オレアナ
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2015/11/06 (金) ~ 2015/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
素晴らしい
デイビット・マメットの問題作で何回も上演されている演目らしいが、翻訳は新しい物という事である。小田島恒志の翻訳が書籍化されていたのなら是非買いたかったが残念だ。栗山民也の演出は音楽を殆ど使わず、この非常に寒々とした人間関係をとても明快に見せてくれていた。志田未来演じる女子学生は、かなり苦学して大学に入って来たと思われて、劣等感を相当持ってそうだが、大学までの教育体系には絶大なる信頼を持っていたのであろうし、おそらくは非常に真面目な学生でもあったのだろう。また田中哲司演じる准教授は人間としては兎に角、学者としては相当優秀みたいで、自分の能力にも相当な自信もあったので、それだけに教育体系を含め周りが無能な人間ばかり見えていたのではないだろうか。両者とも単位とか家とか会話以外の所に本当の関心が行っているのが不幸の始まりなのだろうか?心に余裕があるなら、きっと良い関係になり得たと思うのだが、ボタンのかけ違いで、恐ろしい事である。こう言う会話にならない危ういシチュエーションは、あまり舞台で観るような物だとは思っていなかったが、こうやって作品になってしまうのだから大変な物だと思う。オレアナってのは准教授が広い土地で自分の理想の生活をしたかったのが無になってしまった事に引っ掛けているのだろうか?どこかに解説して貰えると嬉しかった。でも、もしそうなら、人の不幸を茶化しているみたいで、随分残酷なタイトルの付け方だと思う。田中哲司も志田未来も素晴らしい演技者で、この凄くエグい内容なのに一気に見せてくれた。感動的であった。ここまで感動出来たのは、演出の素晴らしさもさる事ながら、この二人の演技の力も大きいのではないかなと思う。この二人の演技は、また観てみたいと思う。良いものを観る事が出来て本当に嬉しかった。