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「芸術家入門の件」

「芸術家入門の件」

ブルドッキングヘッドロック

吉祥寺シアター(東京都)

2019/05/18 (土) ~ 2019/05/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

初めての演劇、初めてのBHLでした。とても面白かったです。
タイトルにある通り、芸術家の話でしたが、あまり芸術に詳しくない私でも楽しんでみることができました。
家族間や大学内に流れるなんとなく気まずい雰囲気みたいなのが凄くリアルでした。でもその中で夢を見て生き抜いてる人がいたり、笑える皮肉とかがあって、凄くよかったです。
主演の永井さんが凄くいいキャラをしていました。
どのキャラクターもとても個性的で、何度も見たくなるお話でした。DVDが出たら買いたいと思います。

ネタバレBOX

橘さんと有馬さんの演技が凄く好きでした。
「僕も芸術家になれるかな?」と言った生雄からナイフを取り上げて「やめなさい!芸術家になるなんて恐ろしいことよ」というようなことを言った瞬間がとても怖かったです。つい直前まで芸術家になることにあんな肯定的だったのに(それは長女にとって芸術家とは、お金を稼ぐ手段として良いと思っていたから)、あんなにもすぐに価値観がひっくり返るのは、現代日本らしくてとても皮肉っぽくていいなと思いました。橘さんの演技が凄くよかったです。
あとはチコちゃんが言った「20年間、よう頑張ったね」という台詞。大人な価値観を持った人は盗作をした芸術家をどうやっても肯定的に見れませんが、それでも20年間芸術家であろうとした芸術家を認めるという姿勢を唯一チコちゃんはとっていました。台詞数も少なく一瞬の場面でしたが、その台詞こそが、この劇から芸術家に与える答えなんじゃないかなと思いした。
またこの演劇で3つの世界の切り替えや、芸術とは、など曖昧にされるところが多くありました。1回目に見たときは「オイディプス以外にもなんか他の作品を読んでいたような?アポロンって何に出てくる話だっけ?」等々色々なことが疑問に上がりましたが、それを一緒に見てた友達に伝えた所「そういうハッキリしない所が芸術ってことなんじゃないかな」と言っていて、成る程そういう事かとふんわり受け止めて2回目を見ました。2回目前に時間があったのでパンフを購入して読んだ所、友達の解釈と似たようなことが書かれてあって、すごいなと思いました笑 芸術って一義的に捉えることは出来ないので、今回の演劇はその意味通り、登場人物にとって色々な捉え方があることが見えて、そして1つに決めない所がいいなと思いました。
最初からパンフレットを読んで、作り手側の気持ちで見るのも楽しいですが、やはり1回目は何も知らずに自分の価値観で見るのが楽しいかなと思いました。凄く面白かったです!

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