居酒屋「夢の郷」殺人事件2022春
居酒屋「夢の郷」☆製作委員会
活鮮旬彩 夢の郷(東京都)
2022/03/19 (土) ~ 2022/03/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/03/21 (月) 17:00
居酒屋を舞台にした芝居を、実際の居酒屋で上演する。前有佳が4年半ぶりに芝居をするというので観に行ったが、楽しい作品だった。
居酒屋でTVの早食い番組を収録しようとする最中に、早食いチャンピオンが殺されて、…、という芝居を、神田の居酒屋「夢の郷」で上演する。故・阿藤快のアイデアだったらしい。筋はよくあるものと言えるが、数多い登場人物のそれぞれに役割があり、アドリブとも演技とも分からぬ巧妙さもあって、楽しく見せてもらった99分。ただし、歴史の話はちょっとコジツケ感が否めない。期待の前有佳はTV局のディレクター役でしっかり演じ、ブランクを感じさせなかった。
終演後、ライブと称して、飲食しつつ、出演者の歌・ダンス・マジックを観る時間があったが、これは、コロナ前には出演者と観客の公開打ち上げだったのだろうな、と思った。コロナが憎い。
赤き方舟
風雷紡
小劇場 楽園(東京都)
2022/03/19 (土) ~ 2022/03/21 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/03/21 (月) 13:00
3年前に浅間山荘事件を扱った同劇団が、その前日譚とでも言うべき作品。2年、2回の延期を経て上演される。73分。
連合赤軍成立前後の展開を描くフィクションだが、重信房子、永田洋子、遠山美枝子(劇中では、金山美智子)ら3人の、女性の視点から描く「革命」という視点が吉水らしい。革命のあり方だけでなく、男女差別やルッキズムをも題材にし、現代の女性とも通ずる戯曲になっているのは、ある意味でスゴイとも思う。意図的に、カッコイイ重信、容姿で差別された永田、美しい金山、という対比を見せる所も巧い。リアルタイムで見て知ってる事件でも、こういった扱いで見せられると、改めて考えさせられることが多い。
奇蹟 miracle one-way ticket【3月12日~3月17日公演中止】
シス・カンパニー
世田谷パブリックシアター(東京都)
2022/03/12 (土) ~ 2022/04/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/03/20 (日) 14:00
不思議な作品で、訳が分からないが、確実にエンターテインメントだった。102分。
依頼を受けて現地に向かった探偵(井上芳雄)が襲われ、相棒である医者(鈴木浩介)が発見するが記憶喪失…、という推理仕立ての展開が、徐々に解明されていく、と見せて、ワケ分からん展開になるけれど、エンターテインメントとして成立してる、という、よく分からん作品。井上芳雄が3曲ほど歌う。井上小百合も結構フィーチャーされているが、ストーリーテラーの鈴木の存在感がいい。
怖え劇
劇団スポーツ
王子小劇場(東京都)
2022/03/16 (水) ~ 2022/03/21 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/03/19 (土) 14:00
同劇団を観るのは2作目。大ホームランだった!観るべし。(4分押し)100分。
劇団の稽古に来た新人2人とベテラン2人、そして作・演出の女性と、しばらく休んでて久々に復活した女性の6人が登場。稽古風景なのか、現実なのか、劇中劇なのか、場面が混在する中で、確かに「怖ぇ劇」が展開される。途中で思いっ切り嫌な感じに包まれる部分があるものの、終わってみると救われる気分になるのは確か。前説を人が、舞台監督と名乗るのも一定の意味がある。こういう解決が良いのかどうかは意見があるだろうが、舞台化したことは興味深い。
泣くな研修医
劇団銅鑼
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2022/03/18 (金) ~ 2022/03/23 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/03/18 (金) 18:30
中山祐次郎の小説をシライケイタ脚本で舞台化。銅鑼らしいカッチリとした、いい芝居だった。
医療ドラマと言うと天才的な医師が出てくるものが多いが、本作は、研修医1年生の無力感や失敗、そして成長を描く。原作は読んでいないが、TVドラマを観て出てくるいくつかのエピソードは知っていて、それらを改変せずにそのまま舞台化するというシライの意識が、TVよりリアリティある作品にしていたように思う。演出の齋藤理恵子もオーソドックスな演出に思え、役者陣も丁寧に演じて、総じて見応えある舞台だった。
マリーバードランド
やみ・あがりシアター
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2022/03/17 (木) ~ 2022/03/21 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/03/17 (木) 19:00
同劇団にしてはやや珍しい感じの、どストレートなコメディ。面白い。100分。
南極で挙式・披露宴をすることになったマリとアツシだが、アツシはブライダル会社に、マリは旅行会社勤務で、それぞれの会社がコラボしての新規開拓案として資金を出し、プロモーションビデオを撮り…、の予定だが、映画「卒業」並みにマリの元カレが乱入し、結婚はおじゃんになりそう。急遽、別に結婚するカップルを作らなくちゃ…、という、ある意味無茶苦茶な設定で展開されるカップル作りストーリー。無理に無理を重ねて笑わせるという物語に大笑いさせられたが、エンディングは深く、流石は同劇団と思わせて終わる。劇中歌が全て映画の「卒業」に挿入されるサイモンとガーファンクルの曲というのは、分かる人には分かる。さんなぎが関西弁でやんちゃなキャラというのも面白いが、日野あかりを43歳という設定はちょっと気の毒(^_^;)。
なお、「卒業」のダスティン・ホフマンをヒーローと呼ぶのは当たっていないと思う。
関西演劇祭 in Tokyo
関西演劇祭
新宿シアタートップス(東京都)
2022/03/08 (火) ~ 2022/03/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/03/09 (水) 18:00
#オパンポン創造社 / #くによし組 を観た。面白かった。
オパンポンは関西で活動する劇団で、初見のユニットだが、2017年初演で本祭でもかつて上演したらしい『最後の晩餐』を上演。代表作の一つらしい。惑星が地球に衝突する地球最後の日に、夫が家に帰って来たら、妻がしてみたかったSMの女王様をしていた、というシュールながら、コントなどでよくあるオープニングから、物語はドンドン展開し、相当に深遠な方向に向かい、割と予想できるかな、というエンディングに落ち着く。終演後のティーチインで、その辺を計算して上演するというあたりは見事だと思ったが、オパンポンパンツはやりすぎと思う。尤も、劇団の方針なのでしょうがないが。
くによし組は当然ながら新作で『眠る女とその周辺について』を上演。眠る病気になった女の子と幼い頃婚約した男が、自分の住むシェアハウスで女の子を引き取り、同居人と一緒に面倒を見るが…、の物語。いつも通りの「異常な」設定で始まり、そういった中で「正常に」暮す人々が「シュール」になる、という、いつも通りのくによし組だった。最近は、社会的に重く感じる人々を描くことが多く、今回もちょっとそんな感じで、笑わせてくれるんだけど、後で考えることが多くある、そんな感じだ。
光垂れーる
ぽこぽこクラブ
紀伊國屋ホール(東京都)
2022/03/03 (木) ~ 2022/03/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/03/06 (日) 14:00
昨年度の演出家協会若手演出家コンクールで最優秀となった三上の本拠地なので観に行ってみた。悪くはないが、やや冗長。(3分押し)47分(休憩12分)75分。
生と死が混在できる集落を舞台に展開される奇妙な宗教(的)なグループのあれこれ。軸になる家族の物語としてはやや話が広がりすぎるし、群像劇としてもちょっと散漫である。丁寧な演出で場面毎に作り込んではいるが、かえって冗長になってしまった印象である。登場人物も多すぎる気がした。死者と生者が区別できる記号が欲しい気がした。
プルーフ/証明
DULL-COLORED POP
王子小劇場(東京都)
2022/03/02 (水) ~ 2022/03/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/03/05 (土) 18:00
B version を観劇。同劇団でも他の団体でも何度か上演してる戯曲。(2分押し)58分(休憩10分)60分。
中田顕史郎最後のロバートということだが、確かに迫力があった。残念だが、1幕のキャサリンとハルに「数学をやっている」知性がやや感じられずに、乗れなかった。2幕ではそうでもなかったので、何でだろうと思う。
クリキンディの教室
電動夏子安置システム
駅前劇場(東京都)
2022/03/02 (水) ~ 2022/03/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/03/05 (土) 13:00
あまりにも面白かったので、2度目の観劇。確かに面白い。観るべし!118分。
筋が分かって改めて観てみることで、巧妙な脚本の台詞の構造がしっかり見える。無駄がない。昔話の辻褄を現代の基準に合わせる、というスタイルの演劇やコントはいっぱいあるが、これほど成功しているものは滅多にない。辻褄があっているという意味ではなくて、笑わせるものとして、ということだが…。SDGsを謳っているが、必ずしもそれに準じているわけでなく、それぞれの個人(教員)が思うこと/できることを積み上げると何かが生まれる、という趣旨だと思う。役者陣の技量に基く芝居作りは、とにかくスゴイ。一言で笑わせる台詞もいっぱいある。とにかくスゴイ。こんなに笑いっぱなしの電夏は初めて。
新平和
烏丸ストロークロック
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/03/03 (木) ~ 2022/03/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/03/04 (金) 13:00
ドキュメンタリー演劇とでも言おうか。重い話題だが演劇的である。120分。
広島に生まれ育った栗原チエ子は、原爆が投下された際は爆心地にいなくて被爆しなかったが、全ての家族を失う。老境に入った彼女が回想する被爆後の広島の現実を、ある意味淡々と描くことで芝居は進行する。チエ子役の女優はマスクをしてほとんど台詞を発せず、他の役者陣が替わって台詞を語るのは、発言することを奪われた被爆者を象徴しているように思った。終盤に見せる、被爆1年後の光景のシーンがとにかく印象的。
クリキンディの教室
電動夏子安置システム
駅前劇場(東京都)
2022/03/02 (水) ~ 2022/03/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/03/03 (木) 19:00
緻密な脚本のコメディを演じる同劇団だが、今回も緻密で大笑いさせてくれて考えさせられる。観るべし。119分。
とある小学校の職員室らしい部屋(とてもそうは見えない舞台美術)で展開される、教員たちのSDGs談義。桃太郎を辻褄合わせて荒唐無稽な話にしようとするが、そこにはSDGsの話題…、という展開。それぞれの教員のキャラや、セリフで冒頭から笑わせてくれるし、こんなに大笑いが続く戯曲は同劇団でも珍しいのだが、途中から、深く考えさせられる話題を扱っているな、と気づいてゾクゾクした。タイトルの「クリキンディ」は調べてみて本当に凄いタイトルだと思ったし、同じ学校でも、何を大切にするかは教員により違うし、そんな違いが新たな何かを生むことはある、ということも、実は描いているんだと思う。同劇団を17年観ている私だが、このところ社会派よりのコメディへと変化した一つの究極だと思った。
10人の登場人物のキャラがしっかりしているし、それを確実に演じる役者陣の手練の技が凄い。小林知未が演じる吉備野の演技は特に凄いと思った。
転校生
青年団若手自主企画vo.89 山中企画
アトリエ春風舎(東京都)
2022/02/18 (金) ~ 2022/02/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/02/27 (日) 14:00
平田オリザ作で1994年初演の戯曲だが、今回の企画も面白かった。75分。
女子高生オーディションで上演した初演(女子高生だったKAKUTAの桑原裕子や青☆組の吉田小夏らが参加したそうだ)以来、いろいろなユニットで何度も上演されている作品で、私も数回観たが、今回は、見た目で女子高生と思えない役者(男性,年齢的にそう見えない、等)で上演する企画で、それはそれで面白いと思った。一種の不条理劇だが、当パンで演出の石渡が言っているように「戯曲の力が強い」作品で、見かけは女子高生でない役者も女子高生と見えるあたりはスゴイ。その意味ではチャレンジングな試みだと思う。
明時に僕らは青を謳う【2月27日公演中止】
劇団zzZ°
王子小劇場(東京都)
2022/02/25 (金) ~ 2022/02/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
鑑賞日2022/02/25 (金) 18:00
初見のユニット。残念な芝居だった。80分強。
ネット上のメールやコメントを物理的に「運ぶ人」を見せる、というアイデアはいただけるが、いかんせん「舞台に立っていない」役者がいる感じ。配役表が欲しい。
ラビット・ホール【2月18日~20日公演中止、兵庫公演中止】
KAAT神奈川芸術劇場
兵庫県立芸術文化センター 中ホール(兵庫県)
2022/03/12 (土) ~ 2022/03/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/02/24 (木) 18:30
渋い座組みが気になったので観に行った。面白かった。68分(休憩15分)62分。
8ヶ月前に4歳の息子ダニーを自動車事故で失ったベッカ(小島聖)とハウイー(田代万里生)夫妻。息子を思い出すものを残したくない妻と、残しておきたい夫。ベッカの妹イジー(占部房子)が妊娠したと言ってきたり、ベッカの母(木野花)やらとアレコレ擦れ違いながらも、暮していたが、ある日ダニーを轢いたジェイソン(新原泰佑)が会いたいという手紙を寄越し…、の展開。
ありそうな話で、ありそうな場面の連鎖だが、2幕に入っての展開で希望を持たせてくれる辺り、いい話だった。小島が感情を爆発させる瞬間の演技にはシビレタ。わずかなシーンでしか使わない美術が冴えているが、戯曲の指定なのか知りたい。
同作家の「グッド・ピープル」再演を昨年10月に観たが、1幕は背景となる事象の説明に使い、2幕で一気に展開するという、同じ構造に見えた。
1幕で2個、2幕で1個、ケーキを食べてた占部は大丈夫だろうか、と、余計な事が気になる(^_^;)。
どッきん☆どッきん☆メモリアルパレード
東京にこにこちゃん
シアター711(東京都)
2022/02/16 (水) ~ 2022/02/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/02/16 (水) 19:00
初見のユニット。とにかくバカバカしくて(誉めています)楽しいが、ちょっと切なくもある。観るべし!98分。
VRゲームの世界に入った「高校生のアンドウ」が体験する、ゲームの世界での告白体験を描く。多くの同級生や先生方との体験の中で、次々と告白して成功するアンドウだが…、の物語。アンドウ以外はゲームのキャラという設定だが、アンドウのリアルは描かれないので、物語は全てゲームの中での出来事。したがって、無茶な設定も「ゲームだから」ということで許されていく。笑わせて、最後はちょっと切なく終わるあたりが本当に見事。小劇場っぽいチープさも活かして、本当にギリギリのバランスで上演されているのもスゴイ。メイン・ヒロインのシオリ(赤猫座ちこ」の扱いとか、心から笑った。
赤猫座ちこ以外に知ってる俳優がいなかったので、配役表が欲しいところである。
主宰・作・演出の萩田とAga-riskの富坂によるアフタートークでは、2回延期になり2年越しの作品ということで、萩田の「芝居できてよかった」感がいっぱい。ゲームの「ときめきメモリアル」と映画「トイ・ストーリー」をベースにしているらしいのだが、ゲームしない・映画観ない、の私では良く分からないことがある。しかしゲームらしい楽しさはしっかり伝わった。
寡黙と饒舌
ヨルノハテの劇場
シアター711(東京都)
2022/02/08 (火) ~ 2022/02/11 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/02/08 (火) 19:00
元がーまるちょばのケッチによるパントマイム(寡黙)と清水宏によるスタンダップコメディ(饒舌)のコラボ。面白い。休憩10分込み115分。
清水は語りが決め手だが体もしっかり使い、やはりボディランゲージは大事だと改めて感じる。特に、後半で久々に見せたシンバル漫談を最近しない理由で、それがさらに分かる。ケッチのパントマイムは定番的なものや、ちょっとすぐネタがバレルものも含めて笑いを取るが、さすがと感心させるものもある。最後は2人がそれぞれ客席から出た3つのお題で演じる「三題噺」を見せ、これもさすがな感触。
APOFES2022
APOCシアター
APOCシアター(東京都)
2022/01/15 (土) ~ 2022/02/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/02/06 (日) 16:00
石澤希代子×平井隆也『震える私の心の音』を観た。面白い。45分。
バレエをやっていた石澤の特性を活かした脚本はなかなか見事なもので、それをしっかり演じる石澤の演技も一種「神がかった」ような凄さを感じた。オープニングとエンディングで繰り返される「こんなことで泣きたくない」というセリフがすごくいい。一人芝居のフェスティバルだが、このコロナ禍の影響か、1組の公演数が少なくなって来ている気がする。
見舞う男
ジェットラグ
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2022/02/03 (木) ~ 2022/02/07 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/02/05 (土) 17:00
中津留章仁の作・演出で、ある家族の物語を描く。面白い。115分。
交通事故で一時的に記憶を亡くしたらしい女性(平体まひろ)の病室に、同じ会社に勤め事故の加害者になってしまった男(冨岡健翔)が見舞いに(だから『見舞う男』)来る。当初は女性の兄(星野卓誠)と姉(十碧れいや)には胡散くさがられるが、次第に受け入れられ…、な物語。社会派と言われる中津留だが、こういう一種の「ホームドラマ」も書ける、というのは知ってはいたが、本当に久々だなぁという感じ。それぞれが少し変な部分を持つ家族に、不思議な提案をする男、という4人を軸に物語は展開される。元宝塚男役の十碧のヴィジュアルを活かした役作りや、芝居に慣れてる富岡の使い方などは巧いが、昨年の『東京原子核クラブ』から注目した平体が記憶喪失の女という難しい役を演じ、エンディングもしっかり担っていたのは良かった。
だからビリーは東京で
モダンスイマーズ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2022/01/08 (土) ~ 2022/01/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/01/25 (火) 18:30
評判がいいので観に行った。確かに面白い。108分ほど。
大学に入るのに東京に出て来た青年が、初めてのミュージカルとして『ビリー・エリオット』を観て俳優になろうと志し、劇団のオーディションを受けるものの、その劇団は前衛的手法で世間受けせず…、的な物語。劇作家が劇団を中心にした作品を書くと自己弁護的になるという印象があるが、さすがにベテランの蓬莱にはそんなところはなく、ある種リアルな物語が描かれている。コロナも次第に含み、他の5人の劇団員と青年の父親の7人しか登場しないのだが、そのそれぞれにバックグランドを描くなど、巧さもあるし、この劇団どうなるんだろう、と思わせておいて、みんなが予想する方向に進んで行くことなど、展開の起伏もある。でも、期待ほどに面白いとは思わなかったのは、軸が青年なのか劇団なのか、ちょっとハッキリしなかったという思いと、この物語は東京にやってきた人々の物語で、東京で生まれ育った私には少し抵抗あるセリフがあったからだと思う。『ビリー・エリオット』を観たことがないので、その感動とかに付いていけないことも関係しているかもしれない。