坂月 晶一の観てきた!クチコミ一覧

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いつか見た、3.3%の景色。

いつか見た、3.3%の景色。

ガチャガチャキャラバン

PRiME THEATER(東京都)

2018/09/28 (金) ~ 2018/09/30 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/09/29 (土) 19:00

以下、ネタバレの方にて雑多ながら思感を

ネタバレBOX


アイコはアイコン、愛を乞うという意味合いもあるのだろうか
仮初の器機達にAIであり愛を与え、自ら考え、人へ形を模させては
そして5体のロボット達と過ごす箱庭に閉じこもり、小さな世界での交流をしていた
サリィへ何かあったか問われても現状を崩したくない、心配をかけたくない思いから
優しい嘘をつくのがまた素晴らしく、プログラムによるものだとしても
ロボット達を『家族』として見て、5体のロボット達をメンテナンスの最中
ふとした切欠からウィンと再会、メールの事も知るが
結果サリィがメールの削除をしていた事も恐らく知る事も無く
後述する伏線も尺の都合からか触れられぬままなのが惜しい
何が切欠であの家でロボット達を作り共に過ごしたのか、どの順で作って行ったのか
役としても深みや台詞の節々に読み取り方の難しさもあり
言い回しや表情、間を取ってる際の顔など魅せられる部分もいっぱいでした
最後に目覚めさせられるか、どう物語を織り成していくかの楽しみも


ウィンはウインドウ、窓からだろうか、閉じこもっていたアイコへと新しい風を吹かせる為の窓として
箱庭に手紙を送り続けていた、とある事からアイコと再会し、箱庭から外へと誘い出す事に
元はアイコへ送っていたメールのホログラム?として登場し、恐らく役としての視点では唯のカメラ等に向けてアイコへのメッセージを送っていたのだろうが
アイコが目の前にいる様にして読み伝えていた点や、後半の論文にしてーの下りは
彼らを『家族』として共に過ごし広める為の目的ではないアイコと、技術の発展等を主点に置いていたであろうウィンとの差かと思えた
過去の研究所にて同じ場に先輩と後輩の関係で居て、才能への嫉妬やどこか羨望もあったのかとも思える

アイボンはアイボ、そして愛慕から来ているのだろうか
あざといと感じるのはペットロボットとして構ってもらう、そして慕ってもらおうとする想いから
何故慕うのか、拾った切欠になる何かがアイコから見てあったのではないか等キャラクター性として考えさせられる点も多い
稼動年数で言えばサリィよりも長く、一番の年長者だが、造られた役割を果たそうとしている様で
奥底では様々な事を思案しているようだが、其れを悟られぬ様に面々へ何時もの様に明るく振舞っているのかなーと
最後の最後まで明るく、楽しく振舞い伸び伸びとした振舞いを、その中の台詞の節々に込められた役者さんの言い回しが見え隠れして考察すると深い物が多い

モリ―は料理を『盛る』から来てるのかなと
稼動年数は不明だが、一番AIとしては大人びたキャラクター性を感じており、栄養バランス等を考慮している割に組み合わせの凄まじい料理の考案という面白さを受けた
操演時台詞の無い間の視線の位置や舞台袖へと下がる際の役者さんの表現、表情や言い回し等、魅力をとても感じられました。料理を作るのは得意でありながら食器を洗う事はあまり無い等、純粋に料理を作る為のロボットとして当初は造られ、洗浄をする事が少ないのかーと考える事があります
一歩引いてこうではないかと面々へと助言する、ウィンに関してもサリィの行動にも思う事が何処かある様に思え
役柄として『大人』な立ち位置にいる様に思えました

アルはALSOKが由来だろうか
警備、という目的もあり典型的な機械としての風合いの演技をしつつも、時折見せる人間らしい表情表現等幅広く
意外と抜けているキャラクター性がありロック不具合の原因を究明しないなど、安全面を維持するというには疑問がある所も、ウィンの居る研究所の面々が何かアイコを技術面で欲するために人為的に仕掛けられた物なのか
はたまた単なる偶然の産物で起きた火災か、と物語面で広がりや過去等を出来るのもありそうな点もあり
ロックの不具合が人為的な物であったとすれば、火災もまた何かの意図があり時限作動だったのでは?と
物語で考えさせられる事があった

ルンはルンバからかなと、掃除ロボットとしてであり床等の掃除が基本でありながらモリ―の残した食器類の洗浄を渋々引き受ける
空気洗浄等様々な掃除をこなしつつ、モリーとの掛け合いが見ていて楽しくもあり、掃除ロボットから日常の言い回しに優雅さを覚えました、メイドロボットの様な雰囲気を感じたりも

サリィは音声アシスタントのSiriをもじってなのかな?と思ったり
最初にアイコが作った物の様で、当初ウィンからのメールによりアイコへ変化を起こるのを恐れたのか
人知れず削除していた、途中…役に立つ為という言葉を聞き、其々に役割と目的があるという事を再確認し
其れを成す為に終盤に起きた火災からアイコやウィンを遠ざけようと一人残り自らの役目を果たす
後にも述べますが、ウィンとの関係性が匂わせてあるがストーリ上伏線として残ったままなのが惜しく思いました
最初の方で何か物思いに耽っていた理由、何故此処にとウィンへ言っていた様な気もしたので過去に面識があったのか等、アイコとの過去の思い出として当初どういった物があり
何故アイコをあそこまで思っていたかの表現が、描写で成されないまま想いの心情が告げたれて
演技力や言い回しに魅せられる反面、其れに至る理由付けが弱く思えてしまった

舞台最初の方や途中に示唆された、嘗てアイコが作り当時ウィンも見ていたプロトタイプのサリィの関連性等
これは全てのキャラ達においてそうでしたが、設定上の役割としてどういった背景からか等
他のキャラとの関連性、役としての関わり方の日常が見えず例えばモリ―とルンの掛け合いは楽しくあったが
アイコも然り、仕事でどういった事に携わりサリィに手伝ってもらったか
サリィやルン、モリ―、アル、アイボン達が如何普段過ごしているかが描かれず、既に過ごしている前提と云うのはあったが
そこが見えないまま一緒に居た、彼らが其々どういった風に日常を過ごしており、ウィンの存在を知り変化を及ぼされていったのか
其々の役に気になる点は多々、掘り下げられる面も多く、脚本の尺都合もあるのであろうが全体的に勿体ない面も

全員ロボット達に恐らくバグがある、即ち不完全…其れゆえに成長の余地がある…心ある以上完全ではなく、故に他と関わりより心を得て
其々の役達と同じような視点で、近い距離で温度を感じ
タイトルにある『いつか見た3.3%の景色。』を来場者達も見て楽しめる舞台でした

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