お國と五平
Nakayubi.
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/11/17 (木) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
実演鑑賞
鑑賞日2022/11/17 (木) 20:00
京都を拠点とする初見のユニット。かなりノイジーな演出だった。60分。
予備知識皆無で観に行ったのだが、谷崎潤一郎の100年前の戯曲で、谷崎の作品では最も上演されているとのこと。しかし戯曲も初見。夫の仇討ちをめざすお國とその従者・五平が仇の友之丞と出会い討つまでの会話の展開。物語的には納得できにくい物語を谷崎が書いているのだが、仮面を付けての演技や、大きな音を意図的に出しているとしか思えない演出で、そこをなんとかしようという意図があるのだろうか。私のテイストではなかった。
アフタートークをするなら、20時開演はないだろう。ここは京都ではないのだから。
『最大で最強な最愛の最後』
モミジノハナ
イズモギャラリー(東京都)
2022/11/08 (火) ~ 2022/11/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/12 (土) 19:00
初見だけど期待のユニットのギャラリー好演。面白い。(2分押し)74分。
親に虐待されて育った姉アイカ(武藤鈴華)と妹キョウカ(野花紅葉)。アイカは一人暮らしで結婚願望があってマッチングアプリで知り合ったコウダイ(小西耕一)と付き合い、キョウカは大学に7年通ってて先輩のユウゴ(岡本セキユ)と同棲しているが…、の物語。4人の登場人物それぞれに理解できる部分とできない部分があり、それらを巧妙に組合せた納得の戯曲。少し笑って少し泣けてくるところもあって、面白く観た。ギャラリーのハンディを逆手に取ったような舞台遣いは巧く、ライティングの妙に感心させられた。
観終わったらヤキソバが食べたくなってしまった(^_^;)。あの匂いは犯罪的だ。
前回公演も好評だったのだが、コロナ関連で私が予約した日だけ休演になり、観ることができなかった。今回も期待して予約したら、劇場まで行って休演とのことで、今回も観られないかと思ったが、無事滑り込んだ。観て良かった。振り替えて下さって、ありがとう!
冬物語
演劇ユニットLABO!
すみだパークシアター倉(東京都)
2022/11/11 (金) ~ 2022/11/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/11 (金) 14:00
元NOISEのメンバーによるユニット。シェイクスピアらしいシェイクスピアだった。楽しい!(5分押し)79分(休憩13分)90分。
シェイクスピア作品の中で初めて観る戯曲。2幕の前半では、勘違いから起こる悲劇が重々しく描かれ、後半は祝祭的な印象を濃くして、ハッピーなエンディングに向かう。言葉の美しさに現代口語的なセリフも混ぜて、分かりやすい物語になり、近藤達郎による生演奏を加えた歌とダンスも楽しく、3時間が気にならない舞台だった。
劇団 tea for two の西尾早智子が出演というので観に行ったが、従来にない役柄を好演。その他、役者陣の巧さを感じる芝居だった。
マスク
劇団 バター猫のパラドックス
王子小劇場(東京都)
2022/11/09 (水) ~ 2022/11/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/11/11 (金) 19:00
初見のユニット。コロナ禍を逆手に取ったアイデアは面白い。(5分押し)123分。
マスクを捨てることで記憶を亡くした「おばさん」が出会った人々。マスクをすることで匿名性を得る、というのはなかなか鋭いが、そこに至るまで分かりやすくはない。最終的なテーマは悪くないのだが、分かりやすく提示されるわけではないので、ちょっとイライラする時間がある。役者陣の巧さ、照明、小道具の使い方など、芝居を作る技術は確かなものなので、次作も観てみたいとは思う。
冬物語
LABO!
すみだパークシアター倉(東京都)
2022/11/11 (金) ~ 2022/11/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/11 (金) 14:00
元NOISEのメンバーによるユニット。シェイクスピアらしいシェイクスピアだった。楽しい!(5分押し)79分(休憩13分)90分。
シェイクスピア作品の中で初めて観る戯曲。2幕の前半では、勘違いから起こる悲劇が重々しく描かれ、後半は祝祭的な印象を濃くして、ハッピーなエンディングに向かう。言葉の美しさに現代口語的なセリフも混ぜて、分かりやすい物語になり、近藤達郎による生演奏を加えた歌とダンスも楽しく、3時間が気にならない舞台だった。
劇団 tea for two の西尾早智子が出演というので観に行ったが、従来にない役柄を好演。その他、役者陣の巧さを感じる芝居だった。
狂奔
多文化共生演劇ユニット「鳴蒲牢」
王子小劇場(東京都)
2022/11/02 (水) ~ 2022/11/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/11/03 (木) 14:00
初見のユニット。事実上の旗揚げらしい。悪くはないが何か残念。121分。
6年前、小学生が連続自殺未遂事件を起こし、その内の一人の少女が実際に自殺。その小学生の内の一人とその友人、彼らに救われた女子高生が、少女の自殺の真相を探る、みたいな話。一種のサスペンス仕立てになってはいるが、謎が完全には解明されなくてやや消化不良的に終わってしまう。余計と思えるエピソードがあり(トランスジェンダー,ジャーナリストの夫)、セリフのテキストの選択も私のテイストではない。暗転が多いのも気が散るだけだと思えた。
私の一ヶ月
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2022/11/02 (水) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/02 (水) 19:00
丁寧に作り込まれた戯曲を、役者陣がしっかり演じる。116分。
舞台を3つに分け、それぞれの物語が関わり合って一つの物語になる過程は見事。上手と中央の物語の関わりはすぐ分かるが、下手と他の2つの関連が明らかになるに連れて、物語が展開を始める。説明セリフなしに、それを提示する筆力が見事である。3つの関連が明らかになる過程と、その後の変化の2つを楽しむ舞台である。作家・演出家による2年のワークショップを通しての創作ということで、丁寧に作られたことがよく分かる。タイトルが非常に活きてる。重たい話題だが、藤野涼子の役柄の明るさに救われる気がした。
作者の須貝は、2007年に箱庭演舞曲の役者として観てから、役者・作家・演出家として観ている人だが、一種のファンタジー的な戯曲を書く事が多いと思っていた。本作もファンタジーと言ってみれば言えなくもないな…。
あなたたちを凍結させるための呪詛
キュイ
アトリエ春風舎(東京都)
2022/10/21 (金) ~ 2022/10/31 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/10/30 (日) 13:00
個人によりインスパイアされるものが様々だと思う。(3分押し)38分。
主宰の綾門優季が実際に出会った人に起こったことを推測して創作したと思われる脚本を、中野坂上デーモンズの松森モヘーが演出しつつ自分で演じる。実話っぽい(一応の)物語はリアルだが、それをリアルに演じるのではなく、一種幻想的に演じたことにより、観客それぞれの中に様々な感情を引き起こそうとしているように思う。照明、と言うか、ライト(暗闇も含む)の使い方が巧い。
クランク・イン!
森崎事務所M&Oplays
本多劇場(東京都)
2022/10/07 (金) ~ 2022/10/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/10/29 (土) 18:00
岩松らしい舞台だった。(2分押し)115分。
岩松の特徴である、会話をしているようで会話になっていない展開が続く。映画の撮影のため、大女優(秋山菜津子)・その付き人(富山えり子)・ベテラン女優(伊勢志摩)・若手女優(石橋穂乃香)が山のペンションらしき所にきている。監督(眞島秀和)は結婚しているものの女にだらしないが、そこの新人女優らしきジュン(吉高由里子)がやってくる…。1年前の女優の死の謎も含み、ミステリー仕立てではあるが、解決の安堵感は少ない。秋山は不安をつのらせる女優役を公演。吉高は映像圭で活躍するが舞台経験は少なく、存在感はあるのだが声が心配。
南極ゴジラの地底探検
南極ゴジラ
王子小劇場(東京都)
2022/10/27 (木) ~ 2022/10/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/10/27 (木) 19:00
初見のユニット。すげーバカバカしい(誉めています)。111分。
ジュール・ベルヌの「地底旅行」「月世界旅行」を彷彿させる物語で、加えて平行世界も扱う本格的SFコメディながら、使う道具のチープさや細かいギャグの「古さ」がバカバカしくて、笑って観ていられる舞台だった。終わり方もなかなかいい。ただし、物語の構造がちょっと分かりにくいのが惜しいし、BGMが大きくセリフが聞き取り難い場面がちょっとあった。また、配役表は是非とも欲しいところだ。ウッカリ上手に座ったが下手が良い。
ひとよひとよに呱々の声
世界劇団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/10/21 (金) ~ 2022/10/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/10/22 (土) 19:00
初見のユニット。なかなか刺激的な舞台だった。90分。
竹取物語をベースにしつつ、竹から生まれた女子の物語を女優2人で何役も演じて描くが、物語的には現代的なテーマを扱い、古い言い回しも活かしつつ現代語の台詞も多く、また同じセリフを違った意味で繰り返すなど、刺激的な作品を展開し、歌やダンスっぽいところも見せる。愛媛大医学部の演劇部を母体に医師や医学生を中心にした劇団で、作・演出の本坊由華子は現役の医師だと言う。テーマは「人であるということは…」であろうか。タイトルの「ひとよ」は「人よ」の意味。
ひとはなれていく
箱庭円舞曲
浅草九劇(東京都)
2022/10/19 (水) ~ 2022/10/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/10/21 (金) 15:00
2007年から観てる劇団だが、本作も箱庭らしい丁寧な会話劇だった。(2分押し)112分。
海に近いシェアオフィスの30年。慣れる人、変化する人、さまざまな人の絡み合いが、ちょっとした笑いと少しの嫌な感じと、ほんのりした人間への信頼とともに描かれる。セリフから時代の変化が分かる脚本も巧いが、劇団員とベテラン客演があいまって、いつもの箱庭らしい独特の雰囲気が沸き上がる。ザンヨウコの佇まいがいい。
みんな大好きだったっしょ!
劇団癖者
駅前劇場(東京都)
2022/10/19 (水) ~ 2022/10/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/10/20 (木) 14:30
初見のユニット。ベタと言えばベタだけど、面白い!観て損はない。(2分押し)87分。
女優しか出ないというので観に行ったのだが(^_^;)、予定調和的ではあるが深みもあって楽しい舞台だった。平成の渋谷ギャルサーNo.1だった「自由慈愛(フリージア)」のメンバーが令和に同窓会をする。すっかり落ち着いたメンバーだったが、そこに20年間ギャルをやっていた「かなぼぼ」が現われ、卒業イベントをしたいと言う…、の展開。なぜ卒業イベントを、という物語を回想しながらギャルサーの展開を見せて、最後は…、というあたりはベタだけど、ベタにはベタの良さがあると思わせる物語は見事だった。ギャルがそのまま、というのは、ありそうだけど観たことがなくて、その意味で新鮮だった。平成と令和を行き来するために暗転が多いのは、已むを得ないけれど、もうちょっと工夫が欲しい気がした。
碌な夜がいねえ
みさくぼ
王子小劇場(東京都)
2022/10/15 (土) ~ 2022/10/24 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
鑑賞日2022/10/15 (土) 19:30
作・演出の大石晟雄による新ユニットの旗揚げ公演。不条理系?91分。
夜の街の道路と覚しき所を通る、ユーチューバーの女とその先輩の男・夫婦・アパート持ちの男とその友人・夫婦と絡む酔っ払いの女、の4組が交互に現われて、とりとめもない会話を展開する。会話そのものは理解できるけど、脈絡・繋がりがなく不条理に展開される。基本的に上手(ロビー側)から下手(楽屋側)に登場人物が動くのを、「円形に使う」と言っているようだ。私のテイストではなかった。
いびしない愛
ばぶれるりぐる
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/10/13 (木) ~ 2022/10/17 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/10/14 (金) 19:00
初見のユニット。全編土佐弁(幡多弁)で展開される会話劇だが、ニュアンスは分かるものだなぁ。106分。
かつお節工場の控室を舞台に、後を継いだ次女・謎の男・古くからの職人・出戻った長女・若い職人、が展開する物語は、焦点は姉妹の葛藤にあるようだが、ゆったりした展開でやや見えにくいのが惜しい。細かい言葉には分からないところもあるが、ニュアンスは伝わり物語には影響はない。細かいエピソードが多く、私の好みより会話がゆっくり進むので、ちょっとテイストではないなとは思った。役者陣の巧さは伝わる。
「ストロング」「山の声」
坂井水産
RAFT(東京都)
2022/10/05 (水) ~ 2022/10/10 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/10/10 (月) 16:00
「ストロング」Bを観劇。いやぁ面白い。80分。
男(日下部そう)のアパートを友人(用松亮)が訪ねると、男が女(豊田可奈子)と出会いとかの顛末を語る、…とかいう物語。昨年末に「稽古初日」という企画でも観たが、そのときはリーディングで、今回は稽古をした上で上演というわけで、両方観た人に「同じ話だと思わなかった」という話を聞いて観ることにした。全然違うインパクトで、特にBはベテランの3人ということで冒頭から強烈な印象を受けた。用松のアドリブに見えるのも、きっと演出なんだろうな、とか考えつつ観てた。劇場ではないところなので、独特の照明のアイデアが面白いし効果的。
「ストロング」「山の声」
坂井水産
RAFT(東京都)
2022/10/05 (水) ~ 2022/10/10 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/10/08 (土) 19:00
「山の声」を観劇。いい芝居を見せてもらった。90分。
昭和初期の登山家である加藤文太郎と後輩の吉田登美久の遭難を題材に、15年ほど前に大竹野正典が書いた戯曲で遺作。いろいろな団体が上演する2人芝居で観たのは初めてではないが、今回は独特の面白さがあった。冬山へのチャレンジということで、暴風の轟音を流しているときは登山(遭難)の様子、静かなときには回想シーン、という切り分けが見事で、静と動の切り替えも鋭く、登山の場面ではリアルな印象をしっかり持たせてくれた。ライブな会場で、微妙にエコーする声や、面白い照明プランも含め、勝れて演劇的な魅力に溢れた作品だった。
「没入すると怖いよね、恋愛」の略で没愛
ガレキの太鼓
OFF OFFシアター(東京都)
2022/10/05 (水) ~ 2022/10/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/10/07 (金) 19:00
久々に観た劇団。すげー面白い。観るべし。92分。
随分前から活動しているが、調べてみたら8年ぶりに観る。実話だと言うが、本当にありそうな出来事が芝居になっている。東京でイラストレーターをしているシングルのイラストレーター36歳女性が、「田舎」出身の純朴な青年と知り合い結婚するが、その「田舎」に行くと、旧態依然とした姿に翻弄される…、という、いかにも、な物語が展開される。スライドで「実話です」と表示されるところが凄くて、あれよあれよという内にいろいろなことが起こる。とにかく面白い。出突っ張りの異儀田が見事だが、いろいろな役をコンビネーション良く演じる役者陣も見事。
マクダバタリーク
劇団フェリーちゃん
王子小劇場(東京都)
2022/10/05 (水) ~ 2022/10/10 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/10/06 (木) 14:00
再演だが初演は観てない。独特の世界観・美学によるファンタジー。98分。
本劇団を観るのは3回目だと思うが、いつも独特の世界観を持った作品を上演する劇団が2018年に上演した作品を再演。今回はアラビア・テイストだろうか?役者陣の演技もしっかりしているし、作・主宰のなにわえわみがストーリーテラー的に語り、時に歌うのが効果的に思った。基本的には私のテイストではないのだけれど、一定程度楽しめたのは、芝居にさまざまな「工夫」が見られるからだと思う。結構言葉遊びがあるなと思った。
きっとこれもリハーサル
エイベックス・エンタテインメント
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2022/09/29 (木) ~ 2022/10/13 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/09/29 (木) 18:30
いわゆる商業演劇だが、#石野真子 #川島海荷 #鈴木福 を舞台で観るのは初めてなので、興味を持って観に行った。とてもいい芝居を観せてもらった。98分。
近所の葬式に出た妻(石野)が、あまりのグダグダぶりに心配になり、夫(羽場裕一)の葬式のリハーサルを友人の葬儀屋(しゅはまはるみ)の力を借りて行い、娘(川島)・息子(鈴木)もいやいや参加するが…、という展開。ある種のドタバタコメディなんだけど、「途中から、あれっ?、という展開になり、もしや、と思わせて、その通りになる」という、見事な脚本である。ちょっと過剰な役を5人の役者陣がしっかり演じるが、最終盤の重いセリフを担う羽場の演技に、ちょっとシンミリさせられつつもホッコリする芝居だった。