畳屋のあけび
CROWNS
シアター代官山(東京都)
2022/07/06 (水) ~ 2022/07/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
良い意味で年季を感じさせる、ゆったり落ち着いた雰囲気ある劇場、まさにこの劇場にピッタリな舞台美術。
(入場時、既に舞台上はライトアップされていて、開演前の撮影はOKとの事)
物語の中では幾つもの季節が通り過ぎていくのだけれど、涼風が通り抜けて行く夏、これが一番ピッタリとくる公演。
ズカズカと入り込んでくる人の往来が妙に心地良い。
昭和30年代、戦争の傷跡、当時の社会問題も取り入れながら描かれていく様々な人間模様。
その中でも物語の軸となるのは物書きの聡一とホステスの小春。
二人が出会った当初、現実から目を背け劣等感の塊みたいだった小春に向けての「これは沁みるなぁ」と感じさせる言葉の数々。
聡一の人柄には凄く好感が持てる。
こんなにいい奴なのに…だからこそ泣けてくる。
自分が壊れていくってどれだけ怖いのだろう
病魔にあがらう姿にも彼らしさが滲み出ていて泣けてくる。
これを小春目線で入り込んだら…
若い女性客の方は大泣きしていたけれど、やっぱりなぁ、刺さるよなぁと頷けてしまう公演でありました。
NIGHT HEAD 2041-THE STAGE-
『NIGHT HEAD 2041-THE STAGE-』製作委員会
シアターGロッソ(東京都)
2022/07/01 (金) ~ 2022/07/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
プロジェクションマッピングで自在に彩られていく舞台美術、響く重低音、最先端の照明技術は光の洪水みたい
そこに役者さん達のキャラクター体現力が加わって完成となるSFアニメ2.5次元の世界。
逃げる者(超能力を持った兄弟)と追う者(国家保安部隊)
案外古典的なストーリーなのかと思っていたらとんでもなかった。
最近のテレビアニメはこんなに凝っているの?
スピリチュアルな世界観も相まって、結構難解なストーリーだったのには驚きました。
たぶん取りこぼしがあっただろうけれど、う~んこれはアニメの方で多少なり内容を把握していなければなぁ 仕方ないと思う。
それでも刺激的なシーンの連続、途中で躓くのじゃないかという心配など全く感じさせないのでした。
『Drunk-ドランク-』
singing dog
サンモールスタジオ(東京都)
2022/06/30 (木) ~ 2022/07/04 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
脚本も手掛けられた主宰者ご自身がアルコール依存症(お酒を断って20年だそう)という事で、なんて勇気あるカミングアウトだと思うし、それだからこそ描ける世界観だと思う。
「演技という力を借りたドキュメンタリーを観てきた」というのが正直な感想。
酒さえなければ良い人、それは充分わかるのだけれど、
彼等の頭の中には餓鬼が住んでいる・・・ホントそう見えた。
アルコール依存症には終わりがない。
それが鮮やかに伝わってくるし、家族や愛する人達の苦しみも。
「だから、そうならないで!」という強いメッセージが添えられた公演。
最近ちょっとお酒に頼り過ぎかも、そう感じている方にはマジで観に行って欲しい、本当に運命を変える公演になるかもしれないから。
連結の子
ONEOR8
すみだパークシアター倉(東京都)
2022/06/30 (木) ~ 2022/07/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
噛みしめるほどに人の味わい深さが染みわたる公演。
前科者となった孫を迎え入れる一人暮らしのお祖父ちゃん役、高橋長英さん
温和でありながら頑固な一面もあって、そのめっちゃ人間味ある佇まいが時折自分の父親と重なってジーンとくる。
隣んちのお姑さん役、藤田弓子さん
これまた笑っちゃうくらい超絶親近感!
それでいて何とも複雑…感慨深い。
高橋さんと共に期待していた通り、というか期待以上で
他にも、キャスティングの妙というのが今作には多かったと思う。
実家に親族が集まった時の、ご近所さんが遊びに来た時の、それで、ちょっ何気に詮索してるやんっていう時の、滑稽さや煩わしさ、親しみ、どうしようもない距離感、もう色んな感情がないまぜになった人との交わり。
基本、ニンマリで観ているのだけれど、優しい顔から一瞬で鬼女に変わるからくり人形の如く、何かをきっかけに関係性が豹変するのではないかという空恐ろしさも同時に感じながら固唾を呑んで観ていたのでした。
たぐる
ここ風
テアトルBONBON(東京都)
2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
波の音が聞こえてくる家、楽しくて賑やか、それでいて染み入るひと夏を満喫。
主人公女性と彼女を取り巻く様々な人達。
今回は特に人物描写に入魂されていた印象で、自分が知る所の「ここ風」さんとは一風変わった謎めいた人物の存在、そしていつもの「ここ風」さんらしい個性と個性がぶつかり合う掛け合いの妙。
「父はこの浜で一人、何を思って暮らしていたのだろうか」
そうだ、そうだった、あらすじではそんなストーリーだった。
そんな事前情報さえ、しばし忘れて見入ってしまっていた(笑)
疎遠なまま亡くなってしまった父の足跡をたぐっていく一辺倒なアプローチではなく、登場人物達の言動から滲み出る思いを掬って、観ているこちらも物語をたぐりよせていく様な感覚・・・この感じを何と表現すれば良いのか、不思議な魅力に満ち満ちた公演。
雄大な波の音を感じながら、その先も観ていたい!そんな余韻を残したまま、楽しくも切なく過ぎ去った時間を、彼等が過ごしたひと夏を噛みしめながら劇場をあとにしたのでした。
「星灯り〜2022ver.〜」
TEAM 6g
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
思わず泣いてしまった…それにしても、なんちゅうペンションじゃ(泣笑)
どこまで計算尽なんだろうと思うくらいにワチャワチャとしてくる可笑し味の中、そこかしこに含有している苦味。
それは大切な誰かに対して思いやりに欠いてしまった言動であったり、分かっていてもどうしようも出来ない想いであったり。
主人公男性に対して、何て冷たい男だ!と決めつけてしまう前に
「家族だから」という甘えから、ついつい邪険な態度をとってしまった事が己には無いのか?と問いかけてみる
作中での営みを通して見えてくる大切なモノ。
それがどれだけ尊いモノか分かっているから泣けてくる。
日々に感謝、そして本作品に出逢えた事に感謝します。
もんくちゃん世界を救う
U-33project
王子小劇場(東京都)
2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「桃太郎」がベースになっているので、とても親しみやすい流れを汲んだ物語。
内面に吹き溜まった「文句」
こじらせつつもポワァ~ンとした感じの“もんくちゃん”こと岡山桃子が桃太郎ポジション。
声優さんかと思うくらいのファンシー美ボイスで、ちなみに桃からは生まれていないし勇敢でもない不思議ちゃん。
そして何故かエグい立ち位置のおじいちゃん(笑)
やがて引き連れて、となる犬・猿・キジに相当する面々の絶妙さが、もんくちゃんとの掛け合わせで何とも言えない可笑し味を生み出していくのでした。
「文句」の元凶である“鬼”との対決、本作ではその対決後にも見どころアリ。
人間関係にちょっと疲れた…という若い人に特にお薦めかも。
ゴンドラ
マチルダアパルトマン
下北沢 スターダスト(東京都)
2022/06/15 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
白いゴンドラを観劇。
キャスティングは全4パターンあるみたいですが、観劇後、このキャスティング以外にこの世界が存在するの?って思うくらい、しっくりくる完成度。
おそらくどのパターンを観劇してもそう思わせるのでしょう。
「どこかの誰かの生活を覗き見るように・・・」の謳い文句通り、親しみやすく思わず食いついてしまう生活風景を目の前に、どこの劇団かといえば、やはりマチルダアパルトマン!とも言うべきエッセンスが良い塩梅の隠し味。
舞台に見えるのはリビング一部屋だけ、なのに下手奥には寝たきりの父親部屋があり、上手奥には風呂場や玄関が確かに存在する(と思わせる手腕)
更に、今見ているは3人それぞれの「現在」なのに、それはちょっとしょっぱい歴史を経て生きてきた「現在」
彼等の人生の道のりが、さり気なくも確かに存在して見えるのでした。
東京から地元に戻って何もしていない男にとって、介護ヘルパーさんと妹さんだけが出入りするこのスペースが今の全宇宙なのかと思うと何だか切なくて不思議な感じ。
この部屋での営みもゴンドラの様にゆっくりと風景を変えていくのですね。
すべてセリフのはずだった
劇団フルタ丸
駅前劇場(東京都)
2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
下北沢で父親捜しをしている噂の4人異母姉妹。
元々他人同然だったのに同じ目的の為、ひとつ屋根の下。
観進めて行くほどに彼女達ひとりひとり、枝葉が伸びていくように個性が見え始め、その伸びた枝葉がお互いこすり合って波紋を生み出していく感じがとても面白い。
その中にもう1人、波及効果抜群の男枝葉も参入するのだけれど、そこはネタバレ自粛。
そんな彼女達に目を付けたのが映像制作会社。
人物描写のみならず職場モノとしてもかなり面白い。
個人的にフジテレビの『ザ・ノンフィクション』というドキュメンタリー番組が好きで、こんな生々しい映像を一体どうやって…という好奇心が、まるで見てきたかの様な描写で満たされていきます(笑)
ドキュメンタリーってホントこんな感じもアリだろうなぁというリアルから、後半は彼等彼女等全員がもつれ合ってできていく特有の流れ、ちょっと怖いとも、滑稽とも取れる流れへと突き進んでいくのでした。
20周年、凄くスマートに成熟している印象の劇団フルタ丸さんですが、フルタ氏ご本人の挨拶文には、「どう考えても不格好な20年」と書かれていました。
であれば、不格好だからこそ滲み出てくる絶妙な旨味っていう事なのかと思えてきます。
コロナ禍(まだ終わってはいませんが)を乗り越えての20周年おめでとうございます。
演劇ドラフトグランプリ
シアターコンプレックス
日本武道館(東京都)
2022/06/14 (火) ~ 2022/06/14 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
人気ロックミュージシャンのコンサートに行って以来の日本武道館。
まさか演劇バトルというカタチでこの会場を訪れる日が来るなんて。
全てはこの日のために、競い合う4チームの気合・演技レベル、ほぼ互角だったのでは
それでも2,5次元舞台の様式美が際立つ作品が多かった中、ストレートプレイ的というか物語の骨格が一番しっかりしていると思えたチームが優勝。
自分も投票したチームだったので「感性が一致したな」とちょっと嬉しい。
それにしてもスケールのでかい企画を実現させたものだと思う。
審査員席にモーリー・ロバートソン氏とクロミちゃん(サンリオのキャラクター)が並んで座っていて、ちょっとしたカオス。
下谷万年町物語
新宿梁山泊
花園神社(東京都)
2022/05/12 (木) ~ 2022/06/25 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
こちらのテントでの体験実績が身体に刷り込まれているので、もう観に行く前から血が騒ぎまくり、昨日、最高のコンディションと環境にて観劇。
アングラの最高峰、アドレナリン出まくりの全3幕。
出来れば4幕でも5幕でも、どこまでも観ていたかったくらい。
かつて上野近辺にあったという貧民窟、下谷万年町。
ギラギラドロドロの業まみれ、その圧倒的な生命力、飛び散る水しぶき、腐敗の中に咲き誇る華、その現実離れした美しさに、手を替え品を替えのド迫力の連続に、ただただ唖然とするばかり。
豪華な役者陣、どこを切り取っても見どころには事欠かない中、六平直政氏の登場でこの上更に上のステージがあるのかと、
もはや怪優を越えての怪物、素晴らしすぎる!お願いですから夢に出てこないで(笑)
この回では某大御所女優さんが観客として自然に楽しんでおられ、何気に六平氏へのリアクションが最高。
どちらも舞台芸術大好きな、根っからの役者さんなのだなぁと、こちらにも思わず笑ってしまう。
何より観客全員で一緒に楽しんでいる一体感が最高。
花園神社境内 特設紫テントは、やっぱりどんな高級な劇場よりず~っと贅沢に溢れた舞台空間でありました。
舞台・破天荒フェニックス〜いつだって始まっている〜
劇団TEAM-ODAC
シアターサンモール(東京都)
2022/06/01 (水) ~ 2022/06/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
実在するメガネチェーン店の実話で成り立ったストーリーというのが凄い。
企業の命運をかけて一気に駆け抜けていくコメディー版日曜劇場!?
しかも追い詰められるほどに笑いも増幅していくという
もう次々とトラブルが絶えないものだからあっという間に感じたけれど、2時間20分もあったのですね、道理での満腹、満足感!
まさに破天荒、大した社長だと思う。
でももし彼が身内だったら脳の血管がブチ切れて絶対倒れてます(笑)
パスキュア
GROUP THEATRE
浅草九劇(東京都)
2022/06/01 (水) ~ 2022/06/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
サックスの演奏をこんな近くで観られる機会など滅多にない。
めっちゃカッコよかった。
舞台を三方向で囲んだ一体感型のステージ。
まるで同じ空間(病室)を共有して彼等の言動を間近に見聞きしている感覚。
リアル、でも演劇というフィルターを通しているからこそ素直にそのリアルを見つめる事ができる。
余命僅か らしからぬ患者さんの図太さに苦笑したり、おい大丈夫か?と覗きこんだり、基本的には重苦しさなんかよりも勝る猥雑な日々
それでもやっぱり観終わった直後は・・・ちょっと言葉が出てこない。
直球だからこそ響く思いの丈(たけ)、特に若い方々に、より強く響きますように。
贅沢と幸福
オパンポン創造社
調布市せんがわ劇場(東京都)
2022/05/27 (金) ~ 2022/05/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
遂に、遂にやって来たオパンポン創造社の長編新作。
事前情報はなるべく入れず、特に体調は念入りに整えて行くべし。と思ったのはこれまでの観劇歴の勘と言うべきか。
案の定、スキャンダラス、濃厚ドロドロなやつキターーー
決して均整とれたバランス美ではないけれど、抜きん出た凄味というか、とんでもない生舞台を観てきた‼という興奮に酔いしれる。
作品の重厚感、ドラマチックな場面転換が凄く映画っぽい。
ヤバい方へと突き進む演者の方に全意識が向いていたので上手く言えないけれど、シーンの転換が映像のカット割りみたいに滅茶苦茶工夫されていた(特に照明が印象的)
ただ映像と違って演劇は役者さん達が毎回毎回生で演じなければならないわけで、こんなハードで繊細な内容を良くやり切ったと思う。
リバーシブルリバー
24/7lavo
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2022/05/26 (木) ~ 2022/05/31 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
突如、思いと真逆の言葉を発する症状に陥ってしまった青年。
このシンプルに笑えるワンシチュエーションコメディーで突っ走るか、いや、きっともう何ランクか上を企んでいる。と思って観ていたらやっぱり!
中々良い雰囲気で賑わっていたシェアハウスの光景が、全く違った見え方で幕を迎えていました、深い!
言葉の変換作業も最初こそのんきに笑って観ていたものの
普段の会話の中で(特に言いにくい内容では)似た事が起こっているんじゃないかと、
自分自身も無意識に加工した言葉を発している事ってあるんじゃないかと、言葉の迷宮にどこか背筋が寒くなってくるのでした・・・こんなふうに思わせるのもきっと計算ずく。
学生達のシェアハウス、最初から最後までとにかくめったくそ面白かった
24/7lavo主催の池田さん(演出)&やみ・あがりシアター主催の笠浦さん(脚本)の相性が見事バッチリハマっているのが実感できて余計面白い。
是非またのコラボを期待しています。
BLATHER
劇団ノーティーボーイズ
駅前劇場(東京都)
2022/05/24 (火) ~ 2022/05/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
森脇和成さん(元猿岩石)が美女から大モテ、で大活躍。
更に出演者全員が手を変え品を変え個人武器をぶっ放してくるものだから笑いの大洪水が起きていました。
ノーティーボーイズ座長さん(めちゃキャラが濃い)が大人しく見えてしまうくらいに全員が凄い。
それで総勢15名だからかなり凄い(笑)
どこか懐かしい感じのする笑い。
まあ この笑いは鉄板ですね。
ストーリー的にもハラハラドキドキあり、つまりは鉄板の面白さでした。
せんがわ劇場演劇コンクール
せんがわ劇場
調布市せんがわ劇場(東京都)
2022/05/21 (土) ~ 2022/05/22 (日)公演終了
実演鑑賞
40分弱とは思えないくらい充実した内容の作品群。
帰宅後、ライブ配信でも論評が視聴でき、別の目線からじっくり噛みしめる事ができました。
初日1公演目から好スタート、成夏火さん。
演技力の点では些か不利だったかなぁと思いつつ、仙川住民じゃなくても自然と笑ってしまうご当地ネタの数々、憎めない面々。
そして今回のせんがわ劇場演劇コンクールそのものが舞台という発想力!
5月21日13時30分~、この時、このせんがわ劇場でしか成立しない世界観、作品の一員である一観客となって最高に楽しめました。
これからがとても楽しみな劇団さん。
優勝された階(缶々の階)さんの作品も劇団モノ。
「劇に登場しなかった登場人物と、その役を演じるはずだった俳優の物語。」
度々やむない理由で舞台の中止が発表されている昨今。
本来なら今日、この劇場でこの公演をやっていたはずなのに。
時々それがあまりに理不尽に思えて不思議な感覚となって降りてくるのですが、それとよく似た感覚へと誘ってくれる作品。
二人芝居での優勝、お見事でした。
孤という毒
獏天
サンガイノリバティ(東京都)
2022/05/14 (土) ~ 2022/05/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
50歳にしての一人芝居挑戦。
もともと華があって何事にも物怖じしないイケオジ…であったとしても、これだけ自然に楽しませてくれるというのは、やっぱり凄い。
サンガイノリバティという劇場の構造・雰囲気と、主人公の仕事場である雑居ビルの一室感が見事に一致。
「心の窓口」自殺志願者を思いとどまらせる仕事。
どの電話も会話のキャッチボールとしては変化球だらけ。
この主人公、最初のうちはマニュアルに近い感じの電話対応なのだけれど、説得に熱が入ってくると自分の身の上を吐露する傾向アリ(笑)
その熱量でグイグイ引き込んでくれるわけですが、電話の合間に見せる哀愁混じりの人間臭さも良かった。
リターン THE RETURN
ウォーキング・スタッフ
小劇場B1(東京都)
2022/05/14 (土) ~ 2022/05/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
電車の車両内を吊革、シート以外は骨組みだけで表現したセット。
仕切りなど一切無く実際にはすごくオープンな舞台空間なのに、車両という箱の中、密閉感を巧く醸し出している。
どうやって振動させているのか分からないけれど、電車の動きに合わせて全体が揺れたりするものだから更に強まる車両感。
最終便、最初に乗り込んできたのは若い男性二人。
前科者でかなりガラが悪い。
これは激ヤバ空間だなぁと、感じているうちに次の停車駅
乗り込んできたのは若い女性一人。
まずっ!これはもう火を見るよりも明らかな展開!?
電車が走っている間は逃げ場無しの密閉空間。
停車駅ごとに一瞬出入口が解放、場合によっては乗車客も入ってくるというドキドキポイントが活きている。
劇団俳小さんの『リムーバリスト-引っ越し屋-』も記憶に新しいが、かつてのオーストラリアはこんなにも荒んでいたのかと。
一発触発、固唾を飲んで遂に終着駅・・・う~ん、やるせないというか何かモヤモヤする終わり方。
『焔 〜おとなのおんなはどこへゆく〜』
下北澤姉妹社
駅前劇場(東京都)
2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
アラフィフ、女友達3人組。
生活ランクの幅はタワマン上層階セレブから都営住宅家賃減免対象者まで
これだけライフスタイルの異なる女性3人が学生時代からの長きに渡ってどういう友情を育んできたのかは謎ではありますが、悩み事が友情の肥やしとなってきたのか滲み出るものもイイ感じに仲が良さげ、もう傍観しているだけでも楽しい。
仲良さげの中にも各々、地雷があるようで、盛り上がった勢いでの微妙なヒリヒリ感がめっぽう面白い。
パーティールーム、徐々に人が集まりだし旦那衆や弁護士までが一堂に会して、厄介な飛び火が目まぐるしく駆け回っていく感じ・・・そんな流れがもの凄くツボでした。
積み重なり合って後半になるほど案件過多になっていった印象
そこまでサービスしなくても旨味を引き出せる力量、魅力は充分あるのに、ちょっと勿体ない。なんて思いながらも、結局めちゃ面白かった!です。
女性の方が遥かに「幸福」に対しての捉え方が複雑で面倒であるという事
自身で優先すべきモノをその手に入れながら、どうしても他者の尺度でいう「幸せ」と照らし合わせてしまうサガ。
繊細とも言えるけれど途方もなく業が深い‼・・・いや男も業深いです、ごめんなさい
少なくとも浮気の罪深さは男女関係無しという事で
(しかし浮気男を懲らしめる!と言って結束するのは女性独特)