長い正月
20歳の国
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/12/29 (金) ~ 2024/01/08 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/12/29 (金) 19:30
6年ぶりの劇場公演だと言うベテラン劇団。とても面白い。いい芝居を観た。102分。
1823年(大正12年)から今度の年越しまで、ある家族の100年にわたる年越しの様子を淡々と描く。多摩の酒屋だった木村家の居間が舞台。隣の神社の田崎家の人を交えて、短い時間で次々と年が過ぎていくのが面白い。シームレスな演技だが、ちょっとした言葉や話題で年が変わったことが分かるあたりは流石の巧さ。年末にいいものを見せてもらった。
天使の群像
鵺的(ぬえてき)
ザ・スズナリ(東京都)
2023/12/21 (木) ~ 2023/12/29 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/12/28 (木) 19:00
初日に観て面白かったので楽前に再度観た。やっぱり面白い。(5分押し)142分。
気になったことや思い出したことを徐々に書いていこうと思う。
・脚本の高木は学校が嫌いだと言うが、学校のことをよく分かっている、というか、学校が社会からどう思われているのかがよく分かっていると思う。
・例えば、男性教師3人がどうしようもないこととか…。ただ、あのような人は今のマトモな学校では教頭(今は「副校長」ということが多い)になれないんじゃないか。
・カントリーマームのくだりは、学校あるある、だと思う。ああいう風に、ゲーム風と言うか、ああいった形にすることは学校ではよくあるように思う。
・
バースデイ、レター
route.©︎
王子小劇場(東京都)
2023/12/23 (土) ~ 2023/12/26 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/12/25 (月) 16:00
同時上演中の『ぼくの箱庭』と世界観を共有するダーク・ファンタジー。かなり切ない。(3分押し)94分。
「箱庭」と呼ばれる、おもちゃ工場は子どもだけしか働けないのだが、子どもたちは大人たちに暴力をふるわれ管理されつくしているのだが、スピカとミラは恋をして…、という物語。『ぼくの…』がおもちゃの側をフィーチャーしているのに対し、本作は働く子どもたちに焦点を当て、キツイ物語が展開される。役者陣も世界観を共有しているのは分かるが、特に小泉日向が光る。主宰で作・演出の平安は両作品に出演していて、それはそれで大変な苦労だと思う。
紫にリボン結び
♯Q
スタジオ空洞(東京都)
2023/12/22 (金) ~ 2023/12/25 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/12/24 (日) 14:30
特色ある会話劇のユニットだが、クリスマスにフィットした、面白い作品だった。85分。
高級ショコラティエを舞台に、クリスマスを題材にした微妙な会話劇。表情とセリフがマッチしないという面白い作りだけれど、題材は純愛だな(^_^;)。井本初め役者陣の表情が面白い。
ぼくらの箱庭
route.©︎
王子小劇場(東京都)
2023/12/22 (金) ~ 2023/12/25 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/12/22 (金) 19:30
この所気になってる劇団のファンタジー作品。独特の世界観が面白い。82分。
2018年に初演された作品(恐らく旗揚げ)の再演だが、初演は観てない。「箱庭」と呼ばれるクリスマス向けのおもちゃを作る工場で、ドールと呼ばれるおもちゃの一人ロゼ(大屋沙季)が外の世界に行こうとするが…、の物語。統一された美意識で作られたファンタジーで、結末はちょっと切ない気もするけど、とにかく美しさを追求してる。大屋の声が素晴らしく美しい。マリアンヌ(まひたん)のヴィジュアルが、どストライク。藤真廉の凛々しさもいい。
タイトルの「箱庭」は「リトルガーデン」と読む。
天使の群像
鵺的(ぬえてき)
ザ・スズナリ(東京都)
2023/12/21 (木) ~ 2023/12/29 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/12/21 (木) 19:00
期待の劇団・鵺的の大作で確かな見応えがあった。142分。
学校を舞台に「臨時的任用教員」の道原(堤千穂)が出会った生徒と職員が作る風景を興味深く観た。こういう人っているよな、と思わせる典型的な人物がいっぱい登場する中で、登場しない男子生徒を軸に振り回される事件が続く。リアルでもありながら、ギリギリでファンタジーとの境目を綱渡りする脚本も見事だし、それを体現する役者陣も(演出も)見事。加えて舞台美術も凄くて、上手から下手に傾斜する舞台の奥に何面かのカガミを組み合わせ広がりを作るのも巧い。
開演5分前から客電を点けたままで役者がアクトし、客電が落ちて開演して142分の長さは、ちょっと辛い。
生徒役の吉水と野花を入れ替えても面白いと思った。久々に観た渡辺詩子が颯爽としているのも嬉しい。
すみつくす
屋根裏ハイツ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/12/14 (木) ~ 2023/12/25 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2023/12/20 (水) 19:30
初見のユニット。現代口語演劇の静かな芝居。102分。
シェアハウスに今クラス人々と、その建物の12年前とが、シームレスに展開される。
夜の初めの数分間
劇団牧羊犬
王子小劇場(東京都)
2023/12/13 (水) ~ 2023/12/19 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/12/16 (土) 18:00
初見のユニット。新劇っぽいかと思ったら、ちょっと違ったファンタジー。面白い。127分。
ひまわり(井上薫)は大人気の女優だったが、妊娠を秘密にするために休暇に入り娘・画子(平体まひろ)を産むが、同じ時期、鏡・レンズ・画像に人が映らなくなる「現象」が起こり始める。人々は自身の状況を見るために、肖像画を書いてくれる人を求め、その達人を「カガミ」と呼ぶようになる。有名なカガミになった画子だが…、の物語。SFチックな設定の下で何か事件の展開を考えるのかと思ったら、ファンタジーとして母娘の物語が展開される。ちょっと予想したものと違った展開だったが、それでも面白く観た。作・演出の渋谷は映像系の人らしいのだが、観るのは初めてで、独特のセリフのセンスが面白いのだが、ちょっと過剰な感じがする。また、登場人物それぞれに振ったエピソードをすべては回収できず、これはどうなったんだろう、と思うところが結構あるあたりが惜しい。
『東京原子核クラブ』から興味を持って観ていた平体だが、今までのイメージとはちょっと違ったテイストの役をしっかり演じていた。『ホテル・イミグレーション』で観た井上は確かな役者だと改めて思った。
なるべく強く踏みつけて、
あんよはじょうず。
新宿村LIVE(東京都)
2023/12/13 (水) ~ 2023/12/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/12/16 (土) 14:00
今気になっている劇団の新作は、訳が分からないけどワクワクするアングラテイスト作。(2分押し)104分。
元々がアングラテイストの劇団。筋はあるんだけど追おうとすると頭がおかしくなるくらいの展開が興味深い。耽美的と言おうかヴィジュアルにも拘り、「いびつな愛」を描く。とにかくスゴイ。
Strange Island
Nakatsuru Boulevard Tokyo
サンモールスタジオ(東京都)
2023/12/13 (水) ~ 2023/12/20 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/12/15 (金) 14:00
中津留章仁による骨太のお伽話(?)。とても面白い。(4分押し)152分。
とある島は富裕層(表町)と貧困層(裏町)に分かれているが、表町の人間は何でも許され裏町の人間は…、の物語。リアリティがあるようで、極端なキャラがいっぱい出てくるのでファンタジーなんだなぁと思う。扱っているテーマはハードで、政治や貧困や不平等など骨太の題材だが、笑えるセリフも混じり、2時間半を楽しく観ることができる。性格(性癖)的には最低なホレスが正論を吐いたり、市長の衣装が極端だったりで、楽しめるポイントがいっぱいある。おバカのようでいて実はしたたかなベティを演じた勝平とも子がいい。
十二月八日
青☆組
アトリエ春風舎(東京都)
2023/12/14 (木) ~ 2023/12/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/12/14 (木) 19:30
同劇団としては4年ぶりの公演だが、劇団の特徴が良く出た素敵な作品だった。(2分押し)84分。
太宰治が太平洋戦争開戦時の感触を妻の立場から描いた短編小説を潤色して、舞台化した。終演後に原作を読んでみたが、原作は一種無邪気に戦争を受け止めているが、本作では戦争の悲惨さも含めて巧みに手を入れて、興味深い舞台となっている。4年ぶりの公演だが、感触は相変わらず。開演の5分前から役者が舞台の脇に着席し、小説を読んでいるという設定の「読者」の少女を置いたことで、現代や未来に繋がる作品にするというのも巧い。
abc 赤坂ビーンズクラブ
エヌオーフォー No.4
赤坂RED/THEATER(東京都)
2023/12/13 (水) ~ 2023/12/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/12/13 (水) 19:00
若い女優たちによる上質のオシャレなエンターテインメント。面白い。99分。
昨年の第1弾(7月),第2弾(12月)に続いて第3弾も観たけど、今回も20歳前後の女優8人が登場し、苦笑系のショートコントあり、歌ありダンスありの舞台、80分を楽しむことができた。今回はパンフレットを見ると、今回はおバカ路線にしたみたいだけど、知的な部分もしっかりあり、前回とよく似た泣ける芝居もある。「しりとり」ネタは毎回あるね。
胎内
7度
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/12/06 (水) ~ 2023/12/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2023/12/09 (土) 19:00
初見のユニット。三好十郎の有名な3人芝居を1人で上演する。重い。79分。
終戦直後に書かれた戯曲で、戦争時に掘られた横穴に閉じ込められた3人の男女の物語で、新国立劇場での上演を観たことがあるが、それをマンションの1室に置き換え女性1人で上演する。開演前に説明されるように、セリフの順序を変えたり等の潤色はあるもののセリフの時代を感じさせるが、それが現代に活きる面もあり、興味深くは観た。ただ重い。演じた山口の力量は確かだと思った。
晩餐
タクフェス
サンシャイン劇場(東京都)
2023/12/08 (金) ~ 2023/12/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/12/08 (金) 18:30
久々に観た宅間作品は満腹感!(前説10分を含め)160分(+アフター)。
東京セレソンデラックス時代はいくつか観ていたのだが、タクフェスになってからは初めて。タクフェス旗揚げ作品を10年ぶりに再演した。エンターテインメントに徹しつつ、相変わらず良くできてる。タイムトラベルを扱っているので辻褄合わせが大変だが、「家族」というテーマには普遍性があり、終わり方も納得できる。ただし長い。第1場がもうちょっと整理されて、上演時間が短くなると、もっと観やすくなると思う。加藤貴子が久々の舞台で元気なところを見せてくれるのが嬉しい。
開演前から宅間他が出てきて会場を盛り上げ、そのまま前説的にセットの説明をする。終演後、5分の休憩を挟んでパフォーマンスとミニ・トークがあるということだが、帰ってきてしまった。
タイムトラベル大五郎
さんらん
王子小劇場(東京都)
2023/12/06 (水) ~ 2023/12/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/12/08 (金) 14:00
初見のユニット。タイトルにあるようにタイムトラベル物で、目新しさはなくベタだが、それなりの良い芝居。(7分押し)119分。
幕末の侍の大五郎がタイムスリップして現代に来て、いじめられてる小学生のケイと出会い、母子家庭のケイの家に厄介になる内、…の物語。ケイの母が麻雀のプロで実は血が繋がっていないが…、というあたりも、何故この設定と思うが、幕末の物語を交互に挟み、全体に「争いはやめよう」というテーマがあって、ベタにはベタなりの良さがあるとは思う。タイムスリップのメカニズムにはほぼ触れないけど、それはどうでもいいね。長く活動してる劇団らしく、常連の客と覚しき人が多いのだけど、かなり笑えるセリフ(ex.「大人は嘘をつくんだよ」)が結構あったのに笑いがあんまり起こらないのが不思議。
あと、麻雀で「泣き」と言ったら「チー」のことだと思うのだが、ポン(普通は「食い」と言うと思う)でも「泣き」と言っていたのが気になる。
当パンの役名にミス。「山本杏」→「山木杏」
「シド・アンドウ・ナンシー」「ぬけ男、恥さらし」
MCR
OFF OFFシアター(東京都)
2023/12/06 (水) ~ 2023/12/12 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/12/07 (木) 19:00
『ぬけ男…』を観た。2013年に初演の作品の再演で、初演も観ている。とんでもなく面白くて、そして切ない。観るべし!(1分押し)98分。
5年間書いていなかった作家の物語と、その作家が書き始めた「ぬけ男」の物語が交錯し、最後には愛についての深い展開に続く。初演も観ているのだが、ほとんど覚えていなくて、観ている内に、ああこんな話だったなぁ、と思い出し、最後はちょっと泣けてしまった。「切なさ」が観始めた頃のMCRの特徴なんだなぁ…。くによし組の永井一信とみそじんの大石とも子が出ているので期待して行ったが、2人が軸になる夫婦役で見事に快演してる。その意味でも泣けてしまった。三澤さきの暴れぶりにも感心。
「シド・アンドウ・ナンシー」「ぬけ男、恥さらし」
MCR
OFF OFFシアター(東京都)
2023/12/06 (水) ~ 2023/12/12 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/12/06 (水) 19:00
『シド…』を観た。2009年初演の作品の再演だが、初演は観てない。切ない。(5分押し)89分。
下っ端ヤクザの安藤は鉄砲玉を命じられるが、高校の同級生やっちゃんが当時とは大きく変わった姿で登場し、…の物語。私が初めて観たMCRは2011年だから、それ以前の作品ということになるが、近作と作風は似ているものの、ちょっとテイストが違うと思った。ダメ男たちが回想する高校時代など、甘酸っぱい感じの場面もあり、全体が切ない。
キトキトキ時、時々ビビ⚡️
チャパリアーナ
王子小劇場(東京都)
2023/11/24 (金) ~ 2023/11/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/11/24 (金) 20:00
私の苦手なパフォーマンス系だが、なんだか面白かった。(3分押し)70分。
碓井菜央が立ち上げたダンスユニットの劇場初公演だそうだが、苦手なコンテンポラリーダンスなのだけれど、なんだか面白く観た。冒頭、段ボールを用いたパフォーマンスを見せるのだが、これが最後まで活きる。鍛えた肉体の見事さや、コンビネーションの巧みさを観てて、なんだかスゴイなぁ、と思ったりした。5人の出演者のプロフィールを読むと、、出自の違いでダンスの違いがあるような気がする。
その1-演劇をやってみよう編-
Project OHANA
アトリエ春風舎(東京都)
2023/11/24 (金) ~ 2023/11/26 (日)公演終了
実演鑑賞
鑑賞日2023/11/24 (金) 15:00
小原花のソロユニットの旗揚げ。良く分からなかった。57分(前説3分を含む)
冒頭、パントマイム風で始まるのだが、何をしているのか分からなくて、既に置いて行かれてしまった。日常の断片を繋いで演劇にしている印象だが、どういうシーンの連鎖なのか想像できなくて…。
舞台「有頂天少女」
バードランドミュージックエンタテインメント
バルスタジオ(東京都)
2023/11/22 (水) ~ 2023/11/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/11/22 (水) 19:00
若手女優がフェルマーの定理を題材の芝居をする、というので観に行った。数学歴史ファンタジーとでも呼ぼうか。予想外の展開で面白い。91分。
歴史教師が高校時代の同級生の誘いで、高校時代の修学旅行時の事故で消えた同級生のカイを探す回想の旅へ…、のファンタジーな展開。謎そのものの解決はややチープだけれど、それを、フェルマー予想が解決されて定理になるプロセスと重ねるという展開が面白い。ピタゴラスやフェルマーの名前が出てくる芝居にはしばしば出会うが、カントール,エイダ(ラブレス),ヴォルフスケール,谷山・志村,ワイルズといった名前に出会ったことはなく、ビックリした。ピタゴラス教団の話とかも一定程度正確だし、歌やダンスを交えた楽しい舞台だし、布をダイナミックに使う演出とか、見応えはあった。タイトルにも意味があるのだけれど、それほど活きていなかったのは残念。