ミュージカル「八犬伝-東方八犬異聞-」二章
CLIE
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2016/11/23 (水) ~ 2016/11/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
ほさか演出
実を言えば、あまり期待はしていなかった。三上俊君出演ならぐらいの気持ちで観に行ったのだが・・・。抱えているものがありながら、少年らしさを感じさせる“しの”。生真面目で優しい“ソウスケ”と、キャラがアニメのイメージを壊さない。そして、アニメ以上に、心に沁み込んだ琥珀役の岡村さやかさんの演技。彼女の舞台は4作目だが、今回は今までと違う雰囲気で、また違う魅力を感じた。そしてなにより見事だったのは「ほさか演出」!!無駄な暗転がない!舞台上下段、そして上手下手、中央、全体と舞台使いが実に巧い!目にも飽きさせない美しい演出、このサイズの劇場の2.5次元で、これぐらいドラマとして完成させてくれたものは少ない。演出に感動してうるっと来てしまった。
量子的な彼女
NICE STALKER
王子小劇場(東京都)
2016/11/19 (土) ~ 2016/11/23 (水)公演終了
満足度★★★★
可愛らしさ
セットも可愛いが、女子はもっと可愛い!今どきのスレた感じがない、少女らしさにとても好感が持てる。大爆笑はないが、クスッと笑いが何度ももれた。ストーリーとしては少しばかり未完な気がしないでもない。物理系といっても、目にわかる実験などが入ると、もっと“らしさ”や“理解”が出たのではないかと思う。言葉だけでは観ている側の理解力も上らない。せっかくの科学なら、もっと科学に触れるような演出があれば良いのではないかと思う。(理科オンチの母でも息子と一緒に理科の実験参加して、わかったことは色々ある・・・そういうことが言いたいわけです)女子たちのかわゆさにオマケして☆四つ!
お願いだから殴らないで
MacGuffins
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2016/11/16 (水) ~ 2016/11/27 (日)公演終了
満足度★★★
“?”
弱腰の夢麻呂さんに驚き、彼を押して押しての他のキャラの強さに驚いた!多少煩過ぎる気はするが、あれなら押されているキャラも納得は出来る。話は単純。もう少しひねりが欲しかったが・・・個人的には破れかぶれの主役の暴走振りが見たかったのだが、意外におとなしめで、ちょっと物足りない。あれなら夢麻呂さんでなくても良かったのでは?彼の使い方にちょっとだけ“?”
口紅
サンライズプロモーション東京
赤坂RED/THEATER(東京都)
2016/11/09 (水) ~ 2016/11/14 (月)公演終了
満足度★★★
憶測
演出の狙いがわからないでもないが、あまりにも不愉快な会話が続く。曖昧な言葉に適当に反応する。聞いているふりで聞いていない。同調しているようでも相手を近づけない。主語のない会話。同じ場所にいても、同じ空気を吸っていないような、ひとつ膜を張って会話しているような・・・・・。そんなリアルにありそうな会話が続く。人のことは言えない。私もかなりその傾向はある。しかし、延々と妙にずれた会話を聞いていると、不愉快さが鎌首をもたげてくる。ざわざわとしたストレスを感じた。題名の「口紅」。インストラクター達の会話の中に唯一出て来るシーンがある。これが多分、この話の人々を表す全てではないかと思った。ゆがみのある人々。それが口紅が落ちていくように、少しづつ本当の姿を曝け出していく。他人には見せなくてもいいものが露になっていく。よそ行きの顔で、日常を過ごすことに、慣れてしまっているはずだった者達。しっかりと口紅を塗り、過去の記憶を隠して、または忘れていたはずなのに、ひとつの出来事から拭い取られるそれを表していたのだろうか・・・・・と、もしくは逆にしっかりと口紅を塗った事で、言えなかった過去を口に出来たのではないかと・・・・・そのどちらも有りで、そのどちらでもないのかもしれない。いつもの自分がどこにいるかで決まるのだろう。まぁ勝手な憶測。作者の本音はわからないが。
『愚図』
KAKUTA
あうるすぽっと(東京都)
2016/11/10 (木) ~ 2016/11/20 (日)公演終了
満足度★★★★
愚図
夫は仕事に、主婦は平凡な毎日に、女は恋に、男は過去に、それぞれが日々溜まっていく爆発しそうなものを抱え、それが形を変えて放出されていく。その歪みが当たり前の生活を壊していく。小さな歪みを愚図愚図引きずって、やがて、泥に埋まる。なかなか面白い展開ではあった。また出演者のバランスも良かったのではないかと思う。因果は直接ではなく、巡りめぐってくるものだと、ラストを観て感じた。
つややかに焦げてゆく
Antikame?
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2016/11/10 (木) ~ 2016/11/14 (月)公演終了
満足度★★
理解できず
前日の寝不足のせいか、椅子から視線が下に落ちる舞台の造りとすぐ寝転ぶ登場人物のせいか(下を向いていると上瞼が重くなる)、それとも動きがあまりにも少ない演出のせいか(動きが単調)、舞台上の会話というより日常の会話のような台詞のせいか(ボソボソ感有り)、何度かうつうつした!(どんなに寝不足でも面白いと感じれば寝ることはない)特にこれと言って心が引張られる台詞もなく・・・・・理解できずに終わったのはいうまでもない。演じていた方たちには申し訳ないです。
虚構のペルソナ
TUFF STUFF
シアターサンモール(東京都)
2016/11/09 (水) ~ 2016/11/13 (日)公演終了
満足度★★★★
陰な雰囲気
各ストーリーの導入部分の演出が面白かった。また全体としても「陰」な幻想的雰囲気、特に赤の使い方が美しかった。出演者も若いながら、なかなかの実力で、惹き付けられるものがあった。
奇々怪々~江戸の千本もみじ~
カートエンターテイメント
俳優座劇場(東京都)
2016/11/07 (月) ~ 2016/11/13 (日)公演終了
満足度★★
奇々怪々!?
しっかりした演技をする方が多かった。特に熟年組みの渋みのある芝居は良かった。しかし、脚本・演出共にどうもスッキリしない。旅芸人はやたらと人に突っかかる言い方をし、あんな状態ではとうの昔に無礼討ちされてるんじゃないかと、思わせてしまうし、なぜか、この旅芸人の旦那と髪結い(女)のボケ・突込みが多いのが不自然。その他にも、どうもつじつまの合わない不自然さがつきまとう。奇々怪々な出来事もスモークばかりが凄すぎて、演出の発想の足りなさを感じた。
震えた声はそこに落ちて
劇団時間制作
劇場MOMO(東京都)
2016/11/02 (水) ~ 2016/11/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
綺麗事
綺麗事で終わらないラストに拍手したい。みんなイイ人で終わるなんてことは、リアルには有り得ないが、舞台だと妙に温かくまとまる・・・そんな感じが目に付く。しかし、この舞台では、怯えや怒りや憤りが声となってどんどん放出されいく。被害者も加害者も、苦い痛みを互いに感じながら、向き合う為の努力?上手くいえないが、それを越える為の試練に向かうように感じた。演じる出演者の力量の高さも感じる。実に観応えがあった。始まってすぐ、舞台上のライト、そのほぼ真ん中のひとつだけが瞬くように点いたり消えたりしていたのが、演出の細かな気配りというか、繊細さを感じさせた。
パール食堂のマリア
青☆組
吉祥寺シアター(東京都)
2016/11/01 (火) ~ 2016/11/07 (月)公演終了
満足度★★★★★
傷は時間と共に癒えて行く
だれか、そばにいてくれる人がいれば・・・。どんな悲しいことも苦しい事も、無理にあがくことなく、ただ一緒にいてくれる誰かと、ゆっくり時間と共に生きていれば、傷跡は残っても、痛みは自然に癒されていくものだと、この舞台を観て感じていた。創作されたものであっても、観ている自分と重なってくる感情があまりにも多く、鳥肌が立った。そこに流れる横浜の風や匂い、しっかり造り込まれたセットにも物語を感じさせる風情が有った。汚れなく真っ直ぐに生きようとする姉妹、潔いストリッパー、清楚な娼婦、誰もがそれぞれ違う形であっても、凛とした美しさを持っていた。皆が“マリア”と呼ばれるにふさわしい生き方をしていたと、タイトルにの意味合いの大きさも感じさせられた。この完成度、演技力、小劇団(と言っていいんだろうか?)としては断トツの素晴らしさだった。
『曇天プラネタリウム』
ラチェットレンチF
Geki地下Liberty(東京都)
2016/10/26 (水) ~ 2016/10/30 (日)公演終了
満足度★★★
心苦しいが・・・
まだこの作品以外に2作しか観ていない劇団。それで脚本・演技力ともにその実力を認めている。しかし、今回は若いキャストが多かったせいか、レベルダウンを感じてしまった。演出もいつものレベルなら下手な小細工無しにその世界を魅せることが出来ただろうが、今回はもう少し演技を補助する照明なり、映像なり、少し手を加えるべきだったのではないかと感じた。
ゲズントハイト
ナイスコンプレックス
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2016/10/26 (水) ~ 2016/10/30 (日)公演終了
満足度★★★
期待し過ぎなのか?
初日のせいか、受付が上手く機能していない。指定と自由席の列がはっきりしないので、劇場前で迷う人たち多し。また劇場内も席の区別をはっきりさせるものがない。表示することをお勧めする。さて、肝心のストーリー、良い話ではあるが、主役のキャラや彼のしていることを考えると、どうもこの劇場はそぐわない気がする。もうふた周り小さい劇場の方が似つかわしい内容だったのでは?と思う。芝居の固いメインに対し、他の客演の見せ場が少ない。実にもったいない!ミスキャストでは?と首をかしげてしまった。今回はいつもの演出の冴えが感じられず、期待はずれに終わったような気がしないでもない。が、おそらく、私だけだろう。客席には笑い声と涙する声が多くあったような気がする。
遠い国から来た、良き日
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2016/10/14 (金) ~ 2016/10/23 (日)公演終了
満足度★★★★
いつもとは違うが・・・
さすがはワンツーワークス!若いとはいえしっかりとした芝居をする出演者を揃えた。中学生らしい明るさと他愛のなさ、そして純粋さがしっかりと感じられた。
ラストはポタッポタッと勝手に涙が零れ落ちた。子供に強いる者達の身勝手さと、それを命じられた子供の恐怖と辛さに母心は涙した。戦争ものといえば、大抵が過去の記憶、忘れてはいけないものが殆どだが、現在進行形の危険がすぐ隣にあることを日本人は自覚しなくてはならない。平和ボケしたオバサンも最近はそれを感じる時勢となってきた。ちなみに転校生がどんな環境にあるのか?それがまったくわからないのが、スッキリしない引っ掛かりとなった。
ミス・サイゴン
東宝
帝国劇場(東京都)
2016/10/15 (土) ~ 2016/11/23 (水)公演終了
満足度★★★★★
涙が・・・
舞台を観て、こんなに泣いたことは今までなかった。カーテンコールも、帰りの電車の中でも、家に帰ってからも・・・・・思い出すだけで涙が止まらない。今こうしていても眼が熱くなってくる。ひたすらクリスを信じたキム。ベトナムを忘れたかったクリス。彼を攻めることは出来ない。ベトナムの悲惨な光景、殺されるか殺すかの毎日。それは彼の心を苦しめ続けた。戦争なんてものがなければ・・・・・・。
「ブイ・ドイ」劇中のこの唄には言いようのない切なさと怒りを感じた。罪を認めつつも“ゴミクズ”という、この唄。「ミス・サイゴン」観る側にあまりにも多くのことを訴えてくる舞台だった。
天召し-テンメシ- 【第28回池袋演劇祭参加作品】
ラビット番長
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2016/09/15 (木) ~ 2016/09/19 (月)公演終了
満足度★★★★★
井保三兎
前回は棋士と真剣師の戦い、今回は将棋に魅入られた二人の男の人生ドラマとしてしっかり成長した作品。実は気になることがあり、感想が遅れた。ようやくその答えを頂き“やられた!”と、しっかり 井保三兎の思惑に乗せられた自分に気づいた。実に小気味良く、 井保マジックにしてやられたわけだ。おかげで長々と余韻を楽しむ作品ともなった。次回もしっかりと 井保三兎に乗せられてみたい。
泣けない二人に、快晴(ピーカン)の空が笑った!
東京ストーリーテラー
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2016/10/12 (水) ~ 2016/10/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
その長い時間に浸っていたい
少々長い舞台だった。しかし、その温かいぬくもりのようなものにずっと包まれていたい舞台でもあった。愛情一途な人たちばかり、なんてやさしい想いばかりなのだろう。その中で父と子は不器用に生きていた。控えめな父の心が明かされ、その想いが溢れ出す瞬間に感動、いやいや、共鳴した。ホントはね、言葉にすることは大事だけど、子供のうちに抱きしめる事はもっと大事なのだと母は思います。
Regulation's High!
BLACK JAM
上野ストアハウス(東京都)
2016/10/06 (木) ~ 2016/10/10 (月)公演終了
満足度★★★★★
眠気が飛んだ!
“一番は体力勝負!?そんな気配がする舞台。各々のスポーツ技術がどんな風に活かされるのか?これが見ものですね!”と「観たい」に書いた。それでも芝居に関しては実はあんまり期待してなかったのだけど・・・予想以上の迫力とネタ作りの上手さに眠気も吹き飛んだ!(前日睡眠3時間半)実際、体力勝負!スポーツ技術がフルに活かされ、その上でぐっとくる男たちの思いもあった。ホント、ムチャクチャ面白かったです!個人的には「尾崎ネタ」と「校則復唱ネタ」好きです!
Unbreakable -アンブレイカブル- 最終章
演劇レーベルBo″-tanz
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2016/09/29 (木) ~ 2016/10/03 (月)公演終了
満足度★★★★★
最終章
お気に入りの劇団さん、とうとうこのシリーズも最終章。はなださとし氏の脚本・演出が今回は特に良かった開演前に“アンブレイカブル座談会”出演者総出でこの作品について語る。この作品ならではの用語が多い、もちろん細かな説明は観客に配られているが、話し言葉での説明があると観る前に整理がついて、話に入りやすい。なかなか上手い演出!そして(いきなりですが)ラストの演出もその余韻を感じさせる。さて、今回印象に残るのは有馬ルカ役の真僖祐梨ちゃん。実に繊細なイイ芝居をしてくれた。もちろんレギュラーメンバーは安心してみていられる実力派、その中に入って光って見えるくらい
存在感がある。またシェムハザイの真美子さん、美しくて残酷で強弱のある芝居をしっかりこなしていた。こちらもかなりイイ感じに役には待っていたと思う。最終章になって、ようやく答えが出た。簡単に言えば言ってしまえるが、その答えの中にある恐怖や孤独を抱えている人はおそらく、まだ大勢いるだろう。忘れてはいけないことの上にこの物語があったこと。改めて感じさせられた。最後の最後まで疑問を持ちかける展開も見応えあった!終わってしまった何か寂しい気がする。次回作、心待ちにしております。
MARKER LIGHT-BLUE マーカライト・ブルー
オッドエンタテイメント
新宿シアターモリエール(東京都)
2016/10/05 (水) ~ 2016/10/10 (月)公演終了
満足度★★
荒
“こういうタイプの舞台はあまり小さい劇場で観てはいけない”。荒が見え過ぎてつらい。ちゃんと芝居の出来る方数人もいらっしゃるので、大丈夫だろうと思って観に。しかし、芝居も動きも未熟な出演者が多く、逆に上手い方たちが浮いて感じられてしまっていたようで。ダンスにいたっては前列の踊れる組、後列のお遊戯組、と見事に別れ・・・・これでこのチケット代?もっと低料金でファンが何度でも観れるようにしてあげたほうが良いのでは?オバサンは1回でげんなりしました。
EXTRA EXTRA ~エクストラ エキストラ~
TATICA
シアターブラッツ(東京都)
2016/10/05 (水) ~ 2016/10/09 (日)公演終了
満足度★★★★
痛い女
素子の勘違い振りがなんとも痛い!実際昔、エキストラのバイト何回かしたことがあるが、確かにこういう勘違い女、いた!ある意味とても逞しい女。恥という言葉を知らないというか、周りが見えていないというか・・・・・。舞台だからという笑いではなく、リアルに思い出す笑いがこみあけてきた。また、松本寛也のぼけっぷリがムチャクチャイイ!最近はこのタイプの演技に磨きがかかってきたような・・・・そろそろりりしい芝居も観たいのだが・・・・・。全体的にテンポ良く、シビアな笑いがいっぱい。セットの移動が多すぎるのが、ちょっと煩わしかったが、たっぷり笑える舞台だった。