jokermanの観てきた!クチコミ一覧

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日本の歴史

日本の歴史

シス・カンパニー

新国立劇場 中劇場(東京都)

2021/07/06 (火) ~ 2021/07/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/07/18 (日) 13:00

2018年の年末に上演された作品の再演で、初演も観ているが、今回も楽しめた。
 テキサスの一家の物語を日本の歴史と並行させて描くという、ちょっと変わった趣向のミュージカル。初演と構造は変わっていなかったが、川平慈英が瀬戸康史に変わった上に、いろいろと手直しされていたようで、初演とはちょっと印象が異なった。シルビア・グラブの歌声で始まる舞台は、やはりミュージカルを主戦場としている人は違うな、と思わせてくれるし、宮澤エマの歌声の美しさを今回は感じた。秋元才加の歴史の先生というポジションが実に面白い。

hedge 1-2-3

hedge 1-2-3

serial number(風琴工房改め)

あうるすぽっと(東京都)

2021/07/08 (木) ~ 2021/07/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/07/17 (土) 18:30

B「trust」を観た。詩森の金融三部作の完結編で書き下ろしだが、金融でない要素も加わり面白かった。
 第2作のinsiderで創立メンバーがインサイダー取り引きを行なったバイアウト・ファンドが、信用を回復するために努力する姿を、PHS会社の苦悩や、フェアトレード・コーヒーで起業しようとする女性達と絡めて描く。フェアであることの難しさやジェンダーの問題も加わり、金融だけでない要素を含めているが、エンターテインメントを忘れない姿勢で、楽しく見せてもらった。場面転換もエンタメにするのは見事。今回登場した女優陣も自然に溶け込んでいたと思う。

hedge 1-2-3

hedge 1-2-3

serial number(風琴工房改め)

あうるすぽっと(東京都)

2021/07/08 (木) ~ 2021/07/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/15 (木) 18:00

A「hedge/insider」を観た。経済をエンタメに昇華させる芝居で面白かった。
 詩森の経済3部作が完結するタイミングで過去2作を大幅に改訂して1つの芝居にしたもの。「hedge」は2013年、「insider」は2016年に上演されたもので、両方とも観ているのだが、再度観て「あぁ、こんな芝居だったなぁ」と思い出した。詩森の描く企業モノにハズレなし、だと思っている私だが、本作の描く世界は舞台化するのがやや難しいと思っていたけど、巧みに演劇にしているのが見事。慣れた役者に吉田栄作,岡田達也などの客演が巧く混じって素敵な舞台になっていた。舞台が大きくなった分、迫力ある美術や生演奏を含む音楽なども栄えていたと思う。
 新作の「trust」を観るのが楽しみ。

アンジェリーナ3:49

アンジェリーナ3:49

MCR

ザ・スズナリ(東京都)

2021/07/14 (水) ~ 2021/07/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/14 (水) 19:00

ちょっとダークだけど笑えて、最後は微笑ましく終わる。面白い芝居だった。
 悪いことでも平然とやってのけるトモ(櫻井智也)が「もうすぐ死ぬ」と言って、コーヒーショップでバイトするサエ(長谷川晴)に会いに来るが、話はどんどん大事になり…、という物語。巻き込まれる人々が、逆に人を巻き込む様子が面白い、と言うか、笑いを呼ぶ、櫻井節とでも言うべき展開で、セリフの切れ味も鋭い。櫻井言うところの「振り切れた」芝居を楽しむ90分。三澤さきの最初のセリフは特に笑えた。切ない感触を残すセリフもありながら、最後は明るく終わるのもいい。

一九一一年

一九一一年

劇団チョコレートケーキ

シアタートラム(東京都)

2021/07/10 (土) ~ 2021/07/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/13 (火) 19:00

大逆事件を題材にした、真摯で迫力ある群像劇。いいものを見せてもらった。
 10年前に上演されたものの再演だそうだが、初演は観てない。大逆事件が検察・判事たちによって、いかにしてでっち上げられたかを扱う作品で、実在の人物がいっぱい出て来るが、物語はフィクションという、いつもの同劇団の作り方が冴える。トラムという舞台の広さと高さを活かした美術が見事だし、言うまでもなく、同劇団に慣れた役者陣の熱演で、なんとも言えない「気持ち悪さ」(誉めています)に溢れた舞台だった。管野須賀子を演じた堀奈津美は5年ぶりの舞台だそうだが、紅一点ということもあって抜群の存在感だった。

反応工程

反応工程

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2021/07/12 (月) ~ 2021/07/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/07/12 (月) 19:00

戦争のもたらす理不尽と不自由を描く秀逸な作品。観るべし。
 宮本研の1958年の作品で、九州の軍需工場を舞台にしたベテラン職工から動員学徒までさまざまな人々の群像劇。2幕5場が昭和20年8月7日から始まり、2幕1場で8月10日まで行ったところで、非常に美しい場面転換で昭和21年3月5日で終わる。時期の設定が見事で、広島に原爆が落ちた日の翌日から始まることで冒頭から原爆が話題になる。敗戦後7ヵ月を経た最終場では、みんなのその後、的な展開となり、呆然とするエンディングへと繋がる。
 本来は昨年4月に上演する予定だったものを、同じスタッフ・キャストで1年3か月後に上演されるというのは凄い。単に、個々の人々の苦悩を描くだけでなく、戦争の末期でも企業は設けを考えている、という指摘など、強烈なメッセージを持った戯曲である。初日だったけど、役者陣も充実した演技で、見事な芝居になっていた。
 1幕1場30分、2場20分、3場35分、休憩20分の後に、2幕1場40分、2場20分、で2時間45分の長丁場だが、全く飽きない。

脱出病棟

脱出病棟

ショーGEKI

「劇」小劇場(東京都)

2021/07/08 (木) ~ 2021/07/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/09 (金) 19:00

以前から知っていたが観るのは初めての劇団。シンプルに面白い。
 劇小の舞台いっぱいに組まれたジャングルジム様の骨格パイプを、崩れた病院に見立て、事故で崩れた病院から脱出を試みる10人の患者たちによる105分の群像劇。と言ってもスペクタクル系では全然なく、笑わせ系。個々の役のキャラクターが立っているし、流れるようなセリフ回しに役者陣の力量が感じられる。それぞれの患者が病んでる「部位」も面白い。パイプ組みでの「演技」は予想以上に大変だと思うが、最後まで怪我せずに上演してほしい。

七祭〜ナナフェス〜この夏、胸アツ!演劇2本に映画だ、わっしょい!

七祭〜ナナフェス〜この夏、胸アツ!演劇2本に映画だ、わっしょい!

On7

シアター711(東京都)

2021/07/02 (金) ~ 2021/07/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/08 (木) 19:00

On7の映像と演劇の短篇集。面白かった。
 今回は「ナナフェス」と称して、短篇映画と2本の短篇芝居を上演。2本の芝居を繋ぐ芝居もある。映画『うまれる』は内容も映像もシリアスな作品だが、基本的に映画を観ない私が、なぜ観に行かないかという理由を再認識させられる作品で、クウォリティは高いけど、私のテイストではない。5分ほど換気のためと言いつつ映像機器を撤去する時間を取り、連作短篇『祭の前後』のパート1後に、早船聡の作・演出で『夜会』。俳優(渋谷はるか)・付け人(小暮智美)・その姉(尾身美詞)の音楽劇。巧妙な伏線から、ありえない展開に進み、タイトルに収束する流れは見事だった。『祭の前後』パート2をはさんで、土田英生の作・演出で『座れ!オオガミ』。3人の銀行員(安藤瞳・保亜美・吉田久美)が応援に来たスポーツは…、という、これまたアリエナイ展開だが、微笑ましく笑いが起こる楽しい舞台だった。『祭の前後』パート3を経て大団円的終幕。

誰か決めて

誰か決めて

吉祥寺GORILLA

王子小劇場(東京都)

2021/07/07 (水) ~ 2021/07/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/07 (水) 18:50

初見のユニットだが、なかなか面白い作品だった。
 特殊清掃でバイトする高倉は、特殊清掃ならぬ遺品整理を依頼された現場で日記を発見するが、それに書かれていたのはある男の『人間失格』的な生活だった…、という物語。同じ役者が現在と日記の中の物語の人物の両方を演じる部分があり、その違いも分かりやすく、物語的にもそれなりの伏線の張り方で起伏はある展開だった。ただし、無駄と思うエピソードもあって、130分の長さに冗長感があるとは思う。力量ある役者が演じているし、美術や照明も含め、演劇的には充実していたと思う。

 私も含め、チケットの配券ミスがいくつかあったこともあって、ダダ漏れ的に5分押しというのは、ややいただけない。

ウィルを待ちながら~インターナショナル・ヴァージョン

ウィルを待ちながら~インターナショナル・ヴァージョン

Kawai Project

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/07/02 (金) ~ 2021/07/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2021/07/06 (火) 18:30

面白いけど、思っていたものとは違った。
 2018年に初演された作品を、国際演劇祭に招待されたことで「~インターナショナル・バージョン」として改変して上演したものだが、初演を観てないので改変の内容は分からない。シェイクスピア学者の河合祥一郎が企画し、脚本・演出を担当し「シェイクスピア全40作品から名ゼリフを集めて1本の芝居に仕立て上げた」と言っているが、シェイクスピアでない部分も多い。原型は『ゴドー…』のようだし、メタ演劇的な要素もある。田代隆秀・髙山春夫という演者はベテランだし見応えある舞台を作ってはいたが、2月に観た『テンダーシング』のようなものを予想していたので、ちょっと肩透かし感がある。

銀の骨

銀の骨

やみ・あがりシアター

王子スタジオ1(東京都)

2021/07/02 (金) ~ 2021/07/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/04 (日) 14:00

ある意味オシャレな芝居に仕上がっていた。
 やみ・あがりシアターの番外公演シリーズの第2弾。多分初めて観る演者の久保磨介の原案を、笠浦が脚本にして演出する。シルバーアクセサリーの店員と技術者を久保が演じ、さまざまな客との対話で紡ぐ70分。対話の相手の性格が浮かび上がる脚本と演出と演者の技術で、物語がしっかりと立ち上がる。オチもなかなかのもので、とても「オシャレ」な芝居だと思った。

バクで、あらんことを

バクで、あらんことを

くによし組

王子小劇場(東京都)

2021/06/30 (水) ~ 2021/07/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/04 (日) 11:30

Bも観た。
 先日Aを観て流れを知っていたので、冒頭から細かい台詞が工夫されていることに気づいた。知っている役者が多いBだが、感触は変わりなく、でも、菊池美里の存在感が強烈だなと思った。

フェイクスピア

フェイクスピア

NODA・MAP

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2021/05/24 (月) ~ 2021/07/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/07/03 (土) 18:00

3度目の観劇。もう言うことなし、の作品だと改めて思った。
 笑わせておきながら最後でドッキリなモノを持って来る巧さがスゴイ。結末のネタがネット上で漏れていないこともスゴイ。

バクで、あらんことを

バクで、あらんことを

くによし組

王子小劇場(東京都)

2021/06/30 (水) ~ 2021/07/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/02 (金) 16:00

Aチームを観た。
面白い、と言っていいのか分からないけど、面白い80分。観て損はない。
 近年の國吉は、自身がそうだったような生きづらそうな人々を描いてて、結果として随分と社会性のある芝居を書くようになったと思う。本作もその一つ。シュールで、筋を追おうとすると難しいのだが、観終わると言いたいことは分かる。「面白い」という表現が適切とは思えないのだが、ほかに言いようがないのが國吉の作風とも言える。くによし組を観始めた時の「○○あるある」的な作品とはちょっと違うテイストが出てきているが、國吉の中では同じ物を書いているのだろうな、とも思う。

夜会行

夜会行

鵺的(ぬえてき)

サンモールスタジオ(東京都)

2021/07/01 (木) ~ 2021/07/07 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/07/01 (木) 19:00

スゴイものを観た気がする。観るべし(前売券完売だが当日券で是非)!
 レズビアンの新田(笠島智)が恋人の笑里(福永マリカ)と住む部屋が舞台。笑里の誕生日を祝うためレズビアン仲間が集まる。遼子(奥野亮子)と廣川(ハマカワフミエ)が来るが、話題の中心は廣川の新しい恋人の理子(青山祥子)。集まった5人は取り留めのない話を続けるが、30分ほど経って新参者の理子の問題が話題になると…、という展開。スケールの大きな作劇が続いた鵺的だが、今回は小劇場ならではの会話劇を展開し、70分強の舞台は基本的にリアルタイムで進む。5人のキャラクターが際立っているし、力量ある魅力的な女優陣が演じることでそれはよりハッキリする。誰が言うことももっともで、誰が正しいと言うわけでもなく、それぞれの生き方は認められるべきだと思える。レズビアンの話と思っていると、もっと普遍的な人間の生き方の話になっているあたりが見事である。珠玉の台詞が並ぶ。
 こういう芝居が観たい。☆15くらい付けたい気になる。

別役実短篇集  わたしはあなたを待っていました

別役実短篇集 わたしはあなたを待っていました

燐光群

ザ・スズナリ(東京都)

2021/06/25 (金) ~ 2021/07/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/06/27 (日) 13:00

4本の通しを観劇。
燐光群が昨年の『天神さまのほそみち』に続いて別役実作品を扱う。昨年観てフィットすることは分かっていたが、今回もフィットして面白い。ただし、スズナリのイスに4時間座るというのは、予想はしていたがツライ(;/_;)。

A『いかけしごむ』(60分)/『眠っちゃいけない子守歌』(50分)
休憩15分
B『舞え舞えかたつむり』(55分)『この道はいつか来た道』(50分)

フェイクスピア

フェイクスピア

NODA・MAP

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2021/05/24 (月) ~ 2021/07/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/06/26 (土) 18:00

2度目の観劇。やはりいい。
 2度目なので、いろいろと調べて観に行ったが、やはり生の言葉の強さに圧倒される。
 高橋一生はもちろん凄いのだけれど、今回も橋爪功・白石加代子の傘寿コンビが強烈な印象を与える。一人だけ若い前田敦子がいい仕事をしているし、いいポジションを貰っているとも言える。

猫を探す

猫を探す

このしたやみ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/06/25 (金) ~ 2021/06/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2021/06/25 (金) 19:00

初見の劇団。京都を中心に活動する演出家・役者2人のユニットらしいが、力量があることは分かる。
こふく劇場の永山が書き下ろした不条理な幻想譚で、独特の趣きはあり楽しめる舞台だけれども、残念ながら私のテイストではないです。

「TABOO」

「TABOO」

TEAM空想笑年

王子小劇場(東京都)

2021/06/23 (水) ~ 2021/06/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/06/25 (金) 14:00

初見の劇団だが面白かった。
 劇団名にある通り、笑いをねらった劇作。2組のヤクザが演劇コンクールに参加し、最優秀賞を取った方が縄張りを治める、という設定はムチャクチャだが、それなりに説得力ある物語を展開させてくれる。TABOOは何か、は、すぐ分かるけれども、それも予定調和的な感じで受け入れ可能。工夫もあり役者の力量もあり、充分楽しめる120分だった。暗転が多い演出だけは気になってしまった。

黄色い叫び

黄色い叫び

TRASHMASTERS

サンモールスタジオ(東京都)

2021/06/23 (水) ~ 2021/06/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/06/24 (木) 18:00

初演から何回も観ている戯曲だが、迫力があり重厚で優れた舞台だった。観るべし!
 2011年の4月、中津留lovers名義で上演され、震災から1ヵ月で「災害」を扱った作品というので話題になったが、中津留loversでの再演やトム・プロジェクトのプロデュースで何回か上演されたものの、中津留の本拠地であるTRASHMASTERSでは初めての上演。他のユニットに書いた戯曲をトラッシュがやるのは恐らく初めてではないか。部分的に改作はされているが、大筋は変わっていない。133分。
 田舎で災害に慣れてしまった人達と、東京に出ていて正論を言う匠、そして匠を応援する何人かの対立を描く前半の青年団の会議。そして後半は災害が起こり…、という展開だが、説教臭い展開ではない。匠が感情的になっている様子も描き、よく練られた戯曲だが、本作では個々の人物のキャラクターがより際立ち、見事な作品になっている。どの役者も熱演だが、嫌な役回りを演じた長谷川景と、看護師を演じた福永理未が特に光った。

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