ポルノグラフィ PORNOGRAPHY/レイジ RAGE
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2025/02/15 (土) ~ 2025/03/02 (日)上演中
実演鑑賞
満足度★★★★
いずれも現代的な作品の2本を一つの作品のようにも見えるようなやり方で上演している。意欲的な公演で、かなり雰囲気は異なるこの2本を連続させたのは興味深い。前半のほうは、いちおうテロ事件が要にはなっているけれども、それよりもさまざまな人の不安感やフラストレーションや鬱屈した感じが伝わってくる。後半ほうは、大晦日の、混乱した状況で禁句ワードも遠慮無く発せられる収拾のつかない大騒ぎが描かれ、まとまることのない不条理な会話が飛び交う。シアタートラムの舞台の、あんな高い所まで使うとは。
ズベズダ
パラドックス定数
ザ・ポケット(東京都)
2025/02/20 (木) ~ 2025/03/02 (日)上演中
実演鑑賞
満足度★★★★★
縦断上演を鑑賞。青年座版の2倍の長尺ということもあり、ストーリー展開のディティールがより詳しく描かれているし、主人公コロリョフの死後の話も、ほぼ現在に至るまでずいぶん入れられている。専門的な事柄や歴史についてよく調べられそこから緻密に創作が組み立てられた驚異的な台本だ。また、青年座版では演出ゆえかカラッとした明るさがあったように記憶しているが、本上演はパラドックス定数らしい基本的にシリアスな雰囲気(いくつか笑いをとる場面があるとしても)で照明を落とした暗めの場面も多用されていた。段差が付けられた簡素な舞台を巧く利用した演出はなかなか優れている。それにしても、難しい専門用語や発音しにくいロシア人の名前が散りばめられた大量のセリフを6時間も駆使し続けた俳優たちは絶賛に値する。
カルメン
東京二期会
東京文化会館 大ホール(東京都)
2025/02/20 (木) ~ 2025/02/24 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
22日に鑑賞。しかし、カルメン役が体調不良とのことでダブルキャストのもう一方である加藤のぞみ氏が代演。非常に演技力に優れカルメンに成りきっているかのようだったが、歌唱はむしろ正統的で情緒に流れずしっかり歌っていた。ミカエラ役も相応しい。他の役も水準に達しており、歌を楽しめた。
演出に関して、最初前奏曲の前に幕が開いて瓦礫の山みたいなものが現れた時はギョッとさせられたが、それ以外は違和感というかショックがあるような演出はない。動きや表情、視線についてかなり細かい演技が付けられているように感じた。また、ダンサーの独特の動きや登場人物のような役割などいろいろ演出上の仕掛けがみられた。第4幕のバレエはなかなか見応えがあった。
近年の二期会の公演は本当に水準が高く意欲的でもある。加藤のぞみ氏は本来の出番である23日も歌うらしいが、24日は、3日連続はさすがに無理だろう。本来の歌手が復帰できるのだろうか。
ハイ・ライフ
流山児★事務所
ザ・スズナリ(東京都)
2025/02/07 (金) ~ 2025/02/18 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
流山児演出を鑑賞。ヤク中で愚かな、更正する気配のないワル達が犯罪計画を実行するストーリー。最高に手練れた俳優たちが役を手中に収めて活き活きと演じており、これ以上の舞台が望めるとは思えないが、もう一つの演出バージョンではどんな感じなのだろう。
教育
劇団俳優座
俳優座スタジオ(東京都)
2025/02/07 (金) ~ 2025/02/15 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
何だか不思議な作品。場面が進むにつれ難解というかうまく飲み込ませてくれなくなる印象。飲み込みやすい解決は与えられない。あのメイドの登場は何なのだろう。あえて「教育」とタイトル付けされているのも不思議。
おどる葉牡丹
JACROW
座・高円寺1(東京都)
2025/02/05 (水) ~ 2025/02/12 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
主演を始め9人の女優たちがときに2役をこなしながら活き活きと演じている。ストーリーはコメディタッチだが終盤ちょっと展開が飛躍してしまった感があり、今ひとつまとまらなかった印象。
消失
キューブ
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2025/01/18 (土) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
音楽劇 詩人の恋
加藤健一事務所
本多劇場(東京都)
2025/01/22 (水) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
一流の舞台俳優というのはこんなに凄いのか、と再認識させられた。義宗氏が、こういう二人芝居だと、存在感が違いすぎて申し訳ないが引き立て役程度に見えてしまう。そのぐらい、凄い。
ピアニスト役は、歌がもう少し巧いと良かったなと思う。歌手でなくても、音楽家はみんな歌も巧いので。ところで、背後の幕を途中まで上げたりしているのはどういう意図だろう?
『変身』東京公演
ブルーエゴナク
森下スタジオ(東京都)
2025/01/17 (金) ~ 2025/01/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
各俳優が語りと演技をやって3人で舞台をまわしていくので自ずと台詞量が多くなるが、非常に良くこなしていた。そう言えば、ずっと昔に宮本亜門主演で観たことがあるが、それは主演だけが語りもやっていた。
父と暮せば
酔ひどれ船
北千住BUoY(東京都)
2025/01/10 (金) ~ 2025/01/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
上演頻度が非常に高い井上ひさしの名作だが、これはまた何とも素朴な味わいのある公演だ。これこそこの名作が描いている父娘の姿ではないかと感じられた。廃業した銭湯の跡を利用した劇場で上演されたのも味わいある素朴さの醸成に貢献している。立派な劇場で上演されていたら、この素朴さは出なかっただろう。
荒野に咲け
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2024/12/15 (日) ~ 2024/12/24 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
パンフレットによれば、モデルとなる話があるそうなのだが、そしてそれはもっと悲惨な話なようなのだが、いったい何なのだろう。終盤、機関車があんなふうに何度もぶつかっていくとは思わなかった。おいおいいくらなんでも・・・とは思ったが、機関車に付けられた名前といい、最後のセリフに繋がる象徴的な場面なのだろう。
杏仁豆腐のココロ
ヒトハダ
浅草九劇(東京都)
2024/12/12 (木) ~ 2024/12/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
個人的には尾上寛之さんを見ているとあばれる君を思い出してしょうがないのだが、この芝居では尾上氏のそういう風貌が実に合っていると思われた。別のチームのほうは観ていないが、どんな感じなのだろう。チェーホフの引用はなかなか巧い。
竜
TinT!
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2024/12/11 (水) ~ 2024/12/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
毎回、近現代史上の実在人物や出来事を元にしたストーリーだが、今回はまたレーベンスボルンというマニアックな歴史ネタを引っ張り出してきて、そこから巧みな構成の実に味わい深い物語を編み出している。俳優たちの演技も良く、演劇の魅力が凝縮された舞台で素晴らしい。
囲われた空
劇団民藝
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2024/12/07 (土) ~ 2024/12/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
俳優陣は悪くない舞台と言え、主役2人は好演だし日色ともゑ氏は休憩後の後半でぐっと存在感を増す。しかし、どうにもストーリー展開が深まらず内容が薄い。結局、恋愛感情だけなの?特に後半は安っぽく落ちてしまった感が否めない。原作が悪いのか、翻訳が悪いのか、上演台本が悪いのか、演出が悪いのか?
劇団が悪いわけではないが、会場内では盛大に咳をする人がちらほら見られ、大事なところでセリフがマスクされて聞き取れなかったのは残念。
白衛軍 The White Guard
新国立劇場
新国立劇場 中劇場(東京都)
2024/12/03 (火) ~ 2024/12/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
日本の観客には馴染みのない歴史で(ロシア革命がいつ頃のことかどのくらいの人が知っているだろうか、しかもウクライナが舞台)、いくつもの勢力がごちゃごちゃしていてわかりにくく、さらにロシア系の名前が覚えにくく、日本で上演するにはかなり難しい作品に挑戦したものだと思う。その意気は高く評価したいし、まあまあ面白かった。中劇場の設備の凄さにも驚かされた。
『にしむくさむらい』『場所と思い出』
Pカンパニー
西池袋・スタジオP(東京都)
2024/12/04 (水) ~ 2024/12/11 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
2作続けて観ると、両作品の性質が対照的と感じられ興味深かった。『場所と思い出』は長いコントのようだが、最後のシーンだけに出てくる登場人物の、捻ったわけではないのに意味深な言葉が印象に残る。
メイジー・ダガンの遺骸
名取事務所
新宿シアタートップス(東京都)
2024/11/30 (土) ~ 2024/12/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
パンフレットにも書いてあったが、たしかによくワカラン本と思う。不条理劇を観る時のようにちょっと頭のネジを緩ませて、あんまり辻褄を合わせるように考えないで、言葉の応酬や演技の表情それ自体を味わう態度で鑑賞すれば、それに十分応えてくれる俳優陣である。しかし俳優たちは、このテキストをどう理解し処理して舞台に臨んでいるのだろう?
リフレクション
レイジーボーンズ
小劇場 楽園(東京都)
2024/12/03 (火) ~ 2024/12/11 (水)公演終了
幽霊
無名塾
俳優座劇場(東京都)
2024/11/21 (木) ~ 2024/11/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
今ひとつピンと来なかった。イプセンの幽霊を初めて観ることができて良かったが、台本に少しわかりにくい所があるように思われるのと、オスワルトや未亡人に付けられた演技がどうもしっくり来ない感じがして、どこか違和感が否めなかった。
つきかげ
劇団チョコレートケーキ
駅前劇場(東京都)
2024/11/07 (木) ~ 2024/11/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
緒方氏の斎藤茂吉を観て味わう芝居ではあるが、音無美紀子は見事にその役にはまっているし、チョコレートケーキの3人もコミカルに脇を固めている。特に事件や一騒動があるわけではなく、斎藤茂吉の最晩年を描いた落ち着いたストーリーで、実力派の役者たちの演技で安心して観ていられる。