雨模様の観てきた!クチコミ一覧

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幻戯【改訂版】

幻戯【改訂版】

鵺的(ぬえてき)

「劇」小劇場(東京都)

2013/02/20 (水) ~ 2013/02/26 (火)公演終了

満足度★★★★★

2×2
素晴らしい幻想譚でした。

ネタバレBOX

耳は聞こえるのに喋れない…、不思議な女性だなと思い、娼婦になって11年…、私と同じ…、ふーんと思っていたらそういうことでしたか。

心と身体を割り切っていないと娼婦は務まらない…、あくまでも金のためにやっているのだからその通りだと思い、また固定観念としてそう思っていました。それが、心と身体は割り切れるものではない、無理に割り切ろうとする者はお客に惚れてしまったときにもたない、精神が壊れてしまうという女将の話に新鮮な驚きを感じました。

多重人格物は嫌いですが、これは二面性の話ということで納得できました。さらに、この娼婦だけでなく、男の方もプラトニックな面と遊び人の両面に分裂し話が膨らみました。妄想は好みです。作者の発想力に感服です。

2×2の組み合わせ、遊郭での肉欲×肉欲、ねえってばあ×いえそれは、やめてください×おらおら、男の家での愛しています×愛してる。

娼婦が自殺した後も女は男の家にいる、素晴らしい幻想譚でした。
国語の時間

国語の時間

風琴工房

座・高円寺1(東京都)

2013/02/22 (金) ~ 2013/02/28 (木)公演終了

満足度★★★★★

その後も気になる
日本の統治下で翻弄された朝鮮の人たちの、それぞれの温度差と、温度差によって発露される行動の差異を見ました。

ネタバレBOX

日本による統治約35年の最後の5年ほどを日本語を教える教室を舞台に描いた群像劇。全員が朝鮮人。

どのような世代にも様々な考えがあったのでしょうが、この学校では20代の教師ほど日本人になりたがっていて、男は軍隊に入ることで真の日本人になろうとし、女は日本人との子を生むことで生物学的に子孫を日本人にしようと考えていたのが興味深いところでした。もう少し上の先生は反日、教頭クラスになると本音と建前を使い分ける老練さがありました。

時々日本などからよその風を持ち込んでくる卒業生のチャラ男の存在、変化がいいアクセントになっていました。最初は日本での成功を夢見たりしながら、兵役忌避、最後は民族運動に加わろうとしました。

朝鮮総督府の役人甲斐壮一郎がパクガンヒという朝鮮人だったという事実は衝撃でした。日本語の訛りを執拗に指摘したり、朝鮮語の落書きを異常に憎んだりしていたのは役人としての使命感故かと思っていましたが、ハングルが読めない彼の劣等感を覆い隠すための反動の現れでした。母親に捨てられるかもしれないと思った幼少時の恐怖から始まる彼の一連の半生、日本にいるであろう息子に会いたいがために日本語を勉強する母親の姿はもう一つのドラマでした。

日本による統治35年の内、最後の5年ほどで、創氏改名や朝鮮語による授業の禁止など極端に民族を否定する動きがあったことが分かりました。考えさせられます。

彼らの戦後、特に女教師柳先生の行く末が気になります。

ところで、日本から買ってきたラジオを教壇の机に載せていきなりスイッチを入れる、これはまあ許せるとして、感度を確認するために色々傾けながら廊下をあちこち歩き回る、ここまで来るとそんな長いコードがあったかいな、そもそも乾電池式じゃないんですよ、コンセントに挿してからスイッチを入れてくださいなと言いたくなりました。
ザ・フォーリナー~THE FOREIGNER~

ザ・フォーリナー~THE FOREIGNER~

ファルスシアター

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2013/02/21 (木) ~ 2013/02/25 (月)公演終了

満足度★★★

【ハート】観劇
結構重たい面もありました。そもそも気分転換にしては遠いところ。何て薄情な、と思ったら…

ネタバレBOX

入院中の妻の看護に疲れ果て、妻の勧めもあってか、気分転換のために友人とともに友人が所属する軍の所在地であるアメリカ南部まで遥か遠いロンドンから訪れたチャーリーの話。

はげちゃびんが登場したとき、博品館かドンキで買ってきたのではないかと思えるくらいのあまりにもベタな頭皮が黄色い禿のカツラに、蝿が糞をするにはあれくらいの着陸面積が必要なのかもしれませんが、頭だけが浮いてしまい違和感を覚えました。つい最近、高田文夫さんのために本気を出した水道橋博士さんのように剃り上げろとは言いません。別に普通で良かったのではないかと思いました。

チャーリーは人見知りのため外国人ということにして言葉が通じないという設定になりました。しかし、ロッジや遺産をだまし取ろうとする悪事を耳にしても善良な人たちに伝えようとはしませんでした。違法建築的なロッジを強化するためにレンガ積みの技法を所有者の弟が習得できるように遠回しに支援したとは言えますが、さらに人見知りで隅っこに縮こまったままの男だったら分かるのですが、所有者の姉弟と随分打ち解けたにも拘わらず何も伝えないのは少し変だと思いました。

KKKが存在する南部…、彼らの人種差別、外国人排斥の気持ちの行き過ぎが、かえって呪文のようなものを恐れ、イリュージョンを神秘と勘違いしてしまう結果を招いたのでしょうね。

ロンドンからの電報に帰らないと言うチャーリー、何て薄情なと思ったら妻は全快して医者と駆け落ちですと。チャーリーの数奇な運命、お幸せに…!
獣のための倫理学

獣のための倫理学

十七戦地

LIFT(東京都)

2013/02/19 (火) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

驚愕の展開
一つ、また一つと、真相が明らかになるにつれ、ぐいぐい引き込まれていきました。

ネタバレBOX

35年前に起きた大量殺人事件の真相がロールプレイ・メソッドという手法で少しずつ明らかになっていく話。

悩みなどを解決するために、その状況を作って実践しながら解決法を探るサイコドラマという手法を参考にしたそうで、ロールプレイ・メソッドという手法は実際には無いとのことですが、当時の資料などを使い参加者が役割を分担して即興芝居のようなことを行うと本当に真実が見えてくるように思えました。

人付き合いの悪い農業指導員の男による凶悪な犯行から、犯人は男には違いないものの村人からの強烈なイジメのせいということになって、そうだったのか、単なる狂気によるものでは無く少し酌量の余地のある事件だったんだと納得したと思ったら、さらに、村興しに関する不正を隠し、恩ある男を追い出そうとした村の権力者たちへの義憤から村の若者が引き起こした犯行と判明する、驚愕のホップ・ステップ・ジャンプでした。

不法投棄のために油で汚れた寒村を花蓮の名所として再生させるには、村人が殺人を犯したのではダメで、よそ者である自分が事件を起こしたことにしてこの地を去る、即ち甘んじて死刑を受け入れることにした男の行動、心情が明らかになりました。

不正を働いたのが湯田で、男の名は桐原…、アフタートークで最後の晩餐から取った名前だったことを知り、全ての罪を背負った男の度量の広さの所以が分かりました。ちょっと出来過ぎの感はありますが。
トリオ

トリオ

LEMON LIVE

OFF OFFシアター(東京都)

2013/02/14 (木) ~ 2013/03/05 (火)公演終了

満足度★★★★★

重要な日替わりゲスト
お三方も毎日違った男と絡むことができて楽しいことでしょうね。

ネタバレBOX

女性トリオ漫才の面白さ、特に野口かおるさんのボケに笑いました。

この女優三人に男優が一人日替わりゲストとして加わってのお芝居。ゲストといっても支配人の甥で女癖の悪い男という設定で、時間としては少ないものの全体を通して要所要所に登場することになる重要な役回りでした。

支配人の甥のとりおさんを自分のものにしようと、三人が仲間を裏切って出し抜くドタバタ振りは最高でした。しかし実際は、支配人は自分の女でこの劇場の美人歌手に手を出した甥への恨みから、漫才師たちは楽屋を美人歌手に取られることなく今後も使い続けるためにと両者が手を組み、綿密な筋書きを立てて甥を懲らしめる話でした。

三人にはそれぞれが関係を持ったことがあるとりおさんへの未練があり、あわよくばという気持ちが最後まで見え隠れして面白かったです。

ただ、懲らしめてからラストシーンまでが長過ぎました。古臭い人情コメディにありがちな、あるいは二時間サスペンスドラマにありがちな冗長な解説編に思えました。初っ端とほとんど同じ漫才をもう一度やる必要も無いと思いました。

未練を表現するためにはラストで電話の呼び出し音に駆け出すシーンが必要なのかもしれませんが、懲らしめた後にさあ出番ですと言ってのれんをくぐって終わっても良かったのではないでしょうか。
教授

教授

アトリエ・ダンカン

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2013/02/07 (木) ~ 2013/02/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

良い!
終盤の助手の言葉には、一週間前と台詞を変えたのではないかと思えるくらいの強烈なインパクトがありました。

ネタバレBOX

亡くなった戦友の恋人と付き合って愛してしまったことへの罪悪感から寄生虫を体内に飼うことで少しだけ死に急ぐ生き方をする教授に対して、死に近づいているのは私があなたに寄生しているせいよというルリの強烈な言葉に、それまで受け身だった彼女が胃壁を一噛みして自己アピールする姿のようなものが見えてきて、初めの頃とは台詞を変えたのではないかと思えるほどの強い印象を受けました。

上條恒彦さんの足でトントンとか、のの字を書く仕種とか、こなれてきたことも伺えました。

ただ、五木さんへの褒め殺しはやはり聞くに耐えず、またビートルズやアンディ・ウォーホールをことさら取り上げるのも、年齢が少しずれているせいかもしれませんが、何か当時のイメージが矮小化されるように思えました。

この日のアフターライブのゲストは五木寛之さん。五木寛之作詞、中村中作曲の新曲を五木さんの美人編集者に歌わせるという快挙に驚き、中村中さんのキーボードにツアーでお馴染みの伊藤ハルトシさんのチェロも加わってちょっと得した気分になりました。
私は生活保護動物

私は生活保護動物

Bメロのサムライ

東京アポロシアター(東京都)

2013/02/16 (土) ~ 2013/02/17 (日)公演終了

満足度★★★

数ページのショートショート
読む分には面白いと思いました。

ネタバレBOX

侵略者にとっては人間もゴリラも同じように見えてしまう、アジアの人種の区別がつかない欧米人のようなものです。

檻に入れられた希少動物の人間が寝て起きたら侵略者が滅んでいたですと。あらまビックリ。一眠り300年、なんと侵略者の方が地球の人類でしたか。確かに地球の人類ほど残虐な生き物はいませんからね。面白かったです。

気の利いたショートショートでしたが、上演時間も50分とショート、第二回公演とは言わずにセカンドシングルというのも短いという意味が含まれているのでしょうか。短いのが悪いとは言いませんが、物足りない感じがしました。

それと根本的なことですが、滑舌が悪くて何をしゃべっているのか分からない人、役作りのためとは思いますが、あまりにも平坦なしゃべりの人、全体に役者さんたちはこれからだと思いました。
赤とうがらし帝国【東京公演】

赤とうがらし帝国【東京公演】

劇団鹿殺し

駅前劇場(東京都)

2009/08/12 (水) ~ 2009/08/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

パワフル!
菜月チョビさん演じるミュージカル好きな大阪の少女辛島タエの半生を描いたお話。

ネタバレBOX

主人公は身近で亡くなった人たちの分子・原子が巡り巡って自分の身体の一部になっていると信じ、自分を勇気づけて頑張る女性です。

太陽活動のような核融合では鉄までしか作られません。私たちは、超新星爆発の結果生じた原子を取り込んでいるのですから、まあそうかなと思います。

受け身の上手なプロレスラーの死、映画「ピンポン」などのパロディを取り入れ、宝塚歌劇団へのあこがれ、武道館公演へのあこがれなどを盛り込んでいました。

最初から最後までチョビさんがボーカルを務め、パワフルでいい感じの楽曲でした。丸尾丸一郎さんの妹みたいな顔をした坂本けこ美さんの、オートバイのサイドカーの演技も光っていました。
BONE SONGS【本日23日(土)13時&18時開演、当日券あります!】

BONE SONGS【本日23日(土)13時&18時開演、当日券あります!】

劇団鹿殺し

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2013/02/15 (金) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★

再演!!
2009年8月の『赤とうがらし帝国』の再演なら再演ってもっと言ってよーって。

ネタバレBOX

忘れていましたが、オートバイとサイドカーのネタは面白かったですね!

私の骨は主に牛乳かなと思いつつ、先人たち、あらゆる生物のお陰で感謝です。タエの小柄な体型はお母さんから、骨太で丈夫なところはお父さんからの遺伝です。宝塚ごっこのセンター、卓球も大阪でそこそこテッペン、バンドでも武道館進出を果たしました。復活したタエの今後テッペンを目指すものはって、チョビさんそんなん役者はんに決まってますがな。

電車は血で走るのような管楽器も素敵でした。

ところで、正直に告白すると…、丸尾丸一郎さんは丸尾 丸一郎さんか、丸尾丸 一郎さんか自信がなかったのですが、入口のアフタートークの案内板に丸尾 丸一郎と書いてあって今回ようやく納得することができました。
踊ろよ、フィッシュ

踊ろよ、フィッシュ

恥骨

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/02/14 (木) ~ 2013/02/17 (日)公演終了

満足度★★★★

初々しい!可愛い!
AKBと言うよりはモー娘。と言った感じかな。

ネタバレBOX

初々しくて、チラシのように足が真っ直ぐ伸び切っていない日本人的美少女が波にさらわれ鯛になってしまい、人魚姫みたいに男の子に恋する物語と、矢口真里さん似の女の子が海女さん姿になって波にさらわれた友人を探して冒険する四頭身RPGの世界を一緒にしたようなファンタジー。

冒険で集めたバスクリンを入れた天の川の綺麗な水で男の子を助ける…、宮沢賢治の世界のようでもあり、ロマンチックで楽しくて、おバカなお話でした。

小さな器にあれだけのバスクリンを入れると臭いも色も強烈で、あんなんで顔拭いて肌荒れしないかと他人事ながら心配しました。
笑う通訳

笑う通訳

電動夏子安置システム

上野ストアハウス(東京都)

2013/02/15 (金) ~ 2013/02/20 (水)公演終了

満足度★★★★★

【Member班】観劇
とにかく大笑い!

ネタバレBOX

チラシを見て想像していた通り、なしお成さんの高級官僚らしいスーツ、恐らく特注品であろうスーツが良かったです。

なぜ人によって聞こえ方が異なるのか、理屈を考えると良く理解できませんが、通じない言語に聞こえるんだからしょうがないということで素直に作者さんの設定した条件下に浸りました。

唾を吐きかける挨拶や、鼻をこすり合わせた後に相手の鼻を撫でるなどは特に大受け、大笑いでした!

ただ、来訪者と外交省との間で通訳を介して誤解するという趣旨ですから、同じシーンを立場を変えてもう一度演り、誤解の内容を詳細に確認させようとする手法は分からないではありませんが、ちょっとダルい感じもしました。

鼻をこすり合わせるのを二度見ても、二度目は感動が薄れてしまいます。詳細に分からなくても、とにかく誤解しているというだけで笑えるのですから、全部が全部、一回表裏、二回表裏みたいに忠実に二度演る必要は無いと思いました。

特にサスペンスの謎解きは重要な主題ですから、殺人犯を特定した後に、誤解部分の同性婚おめでとうをやったのでは間延びしてしまいます。せめて、同性婚おめでとうというとんでもないことになったと笑わせた後に、実はあのシーンは犯人を当てていたんだと分からせた方が劇的なのではないでしょうか。
おかえり、ギフト

おかえり、ギフト

春の日ボタン

「劇」小劇場(東京都)

2013/02/14 (木) ~ 2013/02/17 (日)公演終了

満足度★★★★

傾斜角度10度ぐらいかな
ジェットコースターじゃない、ジワッと来る上品なコメディでした。

ネタバレBOX

どちらもちょっとした誤解が招く行き違いを楽しむコメディ。

後半のギフトが始まったときはおかえりとギフトは別々のものかと思いましたが、上手く繋がっていました。

喫茶店のマスターが生前葬には出席したものの、おかえりに登場していなかったのが良かったですね。

ただ、行き違いは結末が簡単に予想できる展開ではありました。

それに、殴るけどその後優しいというフレーズがありました。これぞ正にDVそのものであり、普通は無いけれどもごくわずかの夫婦の間では見られるような言い回しに不愉快になりました。
西暦2040年に死んだばあちゃんの娘

西暦2040年に死んだばあちゃんの娘

コーヒーカップオーケストラ

シアター711(東京都)

2013/02/13 (水) ~ 2013/02/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

女優陣が大活躍!
コーヒーカップオーケストラってこんなに笑いに徹していたなんて、初めて気付きました。

ネタバレBOX

軍曹さんの身体を張ったボヨヨンのしつこさ、ドスコイという感じのお母さんの貫禄に笑い、磯川家健在を証する美脚の信原久美子さん、妙に色っぽくてこれまた美脚の看護師さんがいて、そして何よりお上りさんにピッタリのちょっと田舎臭い美女鈴木アメリさんが主役で長時間出演されたことに大満足でした!

人は順番に死んでいく、時にはイレギュラーに。きな臭い2040年、お母さんは死なないかもしれない、なんとグダグダな。

そして、グダグダなアフターイベント後にモリサキミキさんからバレンタインチョコをもらって帰りました。
地図に無い背中

地図に無い背中

ZENROCK

劇場MOMO(東京都)

2013/02/13 (水) ~ 2013/02/17 (日)公演終了

満足度★★★

【Wプログラム】 盛り過ぎ!
すっごい頑張っているのは分かるのですが、ちょっと空回り気味でした。

ネタバレBOX

箱状の小道具を駆使して机や壁を表現していましたが、結構大きめなので役者さん総動員でも時間が掛かり、次のシーンになっても積み上げていたりしていました。そうした設置を完全な暗転下で行ったり、薄明かりの中で行ったりで統一感がなく、大変だったら薄明かりの中でやって頂戴と思いました。

ネットワークを通じて家電とエンターテイメントの融合を図るという趣旨は興味深かったです。そのサニーの技術がサムシングに盗まれたことで、日本人一人ひとりが韓国に支配されることになるというのはちょっと飛躍し過ぎかなとも思いましたが、本当にそうなれば大変です。

という訳で、経済的、技術的なことを取り上げた硬派な近未来のストーリーでしたが、社長の認知症、あからさまな男尊女卑的夫婦関係、それ故の妻の孤独や幼児虐待、ゲーム好きの謎の外国人、そもそも新入社員等々、こうした事象や人間を登場させる必要性があったのでしょうか。

謎の外国人なんか社長のお嬢さんに私を信じてみたいなことを言っておきながら、結局はほったらかしのままでした。誰かさんのトラスト・ミーの皮肉ですかって。

新入社員は登場そのものが疑問でしたが、いくらネット社会といっても面接とかで会社に来たことがあるはずなのに、初めて会社に来たみたいな言動には首を捻りました。
愛の妙薬

愛の妙薬

新国立劇場

新国立劇場 オペラ劇場(東京都)

2013/01/31 (木) ~ 2013/02/12 (火)公演終了

満足度★★★★

ラブコメ!
恋する青年ネモリーノが切々と歌う「人知れぬ涙」は正に最大の聴きどころでした。

ネタバレBOX

ネモリーノが娘たちから急にもて出すので彼は妙薬の効果を信じてしまいますが、時系列通りなのでこちらにはその理由が分かってしまうという何とも正直な構成でした。

それは、時々見舞いに行っていた叔父さんが亡くなり、莫大な遺産を彼に遺してくれたことが噂になって広まっていたからでした。しかし、おととい亡くなったことを甥の彼が知らないというあり得ない話でもありました。

ワインを愛の妙薬として売りつけたドゥルカマーラは賞賛を受けて去って行きましたが、最後の方でペテン師という歌詞が出てきましたので、知る人ぞ知るところだったと思います。ただ、途中の字幕からは誰かがペテン師と疑っていたようには窺いしれませんでした。
+GOLD FISH

+GOLD FISH

株式会社エンタテインメントプラス

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2013/02/07 (木) ~ 2013/02/16 (土)公演終了

満足度★★★

くだらない部分もあって
無駄を省くことも大切だと思いました。

ネタバレBOX

全員が一列に並んで頭を下げてハケて終演かと思いましたが、拍手が続くので付き合っていると、改めて夫婦とか婚約者とか二三人ずつのペアになって小道具を持ち小芝居をしながらの再登場に、2時間45分もの長丁場にも拘わらずあからさまなカーテンコールありきに腹が立ちました。

前半もだらだらと長く、何がケロロ軍曹だと思いながら観ていました。

アガサ・クリスティの逃避行を巡る話。夫の心変わりに悩んだクリスティが、愛人に自分を殺させることで全てを破滅させようと、巧妙にミステリーパーティーを開いたのが真相というもので、そこにマウストラップの要素が混じったようなストーリーでした。

愛人は撃たず、何も起きませんでした。たまたま居合わせた考古学者が洋館の魚の名前を言い当てて、殺されたアガサを生き返らせたという方便は、アガサに新しい人生を促すロマンチックな言葉でしたが、それならば銃声の一発でもあって暗転させるとかして心象を具現化しても良かったのではないかと思いました。

舞台中央には大きな水草、水槽を強調したものですが、魚はいませんでした。魚は銘々が想像するものでしょうか。私には手抜きとしか思えませんでした。泳がせていてほしかったです。
教授

教授

アトリエ・ダンカン

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2013/02/07 (木) ~ 2013/02/24 (日)公演終了

満足度★★★★

心に染みる
昭和歌謡がお芝居と一緒になると、思った以上になんかジワーっときてしまいます。

ネタバレBOX

開演前には、さよならをもう一度や街の灯りなど昭和の歌謡曲が色々流れていましたが、見上げてごらん夜の星をが流れて本番が始まり、上を向いて歩こうで終わる、やっぱり中村八大さんは偉大だったんだなと思いつつ、歌謡曲を取り扱うお芝居ですら最近のステレオタイプな発想にどっぷり浸かっているように感じました。

中村中さんの弾き語り一曲目、アカシアの雨がやむときが60年安保と関連付けられていたことは知りませんでした。ただ単にいい曲だと思っていました。そのピアノ弾き語りスペースは奥の壁上部やや下手に設置されていて、9:16の比率は3:4の昭和ではありませんでしたが、見映えはしました。

寄生虫は宿主の許可なんか得ていないは正に言っちゃれと思っていた言葉でスッキリしました。12年間の思いをぶつけた助手、それを受けての教授に、ああ良かったと心底思いました。

ラジオ深夜便でも聴いていましたし、五木寛之さんの歌謡曲好きがこのお芝居のきっかけになったことは承知していますが、いくらなんでも本編の中で取ってつけたように彼の小説を取り上げるのは、彼だって面映いだろうし、褒め殺しはお芝居全般の品位も下げてしまうだろうと思いました。

この日のアフターライブゲストは山崎ハコさん、お芝居が好きでコクーンにも良くいらっしゃるそうですが、舞台に上がるのは初めてとのことで感激されていました。ハコさん初見!
ソラオの世界

ソラオの世界

キティエンターテインメント

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2013/02/09 (土) ~ 2013/02/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

綺麗!
舞台美術が素敵でした。

ネタバレBOX

とにかく綺麗で美しい舞台美術でした。背景に映像を映し込んで場所を転換させるようなまやかしではなく、本物の舞台装置を素早く移動させ、そこに光を当てたり暗闇を利用したりして美しく表現していました。

黒子さんを使った表現も素敵でした。音符の♪は全て下向きだったような気もしましたが、空中を浮遊する小人のような人たち、人魚、巨鳥、ちょっとしたアイデアですが効果的でした。

強行に実施された脳波調査の実験で完全にオチたソラオはある意味理想郷でもある夢の中をさまよいます。そんなソラオを現実に引き戻すため、正しい先生と仲間たちがソラオの夢の世界に入って救い出す大冒険スペクタル。

2009年5月の初演のときは、その前日にアリス物を観たこともあって、アリス的な夢の世界に辟易した記憶がありますが、今回は舞台美術の美しさもあって素直に受け入れることができました。

彼女がいて、バンドも成功している夢の世界、そこから戻ったソラオですが、タイムマシーンじゃないから現実は何も変わってはいません。しかし、仲間の大切さを知り、真剣に音楽に向き合うようになり、バンドのメジャーデビューも間近かなといったところまで進んだソラオでした。
ミュージカル「熱帯男子」

ミュージカル「熱帯男子」

オデッセー

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2013/02/07 (木) ~ 2013/02/17 (日)公演終了

満足度★★★★

明るく爽やか
そこそこも入れて10人のイケメンにチョー可愛い岡本あずささん、緑の葉っぱに赤や黄色の花が散りばめられた舞台に映えていました。

ネタバレBOX

六本木でナンパされて、はるばる小笠原諸島の南に位置する池綿島まで連れてこられた一人の女性を巡って争奪戦が始まるのかと思いきや、難病の妹を持つ役場勤めのイケメンとあっさり恋仲になってしまいました。

他の9人も応援したりして、イケメンで他人への思いやりのある性格、何かちょっといい人過ぎませんかって感じもありました。

イケメンのお父さんと結婚したお母さんが生活面で苦労したので、自分は金持ちと結婚すると誓ってせっかく金持ちのフィアンセまで見付けたのに、結局はお母さんの遺伝でしょうか、イケメン好きで苦労する道を選んでしまいました。

ストーリー的には平凡でしたが、岡本あずささんが可愛かったので良かったです。
フレネミーがころんだ

フレネミーがころんだ

熱帯

駅前劇場(東京都)

2013/02/07 (木) ~ 2013/02/12 (火)公演終了

満足度★★★★★

爽やか
面白かったです。

ネタバレBOX

他人の不幸は蜜の味…、正にこのことだけを楽しむために既存の人間関係の中に小石を投げ込む女性が入会して、翻弄された料理教室の話。

先生方は個性的で楽しいし、メニューにも笑ったりでした。

最初のいじられキャラといじりキャラの関係がフレネミーの関係かと思いましたが、この程度ではまだフレンドなんですね。悪意に満ちた彼女とそれに付き合わされる人との関係はフレネミーというよりもむしろエネミーだと思いました。そう考えると、結局、本物のフレネミーは出てきたのかなあと疑問に思いましたが、面白かったから良かったです。

隣人だったら大変ですが、料理教室ですから行かなければいいだけで、とことん陰湿ににはなりませんでした。公序良俗違反での退会通告に従う彼女には素直過ぎるかなとも思いましたが、バッタの大群が押し寄せて食い尽くした後に去っていくように、また別の場所に出没するのでしょうね。

最後のオチなのか、唐突にビルの建替え話がありましたが、きっと近くでやっていけます、頑張ってって思いました。

ところで、○○さんには妄想癖があると密告した場面では、登場人物の名前が把握し切れていなかったので誰のことかよく分かりませんでした。ちょっとその人の特徴を付け加えて言ってもらえると助かります。

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