我が名はレギオン
演劇実験室∴紅王国
ザ・ポケット(東京都)
2009/11/26 (木) ~ 2009/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★
ヘヴィー級の手応え
ミステリーとして見せてたら、失敗していたと思う。だって結末、みんな知ってるもの。
そうではなく、観客みんなが事件を知っているという前提で書き、それでなお引きつけた。
160分という長さが気にならない力作。
ひみつのアッコちゃん
劇団ガソリーナ
【閉館】江古田ストアハウス(東京都)
2009/07/08 (水) ~ 2009/07/19 (日)公演終了
満足度★★★★
真摯な人ばかり
街の片隅にある小さな情景を積み重ね、やがて街そのものを描くという気宇壮大な構想を掲げていた、ここ数年のメトロポリス・プロジェクト。これには佳作もあったのだが、全話を鑑賞できるのは演出家だけだろうという疑問も残った。
しかし今回は違う。1話で完結(継続しようにも劇場自体が閉館するが)、後腐れなし。『デビルマン 不動を待ちながら』以来の満足を感じた。
世代を越えて話題をさらっている映画『ひみつのアッコちゃん』の主人公を決めるオーディション、最終面接に残ったのは5人の少女。これはその中からたったひとりを選ぶ過程を見せる作品だった。
キドクラッチ
MCR
中野スタジオあくとれ(東京都)
2009/07/08 (水) ~ 2009/07/12 (日)公演終了
満足度★★★★
正しい使用法
近藤美月という女優は、用法用量を守って服用すると必ず効果を発揮する特効薬のような人。もはや一個人の固有名詞を離れて、この類の「狂った美女」キャラを総称するジャンル名になってもおかしくない。
中川智明と吉田久代は対等なバカップルだったが、近藤は相手役の川島潤哉を踏み台にして暴れる役割で、あの川島が「正常な人」に見えるほどだった。
この作品は正しく使ってる、と思う。
SURROUNDED ALWAYS
年年有魚
新宿眼科画廊(東京都)
2009/05/27 (水) ~ 2009/06/09 (火)公演終了
満足度★★★★
ユミコvsチヨコ
天然ちゃん風味に見せかけて悪意を放つトツカユミコと、ズケズケ単刀直入だけど意外と思いやりもある松下チヨコ(旧、松下ロボ)の一騎打ち、という様相。キャラ立ちよく、コクがあるのにキレがある。この2人は実に巧みに「描けて」おり、これがそのまま評価に繋がった。
彼女らに振り回される役どころの川本喬介も、出張り過ぎず引っ込み過ぎずで好演。
前有佳の役どころは難しい。夫婦とする会話ではエキセントリックなキャラ立ちを、上記2女優に対しては常人っぽい振る舞いを要求されている。
こうしてサブキャラたちが軽快で鮮明に描かれているのに、メインキャラであるべき夫婦は行動原理に逡巡や葛藤が多いためか複雑で、稜線がぼけて見えたのが残念だった。
リミックス【初日・土夜完売御礼】
国分寺大人倶楽部
中野スタジオあくとれ(東京都)
2009/05/28 (木) ~ 2009/05/31 (日)公演終了
満足度★★★★
remix かくあれかし
過去の上演作品からシーンを抽出・編集して、4つの情景を1つの枠組み内に再構成した。
筆致はふだんよりマイルドなので今回が初見でも難はないけど、過去の河西作品を知っている人のほうが、今回の企みにより深く感銘を受けるだろう。まるで過去の公演が、今回のための布石であったかのような錯覚すら感じる。
互いに脈絡のない話を並べて上演する短篇集とは大違いで、このようにしか組み立てられない必然を感じ、好印象。
前説や場内整理の人が大声で喋ってるのに、客入れのBGMに遮られて聞こえなかったのは残念。少し音量を落としてほしかった。