仮名手本忠臣蔵
花組芝居
小劇場B1(東京都)
2023/06/21 (水) ~ 2023/06/27 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/06/24 (土) 13:30
こんなスタイリッシュな忠臣蔵があるのか。
黒一色の素舞台で揃いの紋付袴の男たちが演じる悲劇はときに重厚、ときに軽やかにテンポよく進む。
古めかしい台詞に血肉を通わせる抑揚や表情。紅ひとつささずに義士と女房を演じ分ける演技力。
義と人情が今もこんなにカッコいい。
当然の結末
シベリア少女鉄道
俳優座劇場(東京都)
2023/06/17 (土) ~ 2023/06/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/06/17 (土) 18:30
2022年の『アイ・アム・ア・ストーリー』でこの団体の公演を初めて観て、台詞と舞台上で繰り広げられる物語の齟齬に強烈なインパクトを受けた。
で、気になってこの作品も予約した。
2度目となると多少は作風への理解も進み、なるほど!と思いつつ、やはり笑ってしまう。よくこんなことを考えつくものだ。
『SUMMER FREESIA EXPRESSION』
パピプロデュース
萬劇場(東京都)
2023/06/14 (水) ~ 2023/06/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/06/17 (土) 13:00
魅力的な舞台だった。青春群像劇に止まらない戯曲の仕掛けも高校時代と18年後をつなぐ演出も物語を活かす12人の役柄とキャストそれぞれの持ち味も。
観ながら、笑ったり手拍子したり時に涙をこぼしたり。
言葉にならない思いもしみる。
死んだら流石に愛しく思え
MCR
ザ・スズナリ(東京都)
2023/05/26 (金) ~ 2023/06/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/06/03 (土) 18:00
MCRの作品はいつも、好きか嫌いかの二元論では語り切れない。やるせない饒舌さとヒリヒリするような切実さ、そして痛みにも似た面白さがクセになりそうで、返って観に行くのをためらってしまう。それでも今日この舞台を観てきてよかった。
ココノイエノシュジンハビョウキデス
日本のラジオ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/05/31 (水) ~ 2023/06/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/06/03 (土) 13:00
面白かった。いや面白いというか、終始会場を満たす不穏な雰囲気と緊張感、そして静謐な美しさを満喫した。観客がその余韻にとらわれて物語の終わりに拍手が起きないのは、日本のラジオの公演ならではという気がした。。犬組と鶏組の両方を拝見したため、それぞれの違いを含めいっそう面白かった。先に観たバージョンに引き摺られるかと思ったが、そんなことなかった。ある種の可愛らしさと怖さ、そしてときおり笑いもあって、それぞれ見どころのみっしり詰まった約70分だった。
無地にしか見えない
♯Q
新宿眼科画廊(東京都)
2023/05/27 (土) ~ 2023/05/30 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/05/27 (土) 19:30
好みのキャストによる個性的なキャラクターたちの会話劇。途中でハラハラしたりもしながら、気持ちよくおさまって、じんわりと優しい気持ちになった。
人魂を届けに
イキウメ
シアタートラム(東京都)
2023/05/16 (火) ~ 2023/06/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/05/20 (土) 18:00
凄かった!
ほとんど静かな会話だけで綴られる物語に惹きつけられ、会場中が息を呑んで成り行きを見守った。日々魂を削られ続けるこの世界。寓話風な雰囲気なのに奇妙なほど身につまされた。観ることができてホントよかった。
Kappa~中島敦の「わが西遊記」より~
劇団扉座
座・高円寺1(東京都)
2023/05/17 (水) ~ 2023/05/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/05/27 (土) 13:00
考えさせられることもたくさんあったけど、とにかく怒涛の物語に引き込まれ、イキイキと舞台上を走り回る人々の人生(いやほとんど人じゃないけど)を堪能しつつ、哲学的な彼とともに旅をする約2時間。キャストによるパーカッションも素敵だった。
三蔵法師の強さや孫悟空の明快さだけでなく、沙悟浄の迷いさえ否定してはいないのだ、と思った。
反転するエンドロール 2023
ムケイチョウコク
space café ポレポレ坐(東京都)
2023/04/21 (金) ~ 2023/05/20 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/05/06 (土) 19:00
楽しかったー😆
登場人物チケットで参加して、自分に与えられた役柄の物語を堪能させていただきました。役者さんがしっかりリードしてくださるし、間近で本イキの芝居を見せていただけたのも眼福でした。物語自体の仕掛けも凝っていて◎
サンソン―ルイ16世の首を刎ねた男―
キョードー東京
東京建物 Brillia HALL(東京都)
2023/04/14 (金) ~ 2023/04/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/04/22 (土) 17:00
ドラマティックな時代のドラマティックな題材を、誠実に生きようとしたひとりの男の物語として描く。
ムッシュー・ド・パリと呼ばれた処刑人を軸に、史実やフィクションで馴染みのあるあの人やこの人も登場して描かれる激動の時代。
その中で、パリ市民として声をあげる人々こそが真の主役だったかもしれない。民衆のざわめき、好奇心、不信、怒りが時代を動かす。
播磨谷ムーンショット
ホチキス
あうるすぽっと(東京都)
2023/04/07 (金) ~ 2023/04/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/04/15 (土) 18:00
楽しかった!ハードボイルドからハートウォーミングへ向かうストーリーをたくさんの笑いで綴っていく。よく練られた展開はややベタ寄りだけれど、それが気持ちよく決まる快感があった。リピーターの多そうな客席の雰囲気も温かくて、免疫力上がりそうな約2時間。
彼女も丸くなった
箱庭円舞曲
新宿シアタートップス(東京都)
2023/04/12 (水) ~ 2023/04/18 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/04/15 (土) 13:00
面白かった!出てくる人たちが皆ヘンテコで、でもどこか見覚えのある感じだったりもして、職場や学校や家族や先輩後輩や、その他様々な人間関係の中で起こりうる現代的な問題を描いているのかもしれないけれど、そんなことを考える前に目の前の出来事に惹きつけられた。
物語にもタイトルにも美術にも多くの仕掛けがあって、噛み合わない会話やたくさんの伏線、入り組んだ時系列など深掘りしがいのある作品だった。あの微妙な会話が成立するのは役者さんたちが達者だからだろう。雨だしソワレもあるので紙でなく電子版の戯曲を買った。
……などと無自覚に呟いてる時点で、自分も某登場人物のことを笑えないのかもしれない💦
ブレイキング・ザ・コード
ゴーチ・ブラザーズ
シアタートラム(東京都)
2023/04/01 (土) ~ 2023/04/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/04/22 (土) 13:00
Twitterで見かけた感想を読んで急遽チケットを予約した。
面白かった、いやぁホント面白かった。チューリングって、あのチューリングか!と途中で気がつく(まあ、あの、というほど詳しくはないけど)。
なんていうか、共感するとかしないとか以前に(ああ、人間がいるなぁ)と思った。彼の目指したものの実現が近づいているなぁ。
歌え!悲しみの深き淵より
劇団東演
俳優座劇場(東京都)
2023/03/12 (日) ~ 2023/03/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/03/18 (土) 13:30
老いた親のことが気になる年頃なので、いろいろ身につまされた。優しさだけではない息子の葛藤も割り切ったように見える娘の胸の内も、衰えを自覚しつつ認めきれない父のプライドも、それぞれに切ない。
天使の災難
しゅうくりー夢
ザ・ポケット(東京都)
2023/03/08 (水) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/03/11 (土) 18:00
トリちゃんとタケの関係がとても好き。ある場面で涙浮かべてた彼女にグッときました。
登場人物それぞれの想いや葛藤が優しく胸にしみる。いやたくさん笑ったけどね。
若者たちのキラキラした青春とベテラン勢のわちゃわちゃした楽しそうな感じがどちらもツボでした。
笑の大学
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2023/02/08 (水) ~ 2023/03/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/03/04 (土) 13:30
いや本当に面白かった。たくさんの笑いをテンポよく見せる2人芝居の呼吸が気持ちいい。たくさん笑ったあとで、温和そうな椿の真意の吐露と翌日の向坂の言葉の切実さが胸に響いた。
観終わって、扉座の『最後の伝令』を思い出した。戦時下でのレビュー作家の物語というだけでなく、その作家のしなやかな強さが似ていたのかもしれない。ストーリーの切り口もキャラクターも異なっているけれど、主人公に託した書き手の矜持と意志はどちらも作品からもしっかり伝わった。
帰りの電車の中で三谷さんのインタビューを読み、『笑の大学』の主人公 椿一に菊谷栄さんが投影されていたことを知る。なるほど扉座の作品を連想するはずである。こちらはそのまま菊谷栄氏が主人公なのだ。
戦争に奪われる大切なもの。困難なときにも人々が物語や音楽や笑いを求めること。三谷さんも横内さんも、菊谷栄氏の生涯にご自身の仕事に欠かせない何かを見るのだろうか。
リボンの騎士2023 -県立鷲尾高校演劇部奮闘記-
劇団扉座
すみだパークシアター倉(東京都)
2023/03/02 (木) ~ 2023/03/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/03/04 (土) 18:00
弱小高校演劇部の奮闘を描くこの作品は、現在扉座研究生の卒業演目にもなっていて、何度も拝見しているし、そのたびに熱い思いが伝わってグッときてしまう。
今回観ていて、この作品と扉座『ホテルカリフォルニア』とは表裏一体なのだと今さらながら思った。一方は私戯曲として、もう一方はファンタジーを絡めつつ普遍性を持たせているけれど、どちらの作品も無関心や嘘を嫌う主人公たちの不器用な若さが眩しい。
15 Minutes Made in本多劇場
Mrs.fictions
本多劇場(東京都)
2023/02/22 (水) ~ 2023/02/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/02/23 (木) 13:00
6つの団体による15分の短編6つ。
どれも身体に沁みわたる芝居たちでした。15mm初めてという観劇仲間が「すごく面白かった!豪華過ぎ!」とおっしゃっていてうれしかった。あと6団体の上演順がマジ絶妙でした。
ロロ『西瓜橋商店街綱引大会』面白かった。日常的な風景と、なぜこんなことを思いつくの⁉️という不思議な要素とがしっくり混じり合って印象的だった。実はロロ初見💦
キャラメルボックスの『魔術』、戯曲化せずに小説そのままで緊張感のある舞台にした……と思ったけど原作を青空文庫で読んでみたら舞台と違ってる部分がけっこうあって、特に後半の展開は舞台の方が好き……というか、なるほどキャラメルらしい、と思った。文豪をもじった役名にニヤッとしたりも。
ZURULABO『ワルツ』、奇妙だけどこれはたぶんロマンチックな物語なんだと思った。そういうのもハッピーエンドと呼ぶのだろうか。木原さんの背筋が伸びた姿の良さが印象的。
休憩を挟んで、
ブリーズアーツ『真夜中の屋上で』、泣いた。亡き人を巡る若者たちの思いを若手声優さんたちの朗読劇で描いた作品。演出の緒方さんが声でも参加されてたんだけど、それがもう本当に素敵でグッときた。さすがというしかない。
オイスターズ『またコント』とてもよかった。奇妙な導入に、何、何事?と思って観ていたけど、しだいに引き込まれてじんわり胸に響いた。愛知を中心に活動する団体だそうだけど、東京公演をチェックしてみたい。
Mrs.fictions『上手も下手もないけれど』、名作。
初演・再演・再々演と観てるはずなのに、改めて観るとまた胸に響く。ギュッと濃縮された我々の人生がユーモアや愛情や後悔とともに本多劇場の舞台上にあった。
ロビーのポスターやステージ美術を見て、主催の挨拶を聞いてる時点でもう感無量だったのは、15mm自体に思い入れがあるからだろう。そういう観客も多い気がする。マチネとソワレでお目にかかれた方も残念ながらお会いできなかった方もたくさん劇場にいらっしゃったらしい。お芝居が好きな我々のお祭り。
オペラ『アイツは賢い女のキツネ』
オペラシアターこんにゃく座
世田谷パブリックシアター(東京都)
2023/02/17 (金) ~ 2023/02/19 (日)公演終了
実演鑑賞
オケピ目の前の贅沢なお席で観劇。
ヤナーチェク作曲『賢い女狐の物語』の日本語訳による上演。森に住む動物たち(やその他もろもろ)による物語は、小編成の生演奏や難易度高い楽曲といくつものエピソードを連ねて、入り組んだ恋愛模様やシニカルな死生観を描いていく。
カラフルでポップな動物たちの造形が、役者さんたちの歌や動きの素晴らしさと相まって、観ていて楽しい舞台となっていた。
桜姫東文章
木ノ下歌舞伎
あうるすぽっと(東京都)
2023/02/02 (木) ~ 2023/02/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/02/11 (土) 18:00
開演前、当パンを見ると人物相関図が載っていてありがたいけど、込み入ってる上にキャストが皆さん複数の役で登場するらしい。ちゃんとついていけるか、やや不安になる。
ステージ上に廃墟となった劇場があり、そこで演じられる桜姫の物語。棒読み調の台詞や寝転がる出演者に最初は戸惑ったけど、なんていうかその外から見ている感じと激動の展開との温度差が面白く感じられて。結局は怒涛の物語性と俳優陣の魅力が印象に残る舞台となった。
上演中、キャストはずっと出ずっぱりであった。(舞台上の)廃劇場のステージを降りるとその周囲に座ったり寝転んだりしつつ他の人の芝居を観て、水を飲んだり風船ガムを膨らませたりしながら大向こうをかけたりする。その大向こうがタイミングよく、ときに面白くて笑いを誘ったりもした。
禁断の恋から始まった桜姫の物語は、巡る因果と濃厚な人間関係を平坦な現代語訳で綴りながらさまざまな仕掛けによって古典のあり方を揺るがしたりなぞったりしつつ進んでいく。平坦さの中に浮かび上がる様式美と運命に翻弄された人々の悲哀が観終わってからも胸に残った。