園田喬しの観てきた!クチコミ一覧

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令和5年の廃刀令

令和5年の廃刀令

Aga-risk Entertainment

としま区民センター・小ホール(東京都)

2023/05/01 (月) ~ 2023/05/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

観劇後に残した自分用のメモには「横綱相撲」の四文字が。それほど磐石な上演だと思います。団体が得意とし、かつ多くの上演経験を有する「会議劇・討論劇」の新作であり、演出家、俳優共々、その経験値を大いに活かしています。安心して観劇できるシチュエーションコメディとして、観客を選ばない一作だと感じました。選んだモチーフも多くの社会問題に置き換えられるため、深掘りをして楽しむことも、エンタメとして割り切って楽しむことも、どちらも可能だと思います。一人ではなく誰かを誘って観に行きたくなる。そう思わせてくれる団体であり、作品と言えるでしょう。

あげとーふ

あげとーふ

無名劇団

無名劇団アトリエ(大阪府)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度

原作は十数年前に高校演劇の全国大会で準優勝した作品だそうで、僕は初見でした。台本のエモさ、そして出演者による熱量高めの上演は、アトリエ公演特有のコンパクトな空間と相まって、客席へ届きやすい環境だったと思います。高校演劇のルール(上演時間60分以内)に則った原作なので、内容や展開が圧縮状態にあり、青春群像劇の細部や人物相関の背景なども知りたくなりました。ただ、(これは僕の嗜好の領域ですが…)せっかくのアトリエ公演、しかも地元の方々が多く来場して下さる客席ですから、その地域をモチーフにした作品を観てみたい感情にかられました。そういう創作もされていると聞き、その想いが更に強くなりました。

松竹亭一門会Ⅱ 春の祭典スペシャル

松竹亭一門会Ⅱ 春の祭典スペシャル

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七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2023/03/17 (金) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「ダンスカンパニーによる落語会」。この発想そのものにチャレンジャースピリットを感じますし、実際の上演からも、その気概を感じ取ることができました。落語へのリスペクト、上演する上での創意工夫、演者それぞれの独自性を加える心意気、等々も理解できます。ただし、個人的にはもっともっとダンス側からのアプローチが見たかった。せっかくのチャレンジですし、より混在となった「ダンスカンパニーによる落語」に期待していました。その意味で、僕が好きだったのはズブロッカさんの『蒟蒻問答』。冒頭でコンテンポラリーダンスの用語解説をした後、本編の『蒟蒻問答』に入り、最後はしっかりダンスで締める。オチもスッとキレイにまとめられ、「振付家による一席」という印象でした。逆に、僕の中で少々ガッカリしたのは、ごみ箱さんが「すし組/そば組」の双方で同じ噺をかけられていたこと。これは、正直あまり嬉しくない。気合の込められた熱演でしたし、この噺でトリを務めようとする責任感がひしひしと感じられるからこそ、同じ噺をかけたことにやや違和感が残りました。

少女仮面

少女仮面

ゲッコーパレード

OFF OFFシアター(東京都)

2023/03/16 (木) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「戯曲の魅力・面白さ」を再認識できた観劇でした。瑞々しく、幻想的で、情熱に溢れた、言葉の数々。劇中のモチーフが「俳優」や「演劇」であり、その上で「私達はどう生きるか?」に迫る物語なので、観劇や取材を生業とする僕にとって惹かれる上演だったと思います。それを踏まえて、非常に悩ましいのは「『少女仮面』という戯曲の良さを審査にどう反映させるか?」でしょう。これが、劇団の特性や独自性を大いに取り入れた上演なら、演出面の高評価に繋がります。ところが、今回の上演は戯曲が元々持っている魅力を引き出すことに力点が置かれていると感じます。そのアプローチに反論する意思はないのですが、要するに「最大の功労者は劇作家」という着地点をイメージしてしまうのです。この上演を思い出す度、ずっとそんなことを考え続けています。

橋の上で

橋の上で

タテヨコ企画

小劇場B1(東京都)

2023/03/08 (水) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

実際に起きてしまった痛ましい児童殺害事件を下敷きにしており、観客の注目度も高い一作だと思います。該当事件に関する知識の有無で作品の評価が変わる上演ではなく、全ての観客へ丁寧に情報を伝えようとする意思を感じました。その意味で、いま舞台上で起きている事柄を、観客が受け取りやすい状況と言えるでしょう。ただ、僕個人は、今作で過去の実在事件を取り上げた創作上の意図を明確に感じ取れず、少しモヤモヤした気持ちになりました。実際の事件を取り上げることで「これは他人事ではない」という凄みを増幅させる効果はありました。そこから更に、一歩、二歩、三歩、踏み込むことで、物語は劇的に広がりを見せると思います。(←勿論高いハードルであることは承知していますが、期待を込めて)。

DADA

DADA

幻灯劇場

AI・HALL(兵庫県)

2023/03/03 (金) ~ 2023/03/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度

音楽劇として、やや珍しいアプローチに取り組んでいる点が印象に残りました。物語パートと歌唱パートに分け、それらをレイヤーとして重ね合わせることでひとつのシーンを構築しようとする。その見え方も観客によって各々異なるでしょうし、様々な感想を呼び起こす効果があると感じました。僕の観た回は客席の反応も上々で、ファンをしっかり形成する活動歴を誇る団体であることがうかがえます。社会問題を内包するモチーフを選んだ一作なので、登場人物の内面描写から飛躍させ、何かしらの問題提起まで到達できれば、更に良かったかも。

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