荒野に咲け
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2024/12/15 (日) ~ 2024/12/24 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
パンフレットによれば、モデルとなる話があるそうなのだが、そしてそれはもっと悲惨な話なようなのだが、いったい何なのだろう。終盤、機関車があんなふうに何度もぶつかっていくとは思わなかった。おいおいいくらなんでも・・・とは思ったが、機関車に付けられた名前といい、最後のセリフに繋がる象徴的な場面なのだろう。
杏仁豆腐のココロ
ヒトハダ
浅草九劇(東京都)
2024/12/12 (木) ~ 2024/12/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
個人的には尾上寛之さんを見ているとあばれる君を思い出してしょうがないのだが、この芝居では尾上氏のそういう風貌が実に合っていると思われた。別のチームのほうは観ていないが、どんな感じなのだろう。チェーホフの引用はなかなか巧い。
竜
TinT!
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2024/12/11 (水) ~ 2024/12/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
毎回、近現代史上の実在人物や出来事を元にしたストーリーだが、今回はまたレーベンスボルンというマニアックな歴史ネタを引っ張り出してきて、そこから巧みな構成の実に味わい深い物語を編み出している。俳優たちの演技も良く、演劇の魅力が凝縮された舞台で素晴らしい。
囲われた空
劇団民藝
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2024/12/07 (土) ~ 2024/12/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
俳優陣は悪くない舞台と言え、主役2人は好演だし日色ともゑ氏は休憩後の後半でぐっと存在感を増す。しかし、どうにもストーリー展開が深まらず内容が薄い。結局、恋愛感情だけなの?特に後半は安っぽく落ちてしまった感が否めない。原作が悪いのか、翻訳が悪いのか、上演台本が悪いのか、演出が悪いのか?
劇団が悪いわけではないが、会場内では盛大に咳をする人がちらほら見られ、大事なところでセリフがマスクされて聞き取れなかったのは残念。
白衛軍 The White Guard
新国立劇場
新国立劇場 中劇場(東京都)
2024/12/03 (火) ~ 2024/12/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
日本の観客には馴染みのない歴史で(ロシア革命がいつ頃のことかどのくらいの人が知っているだろうか、しかもウクライナが舞台)、いくつもの勢力がごちゃごちゃしていてわかりにくく、さらにロシア系の名前が覚えにくく、日本で上演するにはかなり難しい作品に挑戦したものだと思う。その意気は高く評価したいし、まあまあ面白かった。中劇場の設備の凄さにも驚かされた。
『にしむくさむらい』『場所と思い出』
Pカンパニー
西池袋・スタジオP(東京都)
2024/12/04 (水) ~ 2024/12/11 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
2作続けて観ると、両作品の性質が対照的と感じられ興味深かった。『場所と思い出』は長いコントのようだが、最後のシーンだけに出てくる登場人物の、捻ったわけではないのに意味深な言葉が印象に残る。
メイジー・ダガンの遺骸
名取事務所
新宿シアタートップス(東京都)
2024/11/30 (土) ~ 2024/12/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
パンフレットにも書いてあったが、たしかによくワカラン本と思う。不条理劇を観る時のようにちょっと頭のネジを緩ませて、あんまり辻褄を合わせるように考えないで、言葉の応酬や演技の表情それ自体を味わう態度で鑑賞すれば、それに十分応えてくれる俳優陣である。しかし俳優たちは、このテキストをどう理解し処理して舞台に臨んでいるのだろう?
リフレクション
レイジーボーンズ
小劇場 楽園(東京都)
2024/12/03 (火) ~ 2024/12/11 (水)公演終了
幽霊
無名塾
俳優座劇場(東京都)
2024/11/21 (木) ~ 2024/11/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
今ひとつピンと来なかった。イプセンの幽霊を初めて観ることができて良かったが、台本に少しわかりにくい所があるように思われるのと、オスワルトや未亡人に付けられた演技がどうもしっくり来ない感じがして、どこか違和感が否めなかった。
つきかげ
劇団チョコレートケーキ
駅前劇場(東京都)
2024/11/07 (木) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
緒方氏の斎藤茂吉を観て味わう芝居ではあるが、音無美紀子は見事にその役にはまっているし、チョコレートケーキの3人もコミカルに脇を固めている。特に事件や一騒動があるわけではなく、斎藤茂吉の最晩年を描いた落ち着いたストーリーで、実力派の役者たちの演技で安心して観ていられる。
ジキルの告白
ISAWO BOOKSTORE
サンモールスタジオ(東京都)
2024/11/06 (水) ~ 2024/11/12 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白いことはたしかだが、少々不自然だったり冗長だったりする場面・会話があって違和感が若干あった。今から半世紀前の1970年代の人々の思考や会話を想像にたよって作劇する難しさがあったのかなと思う。
テーバイ
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2024/11/07 (木) ~ 2024/11/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ソポクレスによる3つのギリシア悲劇を連結するように台本を構成したようだが、暗く重い舞台で3作品を同時に味わえたようなお得感がある。演出もなかなか良い。やはり有名な「オイディプス王」の部が一番シリアスで面白い。
影のない女
東京二期会
東京文化会館 大ホール(東京都)
2024/10/24 (木) ~ 2024/10/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
もともと不条理劇のような不可思議な設定で辻褄も合わないストーリーだが、何とか追える筋をもう無茶苦茶に破壊していっさい理解不可能にしたような演出なので、目を閉じて音楽のみに集中する気にさせてくれる。低音の金管と打楽器の咆哮が鳴り響く音楽の面白さが味わえるオーケストラ、不自然な演技をさせられる歌手たちもしっかり歌っており、音楽的には申し分ない。
おまえの血は汚れているか
鵺的(ぬえてき)
ザ・スズナリ(東京都)
2024/10/18 (金) ~ 2024/10/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
親の死や病気をきっかけに兄弟姉妹が久しぶりに集まり会話し、そこで隠された過去が暴かれたり葛藤が再燃したり、といった展開のホームドラマは定番中の定番と言えるが、これはその中でもかなり深刻な設定でエグい部類のもの。しかし良くできた作品と感じる。谷仲氏のクズな義兄の演技が素晴らしい。スズナリの舞台があそこまで広くできるとは、少し驚いた。
Nel nome del PADRE パードレ
サカバンバスピス
APOCシアター(東京都)
2024/10/17 (木) ~ 2024/10/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
父との間にトラウマがありアンビバレントな感情を抱いている二人がなぜか彼らだけでそれについて語り合うミッションを与えられているらしい不思議なシチュエーションの芝居であるが、時折回想シーンを挟みながら迷路をさまようように展開していくのが興味深い。俳優二人の卓越した演技は楽しめたが、全面黒壁の小さい劇場内で声がよく反響するので、大きな声のセリフはかえって聴き取りにくくなってしまう面がある。
現代韓国演劇2作品上演「最後の面会」「少年Bが住む家」
名取事務所
小劇場B1(東京都)
2024/10/04 (金) ~ 2024/10/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
『最後の面会』を鑑賞。接見のシーンだけかと思っていたが、回想シーンなどもあって変化が付けられていた。ストーリーとしては興味深いフィクションに創られていたが、ただ、ナオコの言動がどうも違和感があるというか現実的でなさ過ぎる気がした。
夢遊病の女<新制作>
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2024/10/03 (木) ~ 2024/10/14 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
歌は素晴らしかった。シラグーザ氏を、20年ぐらい昔に同じ新国立劇場に登場した時に聴いて以来、今回久しぶりに聴いたが、軽やかで明るく光るような歌声が全然変わっておらず驚き。アミーナ役歌手も声がとても美しく、気の毒になるぐらい超高い音も苦しくならずに出していた。リーザ役歌手もまったく遜色ない。
一方、演出はいくつか妙に思える動きがあったりで腑に落ちなかった。他のいくつかの歌劇場との共同制作ということなのだが。
ピローマン
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2024/10/03 (木) ~ 2024/10/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
圧巻と言っていい内容。まず本が凄い。ちょっと変わった作劇と思うが、よくこんな物語を構想してここまで書き込めたものだ。終始緊張感が途切れない。
各俳優がまた凄い。登場人物同士の対峙がいくつもあり大量の台詞がバンバン発せられ強めの演技が付けられているが、見事に演じられている。それにしても成河氏は凄い俳優だ。こんな演劇はなかなか観たことがない。
兄妹どんぶり
劇団道学先生
新宿シアタートップス(東京都)
2024/10/09 (水) ~ 2024/10/15 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
この手のコメディは下手な人たちがやるとつまらなくてイライラさせられるが、さすがここのプロデュースは違う。面白いだけでなく、各俳優の技量、演出、台本、いずれも高水準のプロの仕事に感嘆させられる。
広い世界のほとりに
劇団昴
あうるすぽっと(東京都)
2024/10/02 (水) ~ 2024/10/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
サイモン・スティーヴンスという作家の作品を初めて観たが、これは少々変わった作品のように感じた。全体として一貫したストーリー展開はあるのだが、個々の部分では違和感のある会話や場面があり、不合理で理解しがたいところがある。広い舞台を活かして舞台の位置で場面を分ける演出などは良いが、あまり労働者階級の家族に見えるようにはしておらず、少々矛盾や混乱を抱えた台本をあえてそのまま舞台にのせて観客に示しているような印象。