おとながたり
ハグハグ共和国
劇場MOMO(東京都)
2018/09/20 (木) ~ 2018/09/24 (月)公演終了
満足度★★★★
開演前の丁寧な応対を含め、非常に心配りが感じられる、落ち着いてみることのできた舞台でした。舞台自体も、観終わった後の心持のよい、なんともよい舞台でした。
現在と昭和30年代が舞台というちょっと変わった設定に最初違和感もありましたが、優しい大人の心あたたまるファンタジーでした。
明日ー1945年8月8日・長崎ー(2018年@シアターKASSAI )
演劇企画イロトリドリノハナ
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2018/09/19 (水) ~ 2018/09/24 (月)公演終了
満足度★★★★
狭い舞台上に、日常の生活がとても丁寧に、そしてリアリティをもって描かれていました。普通のささやかな幸せにあふれた生活が、たった一発の原爆ですべて消え去る残酷さが、ひしひしと伝わってきました。どうせなら、この時期より戦争のことを考える8月に公演をして欲しかったなと思います。
ただ、あまりにリアルであったために、舞台ゆえの楽しさやわくわく感、この舞台自体の主張があまり感じられなかったような気がして少し残念でした。
白紙の目次
劇団時間制作
テアトルBONBON(東京都)
2018/09/05 (水) ~ 2018/09/16 (日)公演終了
満足度★★★★
「依存」「自殺」「知的障害」など重たいテーマを真正面から取り上げるのは、時間制作さんならでは。今回もラストは見ているものつらくなるようなシーン。もう少し違った選択をしていたら、ささやかだけど本当の幸せをつかめたかもしれないのにと、最後は感情移入して大勢が涙でした。
ただ、今回は舞台が海辺の旅館ということもあり、登場人物がちゃらめの若者中心という設定で、特に前半の乱暴な言葉使いと、意味のない高笑い、心が感じられない会話の応酬、無駄な大声などが気になり、個人的にはダメで集中できませんでした。また、時間軸が行ったり来たりというのも、慣れるまで違和感がありました。
障害者の妹も、あそこまでえげつなく演じなくてもという印象(それだけ迫真の演技だったということ)。ストーリーの中心であるはずの作家の心の移り変わりや事実へ迫っていく姿が、今一つと見ていて伝わってこなかったという感じ。
なぜ自殺という最悪の道を突然選んでしまったのか、その本当の理由は何か、ラストで明かされはしますが、周りの人間がどのように関係していたのか、何ができたのかをもう少し丁寧に描いていただければ、展開ももう少しわかりやすかったのでは。各人が「私が殺した」と主張しても、どうもピンとこなかったのは私の観察力・洞察力の無さか。正直、一度見ただけでは少しわかりにくかった(少なくとも私には)。
前に見た「手を握ることすらできない」がぐいぐいと心に踏み込んでくると感じたのと比べ、衝撃度は劣る印象だったのが残念。
とはいえ、他の劇団にないメッセージ性をもち、人間の本質に正面からぶつかる舞台に取り組む劇団として、今後も「時間制作」さんには注目しています。逆チーム(B)がどうなのか、とても気になります。違った感じになっているのでしょうか。
バンブーオブビッグ
劇団マリーシア兄弟
Geki地下Liberty(東京都)
2018/08/16 (木) ~ 2018/08/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
お笑いライブの舞台裏のお話。登場人物それぞれに強い個性があり、セリフがとても自然で、演劇を見ているというより、バラエティーの隠しカメラ映像か、ドラマか映画の1シーンを見ているよう。
タイトルから想像していたドタバタコメディーとは全く趣が違い、お笑いを目指す男たちのさりげない言葉と心の交流がおりなすハートウォーミングなお話に、最後は素直に感動。
geki地下リバティーの構造をうまく利用した展開も新鮮。心に残るとてもよいお話でした。初めての劇団さんでしたが、次回作にも期待。
「バンブーオブビッグ」というタイトルも最初は意味が分からなかったのですが、意味が分かればこれしかないという感じ。
(バンブー:竹 + オブ:ノ + ビック:大 =笑)
マナナン・マクリルの羅針盤 2018
劇団ショウダウン
シアター風姿花伝(東京都)
2018/08/11 (土) ~ 2018/08/16 (木)公演終了
満足度★★★★★
最初は一人芝居という形式に戸惑いがありましたが、徐々に林遊民さんのパワーに圧倒され、いつの間にかそこにないはずの時間と空間が目に浮かぶような感覚になりました。音響・照明もきとんと計算されていて、広い世界を描き出すための役割を担っていました。
2時間超もの舞台を一人で演じ切る度胸と技量に、とにかく驚き。セリフの量も想像を絶するほど。さらに老若男女を演じわけも大変かと思いきや違和感なし。
2幕の途中でまさかのもぐもぐタイム・・には驚きましたが、観客とのやり取りを交えたり笑いを誘ったり、演者と観客の距離をいっきに縮める、よいシチュエーションになっていたと思います。
大勢のキャストで織りなす舞台も華やかでいいものですが、たった一人で紡ぐ舞台というのも、見る価値大です。
ナイゲン(2018年版)
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/08/10 (金) ~ 2018/08/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
昨年に引き続き2度目のナイゲン観劇。なんでも今年で3年連続、この時期の公演だとか。お盆の風物詩としてこれからも続けてほしい舞台。
ストーリーは分かっているはずなのに、面白い。キャストが変わると、まるで別物なので、今回も新鮮そのもの。
大笑いが起きたかと思えば、シリアスなシーンで静けさが急に訪れたりと、目まぐるしく変わる舞台。とにかく演者の方の熱量が半端ない。そして、客席とステージが非常に近いので、熱いのなんの。大笑いしてちょっと考えされられて、あっという間の2時間ちょっとでした。
虚空遊戯〜イナニティ・ゲーム〜
ZERO Frontier
萬劇場(東京都)
2018/08/01 (水) ~ 2018/08/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
終盤のアクションがとにかくすごかった。かわいい衣装の女性のアクションも真剣そのもの。けがをしなければよいとこちらが心配になるくらい。かと思えば、息のそろったダンスあり、コミカルな笑いあり、予想していなかった魔訶不思議なストーリー設定もあり、ドールの衣装も見ていてかわいい、様々な要素を楽しめる、見ごたえのある舞台でした。
舞台が香港というのも、イナニティ・ドールという謎の存在と相まって、不思議な世界感を醸し出していました。最初のシーンの意味がなかなかわからなかったのですが、終盤でその謎も明かされ、納得。
こまつ食堂コンサルティング部はこちら
劇団GIFT
スペース・オルタ(神奈川県)
2018/07/14 (土) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★
絵にかいたようなハッピーエンドの人情もの・友情もの、ある程度展開がわかっていても、結局うるうるしてしまいます。
途中で気になっていた占い師(?)風の女性、どうしてこんな不自然な演出なのかと違和感をずっと感じていましたが(いつも他の人がいないシーンで登場し、ビールと枝豆と煮物を注文するんですが)、ラストでその疑問も氷解。ラストの感動の盛り上げに一役買っていました。
刺激を求める人には不向きかもしれませんが、静かにほっこりしたい方には、やさしさに包まれたよい舞台だったと思いました(私もその一人)。
ハンムラビの箱庭
ZERO BEAT.
Geki地下Liberty(東京都)
2018/07/13 (金) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
最初から最後まで15人のキャストが出っぱなし(ただ、だんだんと実質的なキャストは減っていきますが)で場面も地下室のみでしたが、最後まで緊張感が漂う90分でした。
だれが本当の仕掛人・主催者なのか、だれが本当の意味での悪人なのか、最後の最後まで目の離せない舞台でした。確かに万死に値する悪人もいましたが、中には死をもって償うほどの罪は犯してないのではという参加者もいて、本当にあそこまでする必要はあったのかは意見が分かれそうです。正直TV・映画のラ〇ア〇ゲームを連想させるシーンが多かったですが、お金だけでなく命を懸けたゲームということで、一層人間のエゴだったり醜さだったりが目立つ問題作だったと思います。
前説もこれから始まる舞台のムードに合わせた口調でよかったですし、舞台のムードを壊さないために、開演前の物販もなし、終演後のダブルカーテンコールもなしと、舞台づくりに徹底しているところは、Zero Beat.のこの舞台へのこだわりが感じられてGood。
このゆびとまれ2
演劇ユニットZANNEN座
OFF OFFシアター(東京都)
2018/06/28 (木) ~ 2018/07/01 (日)公演終了
満足度★★★★
コメディーを軸に、友情・将来への夢、絶望など色々な感情が詰まったてんこもりの10本程度の2時間のオムニバスでした。いろいろと楽しめるのは良いところですが、あまりにも違うテイストのストーリーの連続は、最後は疲れ気味になりました。
1点気になったのは随所で行われていたプロジェクターによるビデオの挿入です。作品によってはほとんどがビデオで、最後の落ちのみ俳優さんの演技というのもあり、スクリーンを見にくい位置に座っていたこともあり、少し残念でした。
個人的にはもう少し作品数を少なくして1本1本に厚みを加え、印象を強くした方がよかったのではという印象です。
スピード感のある展開や笑いが好きな方は、存分に楽しめる舞台だと思います。
橙色の嘘
劇団かに座
かなっくホール(神奈川県)
2018/06/22 (金) ~ 2018/06/24 (日)公演終了
満足度★★★★
ラストはちょっと予想の上をいく優しく切ない嘘。意外でしたが橙色という色もラストで納得。でもその後が気になる終わり方でした。
キャストの人数も少なく淡々と展開する2時間の舞台でしたが、じわじわと心に染みわたるようでした。
このような心に響くような人情舞台、安心してみることができて良いものです。
子供連れの家族や高齢者のお客様が多いのも、116回目という歴史に培われた人間関係ゆえか。他の劇団にはない、アットホームさが魅力の劇団さんです。
フランケンシュタインー現代のプロメテウス
演劇企画集団THE・ガジラ
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2018/06/07 (木) ~ 2018/06/13 (水)公演終了
満足度★★★★
照明、音響の演出が特徴的な舞台でした。蝋燭・ランプがメインの照明、全身に響き渡るような音響は、初めての経験でした。北極探索の冒険家の語りという形をとっている部分が原作とは違いますが、内容はほぼ原作に忠実で、照明・小道具などが200年位前のうすら暗いヨーロッパのイメージを、程よく醸し出していました。
原作では、2m超の異形の化け物として描かれていた創造されたものが、金髪の美形の女優さんが演じていたところが最初ちょっと違和感がありましたが、ラストに近づくにつれ、人間とは何か、男女とは何かという根源的な問題に悩む姿にマッチして、かえって物悲しくもありました。
語り口も現代風ではなくわかりにくい部分もあり、終始ほの暗い陰湿なムードの漂う舞台で、楽しいとか面白いとかといったものとは対極に位置していましたが、とにかく初めての体験でした。ただ正直、2時間超は少しながく、もう少しテンポよくてもよかったのではと感じました。舞台の雰囲気に明らかな変化がないので、途中から単調に感じてしまいました。
原作のフランケンシュタインを読んでから見ると、さらによくその世界観に浸れますので、事前のご一読をお勧めします。原作も古い作品だけあって、なかなか難解です。
エンゼルウイング シングルウイングズ
Sky Theater PROJECT
駅前劇場(東京都)
2018/05/31 (木) ~ 2018/06/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
二人の「夏子」が地震が起こるたび入れ替わるというストーリー。震度4程度の地震で入れ替わるというのは微妙な設定かとは感じましたが、入れ替わるたびに思い出の品が1つずつ壊れるという仕掛けで、想像していなかった意外な事実にたどり着く夏子。そして微妙に交錯する2人の夏子。混乱するかと想像していましたが、最後までのめりこんでみていました。
キャストの皆さんも魅力的な方ばかりでした。個性の全く違う二人の夏子の印象が、話の展開でどんどん変わっていくのがとても印象深い。
入れ替わりがきっかけで自分と家族が抱えている問題に気づき、解決していこうとする二人の夏子。最後は気持ちが温かくなる、でもちょっと切ないとてもよい家族の話でした。
『空に落ちたサル、』
尾米タケル之一座
しもきた空間リバティ(東京都)
2018/05/24 (木) ~ 2018/05/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
コント公演とあったのですが、ちゃんとした(?)舞台でした。個人的には、最初の警察の話と、かえるのうたの話がつぼでした。
キャストの皆さんがきちんと個性を発揮されていて、ナンセンスの中にも強烈なインパクトがありました。ちょっとくどすぎる部分は感じましたが、大笑いの2時間でした。
次回も楽しみです。
ごはん処 まよい軒
劇団ぼるぼっくす
東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)
2018/05/04 (金) ~ 2018/05/06 (日)公演終了
満足度★★★★
悪い意味ではなく、私の少ない観劇史上ではありますが、最も日常的、最も平凡、最も刺激なし、でも何となくクセになる舞台でした。
平凡だけど見終わった後に、ほっこりとした感じが残る、安心できるいい舞台でした。劇場も小さく舞台との距離が近く、下町小劇場という感じでした。
サイキックバレンタイン
たすいち
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/04/29 (日) ~ 2018/05/06 (日)公演終了
満足度★★★★
終始ドタバタ感は拭えませんでしたが、魅力的で個性的なキャストの皆さんのパワーで楽しい時間を過ごせました。ラストの意外な感じはとてもよかったです。
こわっぱちゃん家の舞台でよくお見掛けしていた細田こはるさんは、ここでも個性的で輝いていました。
ちょっとエスパー対支配したい人間という構図はありきたりな感じですが、とにかく楽しみたい方にはぴったりの舞台だと思います。
「カワサキさん家のかたち」
お芝居空間イスモナティ
ART THEATER かもめ座(東京都)
2018/04/26 (木) ~ 2018/04/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
最初はあらずじを読んでドタバタコメディーか?と思っていましたが、見終わった後はなんだか心が優しくなる、とてもよい舞台でした。
ラストシーンは途中あたりでなんとなく予想ができましたが、べたでもいい・・・ある意味最高のハッピーエンドというのがよかったです。
キャストの年齢層も幅広く、安定感がありました。ちょっと家族のことを考えたくなる、人っていいなと思わせてくれるよい舞台でした。
Along
演劇商店 若櫻
北池袋 新生館シアター(東京都)
2018/04/12 (木) ~ 2018/04/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
これまでの公演と違い骨董品店が舞台ではありませんでしたが、独立したドラマが最後につながる心に残る舞台展開は、やっぱり若櫻らしい。笑いあり、ドタバタあり、心にしみる展開あり、誰も傷つけない落ち着いてみることができる後味のいいストーリーは、個人的に毎回ストライク。トイボ、えのぐといった若手の実力ある劇団との連携も今回は魅力。前説を兼ねたフリートークも楽しい。お客に楽しんでもらいたいという意欲が感じられてGOOD。これまでスタッフで参加だった三上さん、栗原さんの出演も目が離せないポイント(これまで出演の久山さんがスタッフで活躍なのは少し寂しいですが…)。こんな魅力的な方々がスタッフだったとはもったいない。違うタイプの女性を魅力的に演じていました。全体を紡ぐ重要な役どころを託された若櫻の若手の二人の今後も期待。
組曲~touch 2 you~
touch my brassiere? company
上野ストアハウス(東京都)
2018/04/13 (金) ~ 2018/04/15 (日)公演終了
満足度★★★★
ほほ上演中ずっとBGMがかかっていて、芝居と音楽とがシンクロする不思議な舞台でした。通して全般センスのいい大人の舞台という印象でした。少しうるさい感じが耳につく場面があったのが個人的には残念でしたが、ラストはとても印象に残る印象深い舞台でした。
-127birth
こわっぱちゃん家
OFF OFFシアター(東京都)
2018/03/15 (木) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
妊娠、出産、中絶、死産…本来は非常にめでたい新しい家族の誕生にまつわる出来事に悩み、悲しみ、成長し、絆を深めていく、非常に心に刺さる後味のここち良い舞台でした。
重たくなりがちなテーマですが、軽快な脚本とコミカルな演技、そしてキャストの魅力で時に爆笑ありのあっという間の2時間弱でした。
とても印象的だった舞台の最初のシーンが、ラストシーンとオーバーラップし、-127birthというタイトルに納得。
途中とても悲しい展開もありましたが、それを乗り越え絆を強めていく夫婦の前向きな姿勢や取り巻く周りの人達の想いに、ラストはとにかく感動。俳優としてのトクダタクマさんも素晴らしかったですし、こわっぱちゃん家の瀧さん森谷さんをはじめとする他のキャストの方々も非常に印象的でした。なかでも特にきわだっていたのは、美代子役の鈴木七絵さん、チロル役の細田こはるさん。単なる個性のきついだけの役かと思いきや、人間的な一面もかいま見せ、舞台に厚みを与えるキーマン的な存在になっていました。
前回の「最悪の最善策・・・」に続く2度目の観劇でしたが、今回の観劇でますます「こわっぱちゃん家」が好きになりました。次回作にも期待です。