Regulation's High!
株式会社NLT
シアターサンモール(東京都)
2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
座黒高校(ザクロコウコウ)この独特の響き 憶えていますよー めっちゃ熱い運動部モノ
初演が6年前
劇場の規模は2倍にスケールアップ
よりショーアップされた演出に、初演時の武骨な熱気と今回の洗練された熱気、どちらが良いと感じるかは個人の好みとなるのでしょうが、やっぱり懐かしさもあって感慨深かったです
スポーツ特別強化校
活躍を見込めない選手達は投獄、さらには看守委員にしごかれるというモノ凄い設定ながら、ひたすらに体力勝負~コンゲームよろしく頭脳戦も入った脱出劇の展開には結構ハラハラ
落ちこぼれ部員のみならず看守サイドにもスポットが当たっているのが良かった
登場人物、総勢24人(途中交代があったそう)で駆け抜けた熱いステージ
よくやった感に満たされた会場では拍手がいつまでも鳴りやまず、役者さんには何度も出てきてもらった千秋楽の回でした
アベベのベ 2
劇団チャリT企画
駅前劇場(東京都)
2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
コンビニ店員さん達の世知辛い日常生活の中にうまいこと世相を盛り込んだ「アベベのベ」は2016年版を拝見していましたが、はたして 今作もしっかり面白かったです
ファーストインパクトの分、前作の方が有利ではあったものの時代背景が変わって、描かれるは2022年7月 安倍元首相が銃撃された、あの日
舞台上に存在するコンビニ店特有の人間関係から生まれる会話と、おそらく日本中いたるところで取り交わされた類の会話、この二つが混ざり合った末の不協和音の様な流れ
シニカルな目線で描かれる日常に思わず笑っていたのに隠れていた狂気がひょっこり見えてしまった様でゾクッとします
衝撃が走った日、あの時感じた事を今一度振り返ってみる感慨深さ
もちろんそれも肝ではありましたがコンビニ内での人間ドラマ性めっちゃ強し、
あれから5カ月、このコンビニ店の現在にも思いを馳せてしまうのでした
ASAKUSA THUNDER GATE
妖精大図鑑
浅草九劇(東京都)
2022/11/25 (金) ~ 2022/11/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
前々からイラストレーションに惹かれるものがあり、今回舞台を初めて拝見しましたがセンスがめっちゃ良い
アニメっぽい衣装はキャラによってモードな着こなし、何ともオシャレ番長な風格
広めのステージ目一杯に繰り広げられるダンスには絶妙なる「変!」の要素が、
不思議な可笑し味が加わって、う~んやっぱりオシャレ!
ふんだんに取り入れられたダンスの数々は物語と一心同体、段々と変化していくのも大きな見どころでした
宇宙を舞台にした壮大なスケール感と
初めてのお使いならぬ初めてのコンサート遠征というワクワク感
初めてのお使い同様?ハラハラドキドキの一大アドベンチャー作品に仕上がっていてかなり楽しめます
観客もいつの間にか巻き込まれてしまうという仕掛けも心憎くてお見事
美意識は高いのだけれどユーモアたっぷりでとても共感できる作品性
こういう劇団さんにタップリの制作費が用意できると、今まで見たことないくらいのすっごい作品をつくっちゃうのではないかと思えてきます
遥かな町へ
文化庁・日本劇団協議会
シアターX(東京都)
2022/11/23 (水) ~ 2022/11/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
日本のマンガがフランスで人気があるという事は知っていましたが、谷口ジロー作品(日本で有名なのは『孤独のグルメ』)も大人気だなんて全く知らなかった
何だかこういうのって嬉しいものがあります
その谷口ジロー作品が外国の方によって演出され長きに渡ってフランス語圏で上演、大成功を収めているという、これもまた嬉しい事実
今回はその日本版の公演という珍しいパターン
本来原作に溢れているであろう日本情緒の面は差引いても、マンガでは出来ない演劇的表現多数、日本人キャストによる日本版という事でちゃんと方言を使われていたのも好印象でした
主観的イメージで言えば世田谷パブリックシアターっぽい感じ(う~ん、伝わりにくいか)
タイムスリップものとして かなりシッカリしたストーリー構成
でありながら主人公がタイムパラドックス ガン無視で大いに青春リターンを謳歌しているのが面白い
原作の趣旨がしっかり捉えられ描けているとみえ 絶えず惹きつけられるし、ずっと謎のままであった父親失踪の真実、とても丁寧に表現されていてもう腑に落ちまくり、腑に落ちて感慨深い
大納得の面持ちでのエンディングとなりました
大納得のトリプルコールでした
服が腐る-2022AW-
人間嫌い
サンモールスタジオ(東京都)
2022/11/23 (水) ~ 2022/11/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
当日パンフによると作・演出の岩井美菜子さんは現役でアパレル店員もされているそうで
そうだよね絶対そうじゃなきゃこんな綿密に描けないよね、と納得しきり
演じる役者さん達もそれぞれに巧い
描かれる舞台は普段敷居が高くてとても近寄れないエリア、逆にどんな感じなのかとても気になる世界だったのでワクワク
洋服大好き、オシャレに敏感な人達が織りなす物語
これが期待以上に面白い
もしかして表現の為 かなり身を削っているのではないかと思えるほど登場人物の内面が力強く伝わってくる
楽しげに(時には苦し気に)とても自然体なものだからニュアンスや繊細な部分も含めて素直に入ってくる
引き出しがまだまだ沢山ありそうな勢い
劇団「人間嫌い」演劇界の 新しい風だと思います
バーン・ザ・ハウス
富山のはるか
シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)
2022/11/17 (木) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ここまでホラーに特化した長編作品というのは久しぶり
呪われた家、ジャパニーズホラーらしくジメッとした恐怖がきてます、きてますと思っていたところ段々とド派手に攻めてきたのにはビックリ
グロ過ぎると気分が悪くなるし、お手柔らか過ぎるとつまらなくなってしまうので何とも難しいジャンルだと思うのですが本作は良い塩梅
音と光、映像そして演技
更にはかなり本格的な美術造形で次から次へと
本当にホラー好きな人達が創り上げた作品だという事がヒシヒシ伝わってきます
「過剰な表現がホラー」あまりにヒャッとなるモノがいきなり目の前に現れると思わず笑ってしまうという
「こわ面白かった!」ちょっとしたストレス解消効果もありそうな後味公演でした
ジャンキー・チエの木人件
グワィニャオン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2022/11/16 (水) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
だいたい観劇前って事前情報から想像して「こんな感じになっていると面白いだろうなぁ」と期待を膨らませ向かうものだけれど行ってみればまさにドンピシャ!
というか期待以上でした
舞台上には
エンタメ趣向の若手劇団、いました!
活動30年の中年達のアングラ集団、いました!
そしてこの二つの劇団を前に困惑する地方の自治体さんが、小演劇に全くおぼこな状態で
おぼこ故に忖度がない(笑)
ある意味、地元にいた頃 ほぼ演劇を知らなかった頃の自分がそこにいました!
劇団VS劇団という構図の面白さと
2劇団VS自治体という構図の面白さのダブルパンチ
これは…そう演劇愛、リスペクトですよねっ
余りにも可笑しすぎてマジで涙が出ました
ダブルブッキングは解決に向かうのか、それとも混乱の坩堝と化すのか
真摯に向き合うほど滑稽がポコポコ産み落とされる笑いのスパイラル
納得のダブルコール、なのにおそるおそるな感じで舞台に・・・まった可笑しいのが象徴的でした
捨姫神話「バリテギシンファ」
シルクロード能楽会
二十五世観世左近記念 観世能楽堂(東京都)
2022/11/16 (水) ~ 2022/11/16 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
能楽堂というのは初めてでしたが、場所は銀座の一等地GINZA SIX地下3階、そこに広くて立派な能楽堂が まったくの驚きです
初心者に優しいワークショップを経ていよいよ本編
照明が絞られ弦、笛、大鼓、鈴、様々な音が幾重にも重なって、えも言われぬ迫力
更に唄が加わると舞台上には神聖な磁場が生まれ渦巻いてくるようでした
バリ姫の能面はフライヤーのものより日本の能面に近くて、哀し気な表情の中の凄味、目が合うとドキッ
お面を外した素顔バージョンも、哀し気な表情の中に芯の強さが滲み出て思わず見入ってしまいます
自分にはひょっとすると難解なのでは…と心配していたのがウソのようにグイグイ引き込まれてしまう不思議で且つ濃厚な時間
狂言も務める川野誠一さんが(時には存在を消しながらも)出ずっぱりで作品世界と観客とを繋げてくれて本当にありがたい存在でした
舞台上には現実とは別の時間が流れているよう
霊験あらたか、空恐ろしい迫力の後に訪れる美しい時間
ご利益がありそうな本当に貴重な体験をさせて頂きました
花を灯す
劇団水中ランナー
駅前劇場(東京都)
2022/11/11 (金) ~ 2022/11/14 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
劇中に織り交ぜられた父母在りし日々
飛び込んでくる痛み(不幸)を全身でせき止めるが如く優しく包み込んでくれる親の力に目頭がジ~ンとしてきます
家業を継いだ三男以外、実家に対してどこかドライに見えた兄妹
なにも遺品整理士に頼まなくても・・・最初はそんな印象でしたが、やっぱり頼んで良かったですね
ビジネスライクではなく家族的な目線も持った業者さんだったので尚更
アイコン的に済まされている存在はひとりもいなく、誰もがそれぞれの人生を生きており、それ故にドライにスムーズというわけには中々いかない
様々な登場人物、それぞれの現在が段々と浮彫りになり人間臭くなっていく演出が良かったです
後になって こうしておけば良かったなんていう事はひとつでも無くしておきたい
観劇後そんな気持ちに駆られ、家族と話し合ってコロナ禍でずっと躊躇していた帰省を年内実行する事に
素敵な舞台をありがとうございました!
秘密結社のつくり方
ACファクトリー
シアターサンモール(東京都)
2022/11/09 (水) ~ 2022/11/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
長男が実家に帰ったら・・・家族が妙なことに
なんて奇想天外なストーリー、そしてどんどん面白い
「秘密結社」と「シャッター通り商店街」というミスマッチな取り合わせが面白おかしく展開
こんなアットホームな秘密結社なら世界征服を目論んだって全然OKでしょう(笑)
それにしてもスタイル抜群の役者さんが多いなぁと思って観ていましたが、なるほどそれを存分に活かした見せ場もばっちり用意されているのですね
さすが劇団コンセプト『テクニカル・アクション・コメディ』と銘打っているだけの事はあります
終盤に向けて迫力のシーンは必見もの、ため息の連続
長男の巻き込まれ具合にクスクス時々爆笑、コメディータッチな内容とのギャップに驚きです
八雲さす
KOTH
遊空間がざびぃ(東京都)
2022/11/10 (木) ~ 2022/11/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
客入れ時の案内は前説というよりもほぼフリートーク(笑)
旗揚げらしいフレッシュな公演で、テンポ良くハキハキとした演技が観ていて気持ちいい
物語は主人公少女が神の癇癪を鎮めるため奮闘するという神事アドベンチャーと
その最中に出逢った青年との青春ラブストーリーの2本柱
面白いキャラクターに囲まれて中々に楽しめる内容になっていましたが、絡みのバリエーションが少なめのせいなのかどこかあっさりとした印象
丁寧で取っ付きやすい面白さはそのままに掘り下げのテクニックが加わると尚良かったと思います
これからいい意味で年齢を重ねていって欲しい劇団
赤裸裸
good morning N°5
ザ・スズナリ(東京都)
2022/10/27 (木) ~ 2022/11/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
フライヤーから連想するサウナ的要素はなし、で裸はあり
というか裸に関しては今回に限ったことじゃないですね(笑)
今回、ラサール石井さんがまさかの参戦
さすがというか覚悟が出来ているというか
総理大臣役の見せ場では炎上級の台詞の大連続、ブラック過ぎる、めっちゃ笑える
圧巻だったのは池田有希子さんの歌唱シーン
オリジナルですがエヴァンゲリオンばりの壮大なメロディーとユーミンばりの切ない歌詞
笑いを噛み殺しながら聴き惚れました
スズナリでよくこんなセットの許可が取れたものだと
よほど信用があるのか、よほど頼み込んだのか
そういえば前説で保険に入ったと言っていたような
ぶっ飛んだ内容ながらストーリー的にちゃんと繋がっているのが凄い
ガイドラインを守ったうえでここまではっちゃけられるなんて素晴らしい!
憧れのサンパチマイク
Monkey Works
シアターサンモール(東京都)
2022/11/02 (水) ~ 2022/11/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
リーチのかかった芸人青春ドラマって確かテレビでも去年やっていたと思うけれど、やっぱりこのモチーフというのは手堅い面白さがあります
中々ままならない「芸人」という生き様、その行く末にヒリヒリするものを感じますが、そこはやっぱり根っから笑わせるのが生きがいの人達
いい意味で“食えない奴ら”でした
実際に漫才シーンが織り込まれると物語にもグッと説得力が
漫才のレベルはさすがにルミネtheよしもと級とはいかないものの、将来に可能性を秘めたコンビにはキラッとした笑いがしっかりと
で、そんな漫才の様子を仲間の芸人達が舞台裏で観ている図 これが良い
高齢でM―1グランプリに輝いた錦鯉に思わずもらい泣きしてしまった審査員の気持ち
本作みたいのを観るとそうした感慨がしみじみ理解できます
オーガッタジャ!
発条ロールシアター
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2022/11/03 (木) ~ 2022/11/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
廃墟…滅びゆく「美」というのは分かる気がするし舞台でもその感じは伝わってくるのだけれど、実際には絶対近づきたくない場所
もし覗いて本作みたく魑魅魍魎とした(笑)人影を目撃しようものなら腰を抜かすに違いない
反面、観劇している分には面白い事この上ないのでした
いろんな事情を抱えた人達が、事情があるゆえに廃墟という特殊な場所に引き寄せられ、お互いギョッとしたり、腹を探り合ったりと基本はコメディー作品
その中に人間ドラマあり、ちょっとしたホラー風味もあって何とも不思議な後味
段々と人物が増えて混沌となりがちなところ、何気に廃墟マニアさんが整理してくれてフリーライターさんが可笑しくかき回してくれる
手作り感満載というか、発条ロールシアターさんの作品って荒削りなところがあって特殊な世界観なんだけれど(そういうのも含めて)根底に男の浪漫、熱い血が流れているのが良い
仮面音楽祭
藤原たまえプロデュース
「劇」小劇場(東京都)
2022/11/02 (水) ~ 2022/11/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
そうだよね、自信がなきゃ投げ銭方式にはしないよね、もうすごいっす!超絶面白い!
カラオケボックス的な相席屋で繰り広げられる男と女のラブゲーム
お店側の段取りから初対面にかけての何とも甘くて、しょっぱくて、ただれた空気感
かつては劇団ポツドールの独壇場だった分野だけれど本作も全然負けてない
そしてもうひとつの特色、歌の効果絶大、めっちゃ楽しい!
こんなに楽しいなら舞台世界と同じ 電車の始発時間が来るまでず~っと観ていたい
ただし良い子のみんなが観るのは、ちょっと早いかも
間違いなくクチコミで満員御礼になっていく公演
早い者勝ち、これを見逃すのは絶対に損だと思う
インディヴィジュアル・ライセンス
24/7lavo
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2022/10/27 (木) ~ 2022/10/31 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
どこにでもありそうな家族
どこにでもありそうな家族を守っている、どこにでもいそうな中年主婦
こんな「どこにでもありそう・いそう」っていう言葉が何とも陳腐に感じてしまうほど誰もの人生が非凡でスペシャルだと気付かせてくれる公演
他人の赤裸々な日常場面を生々しくも客観的に観ることが、こんなにも楽しく共感・反発心を引き出して、やがては温かく染み入ってくるなんて・・・演劇ってやっぱり、イイ
一見冴えない中年の主婦をあの新井友香さんが演じるのは「ミスマッチでは?」と一瞬思いましたが、日常の蓄積に埋没させていた感情がジワジワ噴き出てくる様子なんてもう痺れるほど良い感じ、何て味のあるお母さん
全体的にも脂の乗った役者陣と若手の役者陣とが魂でぶつかり合って見事に融合
オモシロ演劇の神様がず~っと定着しているシアター・ミラクルでの、これがひとつの集大成 といった感がありました
ダイアナ
×劇作家企画
劇場HOPE(東京都)
2022/10/25 (火) ~ 2022/10/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
予想していたのと違ったスタートシーンだったので、すかさず頭の中をリセット
彼等の身の上や関係性、そして人となりがスルスル入ってくるのがめっちゃ小気味良い
やがては剥がしに剥がされ露わになった素性がどんどん流れ込んでくるというお楽しみも待っているのだけれど、どうにも笑ってしまうなぁこの3人、とにかく絶妙に巧い
作・演出ブラジリィー・アン・山田氏による当日パンフでのコメント「人間の業と可笑しみを描いた“苦笑系喜劇”です」は、確かにっ!と思えるドンピシャな表現
この超濃厚で愛おしい人間臭さを体感できるのが、まさに小劇場の醍醐味
ちょっとした台詞にもそこに表情が乗っかる事で新たな意味が生まれてくるもので、いわゆる”察する”というやつでしょうか
察して苦笑して、察して痛みを感じとって、察して思わず吹き出して、もう台詞以上の情報量(感情)が伝わってくるのですから、これは結構な見応え
とても70分作品だったとは思えない満腹感、充実感
そして演技に引き込まれるというのはいろいろと脳内変換されるものだと実感
素舞台だったはずなのに、今思い返せば舞台はリアルセット“取り壊しを控えた廃校”にすっかり記憶変換されているのでした
よほど“人”の方に引き込まれていたのでしょう
アイ・アム・ア・ストーリー
シベリア少女鉄道
シアター・アルファ東京(東京都)
2022/10/12 (水) ~ 2022/10/23 (日)公演終了
実演鑑賞
「シベリア少女鉄道」通称“シベ少”
コリッチができるず~っと前から賛否両論の噂(クチコミ)が駆け巡っていた超異色劇団
その絶賛と酷評のふり幅の大きさは、現物を観ていなくても感想だけでご飯3杯はいけそう
遂に初シベ少、自分はどっちか? そしてどんな仕掛けが待ち受けているのか・・・
開演前の作・演出家さんの前説からしてもう異色な事だらけ
当日パンフ 何これ、ど~ゆうこと
終演後の観客のこんなざわめき方、見た事ない
なるほど、演劇界の無法者ですね(笑)
テノヒラサイズの人生大車輪2022
BALBOLABO
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2022/10/20 (木) ~ 2022/10/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
理由も分からずに監禁された!という集団心理と、個々が背負っているターニングポイントが絶妙に織り交ざった攻め攻めのエンターテイメント
ひとりひとりのエピソードが演じられる毎にパズルのピースが見えてくるのだけれどそれと同時に、そうなると犯人は誰、どうやってこれらのピースが収束していくの…と思うところがどんどん増えていくし、脱出の方も進展をみせてますます引き込まれていくという仕掛け
とにかく生の迫力が良い
演技力だけでなく身体能力とかリズム感といったパフォーマンス力も必要だろうし、こんなに面白く賑やかに転がっていく疾走感は中々味わえない
登場人物7人全員が主役と言って良いほどに重要で、それぞれが主張しサポートしあいながら様々な組み合わせで物語の大車輪を回すという見事なバランス力
『テノヒラサイズの人生大車輪』という経歴は、きっと演者としての勲章になると思えるのでした
「Post Tenebras Lux. (ポスト・テネブラース・ルークス)」
Antikame?
雑遊(東京都)
2022/10/18 (火) ~ 2022/10/25 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
「見かえしたかっただけ」を観劇
コロナ禍で相次ぐ非常事態を生きていく中、本作のように遂にこじれてしまった夫婦・カップルはきっと多いと思う。
この二人には もう優しく交わる時間など来ないのだろうか
静かだけれども軋むような心の叫びがとても痛々しくて、カサブタをゆっくり剥がされていく様だと感じながらも舞台(そこ)からは逃れられないし、目をそらす事もできない。
ならばその先には
台詞の無い場面の所作であるとか、台詞を受けている姿・表情とか、そんなところにも刺さるポイントが
楽しい内容ではないし、万人向けじゃないかもしれないけれど、「楽しい」を超える響きがそこにはあって、自分なりにそれを受け取る事ができたのではないかと確信
今もって熱いものが残り続けています。