液化アンソロジー
劇団背傳館×怪奇月蝕キヲテラエ×フィグス
十色庵(東京都)
2018/02/24 (土) ~ 2018/02/25 (日)公演終了
満足度★★★
劇団背傳館、怪奇月蝕キヲテラエ、フィグスの3団体による公演
脚本と演出のシャッフルをしており、どの作品もテキストと演出のせめぎ合いといった印象を受けた
フィグス山田燎平さん脚本のアタッチメント・セオリーは問題編、解決編を三浦さん高尾さんがそれぞれ担当
山田さんの脚本は若いんだけど、テキストに「俗」が混じっていて凄い好み
あとアイマルさんが最近怪優って感じになってきていて良い感じ
3つの作品とも「演出をつけているな」というのがわかりやすく観客に伝わってきて、今回のような企画の意図の部分は成功していたと思う
ただ、作品として観客に表現したい部分はちょっとぼやけてしまっていたかも
役者や作演の個性がよくわかるショーウィンドウ公演だった
このBARを教会だと思ってる(千秋楽満員御礼、終幕しました!ご感想お待ちしております)
MU
駅前劇場(東京都)
2018/02/21 (水) ~ 2018/02/26 (月)公演終了
満足度★★★★
出てくるキャラも交わされる会話もどこかクセがあって、織りなされる物語はいくらでもおかわりしたくなる面白さで
それでいてふと酔いが覚めた瞬間のように訪れる切ない場面が心の隙をついて浸透してくる
告解と許しの物語に現実って何なんだろうって思った
言うなれば演劇も現実じゃない設定や人物を役者が演じている現実じゃない世界
輝いて見える役者さんも現実じゃないし、それを観た自分は現実のつまらない自分を余所に置いて受け取った感情を呟いて許されようとしている
劇場と言う名の告解室、もっともっと許されたい
一番印象に残った場面は、ギターの音色の中で薄明かりに照らされて語る志賀聖子さんの心地良さとその青の美しさ
疫病神
ピヨピヨレボリューション
北とぴあ つつじホール(東京都)
2018/02/21 (水) ~ 2018/02/25 (日)公演終了
満足度★★★★
前々から一度観ておきたかったピヨレボを初観劇
普段がどうなのかはわからないけど、ホール演劇としてよくできた作品だった
右手さんと東さんがわかりやすく凄くて、凄さがわかりやすいのが凄い
エンタメよりももっとどっしりとして、テキストより行動で魅せる芝居
歌やダンスがはさまれる芝居だが、ポップなエンタというより感情表現の手法に近い感触
特に中盤の右手さんの精神世界を舞台上にぶちまけた1曲(夢パレ)は、これこそこういった形式の芝居でやるべき表現であってリズムを取ることも忘れる程の感動を覚えた
物語としてはシビアなテーマ。個人的な感情にもリンクした話で、そうか彼女はああすれば救われたのかと思いつつも、小綺麗なテクスチャを貼り付けただけの自分では救いようもなかったのだなという現実も見せつけられる
でもこの作品には救いが有る。楽しく救われる
萌え萌え♥ハリケーン
革命アイドル暴走ちゃん
あかいくつ劇場(神奈川県)
2018/02/15 (木) ~ 2018/02/18 (日)公演終了
満足度★★★★
オーバーフローする情報と色と音楽とキャストとギミックを浴びせかけられ
心が浮遊して楽しくなって笑っちゃって叫んじゃってリズムなんか刻んじゃって
舞い散り落ちる紙吹雪やサイリウムと同じに強烈に焼き付いて消えていった時間がとにかく最高だった
今回観に行って、もっともっと舞台と一つになりたい!って思った
セトリとかに合わせてMIXとかコールとかケチャとか打ちたいし
あの時間全部に溶け込んでしまいたい
「3483」
電動夏子安置システム
駅前劇場(東京都)
2018/02/07 (水) ~ 2018/02/12 (月)公演終了
満足度★★★★
真面目なシーンでもコメディを捨てない、小劇場界に必要不可欠なコメディ劇団
シーンごとに細かいシステムが発動される笑いや、繰り返し・伏線など笑いのメソッドを今回もふんだんに駆使
クオリティーコントロールコメディとでも言うべき品質管理された作品
ドーナツ・ホールに鯨が泳ぐ
裃-這々
裃-這々宅(東京都)
2018/02/10 (土) ~ 2018/02/18 (日)公演終了
満足度★★★★
隙の無いテキスト。二人の会話で開かれる風景が非常に小説的
ゆえにスルッと通り抜けていってしまうのが勿体無い
もっと「間」というものをとっていくと良いのかなと思った
長くなることを恐れずにもっとじっくり味わいたい会話だった
こういう本こそダブルキャストで演ってほしい
噛めば噛む程、美味しい本だと思う
二人芝居なので役者の演技や存在感は重要であり、その点すずきさんがなかなかの好演だった
卒業式、実行
Aga-risk Entertainment
サンモールスタジオ(東京都)
2018/02/17 (土) ~ 2018/02/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
ジャンルとしては完璧に「ショー・マスト・ゴー・オン」モノであり、王道のシチュエーションコメディなのだが
今や出がらしにもなりかけているこのジャンルを見事にリユースしてリバースしている作品
登場人物のキャラクターがくっきりはっきりとしているので、それぞれがぶつかることがしっかりコメディとして機能している
特に中心人物であるの榎並さんと生徒会長役の熊谷さんの二人が素晴らしく
榎並さんは状況に翻弄されつつもきちんと主体のある主人公としての存在感が抜群。(物語の印象というのは主役にかかる部分が大きいと思うが、印象を残す主役感)
熊谷さんは完全に振り切ったキャラクターとなっていることでそこに関わる全てが面白くなる存在を熱演。しかもそれだけじゃなく終盤にかけてはしっかりとした物語を持つキャラクターともなっている
その他の登場人物もそれぞれに鉄板のネタを持っており(淺越さんや中田さん前田友里子さんなどは振ったら全部ホームランのような面白さ)、これだけの登場人物をしっかり使い切っていること自体の凄さ!
初日ということもあったのか、終盤のドタバタ部分がちょっとごちゃついた感じもしたが、それでもこれだけ完成度が高くて笑えて面白いコメディは他ではなかなか観られない
WEBキャスター
劇団禄盟漢
荻窪小劇場(東京都)
2018/02/10 (土) ~ 2018/02/12 (月)公演終了
満足度★★
「WEBキャスター」というユーチューバー的な人たちの議論中心なちょっとSF混じった物語
ホワイトボードを使用して説明する場面とか、登場人物それぞれのキャラに無駄がなく伏線が上手く練り込まれているところなどは良かった
ただ、議論の中身とか立場などが論理的にぶれていて矛盾が生じてしまっていてもったいなかった
それと20年後くらいの近未来設定なのに現在の映像やスマホなどが小道具として登場しており、SF的な理論的な展開を進めていくにはそういった細部が整っていないと説得力が一気になくなってしまう、、、
また一部の役者さんの演技レベルもあまり良いものではなかった
ノスタルギヤ
Ammo
d-倉庫(東京都)
2018/02/07 (水) ~ 2018/02/12 (月)公演終了
満足度★★★★
僕らは歴史を知っている。だから、物語の笑顔の先にある光景も知っている
舞台上の二人も知っている。未来人の視点はつまり傍観者の視点
舞台に響くフットバルのチャントは、時代が移っても変わらない魂の言語化
誰に心を寄せようとも観ている僕らはどこまでいっても余所者だ
面白そうな作品だと事前予測してたんだけど、結果として面白かった
そこそこの上演時間なのに渋滞しない展開で脚本が上手いなと
役者さんのレベルも高くて、なんだろうか、いい芝居を観たという充足感
チャントの場面とか、再会のハグとかでいちいちうるうるきてしまった
浮気だ!ニンニン
東京にこにこちゃん
荻窪小劇場(東京都)
2018/02/03 (土) ~ 2018/02/04 (日)公演終了
満足度★★★
終始ふざけきった内容なのに、くるりと裏に回せば真面目な愛がある忍者屋敷の回転扉のような物語
試す愛、痛みの愛、依存する愛、それぞれの愛にはいわばドリカム的女の怖さを感じた
3つの愛を経て帰ってきた男を迎えるhocotenさんのまなざしが美しかった
武内さんとふくしくんのパートがどれもツボで、ふくしくんが顔を出すたびに面白かった
武内さんのオフの時の動きも反則気味
るんげさんは評判通り、猥褻物そのものだった
iaku+小松台東「目頭を押さえた」
iaku
サンモールスタジオ(東京都)
2018/01/30 (火) ~ 2018/02/04 (日)公演終了
満足度★★★★
公演する劇団が異なっても、劇場によってその劇場っぽい作品って有るかと思うんだけど
「目頭を押さえた」は凄いサンモールスタジオっぽい作品だと感じた
まっすぐど真ん中で丁寧で物語がしっかりしている。自分はターゲットとは違う層にいるが面白かった
「春、夜中の暗号」
ヨハクノート
十色庵(東京都)
2018/01/31 (水) ~ 2018/02/04 (日)公演終了
満足度★★★★
春Bと夜中Aを観劇
登場人物の関係性などが直接語られず、観客側に想像の余地を与えるんだけど、その方向性の導き方とか按配が上手い
音のない時間や間をあけることで、一度観客側にターンが渡されてこっちが頭で膨らまし返したものがさらに舞台上で展開されていく感じ
キャストが違うことで変わって観えてくる関係性とかが面白い
臼杵さんはうざったさが重厚だったのに比べ、山田さんは軽薄な空気
須藤さんはしっかりとした物語を持っていそうなのに比べ、鐵さんは軸の無い感じ
キャストが違うことで大田さんの観え方も変わってきて、夜中Aの方がちょっと歳を取った感じで、男との関係性は主導権を握っているのに、物語の主軸は男の方に有る感じだった
役者自身の持つ個性は演技を越えて、こちら側に印象や想像へ強く影響を及ぼすんだなと。
『LOVE』Chapter2
シンクロ少女
OFF OFFシアター(東京都)
2018/01/29 (月) ~ 2018/01/31 (水)公演終了
満足度★★★★★
歳をとると何かにつけてエネルギーが無くなって
恋愛だって面倒くささが上回って、表面上の優しさしか与えられなくなって
それでも舞台上の2人をヒーローショーを観る子供のように身を乗り出して髪かきむしって見守って
この作品は信じてさせてくれる、人を好きになる事の意味を
自分は舞台上に自分がいると思える作品がとにかく好きなんだけど
この歳でこのタイミングでこの芝居を観られたことをみんなに自慢したいし、
性別とか年齢とか楽しめるレンジは広い作品ではあるけど、自分こそが一番この作品にクリティカルヒットされたんだって言い張りたくなる
面白すぎて好きで、もう続きが見たくてたまらない
きっとChapter3からいきなりチケット代1万円とかになっても観に行ってしまう
あと不謹慎な家でもそうだったけど、徳橋みのりさんが男にとっての母性そのものなんだよなぁ
そりゃぁ男は徳橋さんに惚れるよ
Weのために
松澤くれはプロデュース
パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)
2018/01/23 (火) ~ 2018/01/28 (日)公演終了
満足度★★★★
短編集の方を観劇
自分というものを誰かに伝えるための手段、誰かを知ろうとする手段、落語だったり文字だったりぬいぐるみだったり
少し不思議を混ぜた物語は知ろうとする気持ちを沸き立たせる良き触媒
鈴木さんのひとり芝居「失われた文字を求めて」がなかなか優秀なテキスト
たとえ文字が伝える手段としての価値を失っても、誰かに何かを伝えたいという気持ちがあるだけで意味は後から付いてくる
馬鹿とだけ記されたラブレターだってきっとある
「アイドルスター☆トール!」「OLと課長さん」
関村と浅野
スタジオ空洞(東京都)
2018/01/26 (金) ~ 2018/01/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
OLと課長さん
大好きなあひるなんちゃら感満載
異儀田さん、後藤さん、伊達さんそれぞれ可愛い。自分は3人より年上なんで重ねて言わせてもらうけどとにかく可愛らしい
それぞれの関係性とちょっと異次元な思考で繰り広げられる会話に笑いっぱなしだった。やっぱりこの空気感好き
アイドルスター☆トール!
これは大ハマリ!あまりにも好きだったんで、同日中にリピートしてしまった
やっぱアイドルってのは特別なんだよ!神であり人であり自分自身の血肉なんだよ!
渡辺さんのファン姿も佐藤さんのアイドル姿もそれ自体は面白さを含んでるんだけど
どんなアイドルtoファンもその関係性は滑稽で、だからこそ素晴らしいんだよ!
大爆笑しつつ、いつの間にか泣いていた、、、
千に晴れる
制作「山口ちはる」プロデュース
OFF OFFシアター(東京都)
2018/01/17 (水) ~ 2018/01/28 (日)公演終了
満足度★★★★
好きな事やって周りに迷惑をかけながら生きるしかない人へ、殴りながら歌う応援歌
劇中の関西弁でのかけ合いのように勢い良く流れていく場面とシャッフルされた時系列
主人公の人物像が丁寧に刷り込まれてきて各駅停車で一緒に旅をしている気分
主演の田島冴香がとにかく素晴らしかったのは記しておきたい
はなしたく、ない
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/01/22 (月) ~ 2018/01/24 (水)公演終了
満足度★★★
仕事終わりに45分くらいのお芝居を楽しめるって素晴らしい。生活の一部としての観劇って感じ
池田さんの初脚本ということだが、3人の役者さんのキャラも立っていて楽しめた
ただ会話としてのかけあい部分がちょっと不発に終わった所が多かったかな、、、
東尾咲さんが素晴らしく、これは名前を覚えておかないとと思った
昏闇の色
BuzzFestTheater
駅前劇場(東京都)
2018/01/17 (水) ~ 2018/01/23 (火)公演終了
満足度★★★★
ポリコレが演劇界にも進む現状で、あえてギリギリの表現や人物・台詞を用いて駅のホームのキワを歩くような作品
ただ上手くバランスは取れていて、前すすむさん等が点字ブロックの役割か
記号化寸前のエゴと醜悪さを晒す登場人物を前に、観客は自分の色を確かめる
足立英さん出演ということで観に行ったんだけど、相変わらずあの年代あの立場を演ずるのが上手い。流した髪型は個人的にツボだった
他にはテレビの形で時代を表すところとか、
第27班の子嫌いジョージ観てた自分にすると、箸本のぞみさんがもはや聖母なところがツボだった
すすぎ〜記憶に漂う柔軟剤〜
劇団5454
劇場HOPE(東京都)
2018/01/20 (土) ~ 2018/01/21 (日)公演終了
満足度★★★★
自分のよりも他人の人生の方が面白く話せるし、自分以上に自分を乗せられる。そんな演劇の面白さに通じる廉平さんの全力ドヤッな作品
場面場面はパチパチと弾ける洗剤の泡のよう、流れる汗の激流と回るドラムのような物語に心は洗われたのか漂白されたのか
床這う君へ
牡丹茶房
ギャラリーしあん(東京都)
2018/01/17 (水) ~ 2018/01/21 (日)公演終了
満足度★★★★
この作品の感想は自分の物語に落とすしかない
愛した人の何を愛していたのか?
見た目や仕草などの表面にあるもの、趣味や考え方が合うこと
お互いの持つ属性が作り出した関係性
一つ一つ取り除いていって、そこに何も無くなってもまだ愛している
愛しているを愛している
僕もそうだったからわかるけど
彼女の汚れは、僕の中では綺麗に変わり
僕の汚さは僕の中の彼女を綺麗にする
だからあんなふうに彼女に綺麗を与えてしまったら
僕の中から世界中の全ての綺麗を奪われないと帳尻が合わないよね