えました。
ですから、本来ご飯を炊くのは隣の男性の部屋ではないかと思ったりもしたのですが、それはさて置き、具体的にご飯を炊いたのは生活感が出て良いことでした。しかし、お箸を直接舞台上に置いたのを見せつけられるとさすがに気色悪くなりました。札幌ではカーペットがあったとアフタートークで話がありましたが、それも如何なものかと。ちゃぶ台ならアゴラにもあるでしょうし、せめて風呂敷程度のシートくらい敷きましょうよと思いました。
満足度★★★★★
素晴らしい
不気味な異常さと藪の中問題が絡んだストーリーは絶品でした。
何より、三女の雰囲気が素晴らしかったです!
ネタバレBOX
植物状態の次女を長女と三女の生活の場に一緒に置いておくことで、患者に日常の刺激を与えて意識回復を図ろうとする期待はあったのですが、三女の本当の狙いは、助手席で寝込んでいた交通事故の加害者の夫に慰謝料を持参する度に罪の意識を与え続けること、そしてこちらの車を運転していた長女にも罪の意識を持たせ続けることにありました。
奥多摩に居を構えて大いなる引きこもりを楽しみ、長女を永遠に束縛しようとする三女の様子は尋常ではありませんでした。三女役の米津詩穂さんは、他の女優さんと比較するのも失礼ですが、川添美和さんかと見間違うばかりでした。事故でお腹の子どもを亡くしたことが原因で精神に異常をきたした三女の、笑顔の影の狂気には凄味がありました。素晴らしい出来でした!
さて、事故の原因は先方の車を運転していた奥さんがメールをいじっていたことによるものとされていましたが、結婚を意識し始めた長女に対する三女の様子や、目を覚まして事故の記憶を思い出した次女の記憶、さらには加害者の夫による自動車メーカーへの調査によって状況が一変してきます。
ハンドルが突然動かなくなる欠陥車問題が原因かもしれません。唐突に出て来た疑惑ですが、これくらいで止めておけば三女たちにとってはまだ良かったのですが、次女の記憶から長女の脇見運転が原因ではないか、長女の罪悪感や三女の長女に対する態度はそれに由来しているのではないかという疑念が湧き起こりました。
心象的には長女脇見説がもっともらしく感じましたが、長女は否定しており、証拠もないので全ては藪の中です。
ところで、対向車線をはみ出していたのがどちらだったのか全く触れられていなかったことは残念でした。警察の結論からすると、対向車線をはみ出したのは先方の車だったのでしょう。そこから考えると、メールをいじっていたとするのはこちらのでっち上げで、ハンドルが動かなくなった欠陥車説が真相かもしれませんね。
満足度★★★★
まさかの
設定に先ず驚きました。
ネタバレBOX
主役のマリアさんが森鴎外の娘さんだったとは。さてそうなると、いったいいつなのだろうかと考えました。ドアが木製で、玄関で靴を脱ぐ形式のアパートのようですから確かに現在では無く、戦時下の厳しさもありませんから戦後なんだろうとは思いましたが、よく分かりませんでした。
きょうだいの多くが文豪の父親のことをエッセーにして金儲けしているのに、次男が書くのには反対とは虫のいい話で、マリアが以前太っていたという程度では反対の理由もあまりピンと来ませんでした。
鴎外の長男は医学部教授になったんだとか、マリアは彼女の長男ジャックに不動産を奪われたんだとか、ホントか嘘か一族の噂話にばかり興味が惹かれてしまいました。
そして、マリアは50代だよなとか、そうは見えないなあとか、じゃあ55歳のマリアさんのお芝居だったら観に行きたいかなどと考えると色々無理があって、だからいっそのこと森鴎外から離れて、生活力の無い普通の女性の生き様を楽しむストーリーでいいじゃないかと思ったりもしました。
満足度★★★★
こじゃれ
大都会の片隅で起こる事象は世界共通ですが、今より少し余裕があった時代のように思えました。
ネタバレBOX
別れた男のことが忘れられないルーズ、結婚していて夫を愛しているのに浮気癖のあるビリー、男装っぽい服装故に出会いの少ないジュディ、三者三様の男性に関する考え方、実際の男女関係を赤裸々に語ったお話。
夫に殴られて喜んでいるビリーの姿は、ノロケでもあり、凄いエロい話が含まれているのかもしれませんが、目を殴るのはとんでもないことで、やはり20数年前の作品だなと思いました。
男装ばかりしていればジュディの周りに集まるのはホモばかり、当然ですね。凄いドレス姿でビリーの紹介してくれたデュークとデートしていい感じに。
で、彼女たちはアメリカ人、ビリーの夫ボブもアメリカ人、恐らく白人、それを日本人が演じていることは脳内で処理できるのですが、デュークが黒人と言われても全くそう見えず、どう脳内で対処したら良いのか分かりませんでした。
ビリーは美人さん、ジュディのクシャクシャ顔は可愛かったです。
満足度★★★★
えっ、
いい人たちばっかり…。
ネタバレBOX
大家さんは本業が大変で店じまいしようかというくらいなのですが、厳しい取り立てもしない優しい人。高利貸しも友人で優しく、滞納家賃の一部を追加で貸してくれるほどの好人物。4時間のお芝居で彼らはこのシーンだけ、もう一回ぐらい取り立てシーンがあって、生活の厳しさが表現されても良かったのではないかと思いました。
義理のお母さんも妻美緒名義の不動産を妻の弟の名義に変えさせようとする嫌な人かと思っていましたが、事情を聞くと、要するに父親だかが賭け事か何かで不動産を勝手に処分して金に変えるだらしない男であったため、家の財産が無くなってしまうのを防ぐために緊急避難的に長女名義に変えたということですから、不治の病で死期が迫りつつあるから死ぬ前にということはあったとしても、家督相続の時代です、就職も決まってこれから家を背負って立とうとする長男の名義に変えることは至極当然なことで、何の問題もないと思いました。
むしろ、母親が娘の病気を心から心配していると、周りの人たちが何度も念を押して、性格付けをフォローしていること自体が不思議でした。
身の回りを世話してくれている小母さんは生まれ変わることを信じていて、美緒が先に死ぬことを念頭に置いての発言ではありますが、今度私が生まれ変わったら面倒見てねと、一つの癒しの言葉を掛けていました。
夫五郎は、万葉人の今を生きる心情に倣い、毎日の生活を楽しんだり、素直に恋愛したり、この世で精一杯生き抜くことが大事だと考え、美緒にも諭します。戦争で戦うことがこの世で一番の生き方だみたいな脱線もありましたが、時代背景を考えるとそんなものかで、ただ、生まれて大きくなって赤ちゃんを産んで、また赤ちゃんが大きくなってなどと言っていましたから、本音では戦争に行くことが人生の目標とは考えていないのだとは思いました。
不治の病と知ってから絵を描く意欲の失くなった五郎です。結果、絵本の挿絵の仕事が無くなるなど唯一の不安材料はありますが、紙芝居でも何でも描くと言っていました。美緒命でしたが、頑張っていけるでしょう。
確かに海岸のシーンはありましたが、大きな箱庭療法の砂の入った箱の中でのお芝居は生活感がなく、ままごと遊びのようでした。両脇に役者を置いておいて、出番の少ない役者を顔見せさせるサービスもありました。
基本いい人たちばっかりで拍子抜けの感はありましたが、4時間飽きずに観ることができました。
満足度★★★★
軽目
白虎隊結成秘話、斬新。
ネタバレBOX
白虎隊の三人の少年がそれぞれ歴史上の英雄とペアになって新政府軍と戦う話。会津藩主松平容保も幼少期に歴史上の英雄が見えたことから、英雄の力を借りて防衛に当たろうと一つの賭けに出たというのが白虎隊を結成した真相でした。
結成秘話としては斬新ですが、ペアになるという手法はアニメなどでもよくあるパターンでした。英雄の歴史的背景があまり感じられず、単なる駒の一つという感じでした。
最初の攻防を巡る読み合いは心理的な緊迫感があってその後の展開を期待しましたが、結局は全体として軽目に流れてしまいました。
新政府軍側のお坊ちゃんという子供も同じ能力を持っていて、お坊ちゃん一人に英雄が3人というこちらは強烈な設定。英雄たち同士の戦いに夢中になっている間にお城は炎上、お坊ちゃんの策略にハマってしまいましたとさ。
大人になると見えなくなります。大人になるまでのあと数年、良い付き合いをしてほしいと思いました。
満足度★★★
普通の人かぁ、普通の人に
色々な逸話をごちゃまぜにしたようなファンタジー。
ネタバレBOX
導師、革命家、現実派、女好きの男、男好きの女、案内役の道化、異教徒などが方舟に乗って漂う様を描いたファンタジー。ノアの方舟、アダムとイブ、十字軍の話などをごちゃまぜにしたような感じ。
導師も船がどこに向かっているか知らない中、色狂いというか、女のことしか考えていない男が避難ボートを探そうと船底を調査して、実は陸上にいたということを発見、方舟の真相に気がつくという皮肉な設定でした。
いつの世もスケベ心がその積極性故に科学の発展に貢献するというか、結局は普通の男と女が地上を繁栄させていくということでしょうか。
方舟ならぬセリフの助け舟がありました。方舟がさまようように同じような言い回しが繰り返されたところもありました。
導師の持つ傘の柄にはビニールが付いたままでした。いかにもたった今コンビニで買って来ましたという感じは導師も消費社会にどっぷり浸かっているように思えてしまい、趣旨に反するばかりか、時代や場所を特定させないファンタジーには似つかわしくないと思いました。96の刺繍のある高級ジーンズや、底にイボのようなものが付いている目新しい靴も今日風でした。
満足度★★★★
【盗まれる側にもドラマがある】バージョン
ジーンとさせてくれました。さすがです。
ネタバレBOX
キャッツアイの長女がちょっとぽっちゃり系でしたが、次女はスタイル抜群。もっとも、女探偵二人の活躍するバージョンなので、キャッツアイの活躍はあまり見られませんでしたが…。
女探偵の一人が面白い話をして、結局相手を退屈させて眠らせ、もう一人が眠った瞬間に扇を扇いで催眠術をかけて話を訊き出す、抜群の面白コンビでした。
それでいて、絵が盗まれる家の家族関係を修復させるために一芝居打つなど、二人の行動はなかなか感動的でした。
舞台挨拶にも工夫がありました。元子役の決め台詞、「おととい来やがれ」が「明日も来てね」、女探偵の一人が何か話した後にもう一人がさっと扇を観客席に向けて扇ぎ、「また来てね」的な、とても楽しい挨拶でした。
満足度★★★★
女優が三人
若くして死んだことぐらいしか知らなかった中也ですが、論によって色々知ることができました。
ネタバレBOX
って、やっぱり女性だったんだ。肩幅もあったので少年だとばかり思っていました。中性的ないい味出している子役だなあ、でもあれを女優さんがやったらもっといいのになあと思っていましたが、ひゃー、若い書生は戸谷絵里さんという女優さんだったのですね。これが最高の形で、これ以上は良くなりようはありません、失礼しました。
小林秀雄との女性を巡る話、天才肌だったけれど生活力が無かったこと、才能のない者に対しては容赦無かったこと、それでいて亡くなった子どもには才能があったと思い込んでいて詩人を継がせたかったこと、妻に暴力的だったこと、妻も強くなったことなど、中也について論じられました。
書生の末路は可哀想でした。小林秀雄の母親が占いに凝っていて、息子の付き合っている女性を改名させたこと、そしてそれを彼も受け入れたことに特にがっかりしました。
太宰とか、中也とか、お芝居を観て作家の妻って何だろうと思います。子どもを通してそれなりの実権は持っていても、恋愛対象には見られていないのでしょうか。全て了解済みでなければ務まらないような気もします。ですから、少なくとも今の女ではない昔の女が葬式で泣き叫んだくらいではあんな風にキッとヒステリーを起こすようなことはないように思いました。
それにしても、チラシを見たときから思いましたが、スリムな大川さんには着物姿は似合いませんね。全体を通してほとんどが白い服で良かったです。
満足度★★★★★
面白くて、プラス思考、立派!
とにかくバトルが面白く笑ってばかりいましたが、それだけではありませんでした。その後のフォロー、大人の対応には頭が下がりました。
ネタバレBOX
権力、学校側からの押し付けには何でもかんでも反対するという人がいて、弱い者の立場としては一つ妥協するとずるずる行っちゃうんじゃないかと、これはこれで分かります。
で、とりあえず置いといて、1年から3年までの9クラスの中から学校側の推奨するエコ企画をやってもらうクラスを選ぶためのバトルが始まりますが、先ずは企画内容に弱点を持つクラスに票が集中し、その後は企画の類似性といった真面目な理由で変化したり、浮気など人間性の問題などで変化したりして、大笑いでした。
さんざんバトルを繰り返した挙句、演劇の許諾を取っていないクラスがあることが判明し、あっさり決まったのはあれっと思いましたが、学校側の押し付けに反対する人の反対で全会一致にならず、にっちもさっちも行かなくなりました。
そこからでした。エコ企画と当初の演目の要素を組み合わせてオマージュ作品にするアイデアをみんなで考え、押し付けられたのではなく積極的に取り込むという素晴らしい解決策を生み出しました。
反対していた人も賛成し、内容限定会議は終了。彼ら、高校生の大人の対応、プラス思考の処世術には頭が下がりました。
きちんと結論にまで持っていく本作品の起承転結は素晴らしかったです。
磯川家の信原久美子さん、久し振りで嬉しかったですが、ハワイ庵を企画したクラスの細井ひさよさんのおとぼけ振りが良かったです。
満足度★★★
淹れ過ぎた紅茶
4時の感覚は渋みが出過ぎたような後味でした。
ネタバレBOX
紅茶を専門とする喫茶店での話。限られた中でのグズグズな人間関係…、これから昼の作業をしようとするにはもうすぐ日が暮れる、例えば酒を飲もうとすればまだ日が高い、確かに4時は中途半端です。
約束したのにグズグズしてはぐらかす対応…、行きたくないなら行きたくないって言ってよね、誘った方もいい加減察してあげてよ、こっちの方が大事ですね。つまんないコントのような同じ事の繰り返しには本当にイライラします。
痩せた女性は神経質なのか、祖母の介護でムシャクシャするなら両親に相談しろよって、両親も顔出せよって。そのあげく、結局新聞屋の押しに負けてグズグズの関係になってしまったとは、ああ愚かしい。
姉の失踪後に妹と付き合い妊娠させた男性の言葉、善処します的な言葉、何だこの中途半端さは、嘆かわしい。
妹には姉の代わりという気持ちが常にあって本当に愛されているのか信じ切れなくて、結局男に婚約破棄を宣告。両親のDNAを通して妹には姉と同じDNAが混じっているという意味で、この子は誰の子か分からないと言ったのを、痩せた女性は婚約破棄された男に、文字通り誰の子か分からないと言っていたと伝える意地汚さ、やだねー。
こうした4時の感覚にドップリ浸りましたが、あまり後味のいいものではありませんでした。
満足度★★★★
縦横立体的
舞台全体を縦横立体的に使い、本多劇場の大きさを存分に感じさせてくれるお芝居ではありました。
ネタバレBOX
ノアの方舟のようなことが起こると信じた男が起こした連続殺人の話。
金物屋は店の奥にじっと座って通りを見て客の来るのを待っていればいいという父親の言葉に、社会性のない人間には社会性のない人間向きの商売があることを教えられました。全く関係ありませんが、竿竹屋はなぜ潰れないのか的なことを思い出しながら観ていました。
スナックのママの殺人妄想などもあり、犯人探しは難しいのかなとも思いましたが、凶器の一部が被害者の体内に残っていたという情報があり、病室では欠けた包丁を手にする男がいて、引き出しの中に隠しているのを医者は知っているというサスペンス的には何とも拍子抜けした展開でした。
カリスマ待望論的な思想を持つ医者の立場としては、男の狂気に期待したところがありましたが、男は結局単なる殺人犯に過ぎませんでした。
ウンコを踏んで滑って死んだ刑事もいました。バリウムを飲んだ後の白いウンコですから解決は間近です。
中途半端でどうしようもない人間が多かったとは思いますが、トンボが繋げるほどの阿呆とは思いませんでした。せっかくいい題名が思いついたのに、ここで使ってしまったのは正直もったいないと思います。
満足度★★★★★
ブラボー!素晴らしい!!
一般にあまり知られていないこんな日常を描き、一人ひとりが個性的で、噂話でみんなのことが分かってきて、夢や挫折があって、面白く、そしてサスペンスが混じっている、これです、最高、ブラボー!
ネタバレBOX
海女さんのイメクラ嬢でつかみはオッケー。ぼたんちゃんの芝居に対する憧れも素敵で、練習風景、奔放さも良かったです。あやかさんいい!
『煙草の害について』はまだ観たことがないのですが、講演会で堂々と演説したと妻に報告するところなど、フムフム何か聞いたことがあるようなとか思いながら楽しませてもらいました。
店長代理の軽さ、調子良さ、でもって上の怖い人のことも分かっている、風俗業界で生きる中堅どころの感じも良かったです。
女性がいて、サスペンスがあっては、『埋没おんな』を少し彷彿させるところもありました。近未来ファンタジーで走り回るよりも、こっちの方が絶対いいと思いました。