一滴のしずく
アンティークス
「劇」小劇場(東京都)
2019/12/11 (水) ~ 2019/12/15 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/12/13 (金) 19:30
100分。休憩なし。
劇団15周年の一作とのこと。アンティークス。観劇三昧で観たのも含めると、5本目くらい。これまでの作品のここ3作に共通して言える事は、どうにもしようがない別れ・・・特に母や家族との別れ・・・を一貫して描いている事。ストーリーは直球・・・というか、哀しい背景を描いているにも関わらず、何処かとてもユートピア的な部分がある。好き嫌いの別れる作品かもしれないけれども。
別れにどう向き合うかを、幹の太い感情のうねりとして舞台に乗せてくれている作品だった。ラスト15分くらい、頬を涙がつたうってこういう事だなぁ、という暖かい感情に包まれた作品だった。
彗星はいつも一人
ことのはbox
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2019/12/12 (木) ~ 2019/12/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/12/12 (木) 19:00
125分。休憩なし。
劇団初見。1970年代以降の日本の劇作を、プロデュースに近い形で公演する団体との事。成井豊作品をどう料理するのかな、と思ったのだけれども。成井豊の、作品の世界観が際立っていて、とても心動かされる爽快な舞台だった。後半、涙が止まらずだった。ちょっと不思議なSFな世界と、人の出会いと別れと思いの世界が、ストレートに伝わってきた。客席、笑が少なかったのが気になった。成井作品を、キャラクターではなく、演技と、脚本世界の立体化だけで勝負して、素晴らしい作品に昇華したもののように思えた。
グッドバイ,グッドボーイ
劇団ミックスドッグス
東京アポロシアター(東京都)
2019/12/12 (木) ~ 2019/12/15 (日)公演終了
満足度★★★
100分、休憩なし。
近未来のAIを舞台にした物語。AIの描き方がちょっと「古いな」と感じたが、2012年の再々演との事。ここ数年で、AIに対する捉え方みたいなのが随分変わったなぁ、というのを実感。
ミクドクらしい、素早い転換の舞台は今回も。一人一人の役者さんが、複数の役をこなして進むストーリー。特に、マリオカートのようなカーチェイスのシーンや、早替え早変わりのコミカルなシーンは、とても面白い。幾世優里のIROHAの演技が可愛い。
ただ、何だろう。過去の作品にあった物語も含めた爽快感みたいなのが、私は上手く感じ取れなくて。ちょっと消化不良感が際立ってしまった舞台だった。
かわいいチャージ’19
人間嫌い
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/11/01 (金) ~ 2019/11/04 (月)公演終了
殊類と成る
劇団肋骨蜜柑同好会
Geki地下Liberty(東京都)
2019/12/05 (木) ~ 2019/12/10 (火)公演終了
足がなくて不安
たすいち
サンモールスタジオ(東京都)
2019/12/04 (水) ~ 2019/12/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/12/04 (水) 19:30
115分。初日挨拶含む。休憩なし。
素早い転換と、物語の進行を全く滞らせない動きと、照明とで構成される舞台。止まる時間が全くなかったような、たすいちらしいテンポで紡がれる物語。
いろいろな解釈が出来る物語だと思うけれど。私には、悪霊が、人生の中で捨ててきてしまったもの、諦めてしまったものを象徴しているように思えた。その悪霊とのかかわりの中で、人生を走馬灯のように描く物語。でも、作品のテーマとしては、人生への賛歌というか応援歌のように思えた。何故涙が流れるのかよく分からないけれど、泣いてた。不思議な作品。観終わった後、とても元気になっていた。
女友達
タカハ劇団
スタジオ空洞(東京都)
2019/12/03 (火) ~ 2019/12/07 (土)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/12/03 (火) 19:30
90分休憩なし。
前半は、自然な自然な会話。たまたま再開してしまった二人の、丁寧な丁寧な会話。「リッツ」と「ルヴァン」の話や、「パトレイバー」が思い出せなかったり、そんな懐かしくも下らない会話をしつつ。後半、引きこもりの紀香が登場するあたりから、女三人の生々しい会話、彼女たちを取り巻く現実が、よく見えて。後半の畳みかけてくる展開は、ああすごいなぁ、切ないなぁ、こういう感覚ってあるよなぁ、と、思わず遠い目をして涙しながら、芝居を見つめる感じになってしまった。
ピラミッドのつくりかた
雀組ホエールズ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2019/11/27 (水) ~ 2019/12/08 (日)公演終了
満足度★★★★
120分。休憩なし。
寺山周治(修司?)、クレオパトラ・アントニウス、そして秋元也寸志(秋元康?)までが現代の日本に登場する、カオスな舞台。反面、テーマは「表現するとは何か」「芸術とは何なのか」という問いを、なんとか解釈して答えを提示しようと試みていた様に感じる。表現しようと試みたことがある人なら、一度は考えるであろう問題のようにも思う。
結論としての、表現・芸術は「愛」、、、は、私的にはあまり納得できるものではなかった。むしろ、劇中、サラッと言葉、『結局「芸術」とは、人の心の中にあるものだ』という解釈の方が納得できた。(さだまさしみたいだけれど)
ピンポンしょうじょ→→
劇団ダブルデック
アトリエファンファーレ東新宿(東京都)
2019/11/29 (金) ~ 2019/12/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
95分。休憩なし。
全編、軽快なリズムに乗せて、時代背景をトレースするようなギャグとキレキレな動きと、目まぐるしく変化する照明と役者さんのテンションで、終始運んでいく物語。パワーというか、表現としての熱量と、ラスト、非常に単純だけれど涙しそうなテーマに持っていく表現。観ていて、鳥肌が立つ感覚だった。舞台の熱量そのままを、観客が受け止めきれていない量だったように感じた。すごいもの観ちゃった、という感覚だった。
空飛ぶカッパ
東京AZARASHI団
サンモールスタジオ(東京都)
2019/11/26 (火) ~ 2019/12/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/11/26 (火) 19:00
115分休憩なし。(あるいは9時間(笑))
ど真ん中ストレートなシチュエーションコメディ。お話云々っていう感想よりも、「笑った!」っていう感想が占めている作品。笑かし方はものすごくオーソドックス。なのに、ゲホゲホ咳き込むくらいに笑ってしまうのは、コメディとしての本がとても完成度高いのと、役者さんが魅力的だからだろうなぁ。コメディなのに、演技が細かくて上手い。渡辺シヴヲ、あのボケているんだかいないんだかの演技はすごいなぁ。彼自身の歩き方が、正に「宇宙人」だなと思った。
「日曜日よりの使者2019」
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/11/22 (金) ~ 2019/11/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/11/22 (金) 20:00
東京Aチーム。80分休憩なし。
「いまこそわかれめ」
今年の2月に、同じキャストで観て以来2度目。・・・物語が変わっていたと思う。彼女は泰司に、一年に一回、ここで逢いたいというが、泰司はもう会えないと告げている。・・・逢いたい、逢えないの関係が、前回は逆だし、命日に来る、という事だろうか。石巻バージョンだろうか。・・・いずれにしても、二人だけで、殆ど動きがない短い会話なのに。いろいろな事を想像してしまう作品。
「日曜日よりの使者(東京版)」
何だか強烈なもの、・・・生き様というのか、生きた記憶というのか、切なさというのか、愛おしさの記憶というのか、悔しさというのか、いろいろな感情が、舞台の真ん中に立体化して見えた、そんな舞台だった。ストーリーだけ書き下してしまうと、ごく数行程度で済んでしまう。のだけれど。その「ああなって、こうなって」というストーリーだけでは、とても書き表せないような感情の流れというのか、現実感が、そこにあった。
獏のゆりかご
東京あたふた
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2019/11/21 (木) ~ 2019/11/24 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/11/21 (木) 19:30
120分。休憩なし。
全編、濃厚な会話劇なのに、芝居のは、どちらかというとシリアスにならずコメディタッチな作品。出演者の面々も個性的。テーマは割と重くて、夫婦を下敷きとした男女の関係。会話劇とはいえ、軽い感じの芝居の結末が割と重くて、結末に少し「驚いた」という感覚。物語を俯瞰して見てみると、それぞれがそれぞれ、男女間、夫婦間の関係に悩んでいて。その答えの一つが獏の物語につながっている、という構造が、面白かった。
8人の女たち
T-PROJECT
あうるすぽっと(東京都)
2019/11/13 (水) ~ 2019/11/17 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/11/15 (金) 19:00
140分。休憩15分含む。
導入とエンディング以外、曲らしい曲もなく、直球ど真ん中ストレートの、会話劇。会話で繰り広げられる、推理劇、、、、というか、女たちの秘密の暴露の光景。8人、年齢層幅結構広いのに、積み重ねる会話にも不自然な感じがしない。座組はとても好き。
ただ、純粋な推理劇というか、サスペンスというか、謎解き的な要素だけを描く演劇って、自分的にはとても苦手なんだなぁ、という事を意識せざるを得ない体験だった。テーマが欲しい。
レタスとわたしの秘密の時間
劇団やりたかった
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2019/11/13 (水) ~ 2019/11/25 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/11/13 (水) 19:00
100分。休憩なし。
妄想の世界と、現実の世界。とくに区別があるわけではないので、深読みすれば、どちらとでも取れる訳だけれど。境目をどこか曖昧にしつつ、気がついたらナンセンスな方向に突っ走っている、したたかな感じ。好き嫌いはものすごく分かれると思うが、腹抱えて笑う、楽しい演劇だった。
小田原みなとものがたり
演劇プロデュース『螺旋階段』
小田原市生涯学習センターけやき(神奈川県)
2019/11/08 (金) ~ 2019/11/10 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/11/09 (土) 15:00
105分。休憩なし。
港町小田原の生涯学習センターのホールで、小田原を舞台にした公演。定番の人情劇の様相。劇場空間に居る時間、特に漁師町の人々のグルーヴ感みたいなのを、人情劇と共に楽しめた。智則の家を舞台にした設定が非常に効果的で、気がつくと人が智則の周りに集まり、出入りしてしまう様が、自然な流れで描かれていた。
いかりを演じていた、モハメディ亜沙南の演技が、非常に印象に残った。
ただしヤクザを除く
笑の内閣
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/11/07 (木) ~ 2019/11/11 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/11/07 (木) 19:30
95分。休憩なし。
人権というのは「神から等しく与えられる」もの。ヤクザだからと言って規制していいものではないのではないか、という問い。目の前に提示されると、笑ながらもとても考えさせられる。人権とか、憲法とか出てくるので、芝居の作りが若干屁理屈っぽい感はあるものの、難しくないし、嫌な感じじゃない。政治の話を独特の切り口で切り取って笑に変えてしまう路線は、健在だった。
地球防衛軍 苦情処理係
サードステージ
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2019/11/02 (土) ~ 2019/11/24 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/11/06 (水) 19:00
125分。休憩なし。
鴻上尚史の作品は、1990年代から「オンライン」の世界に希望を見ていたり、最近出版された「空気を読んでも従わない」などの所与性の否定を目指しているが、この作品も、そういった考え方の流れの中に置くことが出来るように思った。
メタファー的な存在が、私には予想通りすぎて、裏切られる事なく芝居の時間が過ぎてしまった感覚。しかも「設定を説明し過ぎ」が、かえって詰まらなくなってしまっている感覚が非常に強かった。テーマは好きなのに。
ビッグ・フィッシュ
東宝
シアタークリエ(東京都)
2019/11/01 (金) ~ 2019/11/28 (木)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/11/04 (月) 12:00
170分。20分の休憩含む。
父親が、自分仕事をどこか大げさに語りたい、という願望。子供に対して真実をそのまま伝えても、多分理解してもらえないだろうからこその、誇張であったり。その誇張が、関係を悪くする原因にもなったり。そんな父と子の心の構図を、「大人のための童話」というキャッチフレーズの通りに見事にストーリー化した作品。後半涙が止まらなかった。物語全体が、アーサー・ミラーの「セールスマンの死」の、アンチテーゼになっているような気がした。
日本初演は、アンサンブルかいたが、今回はなし。“12 chairs version”。舞台の広さのわりにちょっと迫力は書いたものの、ストーリーの良さと、12人の演技が絶妙。特に川平慈英が絶妙にはまり役だった。
あの星にとどかない
くちびるに硫酸
アトリエ5-25-6(荒川区南千住5-25-6)(東京都)
2019/11/02 (土) ~ 2019/11/04 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/11/04 (月) 16:00
70分。休憩なし。
人類と共に、何かを喪失してしまって、とても哀しい状況だという事は理解できる。どこかアンニュイで、どこかメルヘンチックで、どこか科学的な要素もある、空間の余韻的な部分を楽しむという点ではとても楽しめたのだけれども。余白を埋めるだけの情報が非常に少なくて、私には想像を膨らませる余地が足りなかった。雰囲気を楽しむ、というのであれば、楽しめたし、良かったのかしれないが。少し理解が難しく感じてしまった。
かわいいチャージ’19
人間嫌い
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/11/01 (金) ~ 2019/11/04 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/11/01 (金) 19:30
95分。休憩なし。
「かわいい」が、何らかの絶大なパワー持っていることは、認めざるを得ないのだろうけれども。そのエネルギーをどう捉えるか、という点で、誰一人として同じ捉え方をしていなくて。一人一人が「かわいい」に見ているものが違うんだ、という事を浮き彫りにさせられた時間。この形で突きつけられると、何だか少し寂しかったり、重苦しい。そんな一抹の寂しさを感じた観劇だった。