満足度★★★★
生イキウメ!!!
太陽はイキウメが出しているDVDが素晴らしく一度生でみたいと思い、仕事の後シアタートラムに駆け付けた。配役は初演にかなり近くデジャブ感が漂う公演だった。以前よりもセリフの意味が分かりやすくストーリーがとらえやすくなったと感じた。
ネタバレBOX
観ていて気になった事
①夜と昼の照明変化が小さかった。夜はもう少し暗い感じのほうが雰囲気がいいのではないかと思う。 ②鉄彦が奥から現れる事が何度かあった。設定としては大丈夫なのだろうが少し混乱した。奥をノクスの世界、手前をキュリオの世界と明確にして奥寺は上、下の出はけから出てきたほうがわかりやすいように思う。 ③ノクスの世界とキュリオの世界を同時並行的に切り替えて見せるシーンが複数あったが少しわかりにくい。もう少し、演出的に世界を区切ってもらいたかった。 ④鉄彦がなぜ森重と仲良くしようと考えたのか、なぜ結がノクスになろうと決めたのかがセリフや状況で説明はあるのだがどうも見ていてしっくりこなかった。(DVDではしっくりしてきていた。なにが変わったのだろう?)
全体の感想 ・この戯曲でノクスは終始理性的で優しい。対して、キュリオはなにかに対して怒ったり哀しんでいる。なにかに怒るということは現状を変えたいという意思表示に他ならない。優しいという事はある意味現状を肯定し、変化をしないという事でもある。怒ることによる醜さと優しいことによる美しさの裏返しが変化と停滞という昼と夜の関係になる。それが鉄彦と結の関係になり、種としてのキュリオとノクスの運命にも通じる。その中で観客はアンビバレントな感情に揺れる。そこが面白いしこの戯曲が成功している肝だと思う。金田が朝日を見るときの表情を想像せずにはいられないが私はおそらく優しく微笑んでいるのではないかと思う。自殺の時でさえ優しく理性的であるしかないだろうことが金田がノクスでいる事に耐えられない理由だろうと推測するからだ。