偽善者日記
荒川チョモランマ
劇場MOMO(東京都)
2011/03/18 (金) ~ 2011/03/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
演劇が観られる幸せを感じさせてくれる公演。
細かいところを言えばアラはいっぱいあるのだけど、それにも関わらずキラリと輝くシーンが随所にあり、観終わったあとに観られてよかったと思える公演だ。
素敵な役者がいっぱいいて、若手劇団なのに豪華ささえ感じさせる。特に、役者の声が皆素敵で、声を聞いているだけでも幸せな気分になれる。
震災の暗い気持ちを吹き飛ばしくれた。ありがとう。
シングルマザーズ
ニ兎社
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2011/02/20 (日) ~ 2011/03/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
間違いなく名作!
沢口靖子がいい。たっている姿勢が美しく、強く、そして時にもろい女性をしっかりと演じている。その他の登場人物も皆素敵。
吉田栄作が身勝手な男の代表選手を務めている。この芝居では男は悪役だが、それでも男の辛さと哀しさをしっかりと演じきった。
身近なテーマをとりあげ、明るく終わったところも素晴らしかった。
労働です
範宙遊泳
STスポット(神奈川県)
2011/03/02 (水) ~ 2011/03/09 (水)公演終了
満足度★★★
演劇の垣根を越えて
どんどん変化していく範宙遊泳。常に観客の持つ固定観念を打ち破ろうという企みが感じられる。自分の劇団さえ、こういう劇団というレッテルを貼られるのを嫌うように、裏切って裏切って、新たな道を切り開こうとしている。
魅力的な役者が揃っていて、とても刺激的なシーンが続いていく。それにも関わらず、少し戸惑っている自分がいる。「労働です」というインパクトのあるタイトル。そしてくり広げられる魅力的なシーン。しかし、作者の本当の狙いが私には伝わらなかった。
演劇という垣根さえ越えて、新たな次元に飛び出そうとしている範宙遊泳。これはひょっとしたらとてつもなく凄い芝居を観ているのかもしれないと思いながら、取り残されている自分を感じた。
ピーナッツ畑にかかる月
早稲田大学演劇倶楽部
早稲田大学学生会館(東京都)
2011/03/04 (金) ~ 2011/03/07 (月)公演終了
満足度★★★★★
壮大なエンタメファンタジー
2時間を超える壮大なファンタジー。話の展開は荒唐無稽だが、それでもしっかりと楽しませてくれるし感動もさせてくれる。
エンクラの役者は皆、味があるが、中でも奥山雄太と寺島功毅が魅力的だった。
エンクラの伝統的様式と、役者の力量で、破綻しそうなところを全て魅力に変えている。あらためて凄い学生劇団だ。
夏への扉
演劇集団キャラメルボックス
ル テアトル銀座 by PARCO(東京都)
2011/03/05 (土) ~ 2011/03/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
名作誕生!
夏の扉という名作小説をどう料理するのかと楽しみにしていたが、期待以上。そしてしっかりとキャラメルボックスの芝居になっていたところに凄さを感じた。
キャラメルボックスの次代を背負う畑中智行の成長が伺えたのがうれしかった。そして筒井俊作が素敵な役でたっぷり楽しませてくれた。
ネズミ狩り
劇団チャリT企画
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/03/03 (木) ~ 2011/03/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
代表作と呼ぶに相応しい出来。
テーマ自体は重く、考えさせられるところがいっぱいなのに会場は笑いが絶えない。笑いながら心に違和感を植え付けていくという楢原拓の企みが見事に成功している。
ザンヨウコが、普通の女性でありながらとても強い女性という難しい役どころを見事に演じていた。そして今回主役ではないが、内山奈々の存在感が抜群。この芝居を大いに盛り上げた。
高見靖二もはまり役だったが、Wキャストと聞いてびっくりした。役者ひとりひとりがが舞台上で輝き、全体として作品がきらきらと輝いていた。完成度が高い。
サザンカの見える窓のある部屋
カムヰヤッセン
小劇場 楽園(東京都)
2011/03/03 (木) ~ 2011/03/06 (日)公演終了
満足度★★★★
劇団員の成長ぶりがうれしい。
番外公演、そして劇団員だけの公演ということがあってか、肩の力が抜けた感じ。カムヰヤッセンのいいところが凝縮されたような芝居になっている。カムヰヤッセンお得意の近未来SF仕立てになっているが、中身は家族の物語。ほろっとさせどころが上手い。
主宰の北川大輔が役者としてもいい味を出しているが、やはり4人の役者が魅力的。それぞれがいい役者に育ってきた。
細部に荒削りなところがあり、まだまだ成長過程だが、今後を期待させる劇団だ。
「したごころ、」【満員御礼!千秋楽を無事迎えることが出来ました!】
エビス駅前バープロデュース
エビス駅前バー(東京都)
2011/02/25 (金) ~ 2011/03/20 (日)公演終了
満足度★★★★
独特の雰囲気がたまらない。
狭い空間を見事に使い、魅力的な空間に仕上げている。劇場では味わえない臨場感がこの会場の魅力。それを上手く利用して、自分が劇中に居合わせたような感じを味合わせてくれるのだ。実際にバーに来て、隣の客の会話を聞いているような感じ。そんな楽しさがある。
役者が手を伸ばせば触れられる距離にいる。ため息まで聞こえてくる。汗やつばがふりかかる。狭い空間こその楽しさが満載だ。
恵比寿駅前バーはロングランをやったり、平日でも1日複数回公演をやったり、遅い時間の公演をやったり、さまざまな面で新しい公演スタイルを打ち出している。その姿勢も好感が持てる。
超!スーパーウルトラハイパーサンダーローリングなんとか【公演終了しました。ご来場ありがとうございました。】
元東京バンビ
しもきた空間リバティ(東京都)
2011/03/02 (水) ~ 2011/03/06 (日)公演終了
満足度★★★★
胸に響くコメディ
シンプルながら、雑誌編集部の部屋を見事に再現した見事な舞台美術、細部にまでこだわりが見られた。
ストーリーはコメディではあるが、背景にきちんとした人間の描写があり、感情移入出来る。また、役者が魅力的で将来が楽しみな人が多数いた。
SF的味付けもあり、楽しみどころ満載。
ザ・マッチメーカー
中野成樹+フランケンズ
座・高円寺1(東京都)
2011/02/25 (金) ~ 2011/03/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
上質なコメディ。
ワイルダーの世界を見事にナカフラ流に仕上げている。
誰でも楽しめる上質なコメディ。恋人や家族と一緒に観たいという気にさせる。登場人物が皆魅力的。細部にまでこだわってていねいに作られた作品だ。
ドロシーの帰還
空想組曲
赤坂RED/THEATER(東京都)
2011/02/23 (水) ~ 2011/02/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
職人芸のように。
小玉久仁子、久保貫太郎など、各劇団の飛び道具を集めながら、びっくりするようなピュアな演技をさせている。そこら辺のほさかようの演出能力に恐れ入る。
舞台美術、照明、音響、いずれをとっても一級品。
中田顯史郎のうまさは相変わらず。今回、川田希が素晴らしかった。
うたかたろん【終了しました。ご来場ありがとうございました!】
早稲田大学劇団木霊
劇団木霊アトリエ(東京都)
2011/02/18 (金) ~ 2011/02/20 (日)公演終了
満足度★★★★
行き届いた心配りに感心。
舞台美術が素晴らしかった。細部にまでこだわりが感じられ、物語にリアリティを生んだ。学生劇団の美術とは思えない素晴らしいものだった。
登場する人物は全員病んでおり、まともな人間は一人もいない。そういう難しい設定のなかフレッシュな役者陣が熱演していたのが好感が持てた。難しいテーマにひるまずに挑戦しているのが若さだと思う。
終わった後、突然の雨だったのだが、劇団が傘を持ってない人のために貸し
傘を用意してくれていた。こういった心配りが素晴らしかったので星をひとつ足しました。
ハッシュ【終演しました。ご来場ありがとうございました。】
らちゃかん
王子小劇場(東京都)
2011/02/16 (水) ~ 2011/02/20 (日)公演終了
満足度★★★★
独特の世界に魅力。
一見普通の支援センターかと思えば実は・・・。イケメン・美女・個性派、さまざまな配役を用意して、短い時間の中に様々な人生模様を詰め込んでいる。
人生のやり直しというテーマにも魅力を感じた。
沼袋十人斬り・改訂版
THE SHAMPOO HAT
シアタートラム(東京都)
2011/02/10 (木) ~ 2011/02/20 (日)公演終了
満足度★★★★
渋さが光る!
シャンプーハットに登場する人物はそれぞれ社会からはみ出した人たちだ。その社会からあぶれた人たちが繰り広げる悲喜劇を見事に表現している。だから全編面白いシーンの連続なのだが、笑いながら切ない思いにも包まれる。
そういった中で今回の作品は歌舞伎的要素やエンタメ要素を取り入れ、しゃれた作品に仕上がっている。いつものこの劇団の毒を少し抑えめにして新しい観客にもアピールしていこうということなのだろう。しかし、題材は連続殺人鬼の物語。
渋さが光る劇団の渋さが光る公演だった。
バレンタインサミット
乱雑天国
エビス駅前バー(東京都)
2011/02/11 (金) ~ 2011/02/15 (火)公演終了
満足度★★★
全編が松下ワールド!
登場する役者の演技が全て松下幸史に見えてくるという不思議な感覚。独特の笑いとかわいらしさと徹底した観客サービスがこの劇団の売り。
うまいとか凄いとか言う劇団ではないが、このおかしげな魅力に取り憑かれるとやみつきになるかもしれない。
次回も観たいと思わせる劇団だ。
金閣寺 The Temple of the Golden Pavilion
KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)
2011/01/29 (土) ~ 2011/02/14 (月)公演終了
満足度★★★★
スケールに圧倒される。
森田剛、さすが。この舞台に賭けている気迫のようなものを感じた。ジャニーズのスター芝居とは全然違う、役者森田剛の渾身の演技だった。
グレート、ワンダフル、ファンタスティック
ロロ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/02/09 (水) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
満足度★★★
飛躍への転機
ロロが新しい何かを模索しているような作品。ひょっとしたらさらなる飛躍への転機となる作品だったかもしれない。
もがき苦しむものが伝わってきたのも好感が持てた。役者が全力で役にぶつかっていたのも素敵だった。
サイキックバレンタイン
たすいち
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2011/02/11 (金) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
満足度★★★★
誰でも楽しめる
1ヶ月毎に公演を打つなど並の才能、並の情熱では出来ることではない。それだけで高く評価したい。
またたすいちは魅力的な役者を次から次へと育てている。そのことも驚き。男優も女優も素敵だ。
ロクな死にかた
アマヤドリ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2011/02/03 (木) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
文句なく過去最高作品!
私が観た中では過去最高の完成度。文句なく傑作だ。面白いところは面白く、心に響くところは響き、胸打たれた。ひょっとこの売りであるかっこいいダンスも今回はストーリーと見事にシンクロして、見ているだけで涙が出て来た。
恋する、プライオリティシート
コメディユニット磯川家
王子小劇場(東京都)
2011/02/05 (土) ~ 2011/02/14 (月)公演終了
満足度★★★★★
演劇に賭ける志に感動!
王子小劇場を大胆に使った舞台美術は、ひとめ見ただけでこの劇団の姿勢がわかる。
我々はえてして、コメディ劇団なら、舞台美術も照明もそんなに凝らなくても出来るのではと思ってしまうが、全く逆のようだ。
少しも手抜きをせずに最高のコメディを見せようという姿勢が端々から感じられるのだ。
達者な客演陣と、劇団員のバランスも見事で、誰もが楽しめるハートフルコメディ。何回でも観たいと思わせる劇団だ。