モモ
実験劇場 あずみ企画
アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)
2014/07/03 (木) ~ 2014/07/06 (日)公演終了
満足度★★★
老婆心ながら。。。
『モモ』をミュージカルにすると聞いて正直いって期待していなかった。だが観終わってみると『もう一度原作を読み返してみよう』と思わせてくれたということでこの企画は幾分か成功だったように思われる。
もしこの作品を小学生の低学年や、幼稚園児にみせることが出来たなら彼らにとって素晴らしい観劇体験となるのではないか。
以下個人的に感じたことを書かせていただく。見当違いということも多々あるだろうがご容赦ください。みなさまの忌憚なき意見を伺いたいです。
まず、この上演は観客層は同年代やそれより上の保護者世代が基本となることが予想できるがそのわりには、脚本、演出が薄いものとなってしまったのが残念である。特に二時間という上演時間にしては表面的にしか受け取れない作品となってしまっていた。もう少し『モモ』という作品に足を踏み入れてはいかがだろうか?
このような名作を上演するときに、観客は皆さんの踏み込んだ解釈を期待する。
特に『モモ』は単なる児童文学ではなく、圧倒的に暗喩的表現の詰まったむしろ大人が読む児童文学といえる。その点がとても残念だった。
例えば、灰色の男たちの存在である。おそらくエンデは彼らを単なる悪役として存在させてなく、時間を失い個性をなくした民衆との相互性を作り出している。
服装を統一していたのは良いが、ダンスの部分で個性が強く出てしまい、非常に残念だった。
(悪役を悪役として存在させない考えは現在主流なため、もしかしたら若い皆さんの方がより面白い解釈を持たせてくれるかもしれない。)
他にも作品を知る上でミヒャエル・エンデがどういう人物かを知ることも重要になってくる。戦中をドイツで過ごしたということだけでも解釈は様々なものに広がるのではないか。いまの世の中調べればいくらでも出てくる。
音楽に関して言えばどれもメロディが聞きやすく素晴らしかった。
しかし、1つ帰りに口ずさめるような簡単な(もしくはワンフレーズの繰返しとなるようなのを様々な場面に)盛り込むとより素晴らしいものになったのではないかと感じた。
もし次回があるなら(是非観てみたいので)いくらか深めた作品を提供してくれることを願っている