満足度★★★★★
大切なこと
第5回公演「La Fiesta」も傑作だっただけに今回期待していた。前回と比べて感じた点など。以下ネタバレ含む。
ネタバレBOX
「La Fiesta」と比べると史実をなぞるだけではなくよりエンターテイメントな部分が加筆されている。そこは大きく評価するに値するだろう。
良い作品である。
しかしながら、2時間役者観客ともに緊張を強いられるだけにもっとそのエネルギーを感じたかった。全力を出し切るにしても役者には限界があるので、舞台美術や照明、音響に原因があるのではないだろうか。美術はほぼ素舞台で前半の照明も素のあかりに近い(色を使っていない)。生身を感じさせるのが目的ならもっと客席との距離感がぎゅっと近くないと効果は得られないのではないだろうか。今回の小劇場B1のように距離があるならば照明である程度の世界観や、美術での最低限のつくりこみは必要なのでは。また音響も同じように大使館公邸内シーンでは緊張を持たすだけのノイズ?をずっと薄く流している等、緊張感を持続させる工夫が必要なのではないか。(曲ではなく)
とにかく役者のエネルギーが空間によって薄まっているのが残念。もっともっと狭ければこのプランはまだ成功したのかもしれない。もちろんそれを凌駕するだけの役者陣であれば別だが、このような大人数の芝居では無理だろう。
最後にひとつ。カーテンコールの際に芝居のエンディングの曲が大音量でそのままスライドしているが、やめた方がよい。良い作品なので温かな拍手がおくられているが、それが大音量にかき消されていて、観客としては拍手した気がしない。カーテンコールとは観客が役者やスタッフに対しておくることの出来るプレゼントである。あれがあるから役者も頑張れるのではないだろうか。この点は非常に残念でならない。
とはいえ、この作品をこの現代でやることはチャレンジでもあっただろうが、改めて大いなる拍手をおくりたい作品である。