コナンの観てきた!クチコミ一覧

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ぴえろ

ぴえろ

タクフェス

サンシャイン劇場(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

再々演となる作品だそう
初演時も今回同様、休憩無しの2時間20分だったのか定かではないですが、おそらく役者さん達が豪華になって見せ場が沢山増えた結果ではないかと推測。
特に柴田理恵さんやモト冬樹さんといった猛者の良さを引き出すのがめっちゃ上手い
バラエティー豊かな顔ぶれが魅力のタクフェスは、元々の泣かせ上手に加えて増々笑わせ上手にもなってきている様子

テルという男に勘違いされたまま、いつまでこの心地良い“嘘”は通用するのか
そして目の前に横たわっている借金問題の行方は・・・
ボリューム満点の本編に加えて開演前のお楽しみ系前説、おまけに開演後のダンスタイムまで、もう目一杯楽しませてくれるのでお腹いっぱいになって帰れる事は間違いなし

月は夜をゆく子のために

月は夜をゆく子のために

トランスレーション・マターズ

すみだパークシアター倉(東京都)

2022/10/08 (土) ~ 2022/10/19 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

食えない人ばかり、その我の強さには狂気すら感じてしまうほど
遺産が入ってくる青年と良からぬ評判のある娘(バックには強欲な父親)との恋の駆け引き。
ロマンチックの欠片もない、こんな空気感の中 一体どうなる事かと思いましたが

前半での怒涛のやり取り、後半に突入して台詞量は減ったというのに濃度が一気に上がっていく感じ
時代やお国柄の違いもあって共感という点ではついていけない部分もありましたが男と女にはいろんなカタチが存在すると痛感
漆黒の中に綺麗を探り当てる刹那
二人の運命が絡み合う濃厚な一夜がそこにはありました、圧巻

きっとこれもリハーサル

きっとこれもリハーサル

エイベックス・エンタテインメント

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2022/09/29 (木) ~ 2022/10/13 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

このキャスティングで、お葬式モノで、演出が劇団MONOの土田英生さんとくれば面白くない訳がない…しかし(特に演劇には)絶対という事はない、などと思いながら向かいましたが、案の定めっちゃ面白かったです
お葬式(リハーサル)が醸し出す可笑し味に沢山笑って、結局ホロリとやられました。

言動のひとつひとつにまとわる石野真子さん特有の空気感、これが付加価値となってより魅力的な作品に仕上がっていたのは間違いなく まさにベストキャスティング。
鈴木福くんを見て「いや~、大きくなったなぁ~」という親戚みたいな感覚が湧き起ってくるのもある意味効果的。

タイトルを意味づける台詞をガッツリ任された役者さんの演技が素晴らしく、引き締まることこの上なし。
気持ちしっかり届きました。
(ネタバレに繋がるかもしれないので“役者さん”としておきました)

”ラクエンノミチ”

”ラクエンノミチ”

演劇サークルact

吉祥寺櫂スタジオ(東京都)

2022/10/08 (土) ~ 2022/10/10 (月)公演終了

実演鑑賞

深夜ドラマくらいのいかがわしさ、そして観心地の良さ。
ふむふむ、ファッションヘルスってこんな感じで営業しているのか、中々リアリティーあるなぁ、中々勉強になるなぁと思いながら観ていました(笑)
(店内の受付け&お客様待機エリアが舞台です、念のため)

このお店 繁盛していないのに妙に雰囲気が良くて、切り盛りしているのはどこか人の良い店長と、気を許せそうな予約受付のゲイ男性。
お店の女の子達も、程よく距離間を保って程よく仲が良い(これは重要)
”現実”を直視しないで、毎日をこんな感じで過ごせていれば確かにここは”楽園”のようにも見える。
見えていなかったモノがうっかり露呈された途端、あっという間の連鎖で汚れ崩れ落ちていく楽園だったけれども・・・

大きな幸せなんて望まないから。

こんな日々がいつまでも続きますように。

思わぬショッキング感に驚きましたが後味はそれほど悪くない。
中々やりますね!20周年おめでとうございます。

仮名手本吉原恋心中

仮名手本吉原恋心中

ネコダマシ

ブディストホール(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/10 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

意識の高い劇団さん というイメージを持って向かいましたが、これはすごっ!美意識の高さはひょいっと予想を超えていました。
素人目にもクリエイトな和衣装が艶やかでカッコ良く、劇中に織り込まれた殺陣・歌・踊り・三味線演奏、もう全てが一級品。
だからと言ってお高くとまった系でもなく、なるほど 銘打たれたドラマティック時代劇という表現に大納得、まさにジャパニーズエンターテイメント!
「ロミオ&ジュリエット」「曾根崎心中」にヒントを得た と説明文にありましたが「吉原炎上」のエッセンスも色濃く入っていたと思います。

三味線&唄にのせての“狐”の口上、冒頭から一気に妖しげな世界に引っ張り込み
若い役者さんが多いのでいぶし銀とはいきませんが、時代劇の基本(発声や所作等々)がしっかり出来ているのと、それぞれの役どころをキッチリ演じられているので ず~っと観ていても心地良い状態、その世界観、物語が織り成す機微を楽しみ尽す事が出来ました。
嫉妬・打算・裏切り、物語の行方はコロコロ転がって愛と憎しみの雪だるま
王道とも言うべきジャパニーズドロドロたっぷりの時代劇を思いっきり堪能したい!という方には超おすすめの公演です。

ネタバレBOX

主役のお二人は華だけでなく好感度も備わっていたのが良かった(これは重要)
脇を固める役者さん達のキャラも演技もしっかりしていたので正真正銘 隅々まで楽しめました。
ただ些細な事ですが気になった点がひとつ
出入りする舞台袖のスペースがちょっと狭いのでしょうか
たまにですが舞台から引っ込む際に注意力が一瞬そちらに移ってしまうというか素になってしまう瞬間があったように感じられ、それってほんの1秒あるかないかなのですが、ここまで良く出来た作品であればこそ気になった点といえます。
「没入すると怖いよね、恋愛」の略で没愛

「没入すると怖いよね、恋愛」の略で没愛

ガレキの太鼓

OFF OFFシアター(東京都)

2022/10/05 (水) ~ 2022/10/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

自身の結婚観が掴めないまま30代後半に突入するも東京ライフは絶好調な主人公。
そんな絶好調オーラ効果もあってかキラキラ地方青年が彼女に一目ぼれ。
客席に向けて主人公女性の心の内がダダ洩れてくる感じが超面白い。

この物語 実話だそうで、地方出身の自分からすると「さもありなんだなぁ~」と思えるところ多数
というかほぼ「うん!うん!」の世界、ヤバいですねー(笑)
恋愛ホラースペクタクルと銘打たれ、容赦なく主人公に降りかかるホラー展開がお気の毒でありながらバンバンそれらを笑いに変換していく力量は本当にお見事。
脂の乗りまくった役者さんばかりなので抜群の安定感で楽しめました。

無神論

無神論

表現集団 式日

麻布区民センターホール(東京都)

2022/09/30 (金) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

開演前に当日パンフを読んで、演出かつ主演を演じられる佐白啓さん自身(かなり精神的に追い詰められていた時期)を投影した作品である事を知りました
端正で繊細、佐白啓さんは虚ろな幽霊、主人公を熱演
その時期彼が如何に「死」とギリギリなところで揺れ動いていたのか
アーティスト、クリエイターとしての苦しみがどんなものか共有する事はできないにしても、
こちらの共感を狙った言葉選びをするでもなく、まさに心のままに、
更には仲間達の心の叫びも鈴なりとなって…衝撃的でした。

主人公の幽霊があちこちを彷徨いながら 失った自分を見出そうとしている中、並行して彼の死因に納得していない元刑事が真相を探っていくもうひとつの側面がミステリー風味
そして主人公とは対極キャラ「どすけべな幽霊」の存在感。
コミカルな立ち位置のようでいて実は哀しい境遇でもあり不思議な味付け。

照明はスポットライト中心の独特な見せ方で
たまに役者さんの動いた影が目の片隅をよぎっていくのにドキッとしてしまうのも計算のひとつだったのでしょうか
分かりやすい優しい作風ではありませんがキラッと個性的、不意に感情の塊が突き刺さってくる渾身の公演でした。

クロスフレンズ 2022

クロスフレンズ 2022

LOGOTyPEプロデュース

光が丘IMAホール(東京都)

2022/09/29 (木) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

懐かしい感じのアメリカンでポップな世界観と90年代J-POPの組み合わせ。
観る前は日本のヒット曲色の強い音楽劇みたいな公演をイメージしていましたが、予想以上に作品の世界観が強く、アメリカ映画をも彷彿させるミュージカルな公演になっていました。(普通のミュージカルともちょっと違う)

女子高生3人組に昆虫採取少年、ドラッグクイーン等々、最初は中々にカオスな様相で、どちらかというと歌のシーンに比重を置いて観ていましたが、彼等がダイナ―の一か所に集まってくると次第に物語も立ち上がって来て惹きつけられます
登場人物にまさかのシリアルキラーが…この後どう絡んで、どう出て来るのか
これにはヒヤヒヤさせられました

やっぱり全員での歌唱シーンは圧巻。
センターのみならずサイドや奥の方の役者さんも皆めっちゃ楽しそうに歌ってる♪
軽快な楽曲が多く、楽しいものを観てきた感圧勝の公演でした。

新訳「あわれ彼女は娼婦」ワークインプログレス

新訳「あわれ彼女は娼婦」ワークインプログレス

NICE STALKER

スタジオ空洞(東京都)

2022/09/21 (水) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

小学生の時、教室で「お楽しみ会」っていうのがあったな~と、会場の配置がまさにその「お楽しみ会」で気持ちの距離間がすごく近いのと、この次何が飛び出すの!?感が全体に溢れていてとても楽しい。
衣装が良い塩梅に凝っているのも心憎かった。

演目の「あわれ彼女は娼婦」はなんと1630年頃の作品。
ちゃんとやれば3時間超えの超大作だそうで、あらすじも知らずに行きましたが、これが笑っちゃうほど分かりやすい。
本来いかに説明的にならずに状況把握させていくかの演劇だけれど、もうバンバン説明(解説)しちゃってるし(笑)
物語の基本をおさえつつ、凄く残酷なシーンを見事に笑いの湧き起るシーンに変身させたり、「NICE STALKERさんって普段こんな感じで演出をつけているのか?」とちょっとだけ舞台裏が垣間見えたり、
一歩先の展開がどうなるのか読めなくてもナビゲートに身を委ねていればちゃんと楽しめるという何とも快楽的な流れになっていました。

実際、この演目に関しては今回の見せ方があってこその「面白い」の部分が多く
「途中過程」という名の完成形と言えば良いのか、ここまで「あわれ彼女は娼婦」を楽しみ味わいつくせば、絶対的に「全編公演」を目指さなくとも、とりあえず賢者タイムで良いのではないかと個人的には思うのでした。

ネタバレBOX

観終わった後「面白いものを観たなぁ」と思えた一方
終盤での熱演、本気モードのエンディングシーンが用意されていて、そこは別腹にしておきたかったのだけれど、「面白いものを観た」の混沌に吸収されていった感じがして、そこは勿体無いような気がしました。
ワチャワチャ感も大きな魅力だったので悩ましいところです。
パレードを待ちながら

パレードを待ちながら

演劇企画イロトリドリノハナ

テアトルBONBON(東京都)

2022/09/21 (水) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

紛れもなく戦争を捉えた作品 でありながら戦闘シーンは一切なし。
描かれるはご近所同士で集まった国防婦人会の面々。
さぞかし連帯感ある女性達の集まりかと思いきや冒頭のダンスシーンでそうでもない事が直ぐに判明。
このダンスシーン、当然台詞は無いのだけれど登場人物達の個性や微妙な関係性が容易に見て取れて妙に面白い。

観進めていく程に彼女達のバックボーン(夫が出征しているとか志願中であるとか)が実に多様であり、それぞれの事情や思惑が絡み合って何かと摩擦が起きやすくなっているのだと徐々に理解。
前半ではそうした内情をひとつひとつ汲み取っていくのに必死だったけれど休憩を挟んでからの後半、それらを踏まえたうえでの展開にはグッと引き込まれ怒涛で駆け抜けていった感じ、そのあまりの体感時間の違いは驚くほど。
女性だけのキャスティングだからと言う勿かれ、華やかさやドロドロ、弱さも強さも全部入り混ざってめっちゃ女性を描いたドラマになっていました。

何と言っても個性のぶつかり合い
ダブルキャストの(息子の身を案じている)同じマーガレット役でも
田原みずほさんの場合はナチュラルに嫌味を滲み出しながら堅物そうでいて実はむっつり何とかの一面にニンマリ
森下知香さんの場合は辛口発言の連発、どこか引っ掻き回しを楽しんでいるふしがあるコミカルな策士といった感じで全然違った印象。
そこに絡む相手(シングルキャスト)の印象まで変わって見えるのだから実に面白い現象だと思いました。

真っ赤なブルー

真っ赤なブルー

U-33project

王子小劇場(東京都)

2022/09/15 (木) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

脚本の取り替えっこ、演出の取り替えっことも言えるけれど結果的に 「生きること」と戦う少女2連作みたいになっていて興味深かったです。
確かに違う個性なのだけれど、何か凄く似た者同士じゃん!的な部分も同時に感じられたり
それぞれに自身が書いたものと同じくらい一体化した状態で落とし込まれているんだろうなーと思いながら拝見しました。

生きていくうえで主人公少女が挑む相手として1作目 結城さん脚本では少女自身(自分の内面)なのに対して2作目平安さん脚本では社会(特に大人)に目を向けているのが特徴的
1作目は自分の意志というものが全く無い自分をとことん見つめ直して追い込んで、結果 自意識をめっちゃ肥大させながら(笑)自身のあるべき姿を追い求める結城さんらしい作風。
2作目、これを観ている自分って少女からピストルを向けられる立場にあるのだなぁと、ちょっと哀しくもあるけれど、そうかもね、そうだよね、頭の片隅でそう意識しておいた方が良いよね、と
周りの同級生よりちょっと真面目で繊細と言えば良いのでしょうか、こちらの少女も生きづらそう、でもってハードボイルドファンタジーな世界観

やっぱり主人公と同年代の人が観ると(頭で考えてじゃなく感覚的に)同調できる部分があるのかなと、そんな目線からの感想も聞いてみたいと思いました。
女子高生を対象に上演するっていうのも良さそう。

笑顔の砦

笑顔の砦

庭劇団ペニノ

吉祥寺シアター(東京都)

2022/09/10 (土) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

隣り合った二つのアパート部屋。
ストーリーが展開するというより二つの生活そのものが営まれていたと言った方が全然しっくりくる演出。
しかもストーリーよりもずっと強く感情を揺さぶってくるのだから凄い、何なんだこれは!という感じ。

生活の匂い、凍える寒さにとる暖、無遠慮な会話、人と、家族と生きていくという事・・・
観進めるほどに五感が研ぎ澄まされていく様で、皮膚感覚ごと舞台世界へと引き込んでいくなんて相当。

86歳認知症役の女優さんがカーテンコールでシャンとした立ち姿だったのに何だかホッとなる。まるで別人。
フライヤーの人がリリー・フランキーぽいと思っていたけれど、やっぱりちょっと似てた、と言うかちょっとフランキー似の本物の漁師にしか見えなかった。
これは全ての役者さん然りで「あてがき」なんていうレベルを超えていたのも凄いと思った。

舞台「学徒隊」

舞台「学徒隊」

NPO法人文化活動支援会まつり

南大塚ホール(東京都)

2022/09/09 (金) ~ 2022/09/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

第一幕はレトロでのどかな学園風景。
ちょっとコミカルにも感じるショートショート集からは、校内での人間関係や人物像が浮かび上がってきます。

そして第二幕、沖縄戦に動員された彼等の姿が
当然ながら第一幕での恋バナなど微塵も無くなって、戦場の描写はこれでもかと容赦ない。
敗戦の匂いを充分に感じながら戦っている彼等
いや これがもし優勢であったなら、という問題でもない。
観ていてとても辛い、辛いけれど最後まで見届けなければ
せめてこの時代に彼等は何を体験したのか、いや させられたのか、目に焼き付けておかなければと観続け、そして燃え尽きました。
フラフラになって外に出て、暑さも和らいだ日常風景に有難さの実感。
若い役者さん達、凄く頑張っていました。

シンデレラストーリー

シンデレラストーリー

サンライズプロモーション東京/パルコ

日本青年館ホール(東京都)

2022/09/06 (火) ~ 2022/09/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

演技力と歌唱力、ストーリー展開、舞台美術、楽曲 どれをとっても一級品
ゴージャスでコミカルそしてドラマチック、思わずため息が漏れてしまう極上のラブストーリー、まさに夢の世界でした

シンデレラと王子が歌い上げる切ない旋律の数々、王と王妃の歌声の豊かさで更にうっとり
破壊的に面白い魔法使いのアンミカさん、歌にも迫力がありミステリアスな一面も
とことん底意地悪い義理母の佐藤アツヒロさん、自己中勘違い姉妹の ゆいP&まりゑさん、このトリオにはもう散々ハラハラさせられ且つ笑わせて頂きました
あぁ他にも・・・華やかに舞台を盛り上げてくれた登場人物(&動物キャラ)や演出の楽しさを拾い上げればキリがなく
そんな思いはひとつとなって、満場一致のスタンディングオベーション
感動的で超贅沢な時間でした。

待ちぼうけの町

待ちぼうけの町

劇団俳優座

シアターX(東京都)

2022/09/02 (金) ~ 2022/09/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

東日本大震災から7年、ほぼガテン系のお客さんで賑わう居酒屋さん
その土地(三陸の港町)での情景がそのまま舞台上に宿っているよう
それ以降も三陸での情景を通して自然と物語が身体に入って来る上質な舞台。

女店主の夫は漁師、震災で行方不明になったまま
7年、待つ といっても何を待つという事になるのか。
夫が「ただいま」と帰って来る事なのか、それとも死亡した証拠が発見される事なのか。

被災地で生きる人々
どういう理由であれ必ず訪れる「死」に対して悲観だけではないと受け取れるシーンに救いを感じます。

自然と顔を上げたくなる「前向き」に元気をもらえます。

老獣のおたけび

老獣のおたけび

くちびるの会

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/09/03 (土) ~ 2022/09/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「象」に変態化していく一人暮らしのお父さん。
客演 中村まことさんの魅力がフル稼働
その凄味ある怪演っぷりに思わず笑ってしまったり、思わずビビッてしまったり

これって古い価値観の権化だった老人の不条理な末路にも思えるし、本人的には変わっていく姿に無自覚だったところから認知症を思わせるところもある。
この現象を「人前にはとても出す事ができなくなった父親」と置き換えて観ても興味深いのだけれど、とにかく着実にお父さんは象(老獣)へと

渋々東京から駆け付け、唖然とする次男(本作の主役)そして彼の恋人。
父の希望に叶った生き方をしてきたはずの長男。
父が暮らす家のお隣さん親子(まだ異変に気付いてない)
決して多いとは言えない登場人物なのに、それぞれの反応・言動から滲み出る人間性が観るに充分なほど多岐にわたっていて、じっくりと味わいのある物語になっていくのでした。

ネタバレBOX

お父さんの家にしょっちゅう出入りしていた隣んちの若者
彼の立ち位置と観察証言が何とも言えず心くすぐりました。
どこか憎めないというか、心に柔軟性めっちゃある(笑)
皮肉にも実質的にお父さんと心通わせていたのは血の繋がらない彼だったのでしょうか。
でもまあ次男にも救いの光が見えて本当に良かった、ず~っと辛そうで可哀想だったので。
これがハッピーエンドなのかは複雑なところではありますが…

軸とも言える設定に「何故ここまで他者には相談できないのか」「何故責められる道しか用意されていないのか」といった疑問を挟まないようにする自己暗示がちょっと必要ではあったかも。

舞台「ドロシー」

舞台「ドロシー」

ドロシー

草月ホール(東京都)

2022/08/31 (水) ~ 2022/09/09 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

開演前、スポットライトでほんのり照らされた立派な舞台セットはセピア調に染まり「これからオズの魔法使いの大アドベンチャーが始まるよー」と言っているみたいだった。
いざ開演、ライトアップされると、目の前には全く異なる印象の光景が
え、騙されたっ!
いやいや、事前にあらすじに書いてあるし・・・そう、ここは廃墟となった遊園地の機械室
どうやら この「え、騙されたっ!」感が全体に張り巡らされた胆なのではないかと

素性を全く知らない者同士、呼び名は「オズの魔法使い」の登場人物、問題をクリアーする毎に垣間見えてくる素顔、案外良い奴かも、いや おかしいでしょ、やっぱり裏切り者が・・・
無邪気な笑いとブラックユーモアを交錯させながら謎解きを進めて行く銀行強盗犯たち。
あぁ、これは完全に「決して、結末は外で話さないでください」のやつ


『OH!Myゴ-スト』

『OH!Myゴ-スト』

東京ハイビーム

あうるすぽっと(東京都)

2022/08/31 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素直に面白かった、そしてちょっと泣いてしまった。
成仏できない理由も含めて厄介な恋愛案件だろうと大方の予想はしていましたが、なんと三角関係ならぬ、五角関係!?
どんだけ多角形なんだ(笑)
どちらにしても普通じゃない恋愛相関図と天国の使者、部員たちの奮闘ぶり、霊界を巻き込んだすったもんだで、めでたく魂の救済となるのか…大いに楽しませてもらいました。
湖畔の別荘のセットもリアルに良く出来ていて、リアルに出来たどさくさに紛れちょっとした仕掛けも。

難しいこと一切ぬきで、元気印の役者さん達を楽しんで、笑って、ちょっとホロッとして、沢山の元気をお土産にして劇場を出る・・・これが東京ハイビームなのでしょう

SHINE SHOW!

SHINE SHOW!

Aga-risk Entertainment

シアター・アルファ東京(東京都)

2022/08/31 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ちょっと桁違いなコメディー作品。
ビジネスマンそれぞれの思いの丈が交錯する会社対抗のど自慢大会。
これに関わる出場者、司会者やマスコミそして影の主役であるスタッフ陣等々。
晴れの場に、みんなが持ち込んでくる様々な悩み・トラブル、ここから滲み出る人間味がめっちゃ可笑しく、時には哀愁も。

何が凄いかって、これだけの(笑いのもとでもある)悩み・トラブルがひとつひとつ、きちんと味付されていて単独でも美味しいし、別の味と絡み合ってもこれまた美味しい。
それにこれだけボリューミーだと、途中から何の味か分からなくなったり、盛り上がるだけ盛り上がって収集がつかなくなったり、といろいろ危惧しそうなところ、しっかり旨味を味わいつくしながらのショウ・マスト・ゴー・オン
常に新鮮な感動と笑いでもってラストへと駆けのぼっていくのでした。
実にうまいこと考え抜かれ、そして演じられています。
歌のところではひとつ、またひとつと思いが昇華していくようで、この構造もまた巧い。

シュレック・ザ・ミュージカル【8月18日~24日公演中止】

シュレック・ザ・ミュージカル【8月18日~24日公演中止】

フジテレビジョン/アークスインターナショナル/サンライズプロモーション東京

東京建物 Brillia HALL(東京都)

2022/08/15 (月) ~ 2022/08/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

少女時代から塔のてっぺんで20年間ず~っと囚われの身。
「きっといつかイケメン王子が…」と待ち望むプリンセスの長い長い年月を表現した演出が凄く贅沢で素晴らしい。
ようやく念願かなって救いに来てくれたのはイケメンとは真逆のシュレック、しかも「臭っ!」という現実(いやファンタジー)
子供が悶絶大爆笑シーンも用意されている一方、大人客のニーズもしっかり見据えているところはさすがブロードウェイミュージカル。
とにかく刺激的で鮮やかなシーンが目に、耳に、次々と迫って来てとても楽しい。

欲をいえばシュレックの特殊メイクがかなりガッツリしていてフリーなのが目と口元だけのところ。
造形として見事だけれど顔の表情が伝わりにくいというのはやっぱり勿体ないと思う。

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